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オクラホマの食べ物というと、やはり肉類が中心になりますが、中にはちょっと錯覚を起こしてしまうようなネーミングの料理もあって、面白いです。
バーガーやホットドッグ、サンドイッチにピザといったファストフードメニューも豊富。他の州にある同様の食べ物でも、オクラホマ独自にアレンジして定番になっているものもたくさん。
デザートに関しても同様のことが言えます。またエスニック料理でオクラホマに根付いたものに関しても、人気の食べ物を取り上げて解説していきます。
オクラホマで有名な食べ物
メインディッシュ
Chicken-Fried Steak
オクラホマでは、1988年に正式に、この食べ物を州指定の食事、“State Meal” に定めました。でも注意してくださいね。チキンとフライの間が、言葉を結びつけるハイフンでつながれていることに意味があります。
つまりこれは、チキンのフライドステーキではなく、チキンをフライするように調理されているビーフステーキという意味なのです。言ってみれば、オーストリアの有名なウィンナー・シュニッツェルのようなもの。
あまり高級でない肉をたたいて薄くのばしたものを、卵液やバターミルクに漬け、小麦粉と塩胡椒その他のスパイス類をまぶして焼いたり揚げたりし、クリーミーなグレービーと一緒に出すのが一般的です。
Hog Fry
オクラホマのチェロキーで行われている伝統的な社交イベントで、大きな鉄鍋に油をなみなみと注ぎ、豚肉を揚げて塩で味付けます。同地域の種族や家族、又は教会の集まりなどでよく料理されているものです。
Lamb & Calf Fries
イタリア移民が石炭の採掘のために、オクラホマのピッツバーグ群にやってきたのですが、最盛期の後は、食べ物を作ることで生計を立てるようになりました。その中で人気の的になったのが、この料理。
ただし、単なるラムや子牛肉の揚げ物ではありません。コロラド州で取り上げた、”Rocky Mountain Oysters” を覚えていらっしゃるでしょうか? 全く別の名前が付いていましたが、オクラホマの場合、少なくとも動物名はそのままです。
でも部位が特殊。すなわち、“ball” の部分です! オクラホマの北東にあるスティルウォーターでは毎年、子牛のフライ・フェスティバルが行われていますが、最近ではラムの部分を使用することが多くなっているようす。
Southern Fried Crappie
オクラホマで愛されている魚のフライ料理。クラッピーというのは淡水魚で、コーンミールにスパイス類を混ぜた粉をまぶし、黄金色になるまで揚げた物。レモン汁を絞ってかけ、オニオンやハッシュパピーなどと一緒に食べます。
ファストフード
Coneys
コニーというのは、“Coney dog” すなわち、アメリカを代表する古典的なコニー・ホットドッグのスタイルを指す物で、元々はニューヨークのコニー・アイランドから来ているものの、各州で独自のコニースタイルを作っているのです。
オクラホマでは、1926年にギリシャ移民がダウンタウンに開いた店が始まりで、ゆっくり焼き上げたフランク・ソーセージを蒸したバンズに挟み、ギリシャのチリソースをかけて、玉ねぎやチーズを散らして出しています。
Fried Onion Burger
オクラホマのエル・レノという街で、大恐慌時代に生まれたのが、このバーガーです。ハンバーガー・インのオーナーが5セントのバーガー・パティを、少しでも大きく見せようと、刻んだ玉ねぎの上でバーガーを焼いたのが始まり。
カラメル化したオニオンが上のバーガーの引き立て役となり、行列のできる店に発展したのです。エル・レノで毎年行われるフェスティバルでは、まるで宇宙船のような、世界一大きいフライドオニオン・バーガーが登場します!
Hideaway Pizza
ハイドアウェイ・ピザの原点になったのは、他の州だったのですが、そのオーナーが1957年にオクラホマでも店を開けたところ、失敗してしまいました。その当時ピザ配送の運転手だったダーマ―夫妻が店を買い取り、新しい名前でオープンしたのです。
何が功を奏したのかわかりませんが、見事に成功して以来、最初の店舗があるスティルウォーター以外の都市にも店ができ、オクラホマ以外ではアーカンソー州にも店舗を広げることができました。成功の秘密を知りたいですね♪
Pig Sandwich
1924年にダラスにあった、“Juicy Pig Sandwich” をオクラホマに持ってきたのは、ヒューバート・マーシュという人。彼が最初に “pig stand” を開けたときには、人々の行列を整理するのに警察が動員されたほどでした。
窯でローストされた豚肉を薄く切ってストックに漬けた後、トーストしたパンに挟んで、酸っぱいレリッシュを飾って出すというもので、このようなピッグ・スタンドは1930年代には花盛りとなり、あちこちに店ができました。
今でもオクラホマで、伝統的な手法で作るピッグ・サンドイッチを出しているレストランで有名なのは、ショーニーにある、“Van’s Pig Stand” です。
Theta Burger
ノーマンで “Town Tavern” を経営する、ラルフ・ガイストという人が、オクラホマ大学の、“the Kappa Alpha Theta Sorority” 、つまり女子寮にいる大学生から多くの注文を受けて作ったのが、このバーガーだと言われています。
バーガーの構造を説明すると、まずバーガー・バンの上にビーフ・パティを置き、ヒッコリーソースをかけてマヨネーズをのばし、ディル・ピクルスを載せてチェダーチーズを散らし、バンを被せるというもの。
女子学生に人気を博したシータ・バーガーは、ドライブインの定番メニューとなり、後にドライブインが消えていっても、この食べ物はオクラホマに残ったと言うわけです。
エスニック料理
Banh Mi
オクラホマにはサイゴン陥落後、多くのベトナム人が流れてきて、ベトナム食はほぼオクラホマの普通の食生活の一部になりました。バンミーもその1つ。
元々ベトナムの食べ物はフレンチの影響が濃く、これもフランスのバゲットを使います。プロテイン源になる肉のほか、パクチーや人参、大根などを挟んだ、サブマリン風のサンドイッチです。
Indian Taco
オクラホマの各地で行われるお祭りの際に必ず登場するのが、このインディアン・タコス。この食べ物を普及させたのは、ユコンにある、“The Miller Grill”。
ネイティブアメリカンのフライブレッドをベースに、タコス風に進化させ、挽肉やうずら豆に、レタスやトマト、玉ねぎなどの野菜を加えて、チーズやサルサをトッピングし、人気の一品にしました。
Lebanese Hors d’Oeuvres
レバノンからオクラホマに移住してきたジム・エリアスは、1952年、タルサに、“Jamil’s Steakhouse” をオープンしました。オクラホマではステーキが受けることは知っていましたが、そこに自国のルーツを加えたかったのです。
フムスやタブーリ、ロールキャベツといったものを、燻製にしたリブやボローニャソーセージと組み合わせることで、レバノン風オードブルに仕立てました。このアイデアがヒットし、彼の意志を受け継いだレストランでも引き続き提供されています。
Pho
フォーもベトナムを代表する食べ物ですね。バンミー同様、オクラホマで受け入れられるのに時間はかかりませんでした。ビーフスープにライスヌードル。バジルやもやしにライムなどを添えて出されるホットヌードルスープは、体も心も温めてくれます。
オクラホマで人気のデザート類
Braum’s Ice Cream
ブラウムのアイスクリームは、元はといえば、カンザス州でピーターパンという名のチェーン店で出していたものですが、創始者のヘンリーさんが、1957年に息子のビルに権利を売りました。
でもカンザス州では、最初の10年は競合しないという条件だったので、ビルはオクラホマに拠点を移し、“Braum’s” というブランドで1968年に始めたのです。
今ではカンザスも含み、南部の州で300店舗ほど抱えるチェーンに成長。しかも、アイスクリームにとどまらず、バーガーその他のファストフードも提供するようになり、根強い人気を誇っています。
Daylight Donuts
デイライトという名前を聞いた時、私は昼間に食べるドーナツかと思いました。というのも、日本語で言うところのアメリカのサマータイム調整は、正しい英語では、デイライト・セービングというからなんですね。
話がそれましたが、このドーナツの名前の意味は、ラストネームが “Day” さんという夫妻が、もっと口当りの軽いドーナツを作れないものかと、”light” なドーナツミックスを作ることから始まったものなのです。
それで1954年にオクラホマのタルサに作ったのが、“Daylight Donuts Flour Co.”。数年後には工場を拡張し、規模を広げますが、リタイアする年になって会社の権利を売りました。新経営者もうまく引き継いで人気のドーナツ店舗を増やしていきました。
Oklahoma Fried Pies
揚げパイは一般的なネーミングで、いつ誰が発想したのか定かではありませんが、よくある話では、どこかで誰かがパイ生地を誤って揚げ油の中に落としてしまったことから始まったと言われています。
オクラホマでそのアイデアを利用して一躍有名にしたのは、デービスにある、“Arbuckle Mountain Fried Pie” というレストラン。ルート66付近に行ったときには見逃せないパイ店です。
セイボリー・パイもありますが、人気のデザートパイ・フレーバーは、ピーチ、チェリー、アップルだそうです。店まで行けないという人のためには、サイトでレシピも公開されています♪
さて、オクラホマで有名な食べ物をいろいろ見てきましたが、何か食べてみたいものは見つかったでしょうか?
私はカロリーを考えて、滅多にドーナツは食べませんが、食べる時には食感がフワフワしたクルーラーが好きなので、ここで紹介したライト・ドーナツ粉で作ったドーナツを食べていみたいなと思いました。
それにしても、似たような食べ物、あるいは同じ食べ物でも、オクラホマの人々は知恵を生かして成功させているのを見ると、改めて「頭は使いよう」だと思った次第です♪