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サウスダコタの食べ物というと、野生動物を一番に想像してしまいますが、広大な土地で収穫できる野菜果物も豊富で、アメリカの中でも生産量の高さを誇っているものがいくつかあります。
またどの州も多かれ少なかれ、移民の影響も多く受けており、特徴のあるエスニック料理もいろいろあります。デザート類もバラエティー豊かなので、早速サウスダコタの食べ物を探っていきましょう。
サウスダコタで有名な食べ物
肉類
Buffalo
バッファローは、サウスダコタにある街の名前でもあるのですが、ここで言っているのは食べ物の話。これだけを日本語にすると、水牛になってしまいますが、英語で言うバッファローは、実はアメリカバイソン(野牛)のこと。
角があり、雄の大きいものになると1トン近くあったりする巨体で、一時は絶滅危惧種にも指定されたことのある、北米最大の哺乳動物です。さて肉としては低脂肪で赤身が多く、値段は牛ロース肉くらいですが、やや硬めで味はそこそこといった感じ。
Chislic
チスリックという肉料理は、1870年代にロシア移民がもたらしたものと言われています。大抵、ラムかマトンを串刺しにして揚げたり焼いたりして、ガーリックソルトを振って食べます。ソーダクラッカーと一緒に出てくることが多いです。
Ring-Necked Pheasant
和名はコウライキジで、州の鳥となっています。鶏くらいの大きさで、頭が小さく、尾っぽの長い鳥です。サウスダコタには、この雉料理を得意とするレストランがあって、サラダやサンドイッチにして提供しています。
Tiger Meat
虎の肉ではありません! サウスダコタでは、タルタルステーキのことをこう呼んでいるのです。牛挽肉に玉ねぎやスパイスを加えて、生のままクラッカーなどに載せて食べます。これを提供する店では、テイクアウトのみで販売しているようです。
Walleye
サウスダコタの州の魚になっているのが、ウォールアイ。カナダや北米でよく見られる淡水魚です。バターやハーブ、ケイジャン風味や、ビールを加えた衣を付けたりして調理すると美味しくいただけます。
Wasna
ワズナには、“all mixed up” の意味があり、ラコタの伝統的な料理で、草原で育ったバッファロー肉を挽いて乾かしたものに、ローカルで採れる各種ベリーを混ぜて作ったものです。
夏に収穫した食べ物を大切に保管して、冬まで持たせたり、非常食として置いておいたり、ネイティブアメリカンの自然崇拝からくる知恵が詰まった食べ物。
野菜果物類
Chokecherries
チョークチェリーは、ネイティブアメリカンの主な食材の1つで、前述のワズナにも、乾燥させて挽いたものを使っています。生では苦味がありますが、ジャムやシロップ、各種ソースやワイン造りにもよく使われています。
Lowly Potato
サウスダコタのクラークは、州の「ポテトの首都」と言われていて、毎年8月の最初の週末に、“Clark Potato Day” があります。あらゆる調理法を駆使したポテト料理以外にも、クラフトや車のショーにストリートダンスなど、街をあげての祭典です。
Watermelon
サウスダコタでは、アスパラガスやルバーブもたくさん採れますが、ジェームス川近くのフォレストバーグという街は、「スイカの首都」とされています。夏の暑い日中から涼しい夜になる気候変化と峡谷の土壌が、西瓜の栽培に最適なのですね。
ファストフード
Bierocks
ドイツ系ロシア移民がもたらしたビーロックは、サウスダコタを含む、ほんのわずかな州だけで見つけることができる食べ物。イースト生地のポケット状になったパンの中に、挽肉とキャベツや玉ねぎに調味料などが入っています。
Fleisch Kuchele
フレッシュ・キークラは、やはりドイツ系ロシア移民がサウスダコタの主に南東地域にもたらした食べ物で、バーガーがハンドパイになったようなもの。味付けをした挽肉や玉ねぎを詰めて、揚げています。
Hot Beef Hot Beef Sandwich
肉とじゃがいもを組み合わせた究極のサンドイッチと言われ、“Commercial” という愛称もあります。マッシュポテトがミソなので、インスタントを使っている店ではなく、ちゃんとポテトを調理してマッシュにしているレストランがおすすめ。
その他
Dimock Dairy Colby Cheese
ディモック乳業は、1931年に創業した、サウスダコタで一番古い乳製品会社で、伝統的な手法でチーズを作っており、いわゆるプロセスチーズの類はありません。フレーバーの種類も豊富ですが、やはり一番人気はコルビーチーズ。
Gabubu Bread
ガブブパンは、鍋を使って作るサウスダコタ特有のパンで、インディアン・フライブレッドと似ていますが、油の使用が少ないのが特徴。”gabubu” には、「こねる」の他に、「たたく」という意味もあるそうです。
Honey
最近の統計によると、アメリカでの蜂蜜の生産量トップは、ノースダコタ州で、2番目がサウスダコタ州となっており、ダコタが断トツで合衆国のハニー作りを担っているわけですね。その理由は、地理的な位置と気候条件がそろっているから。
Indian Tacos
ネイティブアメリカンが作る “Indian Fry Bread” は、各家庭で秘伝のレシピがあり、この噛みごたえのあるパン生地の上に、タコミートや豆、刻みレタスにチーズやトマトを載せたもの。“Navajo Tacos” とも呼ばれます。
Wojapi
ウォジャピは簡単に言うと、ベリーソースです。ネイティブアメリカンの伝統的な食べ物で、基本的にはチョークベリーのパティを使い、少量の砂糖、水、コーンスターチなどを加えて濃くなるまで煮詰めたもの。
完熟ベリーを使う場合は、砂糖を入れる必要はありません。フライブレッドやコーンブレッドに添えて出したりします。チョークベリーがないときは、他の種類のベリーを使って作ることもあります。
デザート類
Cookies’n’ Cream Ice Cream
アイスクリームの人気フレーバーの1つである、「クッキー&クリーム」がいつどこで生まれたのかという説には諸説ありますが、サウスダコタの州立大学の、“the Dairy and Food Science Department” が生み出したというのも強力な説。
この大学構内にある、“SDSU Dairy Bar” では、かつては100種類ものアイスクリーム・フレーバーを提供していたとか。今でも常時25種類ほどのフレーバーがあり、季節限定の風味も楽しめます。興味のある方には工場の見学コースもあり。
Kolache
コラチェは、1869年にチェコスロバキアからの移民がサウスダコタの南東部にもたらしたデザート。軟らかくて円いイースト生地の真ん中に、フルーツやクリームチーズなどの甘いフィリングを詰めて焼い後、グレーズやシュトロイゼルをかけたもの。
チェコの言葉の、“kolo” には「車輪」という意味があるそうで、確かに仕上がりは車輪のように見えますね。歴史ある、“Tyndall Bakery” では、数十年前からベーカリーに伝わるオリジナルレシピを使って、人々の心を満たしてくれています。
Kuchen
ノースダコタ同様、サウスダコタでもクーヘンは人気で、州の定番デザート。ドイツ系移民がもたらした食べ物で、ケーキとパイの間のような生地でできていて、季節の果物やコテージチーズなどと組み合わせていただきます。
Moca Cakes
名前に惑わされてはいけません。モカと聞けば、普通は珈琲やチョコレート味を想像しますが、このケーキの色は白く長方形で全面にフロスティンがかかっていて、他には、“gold bricks” や “gold bars” と呼ばれたりすることも。
又ピーナッツコーティングがあるので、“peanut squares” と言ったりもするのですが、サウスダコタの中でも最も古くからあるベーカリーの1つである、1929年開業の “Flandreau Bakery” では、ほぼ丸太状になって売っています。
Zebra Donuts
サウスダコタの南東に位置するセンタービルにある、“Ellis Donuts” の看板商品である、「ゼブラ・ドーナツ」は、何と、朝の9時過ぎには売り切れてしまうこともあるそうです! オーナーが何年もかけて編み出したドーナツ。
決して、奇をてらった名前に頼るのではなく、味で勝負をしていて、何マイルも離れた遠くからファンがやってくるとか。口の中でとろけるような、チョコとバニラのマーブル・ドーナツは、ファッジフロスティングがかかって病みつきになるみたい。
サウスダコタで人気の飲み物
Dakota Martini
ダコタ・マティーニは、俗称、“red beer” と呼ばれていて、それもそのはず、中身はビールが4分の3に対し、トマトジュースを4分の1混ぜて作るんだそうです。いやあ、ちょっと味の想像がつきません。
そこへ飾りに、グリーンオリーブとかピクルスを付けたりするので、またの名を、“pickle beer” とも言うのです。
The Roosevelt
サウスダコタ州の愛称は、あの有名な岩の彫刻を想像するとわかるように、“The Mount Rushmore State”。4人の大統領の中の一人が、テディ・ルーズベルト。
今回、サウスダコタの食べ物・飲み物を調べるまで、大統領の名を冠したカクテルがあるとは知りませんでした。中身は、ダークラム、オレンジジュース、バーモスに砂糖又はシロップ。これなら全て家にあるから、いつか作ってみよう♪
関連記事:ノースダコタ州の食事
サウスダコタの食べ物で有名なものを調べてみましたが、肉料理や収穫量の多い野菜果物以外では、やはりエスニックフードが豊富なことと、結構デザート類も幅を効かせていることがわかりました。
あの有名なアイスクリームフレーバーの発祥の地であることも意外でした。名前に誘われて注文してしまうと、全然予想と違うものが出てくる食べ物や飲み物もありましたが、サウスダコタまで行った折には是非試してみたいものもいくつか発見できました♪