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ユタ州の食べ物の魅力について解説します。ユタ州はスキーリゾートやモルモン教でも有名ですが、リゾート地で楽しむ名物料理も人気の的です。
食べ物では、土地柄と気候条件から、質の良い野菜や果物が豊富で、ドリンク類も、ソーダファウンテンからスピリット、ハードアルコールまで幅広い銘柄があります。
このページでは、そんなユタ州ならではの、おすすめの食べ物や飲み物を紹介していきます。
ユタ州で有名な食べ物
メインディッシュ
Creminelli Fine Meats
クレミネリ家は、イタリアで何代にも渡って塩漬け肉を作ってきたファミリーで、その伝統技術を生かして、2006年にソルトレイクシティに生産拠点を持つことにしました。
パークシティ・マウンティリゾートの農場では、季節に特化した商品も作っており、シャルキュトリ・ボードには、数々の賞を受賞したサラミが並び、人々が舌鼓を打っています。ユタ州のみならず、全米で入手可能。
Dutch Oven Dinners
ユタ州ができた頃、パイオニアとしてこの土地にやって来た人々は、厚手の万能鍋であるダッチオーブンを、荷車や手押し車に乗せて移動しながら、あらゆる料理を作るのでした。ブリガムシティにある会社は、動くケータリングとして重宝されています。
Fireside Dining
パークシティにある、“Empire Canyon Lodge” では、石の暖炉を使って調理されたディナーを堪能できます。人気のラクレットチーズや、ラム肉のロースト、塩漬け肉はもちろんのこと、デザート・フォンデューまで。
Morgan Valley Lamb
スプリングビルにある、モーガンバレー・ラムは、豊かな牧草地が広がるユタ州でゆったりと育てられた、軟らかく品質の良い子羊肉。ステーキ・タルタルではなく、ラム・タルタルが楽しめます。
野菜類
Frogeye Salad
フロッグアイ・サラダって、まさかカエルの眼の食べ物ではありません! 丸くて小さい、アチーニ・ディ・ペペ・パスタを使った、甘味のパスタサラダなのです。パスタの形がカエルの眼に似ていることから名づけられました。
ミカンやパイナップルなどの果物に卵黄を混ぜ、マシュマロや泡立てクリームでトッピング。ココナッツを散らして仕上げることもある、ユタ州で人気のデザートサラダです。
Funeral Potatoes
ユタ州に限らないのですが、アメリカの中西部でお葬式の後によく出される伝統的な食べ物。小口切りにしたポテトに、チーズやクリームスープ、サワークリームなどを混ぜて、コーンフレークを散らして焼くキャセロールディッシュです。
Utah Corn
ユタ州で7月から10月にかけて収穫されるトウモロコシはとても甘くておいしく、ベーコンやリーキにポテトを混ぜて作る、“Utah Corn Chowder” は人気の料理。スナックには、キャラメルコーンの、“Utah Honey Corn” をどうぞ。
Utah Tomatoes
ユタ州で有名な産物にはトマトがあります。酸味と甘みが絶妙にブレンドされた独特の味わいがあり、ソルトレークシティの農園では、シーズン中、U-Pickも楽しめますよ。
果物類
Bear Lake Raspberries
ガーデンシティにあるベアーレイクのラズベリーは、ユタ州の風物詩。夏の暑い日、こんもりしてジューシーなラズベリーは、一服の清涼剤。収穫は7月下旬から数週間で、月初めには3日間に渡って、“The Raspberry Days Festival” があります。
Green River Melons
ユタ州のグリーンリバーバレーの、サラッとした土壌で日中暑く夜には冷える気候が、メロンの栽培に最も適しており、毎年9月下旬には、100年以上の歴史を誇る、“Melon Days Festival” が行われます。
Stone Fruits
サクランボは、ユタ州の指定果物ですが、同州では、中心に硬くて大きい種のある、いわゆるストーンフルーツがよく育ちます。中でも、ブリガムシティの桃は甘くてジューシーなことで有名で、是非果樹園でかぶりつきたい美味しさです♪
ファストフード
Crown Burgers
クラウンバーガーは、ソルトレイクシティで1978年開業のファストフードチェーンで、ユタ州内に数店舗展開しています。ギリシャ移民の家族が始めたので、メニューには、バーガー以外にもジャイロやスブラキなどもあり、バラエティ豊か。
Navajo Tacos
名前にはタコスとありますが、要するに、“Indian Fry Bread” のことです。ユタ州に住むナバホ・インディアンの伝統的な食べ物で、トルティアの代わりに使います。フードトラックには欠かせないアイテムです。
Pastrami Burgers
上記に挙げたクラウンバーガーの看板メニューになっているバーガー。通常は肉のパティにチーズやレタス、トマトや玉ねぎなどを重ね合わせるだけですが、最後にたっぷりのパストラミを載せるのが特徴で、ソースも独自のフライソースで味を締めています。
Wild Game Chili
ユタ州は言わずと知れたスキーリゾートですが、中でも息をのむようなディア・バレー渓谷の山々を眺めながら、“Stein Eriksen Lodge” で戴く野生動物肉のチリは格別。4つ星レストランで、鹿肉やバッファロー、イノシシなどを使った特製チリを楽しんでください。
調味料
Fry Sauce
サウザンアイランドソースによく似たソースの発祥はユタ州。ミッドヴェールに拠点を置くフランチャイズチェーンの、“Arctic Circle” が、1950年代にこのディッピングソースを開発したと言われています。
前者のソースは、簡単に言うと、ケチャップとマヨネーズを混ぜ合わせたものですが、フライソースは、レモンジュースや卵に加えて、秘密の素材が入っているとか。
Honey
ユタ州のニックネームは、“Beehive State”。蜂のように忙しく働く人々の様子を表しているのですが、養蜂に携わる農家が多く、“The Hive Winery” では、受賞歴に輝く人気のミードワインも生産しています。
Utah Salt
ユタ州のグレートソルトレイクは、西半球最大の塩水湖と言われています。州の中央に位置するレッドモンドという街の地下深くには、海底であった何百年も前から蓄積された塩があり、60種類以上のミネラルを含んでいる上質の物。
“Real Salt” というブランド名の、ほんのり薄いピンク色をした海塩は天然のもので、どこの食料品店でも買えるので、私も常にお料理に使い、レシピの種類によっては、粗塩と細目塩を使い分けています。
その他
Artisanal Cheese
ミッドウェイにある、“Heber Valley Artisan Cheese” は、国内のスイスチーズの生産量では大手の1つで、数世代に渡って引き継がれたファミリー経営の下、常に40種類以上のチーズ味があり、毎月決まった日に、チーズテースティングを行っています。
Hell’s Backbone Grill Canned Goods
ユタ州のボルダーにある、“Hell’s Backbone Grill” は、国の中でも最も人里離れた所にあるレストランの1つと言われています。ここで出す食べ物は、すべて地元で有機栽培されたもの。
でも場所柄、冬にはレストランを閉じるので、その間は収穫された食べ物を缶詰にしていました。やがてその評判が広がり、今ではダウンタウンのファーマーズマーケットに並ぶようになったのです。
Mile High Biscuits
マイル・ハイというのはちょっと大げさですが、ソルトレイクシティで1930年より開業している “Ruth’s Diner” の、朝食には欠かせない、背の高いビスケットのこと。
立ち寄った人は頻繁に写真を撮っていくそうです。生地を軽く高く膨らませるコツとしては、よく冷えたバターの塊を随所に忍ばせ、焼いて溶ける時の蒸気の力で膨れ上がるのだとか。
Utah Scones
普通、スコーンと言えばオーブンで焼いて作りますが、ユタ州のスコーンは、イーストを入れた生地を揚げて作り、仕上がりはフライブレッドのようです。モルモン教徒の伝道師が、ナバボ・コミュニティに広げたのではないかと言われています。
デザート類
Bean to Bar Chocolate
(カカオ)豆から(チョコレート)バーになるまでの製造工程を一貫して行う作り方のことで、21世紀に入ってアメリカで広がり始めました。ユタ州にはそうした、“bean to bar” 手法で少量のチョコレートを作る会社がたくさんあります。
例えば、Ritual, Amano, Durci, Solistice, Millcreek Cacao Roasters, The Chocolate Conspiracy などで、メーカーでは、チョコレートのテイスティング・クラスを行ったりもしています。
Green Jell-O
モルモン教徒の多いユタ州で有名な食べ物に、ライム味の緑色のジェリーを使ったサラダがあります。グリーン・ジェリーはユタ州指定のスナックなのです。
2002年にユタ州でオリンピックが開かれた時には、選手を応援する意味で、シンボルの五輪を装飾した、緑のジェリーのボウルを象った特製ピンまで作られました。
Pickle Pie
ユタ州のハイウェイ12からハイウェイ24にかけては、「パイルート」と呼ばれるくらい、いろんなパイを提供しています。中でもユニークなのが、スイートピクルスが入ったピクルスパイ。食べた人に言わせると、味はパンプキンパイに似ているんだとか。本当かな?
ユタ州で人気の飲み物
ノンアルコール類
Apple Beer
ビールが名前に入っていても、これはノンアルコールドリンク。元々はドイツのバーバリアン地方で製造されていたもので、1964年に初めてユタ州にもたらされた、グルメなソーダドリンクです。
Dirty Soda
アメリカの主に西部にある山岳地帯の州で人気が出た、ダーティ・ソーダは、ソーダにクリームと果汁又はフレーバー・シロップを混ぜたソフトドリンク。ユタ州の2つの会社では、どちらが先にアイデアを出したのか論争になりました。
Ironport
20世紀初頭に、よくソーダファウンテンに流れていた昔懐かしい炭酸水で、味は、ルートビールにカリビアン・スパイスを混ぜたようなもの。人気のフレーバーに、ローガンの、“the Bluebird” で出している、チェリーシロップを入れたものがあります。
Small-Batch Coffee
食料品店の棚に並んでいるコーヒーは画一的なものが多いのですが、スモールバッチ・コーヒーは、スペシャリティ珈琲と呼んでもよく、量より質に重きを置いたコーヒーのことです。
直で取引をして豆を入手することで、農家とロースターの間の信頼関係も生まれ、より新鮮で質の高い商品につながるわけです。ユタ州で人気なのは、“Publik Coffee Roasters” 。
Thick Milkshakes
ストローでは吸い切れず、スプーンがいるような濃いミルクシェイクのことを指します。もうほとんどソフトクリーム状態♪ どうしてこんなに濃くなったかというと、ユタ州の夏の気温は高く、購入してから家に帰るまでの間に解けてしまわないようにとの配慮から。
アルコール類
7452 Mary
セントレジス・ディアバレーにあるレストランで出されるブラディー・メアリーは、ちょっとユニーク。トマトジュースミックスに、ウォッカ、わさび、セロリの泡を混ぜ、地元鉱山の歴史に敬意を払うために、黒い溶岩塩をトッピングしたもの。
最初に付いている数字は、レストランがある場所の海抜を示したもので、看板ドリンクの名前になりました。
High West Distillery
アメリカで禁酒法が解けて初めてライセンスをもらった、パークシティにある蒸留酒メーカー。独自の製法で作ったダブル・ライウィスキーに、スパイシーなホームメイド・レモネードを混ぜた、“High West Lemonade” はリフレッシング。
Polygamy Porter
禁酒法以降、ユタ州で初めて開業した醸造所が、“Wasatch Brewery”。以降、受賞歴のあるビールを生み出していますが、中でも2001年に販売を開始した、独特のネーミングの付いた黒ビール、ポリガミー・ポーターは常に話のネタになります。
ポリガミーというのは、複婚制、つまり一夫多妻のこと。このあまりに刺激的なネーミングゆえに、ノースカロライナ州のアルコール委員会では、同州での販売を拒否したとか。
他にもきわどい名前の付いたビールが拒否されているそうですが、この健全なページではリストアップするのを辞めておきますね。
ユタ州の食べ物には、開拓時代の名残を残しているものも多く、又リゾート地である景観を楽しみながら味わう料理や、暖炉を囲んで調理できるものなど、場と一体化した食文化も見られます。
調味料類では、全州に幅広く知られているブランドもあり、私が愛用しているものもありました。嗜好品では、チョコレートやコーヒーの品質にこだわり、原材料が商品になるまで一貫した製法で最高の物を生み出す意気込みも感じられました。
スキー愛好家でなくても、ユタ州に立ち寄って見ると、きっと満足できる食べ物に出合えると思いますよ♪