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動物と肉の関係
まず初めに、アメリカのスーパーで売られている動物の肉類で主なものは、どういうグループ分けがされているのか、おさらいしておきます。動物が肉になると名前が変わるのがほとんどです。
牛は、”beef”。
豚は、”pork”。
羊は、”mutton”。
鹿は、”venison”。
鳥は、”poultry”。
(他の肉類と違って、動物そのものにも、食肉にも、この言葉は使われます。)
最後の鳥肉についてですが、“(domestic)fowl”(家禽)という大きいくくりの中に“poultry”が入る感じで、店によっては、“game bird”のコーナーを設けているところもあります。
ゲームバードというのは、つまり狩猟をすることで得られる鳥類ですね。比較的体の小さいものが多く、晩秋から年末にかけては、七面鳥の代替物としても店に並ぶことが多いです。
鶏肉(チキン)は食べ慣れていて、(少なくとも私は)罪悪感なく食べられるのですが、“game hen”(雛鳥)の小さい体が袋に入って売られているのを見ると、何となく抵抗があるのです。
かつて、心優しいダイアナ妃が、英国王室に嫁いで間がない頃、ロイヤルファミリーでハンティングに出かけることを忌み嫌ったことを思い出してしまいます。
アメリカで食べられる鳥肉の種類
最も多く日常的に食べられるのが「鶏肉」なので、この字をよく使いますが、ここでは、「鳥肉」全体の種類に触れていくので、「鳥」の字を使っています。
一般的な家庭で馴染みの多い鳥肉から取り上げていきますね。
【鶏】”chicken”
アメリカでチキンが特産の州では、毎日のように鶏肉を食べるところもあるようです。1つにはお値段が安くて、低カロリーということも理由になっています。
五千年の昔から家畜の重要な部分を占める鶏類は、肉や卵を食する以外にも、ペットして飼っている家も少なくありません。
簡単に、しかも大量に育てられるので、限られた場所にギュウギュウ詰めになって飼われるケースも少なくないのですが、最近では、“free-range”をうたい文句に、のびのびと育った鶏として売っていることも多いです。
もっとも、私には、”free-range”として売られている鶏肉と、一般的な種類の鶏肉の味の区別がつきませんが・・・。
鶏肉の中で、少し高級感のあるものに、“capon”という種類があります。これは、若いころに去勢された雄鶏の肉のことで、ミルクを中心に栄養価の高いものを与えて育てられるので、ジューシーで軟らかい肉になります。
思春期のホルモン過多の時期を経験することもなく、情緒も安定した中でゆっくり育っていく分、脂ものったフレーバー豊かな鶏肉になるのです。
大きさで言うと、チキンより大きくターキーより小さめなので、丸焼きする場合には、こじんまりしたゲスト・ディナーにもってこいのサイズと言えます。フランスやイタリアで人気の種類です。
【七面鳥】”turkey”
感謝祭で有名なターキーは、約2千年前頃から、メキシコや中南米で家畜として飼われ始めたようです。
中にはペットとして飼っている人も多く、その人たちに言わせると、七面鳥は好奇心が強く、人なつっこいそうです。(そんなことを聞くと、これから食べられなくなりますゥ~。)
鶏を一羽丸ごとローストすることはあまりないのですが、七面鳥は、やはり1年に1度のサンクスギビングの日には、丸焼きで食べたい鳥肉です。
もっとも、家族数が少なく、お客様もいなければ、残りの肉を延々と何日もかけて食べなければならないのが悩みの種です。
何せ、どんなに小さい七面鳥でも、一羽が軽く5kgを超えますからね。ターキーは普通8ポンド(約3.6kg)から24ポンド(約11kg)くらいの巨大なものまであります。
アメリカのターキー協会の報告によると、平均的なアメリカ人が1年間に食べるターキー肉は、約16ポンド(7kg強)だそうです。我が家は完全に平均以下です。
七面鳥の生産でよく知られているのは、ノース・カロライナ州、ミネソタ州、アーカンソー州です。またターキーは、感謝祭の折、大統領の恩赦がある唯一の鳥としても有名です。
人によって、足の部分の赤い肉の方が好きな方と、胸の部分の白い肉の方が好きな方とに分かれますが、味わいがあるのは前者、低脂肪なのは後者の方です。ターキーは一週間に2、3個の卵を産むそうです。
【鴨】”ducks”
鴨と言えば、北京ダックを一番に思い浮かべますね。最近、地元では、本格的な鴨のだしを取って、手打ちの蕎麦を味わえる、日本人シェフのレストランが脚光を浴びています。
鴨肉は、一番よく聞く“Mallards”をはじめ、細かい種類が色々あるのですが、その用途から分けると、大きく3種類に振り分けられます。
“broiler/fryer”は、そのまま丸焼きするのに適当な、生後8週間未満の、3~6ポンド(約1.4~2.7kg)くらいの鴨を指します。
“roaster”は、詰め物をして丸焼きできるほどの、生後4か月くらいまでの、4~8ポンド(約1.8~3.6kg)相当にあたります。
“mature”は、生後半年以上の鴨を指すので、身はすでに硬く、他の家畜の肥料や、加工品に使われるのがほとんどです。
鴨は雑食なので、野菜類やパンの他、カエルやトカゲに小ネズミなども食べてしまいます。また泥んこが大好きで、家で飼う場合には覚悟が必要です。
【鴈】”geese”
ガチョウは、食用以外にも、寒い冬には欠かせない、綿毛“goose down”を敷き詰めた、ふかふかの掛布団でも名前が知れていますね。
子どもの鴈で、体重が8ポンド(約3.6kg)程度のものを、“gosling”と呼び、若い鴈、“young goose”は、12~14ポンド(約5.5~6.3kg)くらいのものを指します。
鴨と同様、成熟した雁は、加工品に使われます。身は、白か黒かとなると、やっぱり美味しいのは、“dark meat”の方です。
卵は1年に20~40個くらい産みます。1個が大きいので、1つだけでオムレツが作れてしまいます。
あと、特徴的なのは、鴈は、番犬ならぬ、番鳥になるということです。侵入者があるとがなり立てるので、他の小動物の保護に役立つはずです。
【鶉】”quail”
うずらの卵、私大好きです。でも、あのまだら模様の小粒をいちいち剥くのは面倒なので、缶詰で買っています。年間200個くらいの卵を産むそうです。
体が小さいので、一羽につき、12cm四方のスペースがあれば、飼うことができます。餌も1日15gほどで事足りるので、経済的です。
ただし、気を付けないといけないのは、大人になっても100g少々ほどの体躯なので、猫やドブネズミといった動物の餌食にならないように、しっかりした檻に入れて保護する必要があります。
実は、何を隠そう、私の息子が最近、半ダースの鶉を買ってきて、家で飼育し始めたのです。離れて暮らしているので、実物にはまだお目にかかっていませんが、写真で見る限り、かわいらしいです。
息子は、週末にホームセンターで材料を購入し、卵が扉の下から転がり落ちるようなしくみの特製の檻を作っていました。
もっとも、生後2週間程度の雛を買ってきたので、性別は不明状態で、卵を産んでくれるかどうかもわからない状態なのですが。
聞いてびっくりしたのは、空を飛ぶところまではいかなくても、かなりジャンプ力はあるようなので、天井が開いていると逃げてしまいます。
以前に鶏を飼ってみて、その臭さに閉口してあきらめた経験があるので、今度は長続きすることを願っています♪
鶏肉の用途別種類とは?
細かいブランド名はさておき、鶏肉を用途別に種類分けすると、次の3つになります。
・産卵鶏 “layer chickens”
・食肉鶏 “broiler chickens”
・両用(産卵及び食肉) “dual-purpose chickens”
特に説明は要らないと思いますが、卵を産むためだけに育てられた鶏と、食肉専用と、両方の目的で存在する鶏の3種類なんですね。
産卵用の鶏は、生後約半年で卵を産み始め、年間に約300個の卵を産みます。食肉用に比べて体はやや小ぶりで、脂肪分が少ないです。
食肉用の鶏は、成育が早く、2か月ほどで2kg強になって、マーケットに出されます。食肉用なので、脂も多いです。
両用の鶏は、上記2種類の中間を行く大きさですが、成熟度は早いです。産卵させるだけさせてから食肉にする手もありますが、その頃には身が硬くなっており、肉としては美味とは言えないでしょう。
いかがでしたか?
私は、鴈の肉を食べた記憶はないのですが、フォアグラならあります。美味ですね。
いずれにしても、チキンやターキーの種類になると、普通の食卓に当たり前のように出てくるので、元の鳥を思い浮かべることも少ないと思います。
でもすべて他の生命をいただくのですから、食事の際には、心を込めて「いただきます」を言いたいですね。