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ミズーリ州と聞けば、ジャズファンならセントルイス、歴史ファンなら軍艦を思い浮かべるでしょうね。でも、ユニークな食べ物も色々あるんですよ。
このページでは、独特のブレンドチーズや、特徴のあるサンドイッチに、四角に切るピザなど、ローカルで人気のある料理を取り上げていきますね。
食べ物だけでなく、飲み物も解説します。恐らく世界中の誰もが知っているドリンクで、ミズーリ州発祥の物もあります。さて、何だと思いますか?
ミズーリ州で人気の食べ物
肉類
Burnt Ends
ミズーリ州カンザスシティならではのユニークな肉の食べ方です。ブリスケットの脂肪がたっぷりある先端部分というのは、基本的に調理に時間がかかります。
だから、スモーカーに戻して二度焼きすることが多く、それだけ燻製の深みも増すというわけです。そのほぼキャラメル化して焦げた先端をサイコロ状に切って、バターを塗ったトーストの上に載せて食べるのが、また格別なのだそうです。
Charcuterie
フランス語のシャルキュトリーは、食肉加工品全体を指します。アメリカの中でも、特に良質の豚肉が手に入るミズーリ州は、ヨーロピアンスタイルの加工肉を生産するにはもってこいの州なのです。
Salume Beddu という肉屋さんでは、Veneto Salami という、カルダモンや生姜にシナモンを加味した、世界で親しまれるサラミをはじめ、人気の加工肉を作っています。
Pork Steak
ポークステーキはビーフステーキに対抗する言葉ですが、本来、肩から切り取った比較的薄い豚肉を使います。だから、もっと一般的なポークチョップに比べて脂肪分の少ない肉です。
薄いため、よく過度に調理して焦がしてしまったり、バーベキューソースの味付けに負けてしまったりして、人気は下火だったのですが、スロークッキングが見直されてきたこともあって再燃し、マリネして軟らかくしてから調理するとおいしくなります。
St. Louis Style Ribs
セントルイススタイルのリブ肉というのは、よくあるスペアリブとほぼ同義ですが、短くて曲がっているベビーバックのリブに比べて、平らで長く、スペアリブよりも薄くて均一な形状をしています。
リブを長時間かけて、チェリーウッドで燻製にしていきますが、形が均一なため、グレーズを付けてもキャラメル化が上手に仕上がるのです。
パスタ
Bucatini All’ Amatriciana
セントルイスのヒルという所は、かつてミッドウェスタンの中でも、イタリアン・アメリカンの食べ物のメッカとされてきました。近年傾向は変わっていますが、今でもイタリアの伝統は引き継がれています。
中でもレストランのホームメイドのブカティーニに、アマトリチャーナという、サンマルツァーノトマトや赤玉ねぎにスパイシーなチレペッパーを加えて、燻製味のグアンチャーレという豚トロの塩漬けを入れたソースを絡めたパスタは、人気の食べ物です。
Toasted Ravioli
名前はトーストになっていますが、調理方法は軽く揚げています。セントルイスのヒルにある2つのレストラン、“Mama Campisi’s” と “Charlie Gitto’s” が作り出して人気を博した食べ物です。
このメニューが生まれたのは、実はアクシデントで、間違ってラビオリが揚げ油の鍋に落ちてしまってできたそうです。でも、フライのラビオリというより、トーストしたラビオリの方が聞こえがいいと思って付けた名前のようです。
最近では、イタリアンレストランのチェーン店である、有名なオリーブガーデンにもこのメニューがあり、パン粉を付けて揚げたラビオリにマリナラソースをつけて楽しむことができます。どちらかというと、アペタイザー的な感覚です。
サンドイッチ
Gerber Sandwich
セントルイスのキッチンで生まれたオープンサンドイッチです。1973年に、“Ruma’s Deli” というレストランで、シェフの知り合いのディック・ガーバーという人が発案したそうです。
いたってシンプルで、ガーリックブレッドにハムとプロベルチーズを載せて、チーズが溶けるまで
焼くというものです。最後にパプリカを振りかけていただきます。
Heart Stopping BLT
定番のBLT(Bacon, Lettuce, Tomato)を究極まで高めたものがこれです。普通はベーコン1~2枚を挟んで終わりですが、こちらは、何と14枚ものベーコンを使用するというから、そりゃあ、心臓も止まるでしょうよ!
“Crown Candy Kitchen” は1913年にオープンして以来、このBLTとキャンディーとミルクシェーキが売り物なのですが、BLTサンドイッチに至っては、毎日200ポンド(約90キロ)ものベーコンをさばくというから驚きです。
Hot Salami Sandwich
ホットサンドを作る所は数あれど、やはり良質の豚肉が売りのミズーリ州で、イタリアンアメリカンが集まるヒルという街に、1918年にオープンした “Gioia’s Deli” では、ホットサラミサンドが名を博しました。
豚の肩と頭の部分も混ぜて作るため、どちらかというとテリーヌのような軟らかい食感のサラミで、これを厚く切ってガーリックチーズパンに挟んだ品は、何年も表彰されているのです♪
St.Paul Sandwich
これまでは、ほとんどイタリアンアメリカンの食べ物を扱ってきましたが、セントルイスには、チャイニーズアメリカンのサンドイッチもあるんです。白いパンに、芙蓉蛋とレタスにトマト、ピクルスにマヨネーズを加えて挟んだ独特のサンドイッチです。
ファーストフード
Smashed Burger
名前の通り、バーガーを焼く際に、ベーコンプレスか何かで、パティを上からぎゅっと押さえて焼きます。そうすることで、肉片のほぼ全ての部分が熱い鉄板にくっつくことになり、肉のうまみが増すというわけです。
私もどちらかというと、薄くてカリっとしたバーガーの方が好きなので、これは試してみたいですね。1951年にオープンした “Carl’s Drive” では、いつも行列ができているそうですよ。
St. Louis Style Pizza
セントルイススタイルのピザって、何が違うのでしょうか? 同様に薄い生地で有名なシカゴスタイルの物は、イーストを使って作るのに対し、こちらはイーストなしで膨らませずに作るところが一番の違いです。
だから仕上がりはまるでクラッカーのような食感になり、大抵ミズーリ特有のプロベルチーズををトッピングに用いて焼きます。もう1つ特徴的なのは、円いピザを扇形に切るのではなく、四角に切って食べるところです。
チーズ
Cheese Curds
カナダのケベックやオンタリオに行くと、バラエティー豊かなチーズカードを試すことができますが、アメリカではウィスコンシンの他、ミズーリ州でもよく作られています。
生のまま出したり、揚げて出すこともあり、バーレストランでは人気のスナックになっています。フライにすると、外はカリッと、中は弾力性のある食感が楽しめます。
Provel
セントルイスの料理に最もよく使われるのは、このプロベルチーズでしょう。何者かというと、実はチェダーとスイスとプロヴォローネチーズを組み合わせたプロセスチーズなんです。
ミズーリ州のレシピを使うときに、このチーズが手に入らない場合には、エメンタール・スイスの組合せか、マンステールチーズやエダムチーズを使えば代用できます。
その他
Red Hot Riplets
セントルイススタイルのホットソースを使って作る、スパイシーなバーベキュー味のポテトチップスです。波打った形のチップスで、バーベキューパウダーの色で赤くなっています。
Slinger
ミッドウェスタンの朝食やブランチによく出てくる食べ物で、セントルイス発祥と言われています。スリンガーは大抵、フライドエッグ、バーガーパティ、フライドポテト又はハッシュブラウンにチリを載せて、チーズや玉ねぎを飾って出てくるボリュームたっぷりの一品です。
ミズーリで食べたいデザート
Campfire S’mores Ice Cream
スモアはキャンファイヤーには欠かせませんね。その雰囲気を出そうと作られたアイスクリームで、トーストしたマシュマロのフレーバーに、グラハムクラッカーやオレオやチョコレート、又ファッジなどを混ぜ入れて作っています。
ちなみに、“S’mores” ってどういう意味かご存知でしたか? “some more” を縮めた形で、「もっと欲しくなる」ってことですね♪
The Darkness Croissant
チョコレートにはた愛好家まらないベーカリーがセントルイスにはあります。フレンチスタイルのチョコレートクロワッサンを作っているのは、“La Patisserie Chouquette” です。
普通のクロワッサンを作るのも時間がかかりますが、ここでは、チョコレートバターから作り、生地の中にたっぷりのチョコレートを仕込んで焼き上げ、最後にまたチョコレートを垂らして、ヒマラヤのピンクソルトでアクセントを付けています。あああ、食べたい!
Gooey Butter Cake
「失敗は成功のもと」という言葉がありますが、このバターケーキも、普通のコーヒーケーキを作ろうと思っていて、バターを余分に入れてしまってできあがったケーキだと言われています。
今やセントルイスを代表する定番のケーキは、せいぜい2~3cmくらいの高さの平らなケーキで、味はもっちりしていて、上から粉糖を振っていただきます。
ミズーリ州で有名な飲み物
アルコールドリンク
Abraxas Beer
アブラクサスは、セントルイスにある、“Perennial” の看板ビールです。アンチョチリペッパー、カカオニブ、バニラビーンズ、シナモン、ダークチョコレートを加味したビールで、メキシコの食べ物の、モレにも似たコクのある味を楽しめます。
ソフトドリンク
Fitz’s Root Beer
セントルイスでルートビールを探すなら、“Fitz’s”。元はと言えば、ハンバーガーを出してた店だったのが、1947年にルートビールを添えるようになってから人気を博し、途中で生産を辞めたものの、復刻版が出て今に至っています。
Vess Soda
1916年創立のセントルイスにあるソフトドリンクのブランドです。コーラやクリームソーダといった一般的なフレーバー以外に、オレンジソーダのヒット商品、“Whistle” などのユニークな味の製品を作り続けてきました。
7 Up
このソーダの元になる、“Bib-Label Lithiated Lemon-Lime” という名前の炭酸水を作ったのは、上記のヴェスソーダにいた、ミズーリ州で生まれ育った Charles Leiper Grigg という人です。
でも、パートナーと意見が合わずに会社を出た後、1929年に、世の中の誰もが知ることになるセブンアップの原型を生み出したのです。
ミズーリ州にはまだ行ったことがないのですが、訪れた友人によると、やっぱり肉類やイタリア系の食べ物がおいしかったと言っていました。
ただ余談ですが、人種差別の多い州であることは間違いないので、ミシシッピ川の片側に行ったり、電車にはあまり乗らないほうがいいというアドバイスも受けました。
まだまだ根強くはびこる人種問題ですが、安全な地域では、ローカル特有のおいしい食べ物を試したいですね。