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ミネソタ州の食べ物で一番有名なものって、何だかわかりますか?
私はあまり食べないので、この缶詰がどこで作られているかなんて気にしたこともなかったんです。でもわかりました。スパムはミネソタ生まれなんです!
人気のおむすびも今一だったのですが、最近親しい人が作ってくれたスパムむすびが美味しくて、見直し始めたところでした。
ミネソタ州にはスカンジナビア諸国からの移民も多く、その文化を受け継いだ食べ物もたくさんあります。では、どんなものがあるのか見ていきましょう。
ミネソタ州で有名な食べ物
肉類
Porketta or Porchetta
ポルケッタは、イタリアの伝統料理なのですが、ミネソタ州北部の鉱山開発が盛んな時代にやってきたイタリア移民によって広まりました。一言で表すと、味付けした骨なしローストポークです。
にんにくとフェンネルを中心に、数種のハーブ類を混ぜて、塩味濃く、長時間ローストしています。ポレンタ・ボウルに載せたり、チャパッタなどのパンに挟んでサンドイッチにして食べることが多いです。
SPAM
誰でも知ってるスパムは、アメリカではハワイをはじめ、どこでも人気の食べ物ですが、実はミネソタ州のオースティンにある、”Hormel Foods” が1937年に発明した物なんですね。
第二次世界大戦中に、アメリカ兵以下連合国軍の兵士の腹を満たすために、一億5千ポンド(約6万8千トン)ものスパムが世界中に送られたそうです!(ちなみに、スパムって、“spiced ham” の略です。)
本家本元ミネソタ州にはスパム博物館もあるので、興味のある方は訪ねてみてください。スパムおむすびは有名ですが、スパムジャムというお祭りもあって、スパムソングが演奏されるそうです。歌まであるなんて知らなかったわん♪
Sweedish Meatballs
ミネソタ州には150年前から多くのスウェーデン人移民がいます。あの有名な、スパイスを効かせてクリームソースを絡めたミートボールが根付いたのもうなずけます。
魚類
Gravlax
スカンジナビア諸国の伝統的な食べ物に、グラブラックスがあります。ほとんど生に近い食感のスモークサーモンですね。上述の通り、ミネソタ州には北欧人口が多く、ASIと呼ばれる、”American Swedish Institute” まであります。
スウェーデンの生活習慣に、“Fika” といって、ちょっと一休みする、アメリカ的にはコーヒーブレイクのような時間があります。フィーカには、甘い物だけでなく、ペーストリーに鮭を載せて味わったりもします。
Smoked Fish
ミネソタ州には、五大湖の一部をはじめ、いくつか湖があるので、“lake trout” や “whitefish” といった淡水魚が豊富です。そこで、燻製にした魚を使って、クリームチーズと一緒にサンドイッチの具にすることが多いです。
Walleye
ウォーライという魚は、北米大陸に生息していて、カナダでは、“pickerel” とも呼ばれ、体長1m弱、重さ10キロ弱ほどあります。ミネソタ人には一番なじみの深い魚で、1965年以来、「州の魚」に指定されています。
スープ
Booya
ブーヤは、ベルギー生まれと考えられている、具だくさんのシチューです。アメリカの中西部から北西部にかけての地域でよく食されています。ウィスコンシン州では、最後に”h”を付けて、“booyah” と綴ります。
これは家庭料理ではなく、ファンドレージングや大勢の集まりがあるときに、巨大な鍋で数百人分作ったりするものです。「食べ物」だけを表すのではなく、同時に「イベント」自体も意味します。
骨付きの肉に、各種野菜と、びっくりするくらいの量のスパイスを混ぜ、大抵一晩煮込んで作ります。どんなにたくさん作っても、全部なくなるそうです♪
Pho
アメリカにも日本にも、フォー・ファンは多いですね。ミネソタ州には、ベトナム移民も多いので、もちろんフォーは人気です。地元で獲れた肉の骨を一日以上煮込んでだしを取る麺スープはすっかり定着しました。
この他、“Hmong”(モン族)と言って、1970年代にラオス・タイ・ベトナムからアメリカに移住してきた人々の、お国の料理をアメリカに融合した食べ物も、ミネソタ州には数多くあります。
Wild Rice Soup
ワイルドライスは厳密にいうと、米ではなく、水草の種なんですね。それで、五大湖の一部を含むミネソタ州では、ワイルドライスがたくさん採れるので、クリーミーでリッチなスープも人気の食べ物となっています。
乳製品
Land O’Lakes
ランドオレイクスは、1921年に設立された、ミネソタ州のアーデンヒルズに本拠を置く農業協同組合で、乳製品が主力商品です。私は時々バターを購入しています。
Morcella
モルチェッラは、ミネソタの羊乳を使い、春から夏にかけてのみ搾ったミルクで作られるセミソフトチーズです。同じ名前に、アミガサタケがありますが、このチーズにはそのマッシュルームを散りばめてあります。
Rent River
レントリバーは、ミネソタ州のマンケートーにある、”Alemar Cheese” というメーカーが作っているチーズです。100%牧草で育てた牛のミルクを使い、最低5週間は寝かして作ります。カマンベールタイプのチーズです。
バーガー
Juicy Lucy
要するに、ダブルチーズバーガーのことですが、ミネソタ州に古くからある、“Matt’s Bar” と “5-8 Club” の2店舗が「わが店こそオリジナル!」と主張して譲りません。
前者のバー曰く、客がビーフパティをダブルにしてくれと頼んだところ、中に挟んだチーズが溶けて出てきたので、この名前が付いたそうです。ちなみに両店の違いは、実は綴りにあります。
“5-8 Club” では、普通に綴っているのですが、”Matt’s Bar” では、”i”を抜いて、“Jucy Lucy” という名前にしています。競争が嫌いな方は、神戸ビーフとエルクを混ぜたパティを作っている、”6 Smith” はいかがでしょう?
Turkey Burger
ミネソタ州では、1939年にターキー農家の間で、七面鳥を育てる協会を作り、改善策や病気予防策などを推し進めることで、毎年4500万羽ほどのターキーを育てることに成功し、全米一を誇っています。
その有り余るターキーで作るバーガーは、感謝祭の時期のみならず、夏なら、フランスのツールドフランスになぞらえたバージョンを作ったりと、工夫を凝らして出しています。
Wild Rice Patty Melt
ミネソタの「州の穀物」として名高いワイルドライスを使ったバーガーは、ゆる~いベジタリアンにおすすめです。ワイルドライスが実は米ではなく、草の種であることを知っていると、パンと米のダブル炭水化物ではないことが分かるのでいいかも。
パン・粉物類
Artisan Bread
19世紀の終わりごろに、機械類の技術開発が盛んになり、ミネソタ州のミネアポリスでは製粉所ブームになりました。それから第一次世界大戦が終わるころまでの約半世紀の間、ミネアポリスは、“Flour Milling Capital of the World”と呼ばれていたのです。
その後、ニューヨークのバッファローに生産量を抜かれることになりますが、昔培った技術は今も息づいていて、高品質のパン製品は、今もミネソタの重要な主食を補っています。現地を訪れる機会があったら、”Mill City Museum” に行かれるのもいいと思います。
Blueberry Walnut Pancakes
ミネソタ州の特に北部ではブルーベリーの生育が盛んです。ブルーベリーと胡桃を使ったパンケーキがミネソタ特有の組合せ、ということではないのですが、野生の新鮮なブルーベリーを、製粉の伝統があるミネソタのパンケーキに入れて胡桃を散らした朝食はいけるのでは?
Lefse
レフセは、ノルウェーの伝統的な食べ物ですね。前述のように、ミネソタ州には北欧の食文化が息づいています。ポテトクレープのような感じのフラットブレッドは、特にホリデーシーズンによく登場します。
フォストンでは毎年11月に、レフセ・フェスティバルが行われ、マンケートーでは、感謝祭後の日曜日がレフセデーとなっていて、レフセ料理の腕を競い合ったりしています。
その他
Hotdish
まず初めに、これは1つの単語です。ホットなディッシュではないので、正確にはスペースを空けないで綴ります。どんな食べ物かというと、挽肉とポテトその他の野菜に、クリーム・オブ・マッシュルーム・スープを混ぜて、上にテータートッツを並べてベイクしたものです。
ミネソタ州をはじめ、中西部から北西部にかけて人気のキャセロール型の料理で、教会の集まりや、ファミリー・リユニオンでよく出てくる定番の品です。
余談ですが、あまりの人気料理に、ミネソタ州選出の元上院議員のフランケン氏が、2011年に、何と首都のワシントンDCでミネソタ州選出の議員を集めて、議会開会前にホットディッシュのクッキングコンテストを始めたのです。
初回の優勝者は、現役の上院議員で、この間は大統領選にも出馬していた、(私も好きな)エイミー・クロブシャー議員でした。以後毎年、現役の議員が主催してクックオフは続いています。
ミネソタ州の甘い食べ物
デザートサラダ系
Cookie Salad
ミネソタ発のクッキーサラダは子どもの大好物。ファッジを練りこんだショートブレッドクッキーに、バニラプディングやバターミルク、泡立てたクリームを混ぜて、缶詰のマンダリンオレンジを畳み込んで作られています。
Glorified Rice
ノルウェー系のルター派人口が多いミネソタ州をはじめ、アッパーミッドウェストと呼ばれる地域の州で人気のデザートライスサラダです。伝統的には、米をクリームで煮込んで軟らかくし、缶詰のパイアップルを入れて作ります。
Strawberry Delight
ストロベリーデライトは、どこにでもあるようでいて、実はミネソタ州生まれのデザートサラダです。作り方はいろいろありますが、大きく分けると3層になっています。
まず底にグラハムクラッカーのクラストを敷いて焼きます。冷めたら、クリームチーズと砂糖と生クリームを泡立てたものをのばします。その上に小さく切った苺を並べ、最後にイチゴ味のゼラチン液を作って注ぎ、冷やし固めると完成!
その他
Dessert Bars
アメリカのバークッキーのことを、中西部や北西部の州では、デザートバーと呼んでいます。具材になるのは多種多様で、チョコレート系やフルーツ系、クリームチーズやピーナッツバターを使ったものに、あっさりしたレモンバーから幾層も盛り込んだ物まであります。
Krumkake
クルムカケは、ノルウェーのワッフルクッキーで、イタリアで使われていた特殊な鉄の鋳型で薄く焼いてコーン状にします。そのままでも食べられるし、中にクリーム系のフィリングを入れてもよいです。
アメリカは移民の国なので、今回もその影響を色濃く感じました。ミネソタ州は特に北欧系移民が多いので、スウェーデンやノルウェー特有の食べ物が多くあります。
それにミネソタ州の人々は、結構甘い物にも目がないようですね。上に挙げたデザート以外に、フェアの屋台で出されるミニドーナツや、ピーカン・キャラメル・シナモンロールなど、人気があっても他州でもよく見られるものは省きました。
私が調べてみてちょっと意外だったのは、国会議員も熱を込めて参加する、ホットディッシュのコンテストでした。優勝したクロブシャー議員のレシピはネット上で公開されているので、機会があれば一度作ってみたいと思っています♪