この記事は約 16 分で読めます。
ネブラスカ州の食べ物や飲み物には、今では自然に使っているほぼ普遍的な名称の物があります。
例えば、テレビの前に座ってチンして食べるスタイルを流行らせたのは、ネブラスカ州。アメリカ人なら知っている、ある宗教団体の事件に関連付けられた、子どもなら一度は飲んだことのある超人気のパウダードリンクもネブラスカ州発。
ブランド名にもなっているオマハのステーキなど、聞いたことのある名前がたくさん出てきます。それぞれどんなものなのか、グループに分けて解説していきますね。
ネブラスカ州で人気の食べ物
肉類
Corned Beef Hash
ネブラスカ州で食べる肉は、ステーキに限りません。塩漬けにしたコーンビーフをフライドポテトの間にはさみ、半熟卵を垂らしたハッシュは人気の食べ物です。各レストランは自家製のコーンビーフの味を競い、週末にはブランチでにぎわいます。
Bone-In Ribeye
旅行者がネブラスカ州で一番注文する食べ物といえば、ステーキ。オマハやリンカーンでは、極上のウィスキーが楽しめるのですが、特に、ウィスキーでマリネした骨付きリブロースがおすすめです。
野菜・果物類
Corn
ネブラスカ州の食べ物といえば、誰もが思いつくのが、「コーンとビーフ」。夏になると、あちこちのガソリンスタンドの横で、農家直送のトウモロコシが売られます。
そのまま食べる以外にも、コーンブレッドやコーンアイスクリームにしたり、あらゆる手立てを考えて、大量消費に使われる野菜です。(なお、コーンの皮をむく裏技は、「電子レンジの使い方」のページで触れています。)
Raw Rhubarb & Sugar
私の主人も子どもの頃によく生で食べたと聞きましたが、ネブラスカ州の子どもたちは、パイやジャムにしないと到底食べられないルバーブを、畑でもぎ取っては、砂糖をまぶして食べるのが習慣だそうです。
ファーストフード
【ピザ】
Cheeseburger Pizza
一石二鳥という言葉がありますが、これはまさに2つのビッグ・ファーストフードが合体してできたもの。ネブラスカ特有というのではないものの、人気の食べ物の1つです。
バーガーパンにパティを挟む代わりに、ピザ生地に挽肉を広げて、後はバーガーと同じ材料、つまりトマト、オニオン、チーズといった具に、ケチャップやマスタードを載せて作ります。
Omaha Style Pizza
アメリカ各州とまではいかなくても、それぞれの州で特徴のあるピザがあります。ネブラスカ州のピザは、オマハスタイルと言って、かなりバターっぽく、リッチな生地を使い、四角に作るのが特徴です。
よく使われる具材は、やっぱり牛ひき肉。玉ねぎやマッシュルームも載せますが、生地がリッチな分、肉の下に潜むトマトソースは薄く敷いています。
【サンドイッチ】
Cheese Frenchees
グリルチーズサンドイッチを揚げたもので、“frenches” とか “frenchys” など、スペルは様々です。この食べ物を1950年代に最初に発明したのは、リンカーンにある、“King’s Food Host” というレストランでした。
70年代になって、このレストランがなくなってからも、ネブラスカ州の随所で継承されましたが、もっとも有名なのは、チェーンレストラである “Don & Millie’s” のチーズ・フレンチーです。
Reuben
ルーベンサンドイッチの起源は諸説あるのですが、ネブラスカ説が最も有力です。その昔、オマハにあった “Blackstone Hotel” という所で、Reuben Kulakofsky という人がポーカーゲームをしていました。
お腹がすいた彼はオーナーに、コーンビーフとサワークラウトでサンドイッチを作ってくれと頼んだのです。それで、スイスチーズとサウザンドレッシングを加えて、ライ麦パンにはさんで出したところ、瞬く間にヒット!
今ではどこへ行っても皆が知るところのサンドイッチになりました。ちなみに、3月14日は、ネブラスカ州では、「ルーベンサンドイッチの日」となっています。
Runza
ネブラスカ州には、ロシアから流れてきたドイツ移民のコミュニティーがあります。ランザは、その人たちが愛する、ポケット型のサンドイッチで、伝統的には軟らかく甘めの生地を使ったバンの中に、キャベツや玉ねぎ、挽肉にチーズなどを詰め込んでベークしたものです。
カンザス州の食べ物を解説した時に、同じようなもので、“Bierock” という食べ物がありました。基本は同じで、ネブラスカではどうして違う名前で呼ばれているのかというと、1949年にこのポケットサンドイッチを始めたレストランの名前が、“Runza” だったから。
ネブラスカ州には、正式に指定された、”state food” はないものの、人々は、この「ランザ」を、非公式に州を代表する食べ物と考えているようです。
Stromer Sandwich
ヘイスティングスにある、“Barrel Bar” が開発したオープン型のサンドイッチです。名前はサンドになっていますが、どちらかというとバーガー。アメリカのチリ・チーズドッグのような食べ物です。
例によって、肉をたくさん盛りたいネブラスカ州民の気持ちを込めて、チーズバーガーに、肉をたっぷり入れたチリをお皿一杯にかけ、玉ねぎを散らして出します。
ちなみに、このバーでは、チーズバーガーの代わりにポーリッシュ・ソーセージを載せたものを、“Polish Stromer” と呼んで、メニューに取り入れています。
組み合わせフード
Chili & a Cinnamon Roll
主食とスナックフードが合体した食べ物。辛いチリコンカンと、甘いシナモンロールの組み合わせが意外なほどにマッチして、ネブラスカ州ではスクール・ランチにもなっています♪
Munch Basket
ホリデーシーズンには、いろんな食べ物を詰め合わせてカゴに入れ、きれいにラップしてギフトにしたりしますが、これは主に揚げ物アラカルトのバスケットです。
例えば、ポテトフライはもちろんのこと、オニオンリングやチーズスティックに、カリフラワーやマッシュルームを揚げたもの。中には天ぷらもあったりして、各レストラン独自の組み合わせで楽しませてくれます。
エフニックフード
Mexican Seafood
ネブラスカ州にはかなりの数のメキシカンレストランが存在します。その中でも、多くがシーフードに力を入れており、オマハのあるレストランでは、贅沢なシーフードタワー料理を安価で注文できるので、人気の的です。
Pho
ベトナム移民も多くいるネブラスカ州では、バインミー・サンドイッチはもちろん、「フォー」が欠かせません。当然トッピングは、肉。すじ肉からミートボールまで様々。
ソース系の食べ物
Biscuits & Gravy
アメリカの南西部の州では、朝食の人気メニューとなっています。ビスケットというのは、ここではクッキーのようなものではなく、どちらかというとスコーンに近い生地で作られたパンに代わるもので、その上にソーセージグレービーをかけて食べるのです。
Bolognese
ボロネーゼソースがネブラスカで特に目立つ食べ物というわけではないのですが、同州には多くのイタリア系移民がいるため、当然ながらパスタ料理も豊富で、特に肉系のソースは人気です。牛肉に限らず、豚肉や子牛肉など、いろんな肉を使ったラグーで絡めます。
Dorothy Lynch Dressing
名前からして分かるように、このドレッシングには個人名が付いています。ネブラスカ州のセントポールのレストランで、彼女が1940年代に作り始めたドレッシングがヒットし、50年代にはパテントを取るのですが、60年代に入って別会社に権利を売却。
フレンチドレッシングにも似た感じで、サンドイッチや揚げ物料理のほか、肉、魚、鳥とあらゆる料理にも合うソースやディップとして幅広く使われています。
その他の有名な食べ物
Raisin Bran
1900年代の初めごろ、オマハで食品製造業に携わっていた、Lloyd M. Skinner と Paul Skinner が初めて作ったシリアルが、今では定番の1つであるレーズンブランです。
Frozen TV-dinner
テレビディナーという言葉の先駆者となったのが、ネブラスカ州に本拠地を置く、“Swanson” 。いわゆるレンチンすればいいだけの、簡易冷凍食品ですね。スワンソンは、もともとフローズンフードを手掛けていました。
アメリカでは感謝祭の前になると、大量の冷凍ターキーが食料品店に並びます。でも、もちろん全部売れるわけではない。たくさん余った冷凍の七面鳥をどうしたものかと思案。
そこで1953年に、この会社の代表が考え付いたのが、残り物のターキーにコーンブレッドや他の野菜を副菜に加え、アルミホイルの入れ物に詰めて販売したのが、今言うテレビディナーの元になったのです。
当時はもちろん電子レンジなんてありませんから、アルミのパッケージをオーブンに入れて焼くという手段でした。1950年代といえば、テレビの前の家族団らんが主流。そこでこの名前が付いたんですね。
デザート類
【アイスクリーム】
Butter Brickle Ice Cream
オマハの “Blackstone Hotel” と言えば、ルーベンサンドイッチを発明したホテルですが、1920年代にもう1つヒットした食べ物があります。それがこのアイスクリーム。バニラアイスクリームの上に、トフィーのようなブリックルを練りこんだものです。
キャンディーで、よくピーナッツ・ブリトルという名前を聞きますよね。では、”brittle” と “brickle” は何が違うのかというと、前者は硬くて力を入れないと割れないのですが、後者はもっと柔軟で砕きやすくなっています。
Tin Roof Sundae
ネブラスカ州の小さな町ポッターで、薬剤師が開いた店の息子が発明した、アイスクリームサンデーです。当時は、ソーダ・ファウンテンが主流の頃でした。
バニラアイスクリームにチョコレートソースをかけたものと、チョコレートアイスクリームに温かいマシュマロクリームをかけたものの上に、スパニッシュ・ピーナッツを散らすというものです。
ではどうして、「ブリキの屋根」というタイトルが付いているのかというと、店の天井がブリキでできていたからなんですね。人気を博したこのサンデーは、後に大手アイスクリームメーカーが類似商品を出すようになります。
でもオリジナルを味わいたい方は、ぜひ、夏のネブラスカ州をお訪ねください。世界の各地から、旅行者でにぎわいます。
【パイ】
Raisin Pie
ネブラスカ州のカントリーフェアーに行くと、スタンドで必ず出てくるデザートが、レーズンパイです。実はこのパイには別名があります。それは、“funeral pie” 。ちょっと引きましたか?
なぜ、「お葬式のパイ」になったかというと、このパイは冷蔵の必要がなく、長持ちするので、教会の集まりにはもってこいだったのですね。室温で置いておくことで、より味わい深くなるという利点もあります。
キリスト教アナバプテスト教派のメノナイトや、アーミッシュの間でずっと親しまれているパイです。
ネブラスカ州で有名な飲み物と言えば?
アルコール類
Whiskey Cocktail
クラシック映画のシーンによくありますよね。バーのカウンターで、カウボーイがショットグラスを一気に飲み干す様子。でも現在では、至る所でウィスキーベースのカクテルが浸透しています。
例えば、リンカーンにある、“the Other Room” という、ネブラスカ州で初めて、ジェームズヒアード賞のセミファイナルまで進んだバーでは、ファンシーなカクテルを用意してくれますよ。
ノンアルコール類
kool-Aid
ネブラスカ州の公式ソフトドリンクに指定されているクールエイドは、誰もが知るところのパウダーミックスですが、この原型になった飲み物は、“Fruit Smack” でした。
1927年に、ヘイスティングスに住む、Edwin Perkins という人が、お母さんの台所で実験を重ねていくうちにできたドリンクですが、運搬費用を少なくする目的で、液体を除いて粉状にすることに成功しました。
数年後には工場をシカゴに移し、1953年には、“General Foods” に権利を売っています。でも今でも8月の第2週末には、生まれ故郷で “Kool-Aid Days” というフェスティバルを開催して、生誕の地を祝っています。
以上、ネブラスカ州の食べ物について解説しました。ネブラスカは、“Farming State”(農業州)とされており、広大な農地で、米国トップの肉類やコーンの生産を行っています。
そんな食材を生かした食べ物のほかにも、今では日常生活の一部になっているテレビディナーや、子どもなら一度は飲んでいるクールエイドや、アイスクリームサンデーのアイデアなど、独自の発想で生み出したものが色々ありました。
悪名高い竜巻のシーズンは避けたいですが、特に肉類が好物の方は、あちこちのレストランが生み出したファーストフードから高級ステーキに至るまで、グレービーやソースの効いた料理の数々を楽しめると思いますよ♪