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世界のクリスマスケーキには,一体どのようなものがあるのでしょうか?
日本だと、基本のショートケーキやレイヤーケーキを、泡立てクリームで覆い、トッピングはクリスマスアイテムで飾り付けたものを想像しますが、世界各国、特にキリスト教の国々では、独特のケーキというか、お菓子が登場します。
一体どんなものがあるのか、ヨーロッパを代表する国で、「クリスマスケーキ」と呼んでいるものを、国別に整理してみました。
世界のクリスマスケーキめぐり
<イギリスのクリスマスケーキは?>
クリスマスプディング(Christmas pudding)と呼ばれていますが、普通に想像する、カスタード系のプリンとは違って、やっぱりケーキです。
ビクトリア女王の時代以降、イギリスでは、クリスマスに食べるデザートとして定着したようです。元はと言えばスープの状態だったものが、変形して今のスタイルになりました。
伝統的には、基本のケーキ材料に、ドライフルーツやナッツにスパイスを加え、合計13種類の食材を使って生地を作り、一晩寝かせてから焼き上げる手法がとられています。
使用するドライフルーツをブランデーに漬けこんだり、ラム酒を混ぜたりと、アルコールがプンプンする材料が豊富に入っている上に、食べるときにも、ラムバターやブランデーバターを塗ったりするので、かなり大人向けですね。
また、生地を練り上げるときの混ぜ方にもこだわりというか、どっち向きに混ぜないと、悪いことが起きるといったような迷信も伝えられているらしく、どこの国にもいろんな面白い言い伝えがあるんですね。
<イタリアのクリスマスケーキは?>
パネトーネ(Panettone)と言って、ケーキというよりはパン。この名前も、イタリア語で「大きなパン」という意味。
サワードウブレッドを作るときには、サワードウのスターター(種)を使うように、これは、パネトーネの種を使って作ります。具には、レーズンやオレンジピールなどのドライフルーツをたくさん入れます。
私の主人は甘党ですが、このドライフルーツは苦手なので、家では作ったことがありません。嫌いで幸い。作り方はかなり手間暇かかるようです。イタリアでは、これを焼いて、アイスクリームやホイップクリームと一緒に食べます。
また大人用には、ザバイオーネと言って、卵の黄身を泡立てた後、湯煎にしてマルサラワインで溶いて作る、カスタードソースをかけたりします。こちらは単独で作ったことがあります。
このパンは長期間保存がきくので、クリスマスシーズンになると、きれいな紙箱に入って、早くから食料品店の店頭に並びます。
<ドイツのクリスマスケーキは?>
シュトーレン(Stollen)と言って、オランダでもクリスマスに提供される菓子パンのこと。その形がトンネルのようになっていることから、「坑道」とか、「地下道」いう意味のドイツ語で呼ばれたとか。
中には、レーズンを始め、柑橘類のドライフルーツやナッツがたくさん入っていて、長期保存が可能なので、クリスマスから逆算して4週間前から、アドベントカレンダーに沿い、1日1日待ちわびるように、少しずつ食べていきます。
バリエーションには、けしの実や、マジパン、またはチーズを練り込んだものも作られるようです。中身が詰まっているので、見かけより重かったりします。
ドイツと言うと、パンとビールの組み合わせを思い浮かべますが、この菓子パンには、ワインも合います。日本ではユーハイムを始めとするドイツ菓子が浸透しているので、シュトーレンもよく出ているようですね。
パンの上には、思いっきりたくさん粉糖を振りかけて仕上げるので、直接パンに赤いリボンをかけて結ぶと、立派なクリスマスプレゼントになります。
初心者用に、シュトーレン・キットなるものも販売されているようなので、初めて挑戦する場合には、大いに利用する価値あり。
<フランスのクリスマスケーキは?>
ブッシュドノエル(buche de Noel)は日本でも有名なので、ご存知の方も多いと思います。フランス語で、クリスマスの丸太(木)という意味ですね。
だから、ケーキの形が、寒い冬に暖炉にくべる薪のような形をしています。クリスマスはイエス・キリストの生誕をお祝いする行事ですが、生まれてきた赤ん坊を温めるために、夜通し薪をくべたことに由来しています。
実際に作るときには、チョコレート味のロールケーキを作って、やはりチョコレートフロスティングで覆い、フォークを使って全体に筋目をつけることで、樹木の皮に似るようにします。
端っこを斜めに切ると、ロールケーキの断面がよくわかり、なおさら木の株のように見えます。切り端をロールケーキのどこかにくっつけると、枝分かれしているように見えるので、更に臨場感が出せます。
また、森の雰囲気を出すために、メレンゲでマッシュルームの形を作って焼き、ケーキの周りに飾り付け、上からココアパウダーを振ると本物らしくなります。
もっとアクセサリーに凝りたい場合は、マジパンやフォンダンでサンタさんや雪だるまを作って飾ってもいいですね。
いかがでしたか?
一言でクリスマスケーキと言っても、世界の国々、特にヨーロッパのキリスト教国では、それぞれのお祝いの仕方があって、個性のあるお菓子がありますね。
自宅でゲストを呼んでクリスマス・ディナーを催す時には、クリスマスケーキという枠にこだわらずに、季節の食材を生かしたデザートを用意しますが、カバー写真にある「ブッシュドノエル」は一度だけ作って、好評でした。
詳しいレシピをお知りになりたい方は、「手作り大好き! レシピふやそう!<お菓子の巻>」をお訪ねください。