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アリゾナの名物料理を紹介します。地理上、アリゾナ州の南端はメキシコに隣接しているので、食べ物にもメキシコからの影響が多いです。
加えて、「アパッチ族の州」とも呼ばれるアリゾナには、原住民のインディアンの伝統も濃く残っているので、その両方の要素が混ざったものが、名物の料理になります。
料理の名前だけを聞いて、大体想像できるものもあれば、中には、「何それ?」というものもあるので、簡単に中身を解説していきますね。
アリゾナで名物の料理
メキシカン系料理
Cheese Crisps(チーズ・クリスプ)
メキシカンが朝食や昼食によく食べる、ケサディーヤ “Quesadilla” はご存知でしょうか?トルティーヤに具材を挟んで焼いて食べる、アレです。
基本はチーズを挟んだだけのシンプルな物なんですが、このチーズクリスプというのは、トルティーヤを折りたたむことなく、ただ上にチーズを載せてカリッとするまで焼いただけ。
まあ言ってみれば、オープンケサディーヤになるでしょうか。
Chimichangas(チミチャンガ)
今度は、ブリトー “Burritos” の類似商品♪です。念のために、メキシカンのブリトーというと、トルティーヤにライスや野菜、肉類、豆類などの具材をたっぷり仕込んで、ぐるぐる巻きにして食べるものです。
では、チミチャンガが何なのかと言うと、そのブリトーを丸々揚げた物を指します。チーズやサルサ、ワカモレと一緒に食べる、ボリュームたっぷりの料理です。愛称は、「チミ」。
Menudo(メヌード)
メキシコではパンシータ “Pancita” として知られている赤唐辛子を使った辛いスープ料理に、メヌードというのがあって、アリゾナでも名物の料理となっています。
ただ、メインの具材が「牛の胃」ということもあって、長時間煮込まないと作れないので、レストランでも出してくれるところは週末だけに限られたりするようです。
Sonoran hot dogs(ソノラン・ホットドッグ)
メキシコのソノラ州で生まれたホットドッグのスタイルなので、この名前が付いていますが、今やアリゾナのフェニックスやツーソンでは欠かせない名物の料理となっています。
パンの中に、ベーコンで巻いたソーセージが入っていて、豆や玉ねぎ、トマトなどをトッピングして、マヨネーズとマスタードをかけて食べるホットドッグです。
アリゾナ州民に言わせると、この食べ物は、”divine”(神的)だそうですが、ソーセージにベーコンって、かなり健康的!?ですよね。
インディアン系料理
Fry Bread(フライブレッド)
特にアリゾナの名物料理というわけではないのですが、インディアン系の人気料理なので挙げておきます。要は、「揚げパン」です。
そのままでハチミツや砂糖を振りかけておやつに食べることもできれば、豆やチーズと一緒に食事にすることもできます。
このフライブレッドができた時代背景には悲しい物語があるので、少し触れておきますね。今アメリカでは各地でマイノリティーの権利を守る為の運動が盛んですが、これも米国の黒歴史の1つなのです。
1864年当時、リンカーン大統領はインディアン民族の浄化を図るべく、軍隊に指示を出して、ナバホ族を20日間余り歩かせて、ニューメキシコ州南東部の強制収容所へ移住させたんです。
これは、ロングウォーク・オブ・ナバホ “Long Walk of the Navajo” と呼ばれています。で、インディアンたちがほとんど何もない状況下で知恵を絞って編み出したのが、このフライブレッドというわけです。
Navajo Tacos(ナバホ・タコス)
タコスはもう説明の必要もないかと思いますが、メキシカン・タコスと言えば、トルティーヤを使って作りますよね。でも、このナバホ・タコスというのは、フライブレッドを使います。
後は、タコスの要領で、肉系、野菜系、何でも好きな具材を載せて食べればいいだけです。
飲み物
Sun Tea(サンティー)
アリゾナの名物というわけではないのですが、アメリカの中でも、真夏には異常に気温が上がる地域においては、この紅茶を作りやすい環境にあると言えます。
ついこの間も、アメリカ西海岸を熱波が襲ったときにも47℃まで上がりましたし、例年夏の平均気温が37℃で、フェニックスでは過去に53℃を記録したこともあります。
名前からして分かるように、好みの紅茶葉と水を、殺菌したグラスの密閉容器に入れ、直射日光の当たる屋外に3~5時間放置して作ります。十分に浸したら、好みで砂糖を加えて飲みます。
外気温で茶葉を抽出する方式なので、熱湯で紅茶を入れるのと違い、バクテリアの発生を危険視する向きもあるので、自宅で作られる場合は全て自己責任でお願いします。
なお、作り終えたサンティーは、その日のうちに飲み終えるのが一番です。ちなみに常温での紅茶保存は8時間を限度にした方がいいです。
アリゾナで料理に使われる特別な食材
Mesquite Flour(メスキート・フラワー)
アリゾナ州からメキシコにかけて広がる、ソノラ砂漠に住むピマ・インディアンが育てていたメスキートの木から、手で収穫した鞘を挽いて粉にしたもので、南部の料理に頻繁に使われます。
6~9月が主な収穫期なので、この時期に収穫直後挽いた粉で作ったパンはおいしいでしょうね。グルテンフリーなので、小麦アレルギーの方にも安心です。
また、小麦に不足しがちなアミノ酸の中でも必須アミノ酸のリジンを多く含み、バランスの取れた栄養素が豊富なので、主食の代替には強い味方となります。
鞘は元々カラメル風味があるので、焼き菓子にもいいと思いますが、このメスキートのウッドチップスを使って燻製加工したハム類が、私は好きですね。
Prickly Pears” or “Opentia(オプンティア)
名前にペアーの文字がありますが、洋梨の種類ではなく、アリゾナに多く生育するサボテンの1つです。中でも “paddle cactus”(ウチワサボテン)と呼ばれる種類で、幅の広い形をしており、紫色です。
汁本来の甘さから、ジャムやシロップ、キャンディーを作る材料によく使われます。スーパーに出ているものは、すでに刺抜きが終わっているので、安心して使えます。
Tepary beans(テパリー・ビーンズ)
ネイティブ・アメリカンの時代の古くから、主に米国南西部からメキシコにかけて獲れる豆で、砂漠の熱や乾燥にも耐えうる強靭な植物です。
白っぽいものから茶色のものまであり、コクのあるナッツの風味がします。食物繊維が豊富で良質のたんぱく源となります。サラダにするのも良し、ビーンスープにして煮込むのも良しです。
アリゾナで名物の料理を探っていくと、インディアンの歴史にも触れることができます。このページでは詳しく触れませんでしたが、実はピマ・インディアンにも悲しい歴史があるのです。
食生活を探求していくと、やはりその土地の文化や伝統に触れることになり、食べ物も単にお腹を満たすだけの物ではなくなります。
アリゾナ州には、シアトルマリナーズのトレーニングキャンプがあるので、いつか訪ねてみたいと思うのですが、その時は、現地アリゾナでしか食べられない名物の料理を堪能したいですね。