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鉄フライパンは、使い方に気を付ければ一生ものです。というか半永久的に使えます。
私は、今は亡き、アメリカ人の義理の母にいただいた鉄フライパンをまだ使っています。形は古いので、向こう側に取っ手がなく、持ち上げるときに少し苦労しますが、調理には何の問題もありません。
初めは、炒め物だけに使うものという頭がありましたが、いろんな用途に使えるので、とても便利です。
そんな鉄フライパンの使い方について、どんな料理に向いているのかいないのか、取り扱いの注意も含めて説明していきます。
使用前使用後の手入れの仕方については、別のページで解説していますので、合わせて参考になさってください。
鉄フライパンの使い方:向いている料理
<炒め物>
-卵料理の例-
鉄のフライパンを手に入れて、シーズニングも行った上で、最初に使いたいのは卵料理です。これは、鍋の準備ができているかどうかのテストにもなります。
事前によく温めた鉄フライパンに、たっぷりの油脂を広げて卵を落とし、鍋底にくっつくことなく、へらで楽々とすくい上げることができれば、他の料理も大丈夫です。
鉄フライパンの特徴として、一度熱くなると、その温度を一定に保ってくれるので、スクランブルエッグを作って朝食のテーブルに並べるまで、まだ十分温かいのです。
-肉料理の例-
この温度が一定に保たれるという特徴は、ビーフステーキにも有効活用できます。
他の種類の鍋で牛肉を焼くと、火を強くすれば底が焦げてしまうし、弱ければ中まで火が通りにくくなり、分厚いステーキはいつまでたっても仕上がりません。
でも鉄のフライパンなら、表面に程よい焼き色が付いた上で、鍋全体が均一の温度で牛肉に火を通してくれるので、ジューシーな焼き上がりが期待できるのです。
鍋底に残った肉汁を利用して、おいしいグレービーを作ることもできます。
ポークローストなどの塊に焼き色を付けた後、オーブンで調理を続行する場合も、鉄フライパンなら、そのままオーブンに直行できるのも特徴です。
<揚げ物>
天ぷらやフライ物の調理にも、鉄のフライパンは向いています。
また時々、揚げ物のように、油をたくさん張って鍋を使うことは、シーズニングを強化することにもなるので、鉄フライパンのメンテナンスにもいいのです。
ただし、フライドチキンのように、油跳ねの多いものは、浅いフライパンより、やはり深さのあるダッチオーブンや、大きい中華鍋を使用される方がいいですね。
<パン作り>
最近は、夕飯時にパンを食べることはなくなりましたが、たまにコーンブレッドを添えることはあります。その時に役立つのが鉄のフライパンです。何せ、そのままオーブンに入れられるので便利です。
また、”biscuits”と言って、お菓子のビスケットではなく、スコーンにも似た食感の、メインの食事とともに、バターを少し付けていただくとおいしい、ミニパンのようなものを焼くときにも重宝します。
両方とも、ベーキング皿に入れて焼くこともできますが、周りにくっつくことが多いです。その点、鉄フライパンだと、きれいに取り出せます。
パニーニという、イタリアのホットサンドがありますね。あれは鉄板に挟んで両面に焼き色を付けることで美味しさが増します。
特別な器械がなくても、少しサイズに差のある鉄のフライパンが2つあればできます。
大きい方にパニーニを並べて熱し、小さい方のフライパンを上に置いて重石にします。片方が焼けたら、ひっくり返して同様に焼くと出来上がりです。
<菓子作り>
菓子パンの類であるシナモンロールや、甘いグレーズがたっぷりかかったモンキーブレッドなども、鉄フライパンだと、良く膨らんでくれます。
スコーンもきれいに焼けるし、保温状態がいいので、実際に食べるときまで温かく保ってくれます。
アップサイドダウン型のケーキも、鉄フライパンでこそできるお菓子ですね。
私はまだジャイアント・クッキーを作ったことはないのですが、鉄フライパンだと、周りがクリスピーで、中が軟らかい巨大クッキーも焼けてしまいます。
鉄フライパンの使い方:向いていない料理
<煮物>
鉄フライパンの弱点の1つに、酸性に偏った食材には不向きという点があります。例を挙げると、スパゲティーにかけるトマトソース。
トマトを長く煮込んで旨味を出す際、シーズニングが完璧でない鉄フライパンだと、酸がせっかく作ったフィルムを壊してしまうことになるからです。
<ソース作り>
上記と同様の理由で、鍋底に残った、炒めた後の旨味を利用して、ビネガーやワインを加えて煮詰めていくソース作りにも、向いていません。
鉄の鍋肌によくないという点以外にも、煮詰める過程で、ソースに金属味が移らないとも限りませんしね。
鉄フライパンの取り扱いで注意すること
-火傷に注意-
恥ずかしながら、私は過去に何回か、鉄フライパンの取っ手も素手でつかんで火傷をしたことがあります。
さすがに、オーブンから出すときは、他のどんなものでもミットを使うので、習慣化されていますから問題ないのですが、出した後しばらくレンジの上で休ませて、他の作業をしている間に、もう忘れているんですね。
普通の鍋だと思って、素手でつかんでしまったことがあります。又、熱い鉄のフライパンのまま食卓に出す時も、家族に「熱い」ということを呼び掛けておく必要があります。
-複数の鉄フライパンの扱い-
鉄フライパンで魚料理を頻繁にする方で、デザート作りにも使いたいという場合は、できれば2つのフライパンを使い分けた方が得策です。
急場しのぎの掃除方法としては、オイルと粗塩を混ぜて鍋に入れ、ペーパータオルで表面をこすり取って洗い流すことで、ある程度臭いを含めた汚れを落とすことはできます。
毎回使用後の手入れを綿密に行っているのであれば、多分問題ないと思いますが、臭いが気になってきたら、やはり複数あった方がいいですね。
その際の収納方法ですが、特に湿気の多い室内では、完全に乾かした後でも、空中の湿気が錆を呼ぶので、重ねて片づけるときは、新聞紙などを挟んでおくことをお勧めします。
鉄フライパンの使い方のまとめ
鉄フライパンの使い方について、主にアメリカでの活用の仕方について説明してみました。中には想像していなかった使い方があったかもわかりません。
今更言うまでもないことですが、鉄フライパンは、一般的なガスレンジのほか、電気やIHなど、表面がガラスになっているレンジに至るまで、幅広く使用可能です。
重いことが最大の欠点ですが、鉄という素材ゆえに仕方のないことで、また鉄だからこその利点が余りある調理器具です。
・鉄フライパンで調理する前に、数分かけてゆっくり加熱すると、食材を加えたときに温度が下がることなく、鍋底のくっつきも少なくなります。
・鉄フライパンは、テフロン加工その他の化学処理を行った鍋と違い、シーズニングをしっかりすれば、金属ヘラの使用も可能ですが、長持ちさせるためには頻繁な使用は避けたいです。
・鉄フライパンを洗うときに少量の洗剤を使っても大丈夫ですが、浸けおき洗いは絶対にしないことです。
以上の点に気を付けて使用すれば、一生と言わず、代々受け継ぐことのできる貴重な鍋となります。
まだお持ちでない方、また持っているけれど使い方がよくわからなくて棚の隅に追いやられている方々も、ぜひ今後挑戦してみてください。
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