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ワインでマリネした肉はとても軟らかくて風味もありますね。そもそも食材をアルコールの液体に漬け込むとどのような効果が得られるのでしょうか。
原理をわかった上で、実際にワインを使ってマリネするときには、どんなことに注意を払えばいいのか、ヒントになる点を挙げていきます。
ワインのマリネ:期待できる効果とは?
ワインや他のアルコールに肉類をしばらく漬けておくと、とても軟らかくなります。テンダーロインはそのままで十分ですが、少し硬めの肉はマリネした方が食べやすく、風味も付いて美味しく感じます。
肉とアルコールの関係を探ってみましょう。
ワインに漬け込むことで、pH(ペーハー)が酸性に傾きます。すると肉の繊維を構成している組織に隙間ができて、そこに水分が入り込めるようになります。
同時に肉のたんぱく質がアミノ酸に分解されることでも、繊維同士のくっつきが崩れて、軟らかくなるのです。
鹿肉はそのまま調理すると、硬くてあごが疲れるのですが、ワインでマリネしてから料理を続けると、食べやすい軟らかさになります。また肉本来の臭みも和らいで一挙両得です。
シチュー肉は普通、廉価の部位を使うので筋も多く硬めですね。でも赤ワインで煮込むと、口の中ですぐにほぐれる軟らかさになります。
では、どのようなことに注意してマリネするといいのでしょうか?
ワインのマリネ:コツやヒントを伝授
ワインでマリネするときに、まず初めに注意することは、リアクションを起こすといけないので、金属の入れ物を使わないということです。ガラスか陶器、少量であれば封のできるナイロン袋に入れるのもいいでしょう。
レシピにもよりますが、少しの液体でマリネするときは、食材全体が浸からないので、途中で何度かひっくり返す必要があります。袋に入れている場合は、袋ごと上下の位置を変えることで全体になじませることができます。
肉類をワインに浸けてマリネするのは、真夏でない限りは、2時間くらいまでは室温でも冷蔵でもいいのですが、冷蔵庫を使う場合は、実際に調理を始める30分くらい前には室温に戻しておきます。
これはその日に料理する場合ですが、もし少し先にお客様を控えていて、当日は忙しいというときには、前もって肉をワインのマリネに浸けて、ジッパー付き袋に入れて冷凍しておき、前夜に冷蔵庫に移しておくことも可能です。
魚類の場合は、最高でも1時間半が限度です。ワインの酸味が効きすぎて、魚を半ば調理した状態になるので、濁ってしまって美味しくありません。
それから肉類をマリネするとき、あまりにも大きな塊の場合は、ある程度あちこちに切り目を入れて、浸透しやすいようにしておくと時間の節約になります。数キロの物はやはり数時間から一晩かかりますから。
多人数用の大きなものは、調理の途中で何度かマリネ液を刷毛で塗ることもあるかと思います。そのときは、バクテリアの発生を防ぐために、マリネ―ドを数分沸騰させてから使いましょう。
ベーキングの途中で塗るマリネ―ドにオイルが入っていると、フレーバーの浸透をよくしてくれ、高熱で乾きがちな肉の塊が乾燥してしまうのを、ある程度防いでくれます。
また、最初から火を通したマリネ液を生の肉類に塗るようになっているレシピでは、一旦煮た液をある程度冷ましてから使うようにしましょう。熱いものをかけると、料理する前に中途半端に肉の表面を調理してしまうことになるので。
ワインのマリネ:どんな種類が適当?
ワインを料理に使うときは、そのまま飲むのと違うので、例えば料理用の安価な物をそろえておく場合もあるかと思いますが、あまり質の劣るものは避けた方がいいですね。
というのも、調理の間にワインのアルコール分は飛んでいくので、残るのは風味になりますから、ある程度の品質のものがお勧めです。
私はよく、一度ボトルを開けたものの、なかなか飲み切れずに残ってしまったワインを料理に使うことがありますが、この場合も程度問題で、2週間以上冷蔵庫で放置していたものは、あまりおすすめできません。
では、マリネに使うワインはどのような種類がいいのでしょうか。
よく、食事に合うワインの選び方は、大雑把に言って、肉には赤、魚には白、というような線引きがあるかと思いますが、もう少し具体的に考えてみます。
基準になる物差しとしては、赤肉、野生の鳥肉、鴨肉などには赤ワインで、豚肉、子牛肉、一般的な鶏肉や魚類は白ワインでマリネするのがいいとされています。
基本はドライ系ですが、スパイシーな味付けやフルーティーな食材には、少し甘めのリースリングやゲヴュルツトラミネールなどを使ってバリエーションを出すのもいいですね。
ただし、あまり濃厚な味のワインを使うと、せっかくの素材を圧倒してしまうこともあるので、使う量や浸ける時間を少し加減することも大切です。
以上、ワインのマリネに関して知っておいた方がいいことをまとめてみました。