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ターキーの調理はそんなに難しくありません。ただ時間はかかりますけどね。サンクスギビングの時期になると、アメリカの食料品店には、所狭しと、巨大七面鳥が並びます。
大体一羽5~6kgくらいのものが多く出回りますが、中には10kgくらいの大きさのものもあって、友人が一度大家族をもてなすのに購入したのですが、台所の流しでは狭くて洗えず、風呂場を使ったと聞きました。
サンクスギビングでは一家を代表するものが、遠方からやってくる親族一同の食事を用意することが多いので、お化けターキーが要るのですね。ではターキーの調理にどのように取り組めばいいのか、順を追って説明します。
ターキーの調理:必要な器具の準備
ターキーの調理の仕方に入る前に、どんな器具をそろえておく必要があるのかを説明します。
まず、標準サイズのターキーが十分入る大きさの、ラック付きローストパンです。ターキーを縦に突き刺せるようになったものもありますが、私は普通の平らなラックを使っています。V字型を推奨する方もいます。
それから、調理の途中でターキー肉の温度を確かめるための温度計です。店で七面鳥を購入するときについてくるポップアップ式の物(焼けたら飛び出す物)もありますが、あまり信用できないので頼らない方がいいです。
最近は、インスタント測定できる温度計が出ているので、私も持っています。
あとは、オーブンで焼いているときに、時々肉汁をかける、巨大スポイドのようなものや、レシピによって用意する風味付けの液を注入する注射器のようなものもあればいいですね。
また、ターキーを焼いた後、出てきた肉汁を入れて油脂を分離できるカップも、グレービーを作るときに便利です。
ターキーの調理:購入から解凍まで
アメリカの家庭には、大抵大きい冷凍庫を備えているところが多く、感謝祭前になると、早目にターキーを購入して、とりあえず冷凍しておきます。
ただし、大きい七面鳥の場合は、冷蔵庫で解凍するにも数日かかるので、前もって計画的に、当日行うべき準備を頭に描いた上で、逆算していって、いつ解凍を始めるのかを考える必要があります。
最近は来客も減ったので、小さめのターキーか、七面鳥の胸肉の部分だけを買って調理することが多くなりましたが、普通サイズを購入するときには、少なくとも1週間前から計画を立てていました。
以下に、ターキーの重さによって必要な解凍日数の目安を挙げます。アメリカではポンドの単位を使っているので、kg表示は大体の重さです。
ターキー1.8kg~5.4kgで1日~3日
ターキー5.4kg~7.2kgで3日~4日
ターキー7.2kg~9.0kgで4日~5日
ターキー9.0kg~10.8kgで5日~6日
基本は冷蔵解凍なのですが、忙しくてぎりぎりまで計画が立てられず、お店に行っても生のターキーは売り切れている、というような場合の緊急解凍の仕方を説明しておきます。
アメリカの普通の家庭には、あまりバケツというものを見かけませんが、日本の家には大抵ありますよね。別にバケツでなくても、大きい入れ物があればかまいません。
ターキーが余裕をもってすっぽり入るものを用意して水を張ります。七面鳥は店で購入したときの包装のままです。解凍時間の目安としては、大体1kgに対して1時間かかると思ってください。
冷蔵庫の場合は、大体2kgの解凍に1日かかりますから、随分早いですよね。ただし手間なのは、バイ菌の繁殖を防ぐために、30分置きに冷水を入れ替えないといけないということです。
解凍までこぎつけたら、実際の調理法に移ります。
ターキーの調理:オーブンに入れるまで
ターキーに下味をつけるには、“brining”と“salting”の方法があります。前者は塩水に浸けるやり方で、後者は直接七面鳥に塩をこすりつける方法です。
どちらも一長一短あって、時間的にいうと、塩水に浸けるのは6~12時間くらいでいいのですが、塩を直接こすりつけた場合、24~48時間くらい置かないと、塩が全体に満遍なく浸透しないので、時間がかかります。
食感からいうと、“brining”の手法では皮が軟らかくなってしまいますが、“salting”では皮のパリパリ感を残すことができます。
いずれにしても、冷蔵庫のかなりのスペースを必要とするので、ターキーの調理を始める前には、庫内の整理をしておかないといけませんね。
次に、これはオプションですが、スタッフィング(詰め物)を用意します。(アメリカでは、これをドレッシングと呼ぶこともあります。)ターキーを調理し始めた頃は、文字通りに解釈して、必ず空洞に詰めてから焼くものと思っていました。
そうすると、少しべちゃっとした仕上がりになるので、最近はいつも別のキャセロールに入れて焼くようにしています。基本はクルトンに香味野菜やフルーツを加えて味付けをして焼きます。パンの代わりに米を使うこともあります。
詰め物をする、しないにかかわらず、オーブンに入れる前には、ターキーの足が広がらないように、しっかりとタコ糸で縛る必要があります。
ターキーの調理:オーブンの焼き時間
ターキーをオーブンで焼くときの平均温度は、約170度(華氏325度)です。詰め物をしたときとしないときでは、仕上がりまでの時間が違ってくるので、以下に七面鳥の重量による調理にかかる時間を表にしました。
ターキーの重さ | 詰め物なし | 詰め物あり |
2.7kg~3.6kg | 2.25~3.25時間 | 3~3.5時間 |
3.6kg~5.4kg | 3~4時間 | 3.5~4.5時間 |
5.4kg~7.2kg | 3.5~4.5時間 | 4~5時間 |
7.2kg~9.0kg | 4~5時間 | 4.5~5.5時間 |
9.0kg~10.8kg | 4.5~5.5時間 | 5~6.5時間 |
これはあくまでも目安です。使用するローストパンの形状やオーブンによって少し差が出てくるので、正確には調理終了時間の1時間前になったら、ターキーの体内温度を測定してください。
アメリカでは華氏で表すので摂氏に換算すると細かくなりますが、詰め物をした場合の中央部分は約71度(華氏160度)、胸肉が約76.5度(華氏170度)、太ももで約85度(華氏185度)に調理されていれば大丈夫です。
ターキーの調理:仕上げと残り物の処理
ターキーが一定の温度に達したらオーブンから取り出し、30分ほど置きます。すぐに切り分けると、肉汁が全て外に出てしまって乾燥するので、肉の繊維が十分に汁を吸収するまで待ちます。
この間に焼き汁を使ってグレービーソースを作ります。
大抵、袋入りのターキーを買うと、その中に小袋に入ったギブレット(内臓のこま切れ)が見つかると思うので、肉汁から余分な脂肪分を取り除いてから、少しスープの素を加えてギブレットと一緒に煮るとおいしいソースができます。
さて、食事が終わってターキーの調理肉が残りますね。冷蔵庫だと2~3日内に食べた方がいいですが、毎日残り物を食べるのは飽きてくるので、私は大部分を冷凍します。
すると、約4か月くらいは小出しにして、何かの料理に使えます。サンドイッチやシチュー、パスタなど、幅広いアイデアを生かしてください。
以上、ターキーを調理するときの主な手順やコツを説明しましたが、もっと詳しいレシピが必要な方は、私のレシピブログ「世界の家庭料理からもてなし料理のレシピまで集めよう」のサンクスギビングのレシピカテゴリーを参考になさってください。