テネシー州の食べ物。人気料理の由来を聞いてビックリ!

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テネシー州の食べ物

テネシー州の食べ物は、やはりアメリカ南部料理の特徴をそろえています。比較的味が濃く、揚げ物やスパイシーな食べ物が多いです。伝統的に時間をかけてローストしたり煮込んだりする料理がある一方、ファーストフードにも人気の品があります。

テネシーに限らず、南部の州でポピュラーなデザートやスナック菓子にも、ユニークな食べ物が見られます。また、皆が知っているソフトドリンクや、州の名を冠したアルコールがあったり。そんな奥の深いテネシー州の食べ物を詳しく見ていきましょう。

 

テネシー州で人気の食べ物

メインディッシュ

Country Ham & Red-Eye Gravy

アメリカ南部を代表する料理の1つ。塩をまぶして数か月から1年近く味を浸み込ませて作るカントリーハムをバターで炒め、鍋に出たドリッピングにコーヒーを混ぜてソースを仕上げます。これにフライドエッグとビスケットを加えると、人気の朝食の出来上がり。

 

Meat and Three

ナッシュビルの伝統的なランチ・スタイルで、1種類の肉と3種類の副菜を組み合わせてプレートを作るというもの。日本には「一汁三菜」という言葉がありますが、これは「一肉三菜」といったところでしょうか。

メインの肉類は、フライドチキンやナマズにミートローフといったものから選び、あと3種類は、野菜のほか、マカロニチーズやゼリーといったものが人気の組合せになります。

 

Memphis Pulled Pork

テネシー州メンフィスの代表的なバーベキュー料理。特に豚の肩肉をじっくり時間をかけて焼き、引き裂いてソースで和えるプルドポークは、人気の的。家庭でもスロークッカーで調理可能。バーガーやサンドイッチの具材に欠かせない食べ物です。

 

Menphis Style Dry Ribs

メンフィススタイルのリブは、最初は遠い直火で、15~20分置きにビネガーを塗りながらゆっくり焼き、最後は焦げないように間接的に火が当たるようにします。その後、好みに合わせた甘辛ドライ・ラブを塗りこんで仕上げるので、軟らかい身を楽しめるのです。

 

Nashville Hot Chicken

テネシー州で1930年代に発明されたという伝説の激辛チキン。毎晩遅く帰る恋人に嫉妬で憎悪を燃やした女性が、ある夜、これでもかというほどのホットスパイスを仕込んだフライドチキンを作って置いておいたんですね。

 

そこへ汗ばんだ様子で帰ってきた男性がそのチキンを頬張ると、辛みで吐き出すどころか、「何だこの激旨チキンは!」と言って大ウケしてしまったのです。彼を苦しめてやるつもりが、予想もしない結果に。

彼にはもっと作ってくれと言われ、友人にも振舞い、結局、彼女の名前を付けたレストランをオープンすることに。今でもプリンスさんの家族がオリジナルレシピを引き継いで、この人気の激辛チキンを提供しています。

 

Whole Hog Barbecue

豚の丸焼きはノースカロライナ州で有名な食べ物ですが、テネシー州でも盛んに行われています。実は私、カンボジアの伝統的な結婚式で、豚の丸焼きが祭壇に飾られていたのを見て、ちょっと引いてしまいました。

最初はお腹を下にして何時間もかけてゆっくり火を通し、ひっくり返してから、特別のBBQソースを何度も塗って焼き上げるようです。頃合いの焼き具合を体得するには何年もかかるとか。職人技ですね。

 

野菜類

Baked Beans

ベイクドビーンズと言えば、マサチューセッツ州ボストンが発祥の地と言われていますが、家庭で作るには長時間煮込まないといけないので、面倒な料理。それを手軽に食べられるようにしたのが、テネシー州のチェストナッツ・ヒルにある、“Bush Brothers & Co.”

ブッシュのベイクドビーンズ

1908年にトマトの缶詰会社を立ち上げたブッシュ氏は、他の野菜や豆類へと広げ、息子たちが引き継いだ後、1969年に、ファミリー極秘のレシピで、“Bush’s Baked Beans” を大ヒットさせたのでした。

 

Greens & Potlikker

コラードグリーンやマスタードグリーンを、長時間かけて煮たときに出るスープ(エッセンス)のことを、“pot liquor”、つまり鍋に残るリキュールと言って、アメリカ南部の州では、“pot likker” と呼んでいます。

緑野菜に含まれるビタミンやミネラルの栄養素が流れ出た汁なので、良いところが凝縮されているわけですね。そのままスープとしていただいてもいいし、他の料理のベースにしたりもします。

 

Ramps

ランプは北米の比較的高い緯度に位置する所で育つ、多年生の野生の野菜で、ニンニクとリーキの間くらいの食べ物。春ごろ、泥にまみれて収穫されるので、きれいに洗うのも大変。

ランプ

出典:ウィキペディア

香りが強く、独特の味わいがあり、原住民には薬草としても重宝されている貴重な野菜で、お値段は高め。テネシー州では毎年、“Ramp Festival” が行われ、ランプを活用した食べ物の他、ランプ・クィーンを選んだりするイベントもあります。

 

ファーストフード類

Barbecue Nachos

メンフィスで人気のナチョスは、1980年代の初めにレストランに登場したテクス・メクススタイルの料理で、中でも、ピットマスターのErnie Mellorさんが発明したという、トルティア・チップスの上にプルドポークを載せたスタイル。

特に1990年代に入ってから、メンフィスで行われる野球の試合には欠かせない食べ物となりました。トマトベースのBBQソースには、多種類のスパイスが組み込まれ、独特の味を醸し出しています。

 

Deep-Fried Burger

ハンバーガー・パティは普通鉄板で焼きますが、メンフィスにある世界的にも有名な、“Dyer’s” では、揚げて調理するのです。しかも、1912年の創業以来使っている同じ油で。「ちょっとそんな古い油使って、お腹さこわさないの?」って思いますよね。

もちろん毎回しっかりこしているそうですが、何かヤバそう。レストランのサイトに行くと、この秘密の油を運搬するときには、武装警官の警護を付けたんだとか。ヒェ~! 超企業秘密の油なのね。

 

Fried Bologna Sandwich

テネシー州には人気のサンドイッチが色々ありますが、ボローニャ・ソーセージを揚げて作るサンドイッチは代表的なものの1つで、ナッシュビルには店独自のオリジナルスタイルを競い合うレストランがひしめき合っています。

あまり健康的とは言えないのですが、白い食パンに黄色いマスタードを塗って、この揚げたボローニャを挟んだシンプルなサンドイッチは、“Fried Baloney” と言って、学校のカフェテリアでも人気の食べ物。

 

Hot Chicken Sandwich

ナッシュビルのアイコン的な食べ物に、ホットチキン・サンドイッチがあります。扱う鶏肉の部位は様々ですが、まずバーガーパンにマヨネーズかサワークリーム・ドレッシングを塗ります。

そこにピクルスを置いて、ホットソースで味付けしたフライドチキンを載せたら、レタスかコールスローを加え、上にトーストしたバーガーパンを被せて出来上がり。スパイシーなホットソースとクリーム系ソースが絶妙なバランスを作り出すのです。

 

Hot Fish Sandwich

上記のホットチキン・サンドイッチの従兄弟にあたるのが、このホットフィッシュ・サンドイッチ。中に挟む魚は、ナマズをはじめ各種ありますが、普通はパンよりはみ出る形で挟むのがポピュラーです。ここでも名うてのホットソースが活躍。

 

Krystal Burgers

現在では本部がアトランタに移ってしまったのですが、テネシー州のチャタヌーガにクリスタルバーガー・レストランが誕生したのは1932年のこと。当初、店のモットーは、「清潔でサービスが早く、低価格で良い食べ物を提供する」ことでした。

クリスタルバーガー

出典:ウィキペディア

今で言うところのスライダー、つまりやや四角っぽいミニサイズのバーガーに人々は列をなしました。だって当時は、半ダースのクリスタルバーガーにコーヒーが付いて、たったの35セントだったというのですから。モットー通りですね。

 

その他

BBQ Spaghetti

バーベキュー・スパゲッティ

出典:ウィキペディア

スパゲッティ・ミートソースが好きな人だったら、多分すんなり受け入れられる食べ物かも。従来のマリナラソースにBBQソースを加えて、プルドポークを具材にしたスパゲッティで、正真正銘のメンフィス生まれ。

 

Cornbread

チリコンカンのお供によく出てくるコーンブレッドは、どこにでも出てきますが、北部と南部では少し違いがあります。前者は、コーンミールに少し砂糖が入っているのに対し、テネシー州を含む南部では、砂糖を使わず鉄のフライパンで作るのが常道。

 

Country Sausage Gravy

テネシー州など、南部のカントリースタイルの朝食メニューには必ず出てくる食べ物。鍋でソーセージを炒めて出てくる脂に、小麦粉を混ぜ、牛乳やバターを加えてホワイトソースにしたもの。

これがビスケットと一緒に出てくると、定番の “Biscuits & Gravy” になりますが、フライドチキンやステーキにかけて食べることも多いです。一から作るのが面倒な場合は、市販の物も出ています。

 

Doodle Soup

テネシー州のブラッドフォードで生まれたスープで、チキンの丸焼きなどから出てくる肉汁をベースに、たっぷりのビネガーを加え、辛みのスパイスで味付けし、小麦粉でとろみをつけたもの。生まれ故郷の街では毎年、“Doodle Soup Days” 祭りがあります。

 

Fried Pies

アメリカ南部の州で人気のフライドパイは、フルーツフィリングでできたターンオーバーのようなデザートパイが主流ですが、ベーコンチーズとかチキンワッフルというような食事用のパイもあります。テネシー州では、ノックスビルにある “Dale’s Fried Pies” が有名。

 

デザート類

Banana Pudding

バナナ・プディングは、イングリッシュ・トライフルのスタイルに似た形で、カスタードクリームに、薄切りにしたバナナとウェハースを交互に重ねていき、メレンゲトッピングを施したデザートです。

バナナ・プディング

出典:ウィキペディア

特にアメリカの南部の州で人気の食べ物ですが、テネシー州のセンタービルでは毎年10月の最初の週末に2日間かけて、“National Banana Pudding Festival” が行われ、ベストレシピを競い合うコンテストがあります。

 

Goo Goo Clusters

グー・グー・クラスターは、1912年に、ナッシュビルにある、“Standard Candy Co.” が発明したお菓子です。マシュマロヌガーに、キャラメルやローストしたピーナッツを混ぜて円形にまとめ、ミルクチョコレートでコーティングした食べ物。

グーグークラスター

“Goo Goo” は、ベビー的な発音の、「おいしい!おいしい!」になぞらえて、「赤ちゃんの時から欲しがるキャンディ―」のような謳い文句で売り出したもの。あっという間にヒットして、全国規模で販売するようになりました。

 

Moon Pies

上記のお菓子と一見よく似た食べ物に、ムーンパイがあります。テネシー州のチャタヌーガにあるベーカリーが1917年に発明したのですが、その発想は、ある石炭を採掘する労働者の願いにありました。

ムーンパイ・ミニ

彼は、「お月さまと同じくらい大きなスナックが欲しい。」と言ったんですね。そこからこの名前が付いているのですが、中身はというと、2枚の円いグラハムクラッカーにマシュマロを挟んで、チョコレートなどでコーティングしたもの。

オリジナルサイズは直径が約10cmで、ちょうど労働者のランチボックスに入るくらいの大きさですが、後にミニサイズや、クラッカーとマシュマロの層をもう一段加えたダブルデッカーも登場しました。

ムーンパイ・ダブルデッカー

このお菓子を、当時はRCコーラと一緒に味わうのがファッションで、今でもベル・バックルでは、6月の第3土曜日に、“RC Cola & MoonPie Festival” が行われています。

 

Tennessee Mountain Cake

アパラチア山脈地方に昔から伝わるケーキに、“stack cake” と言って、何層ものクッキー生地を重ねた食べ物があるのですが、テネシー州では特に、「テネシー・マウンテンケーキ」と呼んでいて、林檎のフィリングを間に挟みます。

伝統的には、村で結婚式が行われるときに、近隣の人たちが、各自1枚ずつレイヤーを持ってきたそうで、それが何枚集まるかでお嫁さんの人気度がわかるとか。でも何十枚も集まったら、ケーキが倒れそうに思いますけどね・・・。

 

Vinegar Pie

ビネガーパイという名前を聞くと、お酢のイメージが強くて、本当にデザートなの?と思ってしまいますが、アップルパイにアップルサイダービネガーを使うように、アメリカ南部の州では、伝統的なクラシックパイの1つなんですね。

大恐慌時代に、最低限の安い食材で美味しい食べ物を作ろうとしてできたもので、基本的にシンプルなカスタードパイです。テネシー州では、ビーンステーションにある、“Clinch Mountain Lookout Restaurant” のビネガーパイが有名。

テネシー州の地図

テネシー州の有名な飲み物

アルコール類

Bushwacker

ブッシュワッカーは、バージン諸島が起源と言われていますが、テネシー州でも人気のカクテルです。夏の暑い日、ナッシュビルの独身女性最後のパーティーでは売れっ子の飲み物。

ブッシュワッカー

出典:ウィキペディア

オリジナルレシピでは、ラム酒やウォッカをベースに、クレーム・ド・カカオや、カルア、クリーム・オブ・ココナッツを粉砕した氷とミックスするのですが、基本のアルコール飲料の割合はバーテンダー次第で、強度は様々です。

 

Tennessee Whiskey

テネシー・ウィスキーは、原料にトウモロコシを51%以上使っているので、広義の解釈ではバーボンですが、ケンタッキーに代表されるバーボン・ウィスキーとは、製造方法が異なります。

代表格のブランド、ジャック・ダニエルは、リンチバーグに拠点を置き、“Lincoln County Process” という手法で作っています。これは、“Maple Charcoal Mellowing” と言い、オーク樽で熟成する前に、楓の木炭で原酒をろ過する方法のこと。

ジャックダニエルズ

この工程により、出来上がったテネシー・ウィスキーは、通常のバーボン・ウィスキーに比べ、やや甘みを増し、口当りがまろやかな仕上がりになるのです。テネシー州では、これをコーラで割る、“Jack & Coke” が人気。

 

ノンアルコール類

Mountain Dew

眠気を覚ますには、マウンテン・デュー。このカフェインたっぷりの炭酸飲料の元となったドリンクは、1940年に、テネシー州のハートマン兄弟が生み出し、後にレシピが洗練されて、今のマウンテン・デューになりました。

マウンテン・デュー

現在の製造元であるペプシコでは、後にアルコールを混ぜた、“Hard Mountain Dew” も販売。私はまだ飲んだことがありませんが、カフェインとアルコールのコンビは、どんな結果をもたらすのでしょうね♪

 

 

さて、テネシー州の食べ物と飲み物をいろいろ見てきましたが、改めて、ここはアメリカ南部の州なのだなと感じた次第です。デザート類の中には、食べてみたいものや作ってみたいものもありました。

南部料理の特徴としては、やはり揚げ物やスパイシーなもの、味の濃いものが多いですね。テネシー州の食べ物はどう感じましたか? 以前にテネシー州に何年か住んでいた友人がいるので、今度会ったら、どんな食べ物が印象的だったか聞いて見ようと思います♪