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詰め物をした料理で、日本で一番好きだったのは、イカにご飯を詰めた料理でした。今でも一時帰国する際には、店で真空パックになったものを買ってきて食べています。
アメリカで詰め物料理と言うと、真っ先に思い浮かべるのは、感謝祭のターキーディナーだと思います。でも日常的にも、他の肉類や野菜類に詰め物をして調理することはよくあります。
このページでは、アメリカのホームクッキングで、どんな食材を使って詰め物をした料理があるのか、我が家で作った品々を例に挙げて、食品別に解説しますね。
アメリカの詰め物をした料理
鶏類
・チキンカツの詰め物
チキンカツを一人2枚ずつ用意し、それぞれ片面にマスタードを塗っておきます。1枚のカツに薄切りハムとチーズを置き、サワークラウトとキャラウェイを載せたらもう1枚を被せて、泡立てた卵白に浸けてパン粉をまぶし、スキレットで両面を焼き上げます。
・七面鳥のスタッフィング
ターキーを料理するときに、空洞にスタッフィングの材料を詰めてから焼く場合と、詰め物を別の容器に入れて単独で焼く場合があります。いずれにしても一般的なクルトン詰め以外に、もいろんな食材の組合せが考えられます。
まず、七面鳥に詰め物をして焼いた例では、「リークとピーカンのスタッフィング」があります。大量の輪切りにしたリークをバターを入れた鍋で蒸し煮にした後、パン粉、ピーカン、パセリを加えて塩胡椒で味付けし、ターキーの中に詰め込んで焼きます。
最初から単独で焼いた例では、「椎茸と野菜のスタッフィング」があります。シャロット、セロリ、ケール、りんご、クルミの他、タイムやセージ、ニンニクなどのスパイスも豊富に使い、多種類の風味を楽しみました。
肉類
・ポークローストの詰め物
ポークローストを鏡開きにしてから肉たたきで薄くのばして広げます。ほうれん草、ハム、レーズン、やしの実、チーズなどを混ぜて上にのばして巻き、タコ糸で閉じてオーブンで焼いた後、肉汁にワインとコンソメを混ぜて、リッチなソースを作ってかけます。
魚介類
・イカの詰め物
私の大好きな栗を詰め物に使うレシピが、イタリア料理の本に載っていたので作ってみました。烏賊の足を刻んで炒め、栗の実と一緒にフィッシュストックで煮て、パン粉と一緒に詰めたものを、ストックを注いだキャセロールに入れ、オーブンで蒸し焼きにするのです。
・舌平目の詰め物
フレンチに出てきそうな料理です。生の白い食パンを粉砕してから乾燥させたパン粉に、マヨネーズ、バター、マスタード、ニンニクなどを混ぜて詰め物にし、舌平目をロール状にして、上からレモン入りクリームソースをかけてオーブンで焼きます。
・かにの詰め物
炒め玉ねぎに蟹の身、ゆで卵、クリーム、パセリ、ニンニク、パン粉などを加えて火を通し、シェリー酒を混ぜたら、カニの甲羅に分けて入れ、オーブンで焼き上げるオードブルです。(私は甲羅がなかったので、ホタテの貝殻に入れました。)
野菜類
・きゅうりの詰め物
オードブルになる一品です。ただし、レシピ通りに輪切りで作るには、アメリカの太い胡瓜が必要です。日本の細いものだと、縦長に切ってボート状にすれば可能です。鮭缶とクリームチーズが主体で、トッピングにピーマンで色を添えます。
・ズッキーニの詰め物
サイドディッシュにもなるし、前菜としても使えます。ズッキーニに詰めるメインの食材は、チキンスープで料理したクスクス。あと、フェタチーズやカラマタオリーブなどが加わって、ギリシャ風味となっています。
・さやえんどうの詰め物
面白そうと思って作ったのはよかったのですが、あの薄べったいさやえんどうに詰め物をするのは時間がかかりました。中身は主にクリームチーズとパルメザンチーズで、ケチャップ、マスタード、ウスターソースなどで味付けしています。繊細なオードブルです♪
・ポートベロの詰め物
この詰め物はチキンがメインなのですが、ベジタリアンの方であれば、他のプラントフードを使われるといいと思います。調理済みの鶏肉以外には、グリルした玉ねぎとペストに調味料が入っています。オーブンで大体焼いた後、モッツァレラを載せて戻して仕上げます。
・マッシュルームの詰め物
マッシュルームのヘタも細かく刻んで使います。マッシュルームの傘を軽く炒めておき、同じ鍋で、シャロット、にんにく、セロリなどの野菜を刻んでマッシュルームと一緒に炒め、パセリと一緒にピューレにした後、つなぎの卵やパン粉を加えて詰め、オーブンで焼きます。
・トマトの詰め物
少し硬めのトマトを使います。ヘタを取って、芯と種も除いたら、逆さまに置いて水分を抜きます。マッシュポテトを作ってバターを加え、塩胡椒して卵黄を混ぜたものを詰めていきます。上からおろしチーズを振りかけて、オーブンで焼くとできます。
パスタ類
・マニコッティの詰め物
自家製のパスタ生地に詰め物をして巻いていくのが本来のやり方だったのですが、面倒だったので初めからチューブパスタを使いました。カニの身に味付けをしたものを詰めて、生クリーム主体のチーズと蟹入りホワイトソースをかけてオーブンで焼きます。
以上の詰め物の料理に関しては、拙ブログ「世界の家庭料理からもてなし料理のレシピまで集めよう」で、レシピの詳細を確認していただけます。
(サンクスビギングのカテゴリーでは、詰め物以外の感謝祭ディナーのあらゆるレシピも載せていますので、参考になさってください。)
世界で有名な詰め物料理
主に、ピーマンやマッシュルーム、トマトと言った野菜の空洞に、肉や魚介類の詰め物をした料理を「ファルス」と呼んでいますが、これは、フランス語で「詰める」と言う意味の “farce” から来ているんですね。
肉類に詰め物をする料理のことも指すので、上記で挙げた私の詰め物料理は、ほぼファルスと呼んでいいわけですね。でも世界には、他にも特徴のある詰め物をした料理があるので、以下に有名なものを挙げてみます。
【イタリア】のアランチーニ
真ん中にチーズを入れて丸く固めたご飯に、小麦粉、溶き卵、パン粉をまぶして揚げる、ライスコロッケです。“arancini” と言うのは、イタリア語で「小さいオレンジ」を意味していて、仕上がりの形が似ているところから命名されたんですね。
【インド】のサモサ
小麦粉を食塩水で溶いて作った薄皮に、スパイシーな味付けをした野菜や豆類、挽肉などを置いて、三角に包んだものを揚げて、ホットソースを加えたディッピングに浸けていただく料理です。
【ギリシャ】のドルマ
アメリカでは、味付けしたご飯を葡萄の葉に包んでオリーブオイルにつけた冷菜を指します。でも元はと言えば、トルコ語で「詰める」と言う意味の “dolmak” から来ていて、伝統的には魚や肉の詰め物をした温かい料理を指すそうです。
【スペイン】発祥のエンパナーダ
スペイン語の “empanar” には、「パンで覆う」と言う意味があり、よく半円形のパン生地で具材を包んだものを言います。南アメリカに多数移住してきた人々によって広まりました。南米と言っても広いので、各国によって様々なスタイルがあります。
【ロシア】のピロシキ
簡単に言うと、日本で呼ぶところの調理パンでしょうか。野菜や肉類を味付けしたものを、パン生地やパイ生地に詰め、揚げて仕上げます。中に甘めのものを入れると、菓子パン的になります。
【中国】の餃子、シュウマイ、小籠包、肉まんなどなど
これらはもう説明の必要がありませんね。アメリカのレストランでも、「ダンプリング」料理専門店とかができていて、超人気で美味しいです。
以上、かなり知れ渡っている世界の詰め物料理を挙げましたが、各国の詰め物をした料理はいろいろあって奥が深いです。
詰め物をした料理は、食べる側にとっての醍醐味は、外から見えない分、食べるときの楽しみが増えるというものです。
私もアメリカの家庭で料理するのに、あまり負担にならない程度の物は作ってきましたが、まだまだ試してみたいものがあるので、新しいものが増えたら、また紹介しますね♪