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オハイオの食べ物で特有なものや、後に有名になって全州に広まったもの、また “Buckeye State” ならではの見逃せない料理などを紹介していきます。
このオハイオ州のニックネームですが、日本語にすると、「トチノキ」ですね。遠目には、目玉のようにも見え、これを真似たキャンディーもあります。
他の州と同じく、特定の移民がもたらした伝統食が根付いている物も多く、ホットドッグだけでも、ハンガリー、ポーランド、ドイツと、そのスタイルは様々。
オハイオで有名な食べ物
メインディッシュ
Barberton Chicken
オハイオの都市の名前が付いたフライドチキン料理で、セルビア系アメリカ人のコミュニティーで生まれたので、“Serbian fried chicken” とも呼ばれています。バーバートンではわが街のことを、“Fried Chicken Capital of America” と呼んだりする人も。
オリジナルメニューは、セルビアン・スパイスで味付けられ、コールスローと、スパイシーなトマトソースで煮込んだご飯と一緒に出されます。“Belgrade Gardens” というセルビア人経営のレストランが始まりですが、今ではオハイオ北西部のレストランでも見かけます。
Cleveland-Style Barbecue
オハイオ第2の都市、クリーブランドのダウンタウンに、“Mabel’s BBQ” をオープンしたシェフ、マイケル・サイモンは、他の州にあるようなバーベキューではなく、オハイオ独自の素材と技術を生かしたBBQを開発しました。
州原産の林檎やチェリーのような果物の木を混ぜて燻製の燃料にして作られたリブ肉は、BBQのお供によく出るコーンブレッドやマカロニチーズではなく、キャベツやシュペッツレといった、東欧系の副菜と一緒に出されます。
Fried Lake Perch
エリー湖の南端は幅広くオハイオにかかっており、魚の捕獲に関しては、五大湖の他の湖を合わせたよりも、エリー湖でよく獲れると言われます。湖水が比較的温かいので、スズキ系の魚の宝庫になっているのです。
中でも、パーチはフライにしてサンドイッチに挟んだり、タコスやラップにして、コールスローと一緒に出され、夏の週末には特に、これらがバスケットに入ったディナーが人気。
Goetta Hash
オハイオで人気の食べ物の1つで、“Goetta Sausage” とも呼ばれ、ドイツ系移民がもたらしました。朝食やブランチ・アイテムによく出てきます。豚や牛の挽肉にオーツや各種スパイスを混ぜ、ソーセージのような形にまとめます。
それを薄く切って炒め、トーストや卵と一緒に出すのです。少し硬めの表面のハッシュの上に載った半熟卵が、溶けて流れ出たときに一緒に食べるのがおいしい食べ方。
Ohio City Chicken
看板に偽りありの食べ物です。これ、本当は鶏肉ではなくトンカツなのです!1930年代に大恐慌がありましたよね。私の感覚では、ポークよりチキンの方が手に入りやすいと思うのですが、当時の鶏の役目は卵を産むことだったのです。
だから労働者階級が鶏肉を食べる余裕はなく、豚肉を薄くたたいてのばし、パン粉を付けて焼き、グレービーをかけてチキンもどきにして食べていたのですね。何でも品薄となると貴重品となるわけです。
ファストフード
Cheese Coneys
オハイオのシンシナティ―住民はチリが大好き。中でもその “Cincinnati Chili” ソースをかけたホットドッグは、街の屋台やフードトラックのみならず、レストランでも提供されています。
一番有名なのは、“Skyline Chili” で、ホットドッグにマスタードや玉ねぎをかけ、チリソースで覆って、細かくおろしたチーズがたっぷり載って出てきます。
The Galley Boy
オハイオのアクロンにある、“Swenson’s” というドライブインでは、1934年以来、この名前のダブルチーズバーガーで、車を寄せる人々のお腹を満たしてきました。もちろん歩行者も。
軟らかいバーガーパンに2枚のパティととろけるチーズを挟み、2種類の特製ソースをかけて、オリーブの付いた爪楊枝を突き刺して出します。これにオニオンリングとミルクシェイクがあれば完璧!
Hungarian Hot Dogs
1932年にオハイオのトリードで、ハンガリー系移民のトニー・パッコーが作った、独特のフレーバーのホットドッグが有名になったのは、アメリカで超有名なテレビ番組のおかげでした。
1976年放送の「マッシュ」という番組の中で、トリード出身の役者が、このソーセージがいかに美味しいかという歌を歌ったのです。テレビの影響は偉大。現地のレストランでも出していますが、今では通販でも買えます。
Polish Boy
ポーリッシュ・ボーイというのは、1940年代に、バーベキュー・レジェンドといわれる、バージル・ウィットモアが作り出したスモーキーなソーセージに付けられたニックネームで、以来、これを使ったサンドイッチも同様に呼ばれています。
ホットドッグバンにローストしたキルバサソーセージを挟み、フライドポテトとコールスローを載せ、特製のバーベキューソースをたっぷりかけたもので、長年人々に愛されている食べ物です。
Shredded Chicken Sandwich
一般的によく知られているのは、”shredded pork” ですが、オハイオでは、細切りチキンが名物。特に北部や中部で人気があり、濃縮チキンスープやマッシュルームスープで、小麦粉やパン粉、またバタークラッカーなどと一緒に煮込んでいきます。
時間をかけてスロークッカーで調理することが多く、黒胡椒をたっぷり仕込んでハンバーガーバンに仕込んで食べるのが主流で、1960年代にはよく学校のランチに登場しました。鶏肉の残り物を活用することができるのもいいところです。
The Thurmanator
この名前を初めて見たときは、ターミネーターの間違いかと思いましたが、こちらは、オハイオのコロンバスにある “The Thurman Cafe” で、1942年以来愛され続けている、看板メニューのバーガーのことです。
写真を見るとわかるように、とにかく巨大。1枚350gくらいあるビーフパティが2枚に、レタス、トマト、玉ねぎ、マッシュルームに、ハムやベーコン、それからチーズが3種類ほど挟まって、チップスとピクルスが付いて出てくるので、びっくり!
地元の人は、大きさだけじゃないよ、サーマネーターはアメリカで一番おいしいハンバーガーだよと、自慢げにほおばっています♪
野菜果物類
Melrose Apples
オハイオの指定林檎となっている、州独自で開発したりんごです。ジョナサンとレッド・ディリシャスを掛け合わせた品種で、緑の皮に赤い筋がたくさん入っていて、身はしっかりしてジューシーで、少し酸味がかっています。
Pawpaws
アメリカ中西部原産の果物で、オハイオ州の指定フルーツになっています。西海岸にはなく、私は食べたことがないのですが、種が大きく、クリーミーな食感で、よくマンゴやバナナと比較されることが多いです。
オハイオのアルバニーでは、毎年秋になると、ポーポーフェスティバルが行われます。ポーポーの大きさを競い合ったり、料理コンテストや、ポーポーをテーマにしたアートの展示会もあったりする楽しいお祭りです。
Sauerkraut Balls
オハイオはドイツやポーランドの移民が多い州なので、食べ物にもその影響は大いにあります。サワークラウトも例外ではありません。これはサワークラウトにクリームチーズと調味料を混ぜてボール状にし、揚げた物。
アクロンが発祥の地とされるアペタイザーです。オハイオの北東部で特に人気があり、新年のお祝いや結婚式に出されることもしばしば。ハムやソーセージなどの肉類を混ぜて作ることもあります。
Sweet Corn
とうもろこしが豊富な地域が多い中でも、オハイオはアメリカ50州のうち6番目の生産量を誇っています。収穫は7~10月にかけて。毎年ミラーズポートで行われるコーン・フェスティバルでは、有名な迷路を始め、楽しイベントが目白押し。
その他の食べ物
Baby Swiss Cheese
オハイオの中央部に位置するホームズ郡に住んでいる人々のほぼ半数はアーミッシュで、馬車を引く様子は日常風景。ここで1947年に、スイス生まれのアルフレッド・グッギスバーグという人が、牛を飼っている横で作り始めたのがベビースイス。
彼の奥様が命名したそうです。通常のスイスチーズよりも細かい穴が開いているのが特徴で、チーズが苦手な人にも抵抗がないように、クリーミーでマイルドな味に仕上げています。
Bourbon Barrel-Aged Maple Syrup
バーボンならケンタッキー、メープルシロップならバーモントと言いたいところですが、オハイオにもメープルの木はたくさんあって、北東部では3月上旬になると、樹液を集めて煮詰め、メープルシロップ造りが盛んになります。
バーボン樽で何か月も寝かせたシロップは、パンケーキはもちろんのこと、いろんな食べ物をおいしくする魔法の露です。毎年春先に行われるメープルシロップ・フェスティバルに行くと、本場のシロップの造り方を学べますよ。
Corn Chewing Gum
「チューインガムはコーンから作られる?」って、最初はピンと来なかったんですが、よく考えてみるとコーンシロップが使われるってことですね。ガムの歴史は古代に遡るものの、アメリカで初めてパテントを取ったのは、オハイオ市民のアモス・タイラーさん。
1869年の7月27日のことです。白い松脂と調理油を混ぜて熱し、冷めたところで薄く延ばしてスティック状にして包装し、販売したのです。ちなみにオハイオのシェルビーガム会社が、1925年に世界初の風船ガムを作ったと言われています。
デザート類
Buckeyes
バックアイというのは、オハイオの州の木として指定されているナッツのことですが、ここで言うバックアイズはその形を模して作ったキャンディー。ホームメイドが主流だったのが、人気が出て、今ではどこでも買える品です。
ピーナッツバターをボール状にまとめてチョコレートコーティングし、上のほんの一部だけ下地が見えるようにすると、バックアイとそっくりになります。目玉のようにも見えるので、ハロウィンには引っ張りだこですね。
Jeni’s Ice Cream
最初はオハイオのコロンバスにあるノースマーケットの小さい店で始めたジェニーのアイスクリームは、試行錯誤の上、紆余曲折を経て店舗を拡大し、今では通販でも買えるようになっています。
学生時代の友人から教えてもらったエッセンシャルオイルを活かして作り始めたときは、“Scream Ice Cream” と呼んでいましたが、軌道に乗り始めてからは、“Splendid Ice Cream” に名称を変えました。その方がずっと響きがいいですよね。
Klondike Ice Cream Bars
クロンダイク・アイスクリームバーは、1922年にオハイオのマンスフィールドで生まれました。当時は、「棒に突き刺したアイスクリームキャンディーよりも大きくて優れている。」というのが売りでした。
1970年代まで、オハイオ州とペンシルバニア州でしか手に入らなかったのですが、生家の工場が閉鎖してブランドネームの権利が売られてからは、カナダを含む北米地域のどこでも販売するようになりました。
Shaker Lemon Pie
シェーカー(キリスト再臨信仰者協会)教徒の名前が付いていますが、別名、「オハイオレモンパイ」とも呼ばれています。レモンが貴重な食べ物だった時代に、シェーカー・コミュニティの間で伝統的に作られてきたパイです。
希少価値のレモンを一切無駄にすることなく、皮も使って4日間ほど砂糖漬けにする工程が含まれるので、かなり気合の入ったパイです。オハイオ以外にも、アメリカの中西部でよく見られます。
オハイオの飲み物
ノンアルコール類
Norka Soda
このソーダについている名前を逆さまから読むと、“Akron”。オハイオ州の東部に位置する都市で1924年に生まれたソーダは、1962年に一旦生産を中止したのですが、半世紀経ってまた復活しました。
当初のオリジナルフレーバーから、オレンジ、ジンジャーエール、チェリーストロベリー、ルートビールの4つが楽しめます。100%ナチュラルフレーバーで、カフェインもグルテンも含まれません。
アルコール類
Ohio Wine
オハイオのグランドリバーバレーは、エリー湖の南東に位置しており、その温かい湖に近いことから、品質の高いブドウを栽培するのに適しているのです。オハイオでは、ヨーロッパ系の葡萄ではなく、ネイティブアメリカンの品種が主流。
赤なら、Pinot Noir、 Cabernet Sauvignon、 Melrot。白なら、Pinot Grigio、 Riesling、 Vidal Blanc など、幅広い銘柄が楽しめます。
Paw Paw Wheat Ale
ポーポーは、果物のところで紹介しましたが、生で食べたりスムージーにしたりするだけでなく、ビールにも利用されています。仕上がりは、ほのかにメロンとバナナの香りが漂うビールです。
毎年あるポーポーフェスティバルでも、フレーバーを各種取り揃えたビールを味わえます。私は、西瓜とフュージョンした、”pawpaw wa wa” とか、クリーミーな “pawpaw murkshake や、”pawpaw cream ale” を試してみたいです。
オハイオというと、私は投票権は持たないものの、いつも大統領選挙で話題になる州というイメージが強いのですが、今日は食べ物について掘り下げてみました。
ファストフードの、しかもホットドッグだけを取り上げても、いろんなルーツがあって面白いですね。私は洋菓子作りが得意ですが、オハイオ式レモンパイはちょっと時間がかかりすぎるので、パス。でもバックアイズは簡単に作れそう。
ポーポーという、名前がかわいい果物は、一見トロピカルフルーツのようだけど、オハイオの自生果物なんですね。あなたにも何か興味を引く食べ物は見つかったでしょうか?