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ノースカロライナとは言え、やはり南部に位置する州なので、バーベキュー類の食べ物が豊富です。肉や野菜、ソース類に至るまで、完成品はファストフードに至るものがたくさん。
と言っても、それぞれの食材は時間をかけて漬け込んだり、ゆっくり焼き時間をかけたり、移民の代から長い間受け継がれてきた独特の方法で、味わい深いものが多いのです。
また、一時期世界中を虜にしたあるお菓子や、今なお世界の人々が知るドリンクなど、有名ブランドもあったりします。では、ノースカロライナの食べ物を探ってみましょう。
ノースカロライナの食べ物
メインディッシュ
Barbecue Tray
1946年に夫婦で始めた、“Bridges Barbecue” レストラン。ハイウェイ74付近にある店が視界に入ってくると、車の中にいてもヒッコリースモークの香りがしてくるほど。
毎日豚の肩ロースを燻製にし、やや薄めの甘辛ソースをかけて、ハッシュパピーとコールスローを添えたバーベキューセットは、ローカルのみならず、全米の各地からファンがやってくのです。
Calabash-style Seafood
カラバッシュというのは、ノースカロライナにある小さな漁師町で、“Seafood Capital of the World”(世界のシーフードの首都)として知られている所で、海岸沿いには、シーフードレストランが軒を連ねています。
どのレストランも、シーフード料理を出すときには、こんもり盛って出すのをモットーにしていて、クリスピーでなおかつ繊細な衣をつけた新鮮な魚介類のフライは、大抵ハッシュパピーと一緒に出てきます。
Eastern-style Barbecue
ノースカロライナのバーベキュースタイルは、大きく分けて2つあり、東部型と西部型に分かれます。イースタンスタイルの特徴は、豚1匹を丸ごと調理する点です。窯で焼いた後、ライトカラーとダークカラーに切り分けてから一緒にします。
もう1つの特徴は、バーベキューソースの種類。イースタンでは、トマトは一切使用せず、ビネガーとペッパーを使って作り、サイドのコールスローも、マヨネーズベースの白っぽいスローになっています。
Lexington-style Barbecue
ノースカロライナの二大バーべキューのもう1つは、レキシントンスタイルで、中央から西部にかけて食されているスタイル。こちらは豚の肩ロースの身を使い、トマトがベースのスパイシーな赤いバーベキューソースに漬けて食べるのが一般的。
このレッドソースは、コールスロー・ドレッシングのベースにも使われ、“barbecue slaw” と呼ばれていますが、決してキャベツをバーベキューしているのではありませんので、念のため。
ちなみに、この2つのバーベキュースタイルは、“barbecue battle” にも発展して、どちらをノースカロライナの公式バーベキューにするかで、かなりもめました。
Liver Pudding or Liver Mush
この食べ物の歴史はアメリカの植民地時代に遡ります。ヨーロッパから移ってきた人たちが、豚の臓器に胡椒等のスパイスをすり込み、コーンミールと混ぜてブロック状に固め、食べやすい厚さに切って調理したもの。
スパムにもよく似た感じのソーセージで、ビスケットや卵料理と一緒に、アメリカ南部の州の朝食メニューによく出てきます。2つの呼び名があって、コーンミールの量などで微妙に作り方が違っています。
低脂肪で高たんぱくの食べ物として人気があり、ノースカロライナのシェルビーには、大きな製造工場があって、毎年フェスティバルも開催。
Pulled Pork
プルドポークは、豚肉を長時間かけてローストして、焼きあがったときには、フォークで簡単に裂けるほど軟らかくなっている料理です。アメリカのどこでも見られる調理法ですが、元はと言えば、ノースカロライナから来たと考えられています。
本来は戸外の窯でゆっくり燻製にするのですが、家庭用のスロークッカーでもできるし、そんなに待っていられなければ、圧力釜で調理することも可能です。
野菜類
Mt. Olive Pickles
ノースカロライナのマウント・オリーブという所に、レバノンからの移民がわずかな資本と土地で1926年に始めた、“Mt. Olive Pickle Company” は、歳月をかけて、全米でもトップセールスを誇るピクルス会社に成長しました。
毎年大晦日になると、“Pickle Drop” という伝統的なイベントがあります。大きな電光ピクルスを掲げてカウントダウンを行うのです。ニューヨークのタイムズスクウェアほどの迫力はありませんが、このかわいいピクルスで新しい年を迎えるのもいいかも♪
R.O.’s Slaw
ノースカロライナのバーガーやサンドイッチの材料に欠かせないのが、古くから親しまれているROスローです。1946年に、ブラック夫妻が立ち上げた、“R.O.’s Barbecue” は3人の子どもたちに引き継がれました。
レシピは意外に簡単。マヨネーズとケチャップを同量混ぜたものに、チリパウダー、パプリカ、塩胡椒を加えて、千切りキャベツに混ぜるだけ。3代目になった今でも、このレシピは変わっていないそうです。
チーズ類
Chocolate Lab
犬の種類ではありません! チョコレート・ラブはれっきとしたアメリカンチーズです。ノースカロライナのフェアビューにある、“Looking Glass Creamery” という所で、牛のミルクから作られています。
外側はレンガ色をした皮膜で覆われていて、一日おきに塩水で洗い、ココアニブと海塩をこするつけるので、甘みを備えながら、シャープでリッチなしっかりした食感を味わえます。
あのキッチン用品と高級食品で名高いウィリアムズ・ソノマでも、ノースカロライナを代表するチーズとして扱っています。チョコレートビールと一緒にいただくと最高でしょうね♪
Providence
プロビデンスは、タレッジョ・タイプのアメリカンチーズで、山羊のミルクから作られます。3か月ほどかけて熟成するセミソフトチーズで、ノースカロライナの “Goat Lady Dairy” で作っています。
熟成中は毎週外皮を洗うので、外側は硬くて、中身は砕けやすい感じ。ちょっとイーストっぽくってクリーミーな味。食卓で、塩漬け肉やオリーブと一緒にいただくのにちょうどいいチーズです。
ソース類
Ruth’s Pimento Spread
1953年に家族経営で始まった、「ルースのピメントスプレッド」は、今やノースカロライナでは、グリル・サンドイッチには欠かせないフレーバーとなりました。
ノースカロライナのシャーロットにできた会社では、この看板スプレッド以外にも、チリやコールスローの他にサラダ類も販売しています。オレンジチーズのスプレッドも、基本のピメントの外に、ハラペーニョ入りや低脂肪版もあります。
Texas Pete
看板に偽りあり、ではないのですが、この名前に引っかかってはいけません。テキサス州とも関係なければ、ピートという人が作ったわけでもないのです。このホットソースは、ノースカロライナのウィンストン・セーラムという所で生まれました。
当時、スパイシーなものと言えばテキサスと関連付けられていたことと、開発した家族には兄弟がいて、その内の一人のニックネームがピートだったことから、このネーミングになったそうです。
オリジナルソースは比較的マイルドで、タバスコほどスコヴィル値が高くないので、同社の製品には激辛バージョンもあります。またホットソース以外にも、チリソースやカクテルソース、ハニーマスタードソースなど、ソースを各種販売しています。
ファーストフード系
Bojangles’ Famous Chicken ‘n Biscuits
ノースカロライナのシャーロットに、ベテラン(退役軍人)が1977年に始めたのが、”Bojangles” という名のレストラン。何でも一から作り、高品質で独特の味を出し、華やいだ雰囲気のレストランをモットーにオープンしました。
その看板メニューが、スパイスの効いたフライドチキンとバターミルクビスケットの組み合わせ。今では、アメリカ南部の州を中心に、世界にまで広がるチェーン店となっています。
フットボールのシーズンになると、地元チームの公式スポンサーである「ボジャングル」の食べ物は、“Bo Time” と呼ばれ、テールゲート・パーティーでも欠かせないテイクアウトなのです。
Johnson’s Drive-in Cheeseburgers
1946年にノースカロライナの小さな街で、ジョンソン夫婦が始めたドライブインは、その後息子さんに引き継がれ、今もローカルに長く愛されるバーガー店です。
毎日仕入れた肉がなくなると、お客さんはホットドッグかチーズサンドイッチで我慢しないといけなくなるので、レギュラー客は早く行くことを心がけています。
Pork Chop Sandwich
ポークチョップを挟んだサンドイッチはどこにでもあるのですが、ノースカロライナのマウント・エアリーにある、“Snappy Lunch” のポークチョップ・サンドイッチは、有名な “The Andy Griffith Show” で紹介され、知られるようになりました。
毎日、通りの角まで行列ができる店ですが、客の目の前でポークチョップに衣をつけて黄金色に揚げ、パンに挟んで出してくれるサンドイッチは、待つ甲斐がありそうです。
デザート類
Krispy Kreme
クリスピー・クリームと言えば、一時期センセーションを起こしたドーナツブランドですが、その歴史は意外にも古く、1937年にノースカロライナのウィンストン・セーラムにあるビルを借りて作り出されたのが始まり。
バーノン・ルドルフさんが、ニューオリンズのシェフからレシピを買い取って作り始めたのです。当初は1個25セントで主にコンビニで売られていましたが、徐々に人気を博し、1980年代にはフランチャイズ化し、南東のみならず西の州にものびていきました。
1990年代には更に勢いを増し、ワシントン州シアトル周辺にも新店舗ができたときには、長蛇の列ができて2時間待ち、というよう事態でオープニングが行われたものです。日本の第一店舗オープン時も大変な騒ぎだったと聞いています。
Moravian Spice Cookies
モラヴィアスパイスクッキーは、植民地時代にモラヴィア教会のコミュニティで受け継がれてきた伝統的なクッキーです。ナツメグをはじめとするスパイスと糖蜜がアクセントで、「世界で最も薄いクッキー」として有名。
ノースカロライナのウィンストン・セーラム以外にも、ペンシルバニアのベツレヘムでも同様の伝統が見られます。特にクリスマスの時期には欠かせない食べ物の1つです。
Sonker
ノースカロライナには、ソンカーという、コブラ―のようなパイのようなフルーツが主体の有名な食べ物があります。私も作ったことがありますが、そのレシピのサブタイトルには、”deep-deish cobbler” とありました。
普通のコブラ―は、小さく切ったビスケット生地を果物のフィリングの上に置いて焼きますが、私が選んだソンカーのレシピでは、型の周りや上をパイ生地で囲むので、ほぼパイのように仕上がります。
いろんな焼き方がありますが、いずれにしても中はとてもジューシーな上に、更にミルクソースをかけたりするので、とても口当たりがよく、ついたくさん食べてしまいます♪
ノースカロライナの飲み物
Cheerwine
名前にはワインという文字が入っていますが、アルコールドリンクではありません。これは、1917年にノースカロライナのソルズベリーでできた、ガーネット色をしたソーダのことです。
当時のロゴの看板には、“It’s Full of Good Cheer” とあります。これを飲むと元気が出るよって感じですね。南部料理には欠かせないバーベキューとも合うということで、この会社では後から、バーベキューソースも作ってしまいました。
Pepsi
誰もが知ってるペプシは、ノースカロライナ生まれ。1893年に、カレブ・ブラダムという薬剤師が、ニューバーンで開いた薬局が始まりです。消化を助け、エネルギーを高める目的で作った物で、5年後には「ペプシ・コーラ」と改名しました。
「おいしくてヘルシー」をうたい文句に販売を続け、途中戦争を挟み、砂糖の供給量削減や、マーケティング手法などで紆余曲折がありましたが、ライバルのコカ・コーラと競い合いながら、今に至っています。
ノースカロライナの食べ物はいかがでしたか?
ノースと言っても、サウスカロライナ同様、南部の州なので、地理的な特徴は大きくは変わりません。だから、バーベキュー絡みの食べ物が多いように思います。
でも改めて、クリスピークリームやペプシが生まれた州であり、モダンな食べ物や飲み物だと思っていたのが、結構老舗で、順風満帆とは言えない過程を経て今があることを思うと、感慨深いものがあります。