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炒め物は、手順を心得て取りかかると、食品の素材を最大限に生かして調理することができます。
何から始めるのがよいのか、また注意する点などに触れながら、効率的な炒め物の手順を追っていきます。
日本語で表現するときは、英語で言うところの、”stir fry”も”sautee”も、どちらも「炒める」になると思うのですが、微妙な違いがあるので、その点にも触れて説明します。
炒め物の手順
1.まず、材料を切りそろえておく。
炒め物をするときは、全体に素早く火を通すことで、一部の食材が萎えてしまうことを防ぎたいものです。そのためには、材料をできるだけ均一に切りそろえる必要があります。
ソテーのときは、特に肉や魚を調理する場合、ある程度大きい形のものを一定時間、動かさないで炒めることがあるのですが、炒め物は数種類の素材の全面に火の通りがよくなるようにします。
野菜を準備するときに注意したいことは、洗った後、水気をよく切っておくということです。余分な水分をつけたまま炒めると、蒸し焼き状態になり、仕上がりに影響してくるからです。
2.フライパンに強火で油を熱する。
鍋に入れた油が十分高温になってから炒め始めます。このためには、スモークポイントの高い油を選ばないといけませんが、「食用オイルの種類」のページに主なものを載せているので、参考になさってください。
炒め物に適しているオイルには、たとえば、ピーナッツ油や、一般的にはカノーラ油などがあります。要は、フライパンが熱くなる前に、使用する油が煙を出してしまうといけないということです。
3.たんぱく源に先に火を通しておく。
ベジタリアンの方は別にして、炒め物をする場合、たいてい何らかの肉類と野菜を混ぜて調理することが多いと思います。
デリケートな海老類は後で入れる方がいいのですが、肉類に関しては、先に表面を焼いておいて、一度鍋から出して温めておきます。
4.野菜類を炒める。
一口に野菜類と言ってもたくさん種類がありますね。つまり茎を含む硬めの野菜もあれば、ぴらぴらの葉野菜もあります。そこで、使用する素材の調理時間の差を考えないといけません。
一度に鍋に入れてしまっては、まだ火が十分通ってないものから、焦げ付くものまで出てきます。
炒め物によく使うと思われる野菜の、入れる順序を整理してみます。
・最初に入れるもの:インゲン豆、えんどう豆、カリフラワー、キャベツ、人参、ブロッコリーなど
・次に入れるもの:アスパラ、絹さや、玉ねぎ、青梗菜の茎、なす、ねぎの白い部分、パプリカ、マッシュルームなど
・最後に入れるもの:グリーンピース、セロリ、青梗菜の葉、トマト、ねぎの緑、白菜、軟らかい葉野菜、もやしなど
5.スパイス類を加える。
野菜類にある程度火が通ったら、鍋の周り(火が直接当たらないところ)に押しやり、香りの出るにんにくや生姜を真ん中に入れて炒めます。
このときの入れ方ですが、フライパンに直接油を足して、そこへ香味のものを入れて炒めると、香りが出るまでに焦げだすことがあります。
それを避けるためにも、あらかじめ炒め油に生姜やニンニクを混ぜてから、鍋に加えて炒める方がうまくいきます。
6.全てを混ぜ合わせて、調味ソースを加えて仕上げる。
温めておいた肉類を鍋に戻して、あらかじめ調合しておいた、味をつけるためのソースを全体に絡めて仕上げます。
さっと炒めた後、皿に盛ったら、好みで最後に香味油のごま油とか、スパイシーなチリ油とかを数滴垂らしてもいいし、上にゴマを振りかけたり、ねぎを散らしてもいいですね。
炒め物をするときの注意点
家庭用のフライパンだと、ある程度大きさが決まっていると思うので、食材を多く使用するときには、面倒でも2回に分けて炒めることが大切です。
一度にたくさんの素材を放り込んで炒めると、それぞれの断片に火が行き渡らず、中の方にあるものは蒸し焼き状態になるからです。
それから、各家庭でどんな熱源を使用しているかによっても注意が必要です。ガスの場合は強火で一気に炒めることが可能ですが、アメリカに多い電気式だと火が弱いことがあるので、あまり混ぜすぎるのもよくありません。
あと、上記の手順の所で、香味のスパイスは最後の方で入れるようにしていますが、やはり理由があります。最初から入れると、メインの食材にすべて火が通るまでに焼け焦げてしまう確率が高くなるからです。
炒め物でも、ソテーとスター・フライの主な違いは?
<温度>どちらも強火ではあるものの、スター・フライはより強火で短時間に調理します。
<油の量>ソテーにはバターを使うこともありますが、スターフライには使いません。高温の調理では焦げてしまうからです。また、ソテーに使う油の量は、炒め物に比べて少しで済みます。
以上、炒め物をするときの手順について解説しました。
「弘法は筆を選ばず」という言葉がありますが、私は、「炒め物は鍋を選ぶ」と考えています。
どれが一番適しているかということは一概に言えませんが、ある程度の品質のものを選ぶと結果も違ってくるのは確かです。
よい道具で腕を磨いてくださいね。