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宗教で禁止されている食べ物って、気になりませんか?
アメリカに住んでいると、自宅に友人・知人を夕食に招くことも多いので、基本的な知識がないと、ホステスとして失格になりかねません。
実は私、一度大失敗をしてしまったことがあるのです。
まだ結婚して間がなく、無宗教の主人もあまり気に留めていなかったから、前知識ももらっていなかったことが原因なのですが。
言い訳はともかく、ユダヤ教の上司を夕食に招いて、豚肉料理を出してしまったのです。トホホ。
でも、私に恥をかかせないように、その女性の上司は、「普段は食べないのだけど」と言って、少しだけ口にしていました。
アメリカは人種のるつぼなので、尚更ですが、やっぱり常識として、宗教で禁止されている食べ物を知っておくにこしたことはありません。
世界でよく話題に出る宗教を取り上げて、調べたことをまとめてみました。
宗教上禁止されている食べ物
<キリスト教>
現在、世界の過半数を占める宗教はキリスト教です。そのうち、イスラム教が筆頭になるのでは、と言われていますが・・・。
で、禁止されている食べ物ですが、私が知る限り、全般的には、これと言って何もないんですね。
ただ、カソリックとプロテスタントの違いもあれば、プロテスタントの中でも、非常に多くの宗派があるので、たまにアルコールがダメとか、カフェインがダメとかいうのがあります。
カフェインは何もコーヒーだけのものではないので、その宗派にとっては緑茶も禁止なんですね。
私もそこまでとは思わずに、ポットラックの折にグリーティーを含んだデザートを持っていったのですが、残念ながら、食べてもらえませんでした。
<ユダヤ教>
ジュ―イッシュの場合、その独特の食事法をコーシャー“Kosher”と呼びます。最も一般的に知られていて、ユダヤ教以外の料理でもよく使われるものに、「コーシャーソルト」があります。
肉類に関して言えば、蹄が2つに割れている反芻動物でないといけないので、豚や馬、兎は禁止ですが、牛や羊に鹿は大丈夫です。でも、トサツ方法には、コーシャーにのっとった決まりがあります。
ただし、血が滴る食べ物はだめなので、「ベニスの商人」ではないのですが、レアのビーフステーキは無理ですね。ちなみにブタから取れるラードやゼラチンも禁止です。
魚類では、普通の魚にある鱗とヒレがあればOKなのですが、甲殻類のカニや海老、また貝類などはだめなんですね。あんな美味しいものが食べられないなんて、お気の毒で~す。
普通、ユダヤ教の人と結婚すると、奥様も早い内に改宗しないと、家族として認められないことが多いのですが、私はこの食事制限を考えるだけで、結婚したくありません。主人が無宗教でよかった。
鳥類だと、代表的な鶏や七面鳥、鴨などは食べられますが、猛禽類など、禁止されている鳥類もあります。
また、乳製品に関しては、コーシャーの動物から摂れるミルクや卵なら大丈夫です。
ただし、肉類と乳製品を同時に摂ることは禁止されています。ああ、何とややこしいこと! 両方食べたい場合は、時差で食べるのは許されるそうです。
<イスラム教>
ムスリムの方が食べる食事をハラル“Halal”と呼びます。
イスラム教で禁止されている食べ物は、ユダヤ教の禁止食べ物とかなり似通っています。たとえば、豚肉及びその副産物、猛禽類や、甲殻類など。
また、ハラルに従わない方法で取得した動物やその乳製品も禁止です。それから、アルコール類も一切禁止。お料理にほんのちょっと、もダメです。
<ヒンズー教>
この宗教の教えは、仏教と少し似ていて、生きとし生けるものには全て魂があり、輪廻転生を信じ、基本的に殺生を良しとしません。
特に牛は神聖な動物と考えられているので、禁止されています。多くのヒンズー教徒は大抵、肉類と卵は控えますが、人によっては、鶏や魚に乳製品を食べます。
アルコールやコーヒーは控えることが多いです。また、にんにくや玉ねぎを避ける人もいます。
<仏教>
一般の仏教徒には、基本的には何の制限もありません。僧侶は肉や魚を控えることが多いです。また、修行の一環で、断食もよく行います。
宗教上、気を付けたい食習慣
<キリスト教>
カソリック教徒には、「レント」と言って、”Ash Wednesday”から”Easter”までの40日間、金曜日には肉を控える習慣があります。
<ユダヤ教>
肉類と乳製品を同時に食べることは禁止、ということは伝えましたが、単に食べるタイミングだけではないんですね。
豚肉を食べないという理由には、豚を不浄の動物とする考えから来ているのですが、肉類と乳製品を混ぜること自体を嫌うので、食器を洗うときにも注意が必要です。
同時に食べないので、皿は当然別物ですが、食後に洗うときでさえ、別々に洗わないといけないのだそうです。厳し~い!!
<イスラム教>
まず、基本的に左手は不浄と考えられているので、食事には右手を使います。
食事に使うナイフやフォークは、肉類など、ハラル以外の食べ物に触れたものは使いません。ただ、全く別の銀食器を使用しなくても、洗っていれば大丈夫です。
あと、イスラム教には断食の習慣が多く、新月や満月の折や日曜ごとにする人もいますが、大々的に行う長時間の断食に、「ラマダン」があります。
イスラム歴で9番目の月に行うものですが、イスラム歴というのは太陰暦なので、1年に365日あるのではなく、354日しかありません。
したがって、毎年11日ずつ短くなり、常に時期が違ってきます。それはともかく、この時期、約1か月間は、夜明けから日没までの間断食をします。
ただし、妊婦さんや授乳中のお母さん、12歳未満の子どもたち、及び病人や老人は制限の範囲ではありません。
いやあ、改めてそれぞれの宗教によって、禁止されている食べ物を整理してみると、つくづく仏教徒でよかったなあと思う次第です。
生きていく中で、やっぱり食べることが一番の楽しみである私は、何の制限もなく、自由に食生活を謳歌したいです。
世界の主な宗教において、禁止されている食べ物を挙げて、解説を加えましたが、もし信者の方で、何か異論がございましたら、ぜひご教示くださいませ。
異なる宗教の物の考え方を理解することは、いろんな人々と交流していく際にもとても役に立つことなので、今後も研鑽を深めていきたいと思っています。