この記事は約 12 分で読めます。
豆料理は外国ではどんな種類があるのでしょうか?
日本では煮豆が中心になるかと思いますが、海外では主菜・副菜を問わず、煮込み料理のほかに、スープやサラダにもよく使われます。
ベジタリアンの方にとっては、貴重なたんぱく源ですし、豆料理は作り置きもできて便利なので、外国にもいろんな種類があります。
アメリカの家庭で作ったものも例に出して、世界の豆料理にはどんなものがあるのか、馴染みの多い物を中心に、よく聞く名前を挙げて解説していきます。
外国の豆料理の種類
<煮込み料理>
“Baked Beans” ベイクドビーンズ
豆を長時間かけて煮込んでいく料理ですが、圧力鍋があれば、あっという間にできます。たいていソルトポークかベーコンを使って良いだしが出るようにしています。豆は大体、白いんげん豆を使います。
甘みには、ブラウンシュガーやモラッセズを使うので、メインの食事ではあるものの、デザート感覚で食べられます。残りはトーストに載せてチーズを溶かしていただくのが、私の好きな食べ方です。
アメリカのマサチューセッツ州ボストンでも、名物料理の1つなので、以前に作ったことがあります。また、アメリカでは一般的にバーベキュー・ビーンズ “Barbeque Beans” と呼ぶことも多いです。
皆さんもよくご存知のオペラ・ウィンフリーが大好きな、”Ezell’s Chicken”というファストフード店が近くにあるのですが、そこのBBQビーンズは私の大好物なのです。
“Chili Con Carne” チリコンカン
メキシコ発祥の料理なのですが、伝統的には、「チリペッパーと肉」という名前が表しているように、肉が主体の料理で、アメリカに来て、豆がたくさん加えられた結果、豆料理として認識されるようになった感じです。
私も過去に数えきれないほど、いろんな種類のチリコンカンを作ってきました。アメリカでは、単に「チリ」と呼んでいて、野外のパーティーや屋台の店、スポーツイベントなどには欠かせない料理の1つになっています。
チリ・コンテストも定着してきて、一度、その大会で優勝したことのあるレシピを使って作ったこともあります。これはさすがに、伝統にのっとって、豆は入っていませんでしたね。
肉は普通牛肉を使いますが、バイソンを使ったり、ちょっと贅沢に子牛肉を使って作ったチリもあれば、バリエーションとして、鶏肉を使ったチキン・チリもあります。
今では、豆料理が独り歩きして、本来あるべき肉を飛ばして、豆だけのベジタリアンチリも普及しています。邪道ですが、私も究極の豆料理として、5種類の豆を使ったビーン・チリを作ったことがあります。
“Frijoles Negros” フリホレスネグロス
スペイン語で「黒豆」を意味するフリホレスネグロスは、キューバを代表とするラテンアメリカの豆料理です。炒め野菜と一緒に煮込みますが、あっさりとした塩味で、白いご飯と一緒にいただきます。
“Pork and Beans” ポークアンドビーンズ
ウズラ豆をポークベリーやハムホックと一緒に、ケチャップやブラウンシュガー、ウスターソースやマスタードなどで味付けして煮込みます。アメリカでは、完成品が缶詰になって売られています。
“Red Beans and Rice” レッドビーンズとライス
アメリカのルイジアナで有名なクレオール料理の1つで、小豆と燻製ソーセージを煮込んで作り、白いご飯と一緒にいただきます。ケイジャンスパイスもたくさん入って、黒豆料理より味が濃いです。
“Refried Beans” リフライドビーンズ
メキシコの豆料理で、よくタコスの具材にしたり、チップスのディップに使ったりします。玉ねぎやニンニクを炒めて、ウズラ豆とスープにスパイスを加えて煮込んだらマッシュにします。缶詰にもなっています。
<炒め物料理>
“Succotash” サコタッシュ
この料理の名前は、「とうもろこしの粒」から来ているので、決して豆が主体ではないのですが、必ず使うライ豆もかなりの量を入れるので、豆料理の中に加えました。
ベーコンを炒めて油を出したら、玉ねぎやニンニク、コーンにライ豆、チェリートマトにズッキーニやパプリカなどの、小さく切った野菜を加えて炒め、サイダービネガーや塩胡椒で味付けます。
<揚げ物料理>
“Falafel” ファラフェル
中近東の豆料理で、言ってみれば、豆コロッケですね。主にひよこ豆を挽いたものに、玉ねぎやハーブにスパイスを混ぜ、ボール状にまとめて揚げます。タヒニソースを付けていただきます。ソラマメ版もあります。
<オーブン料理>
“Green Bean Casserole” グリーンビーンキャセロール
恐らく誰もが知っている、かの有名なキャンベルスープが、自社のクリーム・オブ・マッシュルームという缶スープと、フレンチ・フライド・オニオンを使って作るレシピを編み出して、人気になりました。
アメリカでは、1950年代半ばより、サンクスギビング・ディナーやクリスマス・ディナーには定番のサイド・ディッシュとなっています。私も一度、少しアレンジしてもっとおいしくなったレシピで作っています。
<サラダ料理>
“Three Bean Salad” スリービーンサラダ
名前にあるように、3種類の豆を使って作ります。緑のインゲン豆と金時豆は必ず入っていますが、あとは、白インゲンにしたり、ひよこ豆を使ったりします。
サラダにはびっくりするくらいのお砂糖を使うので、保存も効くため、作り置きするのに便利な副菜と言えます。ただし、マリネして一晩漬け置くので、前日からの用意が必要です。
アメリカのスーパーのデリーに行くと、定番でメニューになっているところも多く、缶詰でもいろんな会社から出ています。
基本は3種類の豆料理なのですが、ある日、7種類のビーンサラダのレシピを見つけたので、作ってみたことがあります。
<スープ料理>
“Lentil Soup” レンズ豆のスープ
レンズ豆って、赤、黄、緑、茶、黒と、いろんな色があるんですよね。中近東やヨーロッパでよく出され、玉ねぎ、人参、セロリなどの野菜類と一緒に煮込むので、それ自体で主食になるベジタリアンスープです。
“Split Pea Soup” 割れたエンドウ豆のスープ
スプリットピースープは、骨付きハムと一緒に煮込んでピューレにして作るので、だしがよく出ておいしいです。グリーンピースで作るあっさりした“Pea Soup”もありますが、私は、スプリットピーの方が好きですね。
<その他の豆料理>
“Hummus”フムス
ひよこ豆 “chickpeas” を煮てペースト状にして、タヒニ(ゴマのペースト)、レモン汁、にんにく、スパイスなどを加えたスプレッドで、中近東料理のディップに頻繁に使われています。
最近ではアメリカのスーパーでも、人参や枝豆をはじめ、アボカド味や赤パプリカ味など、多数のフレーバー豊かなフムスを見かけるようになりました。
缶詰の豆の取り扱い
アメリカでは、よく使う豆類はほとんど缶詰めになって売られています。豆料理は、一度にたくさん作っておくと保存がきいて便利なのですが、乾燥豆から作るとなると、前日から用意しないといけませんよね。
それは面倒なので、私は豆料理を作るときには、よく缶詰に入った豆を使います。でも缶詰には、長く持たせるために、塩や砂糖が余分に入っていることが多いです。
スーパーで選ぶときには、できるだけ、「無塩」とか「低塩」の表示のあるものを購入するようにしています。
大抵のレシピには、調理の手順として、缶汁は捨てて水で一度洗い流すように指示があるかと思いますが、書いてなくても、汁には余分な成分が含まれていることが多いので、完成品以外は、リンスを忘れないようにしましょう。
また、これはごく常識的なことですが、缶詰は長く持っても、永久的ではないので、上下が膨らんでいたり、外がべたついていて中の汁が出ていると思われたりしたら、あきらめて捨てましょう。
外国でよく食する豆料理で人気のあるものを挙げて、解説してきました。中には初めて聞く名前がありましたか?
豆は良質のたんぱく質を供給してくれるので、ベジタリアンでなくても、普段の食事に頻繁に取り入れたい食材です。
日本の煮豆もおいしいですが、たまには気分を入れ替えて、外国の豆料理も試してみてくださいね♪
なお、このページで紹介している豆料理の写真の詳しいレシピは、拙ブログ「世界の家庭料理からもてなし料理のレシピまで集めよう」に載せていますので、参考になさってください。