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アメリカのベジタリアンの種類って、いくつぐらい挙げられますか?
細かく分類すると、結構いろんな形に分かれるんですよね。そもそも菜食主義者になった理由からして違うし。
そこで、なんちゃってベジタリアンから、超厳格なベジタリアンまで、アメリカの菜食主義者を種類分けしてみました。
アメリカのベジタリアンの種類
ベジタリアンの難易度別に、緩やかな方から順に、大きく3段階に分けて説明していきます。
<レベル1>
【セミ・ベジタリアン】“semi vegetarian”または、【フレキシタリアン】“flexitarian”
セミがついているので、半分ということで想像できるかと思いますが、主に菜食主義者だけれども、たまには肉類を食べることもありという種類です。
フレキシは、”flexible”からきているので、柔軟な考え方ということ。中には、何らかの理由でベジタリアンに変更したいけれども、まだ自信がないから、過渡期の処置と判断する人も。
<レベル2>
このレベルでは、数種類挙げておきます。というのも、それぞれの定義により、基本の菜食に加える食品が違ってくるからです。違いを分かりやすくするために表にしました。
ベジタリアン名 | 肉類 | 鳥類 | 魚類 | 乳製品 | 卵 |
ぺスコ・ポロ・ベジタリアン pesco pollo vegetarian | Ⅹ | ○ | ○ | △ | △ |
ポロ・ベジタリアン又はポロタリアン pollo vegetarian or pollotarian | Ⅹ | ○ | Ⅹ | △ | △ |
ぺスコ・ベジタリアン又はぺスカタリアン pesco vegetarian or pescatarian | Ⅹ | Ⅹ | ○ | △ | △ |
ラクト・オボ・ベジタリアン lacto ovo vegetarian | Ⅹ | Ⅹ | Ⅹ | ○ | ○ |
ラクト・ベジタリアン lacto vegetarian | Ⅹ | Ⅹ | Ⅹ | ○ | Ⅹ |
オボ・ベジタリアン ovo vegetarian | Ⅹ | Ⅹ | Ⅹ | Ⅹ | ○ |
文章でこれらの種類を簡単にまとめると、
・鶏肉と魚介類を食べるのは、ぺスコ・ポロ
・鶏肉だけ食べるのは、ポロ
・魚介類だけなら、ぺスコ
上記3種類の人たちは、乳製品や卵は食べたり、食べなかったりします。
・乳製品や卵は大丈夫な人は、ラクト・オボ
・乳製品はいいけど、卵がダメなのは、ラクト
・卵だけだったらいいのは、オボ。
ということになります。
<レベル3>
これまでは、菜食以外のものも取り入れているベジタリアンでしたが、ここで一気に真剣さが増してきます。
【ダイエタリー・ビーガン】“dietary vegan”
ただ単に「ビーガン」と呼んでもいいのですが、ここではあえて区別することにしました。
つまり、食生活に関しては、動物性由来のものは、肉の塊であれ、エキスであれ、加工された乳製品や卵であれ、一切摂らない人たちのことです。
【ビーガン】“vegan”
究極の菜食主義者の種類です。これは、単に口に入れるものだけに終わりません。
動物を殺生することに反対する思想からきているので、家具から、身につける物や化粧品に至るまで、動物由来の物を一切否定します。
【フルータリアン】“fruitarian”
ビーガンは、動物愛護の精神に基づく倫理観から来たものですが、植物にも命がありますよね。
野菜を食べる場合、根っこから、いわゆる根こそぎとって食べることが多いので、その植物の生命を奪うことになります。
でもフルータリアンなら、木はそのままで、果実や木の実だけを採取すればいいので、プラントの命は保たれるわけですね。
ただ、栄養的にはどうなんでしょうね。フルーツには含まれない栄養素の欠乏で、健康状態が危ぶまれる気がしますが・・・。
<番外編>
【マクロビ(オティック)】“macrobiotique”
東洋の思想である、「身土不二」「一物全体」「陰陽調和」の3つの概念から来た、自然の理にかなったバランスのとれた食事を目指すものです。
動物性食品は基本的に避けているので、ベジタリアンとの共通点も多いのですが、食材の選び方には独特なものがあります。
身土不二(しんどふじ)というのは、「人の身体は、その人が住んでいる土地とは切り離せない」という、「地産地消」の考えからきています。
一物全体(いちぶつぜんたい)は、魚なら頭から尻尾まで、野菜なら皮や葉を含めた分まで全体をいただくことで、バランスが整うという意味になります。
陰陽調和の説明は要らないと思いますが、食材の陰と陽の性質を考えて、極端に偏ったものは口にしないという考え方です。
菜食主義者になった理由による分類
【ダイエット系ベジタリアン】
アメリカでは特に肥満の数と質が半端ではないので、高カロリー食を避けるために、自らに食事制限を課す理由でベジタリアンになる人は多いですね。
【宗教的ベジタリアン】
特定の宗教に属している限り、強制的に禁止されている食品があります。例えば、豚肉はユダヤ教やイスラム教ではだめで、牛肉はヒンズー教では禁止です。
【哲学的ベジタリアン】
体には何の抵抗もないけれど、動物を殺生するのはいかがなものかというタイプです。この場合、命を奪うものでなければいいので、乳製品や卵はOK。
【アレルギー系ベジタリアン】
肉アレルギーは稀ですが、ごく一部には存在します。でも大抵何らかの肉は大丈夫だったり、魚はOKだったりするので、かなり緩めのベジタリアンですね。
一口にベジタリアンといっても様々な形があります。アメリカでは、人口全体の約9%強くらいがベジタリアンだと言われています。
だから、スーパーの冷凍食品の棚には、肉類にとてもよく似せて、巧妙に作られた種類のべジ製品が数多く並んでいます。
いろんな理由でベジタリアンになるかと思いますが、その他大勢の雑食者にしても、元はと言えば、すべて生命のあるものをいただくわけなので、決して感謝の気持ちを忘れてはいけません。
その点、日本の食事マナーは誇っていいと思います。食事前に発する「いただきます。」の本当の意味を、今一度かみしめて、他の命をいただきたいですね。