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テーブルマナーはアメリカでも一定のルールがあります。かなり緩やかだとは思いますが、やはり基本の考えを知った上でふるまった方がいいですね。
マナーがどうして存在するのかというと、決して恰好を付けるために守るのではなく、その場にいるみんなが気持ちよく時間を過ごすためにあるものなのです。
ですので、海外のレストランでの食事に限らず、誰かの家にお呼ばれしたときにも、最低限のエチケットを知っておく必要があります。
パーティーマナーも含めて、食前、食中、食後に分けて、アメリカで常識とされる西洋料理のテーブルマナーについて解説していきます。
食事以前に知っておきたいアメリカのマナー
<来訪のエチケット>
誰かの家のディナー・パーティーに招待されたら、まず時間を守ることは、基本のキです。ただし、早く到着しすぎるのも考えものです。
なぜかというと、ホステスがぎりぎりまで準備にかかっていることもあるので、ゲストが早々と来てしまうと、相手をしないといけないし用意はあるしで、困らせることになるからです。
言い訳になるかもわかりませんが、うちの主人は、少しだけ遅れたときには、”fashionably late”という表現を使って、さもホストに気を遣っている風を装います。
でも、アメリカでよくある「サプライズ・パーティー」の指定時間に遅れることは、厳禁です!全ての計画を台無しにしてしまいますからね。
<主催者へのギフト>
一説には、花やワイン、デザートの類は、主催者がすぐに飾ったり、またサービングテーブルに並べたりする手間をかけるとして、避けるべきという方もいます。
でも実際にアメリカでは、私邸でのパーティーは99%カジュアルだし、ポットラック形式も多いので、この種のギフトは普通に大丈夫です。
<食事開始のサイン>
ホスト、もしくはホステスが着席して、テーブルのナプキンを取ったときです。なおかつ、実際に食事を始めるのは、やはりホストがフォークやナイフを手にしたときです。
ただしカジュアルなパーティーの場合、または、ホストがあらかじめ「料理が冷めないうちに早く始めてね。」と言ったときには、先に食事を始めてかまいません。
なお、ナプキンを広げるときは、振り払うようにするのではなく、折ってあったものを広げるというのが正しい感覚です。
もしテーブルに所狭しと食器やグラスが並べられていて、隣客との境界がわからないときは、食べ物は自分の左側、飲み物は自分の右側に置かれているものだと思っておけばよいです。
アメリカのテーブルマナー:食事中のエチケット
<ナプキンのマナー>
ナプキンは、口元についた食事の汚れを軽くふくためのものなので、もしレストランでテーブルを汚してしまったのなら、サーバーを呼んで丁寧に頼み、拭いてもらいましょう。
軽い咳くらいは、ナプキンで口を覆ってすることに問題はありませんが、咳き込み始めたら、周りの人に”Excuse me.”と断って席を立ち、お手洗いで落ち着くまで待ちましょう。
このとき、ナプキンは軽くたたんで皿の横に置き、椅子を中ほどに進めてから中座するのがエチケットです。
アメリカ人にはハンカチで鼻を噛む人がよくいるのですが、これをナプキンでするのは、もってのほかです!顔を拭くのもいけませんよ。
<ワイングラスのマナー>
コースディナーの場合、最初からフルセットで食器が並んでいることが多いのですが、ワインを飲まないときに、勝手にグラスを逆さまに置き換えるのはNGです。
グループでワインボトルをオーダーして、サーバーが知らずにつぎかけたら、グラスの上にそっと手を置いて、要らないサインを出しましょう。
なお、ワインやお酒のペアリングを頼むと、料理が運ばれてくるたびに違うワインを注がれるわけですが、”all you can eat”のルールとは違って、毎回飲み干す義務はありません。
<カトラリーのマナー>
どの料理にどのフォークやナイフを使ってよいかわからないことがあるかもしれませんが、全てが最初から並んでいる場合は、外側から取っていくと間違いありません。
具材を切って食べるとき、左手にフォークの背を上向きにして持ち、右手にナイフを持って、一口か二口分切った後、アメリカでは右手にフォークを持ち替えていただく、ジグザグ方式が許されています。
ヨーロッパの伝統的なスタイルでは、あくまで左手のフォークと右手のナイフはずっとそのままです。ステーキ1枚分を一度に一口サイズに切り分けるのも、やってはいけません。
また、ワインを飲みたいときには、一度ナイフとフォークを皿の上に休ませてから、グラスに手をのばします。片手にフォークを持ったまま、ワインを飲むのはお行儀がよくありません。
食事中にお手洗いに行きたくなって席を外すときには、フォークは背を上向きにし、ナイフは刃を内側に向けて、皿の端にかかるようにして、八の字にに置いて席を立ちます。
スープをいただくときには、スプーンを手前から向こう側に動かしてすくい、口に運びます。決してすする音を立ててはいけません!
もしレストランでカトラリーを床に落としてしまった場合は、自分で拾うのではなく、サーバーに手で合図をして呼び、新しいものを持ってきてもらいましょう。
言うまでもないことだとは思いますが、カトラリーを人に向けたり、空中に泳がすのもマナー違反です。
<テーブル上の共通のものを使うときのマナー>
例えば、胡椒を余分にかけたいときに、入れ物が自分の手の届きにくい所にある場合、周りの人の前を横切って手をのばすのはNGです。隣の方に取っていただくよう丁寧にお願いしましょう。
なお、私邸に呼ばれて、明らかにホステス手作りのお料理が出されている場合、少なくとも一度は何もかけないで食事を口に運ぶのが、最低限のマナーです。
レストランであっても、出されたものにいきなり調味料をかけるのは、シェフに対する侮辱に当たります。
パンに塗るバターがいるときは、共通の皿から一度パン皿に移した後、手でパンを一口大に切ってから、自分のバターナイフで塗ります。いきなり自分のパンに共通のバターナイフで塗って、口に運びません。
<全体的なテーブルマナー>
子どものころから、家庭のしつけがしっかりしていれば、ことさら書き添える必要もないことですが、口を閉じて噛むのが基本なので、話をするのは噛み終わってからです。
また、人によって噛み癖があり、微妙にくちゃくちゃ音を出す方がおられますが、これは同席する者にとって、食事の間中気になる騒音なので、気をつけましょう。ゲップも厳禁です!
テーブルで肘をつくのはマナー違反です。カトラリーを持ってない手は膝の上に置いておきます。「ばっかり食べ」も大人らしくないので、皿の上の料理は満遍なく口に運びましょう。
グループでの食事は他の人にも合わせる必要があるので、食べ方が速い人、遅い人は、周りの様子を見ながらペースを調整することも技術の1つです。
テーブルマナーのみならず、パーティーマナーでもありますが、出席者の誰も気まずい思いをすることのない話題を選ぶのがエチケットです。宗教関係は避けた方がいいですね。
特にお酒が入ると、普段の政治信条を述べ始めたり、プライベートな質問を浴びせかけたり、かなり脱線する人が出てくることがあるので、要注意です!
興奮して必要以上に大声で話すのも騒音公害です。特に公共の場での食事の際には気をつけたいものです。独演会にならないようにしてください。
食後のテーブルマナー
<食事終了のサイン>
アメリカの私的なパーティーでは、会話も弾み、終わるところを知らない雰囲気にもなりますが、そこはホストの裁量でタイミングを見計り、ナプキンをテーブルの上に戻したときがサインです。
このときナプキンは、きちんとたたむのでもなく、またくしゃくしゃにしたままでもなく、ふんわり折って、皿の左側に置くのがテーブルマナーです。
フォークは背を下にして、ナイフは刃を自分の方に向けて、時計の4時20分になるように皿の上に置きます。使用しなかったカトラリーはそのままテーブルの上に置いておきます。
時間のないゲストは、この時点でお暇するのがスマートです。後はダイニングルームから場所を変えて、お茶を楽しんだり、お酒をたしなんで、主催者の迷惑にならない程度まで残るのも良いでしょう。
なお、食後にテーブルに腰かけたまま、爪楊枝で歯を掃除したり、女性の方はお化粧直しをしたりするのもいけませんから、お手洗いに行ってからにしてください。
<パーティー後のマナー>
ポットラックならいざ知らず、ホストやホステスが時間をかけて全ての料理を作って迎えたディナーパーティーの際には、後日、簡単な礼状を出すのがエチケットです。
主催者にしてみれば、ゲストの方々が本当に楽しんでくれたのかどうか心配なので、一言御礼とねぎらいの言葉をかけてもらうと、とてもうれしいものです♪
アメリカのテーブルマナー:まとめ
<行うべきテーブルマナー>“DO’s List”
・口を閉じて食べ物を噛む。
・食事中、ナプキンと使わない手は膝の上に置いておく。
・参加者全員が楽しめる話題を選んで、満遍なく会話に加われるようにする。
・テーブル上の遠くにあるものを使いたいときには、近くの人に頼んで取ってもらう。
・私邸に呼ばれた場合、ホームメイドの食べ物やワインのセレクションに対して、誉め言葉を述べる。
<やってはいけないテーブルマナー>“DON’TS List”
・携帯は切っておき、緊急の場合は、同席者に断った上で別の場所に行って使用する。
・大声で話したり、自分独りで長々と話したり、誰かが不愉快になるような話をしない。
・手指についた汚れや、ナイフについたソースを舐めない。
・食べ物を噛みながら話をしない。
・ナプキンで鼻をかまない。
・テーブルに肘をつかない。
・お皿を持ち上げない。
・ゲップをしない。
いかがでしたか?これまで知らずに行っていた悪い習慣はなかったでしょうか?
もちろん、世界にはそれぞれの国によって違う食習慣が存在するので、ある国では許されることも、他の国や地域では御法度、ということも多くあります。
このページでは、アメリカでの一般的なテーブルマナーについて解説しました。もし外国へ旅行されるときには、あらかじめその地域の文化的な背景をある程度学んでから行かれることをお勧めします。
1つだけ共通して言えることがあります。それは、マナーの基本として、「周りにいる人に不愉快な思いをさせない」という点です。
これをいつも頭に置いておけば、たいていの場合、うまくいくはずです♪
なお、テーブルセッテイングに関しては、こちらの記事が参考になるかと思います。