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野菜料理の名前で有名なものは、どのくらい頭に浮かんでくるでしょうか?
ベジタリアンということではなく、肉や魚が加わったとしても、野菜が主な材料になって作られているという広義の意味で、皆がよく知っている野菜料理の名前を挙げてみたいと思います。
特に西洋料理、および、カタカナの名前でよく知られているものについて、グループ別に整理していきます。各ジャンル内では五十音順に並べています。
野菜料理の名前:メインディッシュ
【コテージパイ】”cottage pie”
コテージというのは、よく言えば別荘的な、カジュアルに言えば山小屋的な住まいを指します。古くは農業を基盤とする人たちが住む田舎の質素な家屋の意味になります。
つまり、貧しい人たちが主食としていたジャガイモをメインに使った料理ということです。下には挽肉を敷き、上にマッシュポテトを、分厚いパイ皮のようにかぶせて作る、イギリスのミートパイのことを言います。
ところが後に、このパイ料理は「シェパーズパイ」とも呼ばれるようになり、2つの名前の区別をつけるために、シェパーズは羊飼いの意味なので、使う挽肉は羊肉。コテージの方は、牛肉を使ったパイを指すことになりました。
アメリカでは、よく似たパイ料理を「カウボーイパイ」と名付け、ニュージーランドでは、もっと単純に「ポテトパイ」と呼んでいるようです。
【チリコンカン】”chili con carne”
アメリカでは、ただ「チリ」”chili”と呼んでいます。メキシカンのイメージですが、今は北米になっていても、メキシコと国境を接する地域は、その昔はメキシコだった所があります。
たとえばカリフォルニア州やテキサス州の一部です。このチリコンカンは、そのテキサス州南部発祥の料理と言われていて、元はと言えば、挽肉だけが主な具材だったのです。
ところが、大恐慌を経験するにあたり、安価な挽肉を使って、もっとお腹がふくれるように、豆をたくさん入れ、トマトも加え、とする内に、現在のようなスタイルになり、今ではむしろ、豆が主体の料理に思われる方が多いです。
アメリカでは、フットボールのテレビ観戦には、ピザかチリかというくらい、人気の庶民料理になっています。鍋に大量に作っておけば、ホストも、いちいち立ち上がらなくても、みんな勝手にセルフサービスできるからですね。
そんなポピュラーな料理なので、豆や肉の種類を変えることで、様々な組み合わせを楽しむことができ、むろん完全ベジタリアンにもできます。
というわけで、アメリカには、チリコンテストなるものがあります。
私も過去にいろんなチリコンカンのレシピを試してきましたが、ある年のコンテストで優勝したレシピを、マイブログ「世界の家庭料理からもてなし料理のレシピまで集めよう」に載せているので、よろしかったら参考にして下さい。
【ラタトゥイユ】”ratatouille”
フランスのニースが発祥の地で、野菜がたっぷり入ったトマト味の煮込み料理の名前です。特に夏野菜を多く使っていて、ハーブ類もたくさん加えます。パンやパスタとともに食べるのが一般的です。
アニメ映画の「レミーのおいしいレストラン」の原題は”ratatouille”です。普通、ネズミがキッチンに出没すれば、殺されてしまいそうですが、そこを逆手にとって、シェフの助っ人になるところが奇想天外の楽しい映画でした。
【ロールキャベツ】”stuffed cabbage roll”
日本の家庭でもお馴染みのロールキャベツの原型は、トルコ料理の「ドルマ」だと言われています。ドルマの場合は、ブドウの葉で具材を包みます。
キャベツの外側の大きい葉で、下味をつけた肉やご飯を包むので、同じ大きさのロールを作ろうと思うと、一玉では難しくなります。
トマトソースで煮込むのが一般的ですが、ホワイトソース・バージョンもあります。純和風のものでは、おでんにも登場したりしますね。
野菜料理の名前:スープ編
【オニオンスープ】”onion soup”
ヨーロッパの国々では、それぞれの特徴を持ったオニオンスープがあるかと思いますが、一番有名なのは、「フレンチ・オニオンスープ」ですね。
玉ねぎをゆっくり時間をかけて、焦がすことなくきつね色になるまで炒めてから、スープを注いで個々のボウルに入れ、フランスパンを浮かべて、とろけるチーズをかけてオーブンで仕上げるという、手間のかかる工程です。
私も何度か作ったことがありますが、余裕のあるときにしかできません。でも、冷凍物でも、結構おいしいものが出回っているので、食べたくなったときのために、市販のものを冷凍庫に保存しています。
【ガスパチョ】”gazpacho”
スペイン系ののコールドスープの名前です。お酢が入っていて、夏の食欲のないときでも、食べやすい野菜料理です。
基本の赤いスープは、トマトやキュウリが中心となって、オイル、酢、塩、ニンニクなどで味付けをしますが、グリーントマトやピーマンを使えば緑色になります。また、エビやカニといった魚介類を入れた豪華版もあります。
また、イチゴやスイカなどのフルーツを使って、もっとのど越しよく、あっさりと仕上げるものもあり、いろんなバージョンを楽しめます。
【ヴィシソワーズ】”Vichyssoise”
初めてこの冷たいスープを飲んだときには、何ておいしいスープなんだろうと感激したことを覚えています。それにフランス語の響きがとてもおしゃれで、ぜひ家でも作ってみたくなりました。
でも実は、フランス生まれではなく、このスープを考案した、ニューヨークのレストランシェフがフランス人で、ヴィシーの出身だったことから、この名前が付いたそうです。
たっぷりのリーキとジャガイモを炒めてスープを注ぎ、煮込んでから裏ごしをして滑らかになった後、生クリームを加えて作り、よく冷やしてからいただきます。本当においしいです。
野菜料理の名前:サイドディッシュ
【テイタートッツ】”Tater Tots”
ポテトをおろしたものに塩と粉をまぶして、小ぶりの俵形にまとめて揚げた野菜料理の名前で、オレアイダ社の登録商標になっています。
つまり、ティッシュぺーバーという代わりに、クリネックスと言えば通じるのと同じです。
アメリカの子どもで、これを嫌いな子はほとんどいないでしょう。
【ナムル】”namul”
韓国の野菜料理の名前で、手早く作れる一品なので、日本でも一般家庭で人気ですね。塩ゆでした野菜をごま油とスパイスで和えるだけの素朴な味です。
素材としては、もやしが一番よく利用されていますが、いろんな野菜で作ることができます。
【バーニャ・カウダ】”Bagna cauda”
フォンデュは、チーズソースを鍋に入れて、野菜や肉をつけて食べますが、バーニャ・カウダは、アンチョビとニンニクを主体にしたソースにつけていただきます。
バーニャ・カウダ専用のポットがあって、市販のソースも多く出ているので、それを使えば、あとは生野菜やゆで野菜を用意するだけです。
【ハッシュドポテト】”hash browns”
アメリカで週末、ブランチを出しているレストランに行くと、卵やベーコンに加えて、ほぼどこでもメニューにあると思われる野菜料理の名前です。
細切りにしたじゃがいもに小麦粉をまぶして、パンケーキのように平らにのばし、フライパンで炒めたりオーブンで焼いたりします。市販の冷凍食品には、楕円形に整えられたものが多いです。
【ベイクドビーンズ】”baked beans”
アメリカの食料品店に行くと、ベイクドビーンズの缶詰が各社様々、所狭しと並んでいます。中にはソルトポークやベーコンが入ったものもありますが、私は豆だけの方が好きです。
基本は白い小さめの豆を使って、ブラウンシュガーやハチミツ、メープルシロップやモラッセズなどとともに、長時間かけて甘く煮詰めます。
ホットドッグのお供に出てきたり、フライドチキンのお店でもメニューにあり、甘くておいしいので、見つけるとすぐ注文してしまいます。
私は、食パンにベイクドビーンズと、とろけるチーズを載せて焼いて食べるのが好きです。ちなみに、英語の発音は、「ベイクト」と濁りません。
いかがでしたか?
決してベジタブルオンリーではない、野菜料理の名前を挙げていきましたが、まだ召し上がったことのないものはあったでしょうか?
なお、野菜サラダに関しては、別のページで、「サラダの種類の名前」に関して詳しく説明していますので、また参考になさってください。