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パイ生地の作り方のコツを知ると、失敗が少なくなります。
レシピはいろんなところから入手できると思うので、このページでは、どんな道具や材料をそろえて、どのように生地を混ぜて、のばすときにはどんな注意が必要なのかといったことを、順を追って説明していきます。
パイ生地の作り方のコツで知っておきたいこと
<道具類の準備について>
パイ生地を上手に作るために、適切な道具類があると、作業もはかどります。
もし生地を手ごねで用意する場合は、ボウルの他にパイブレンダーが必要です。小麦粉にバターを混ぜていくとき、手の指でバターをつぶしていくのは大変です。爪の中にもたくさん入り込みますしね。
私はもっぱらフードプロセッサーを使うので、生地をこねる段階は、かなりスピードアップできます。容器のボウルも食器洗い機で洗えるので楽です。
パイ生地が用意できたとして、それを平面でのばすときに、いちいち大きさを計測しなくてもよい、便利な下敷きがあります。生地がはがれやすい素材なので、パイ皿に移すときも、そんなに苦労しません。
また、のばしたい円の直径によって、あらかじめパイ皿より大きめの円になった、チャックができるビニールの袋があります。この中に生地を入れてのばしていくと、計測しなくても適切な大きさのものが作れて便利です。
上記の便利商品がなかったとしてもパイ生地は作れますが、麺棒は必須です。私は昔、木製のものを使っていましたが、今では引き出しの奥に眠ったままです。
というのは、ノンスティックのものを使い出すと、よく生地が棒にまとわりつく木製は、面倒で使えなくなりました。
「弘法は筆を選ばず」という言葉がありますが、いくらパイ生地の作り方のコツを知っていても、いい小道具があれば、使うにこしたことはありません。
<パイ生地の材料について>
パイ生地のレシピにある物を混ぜるわけですが、ある程度、どうしてこの材料を使うのかという理屈をわかっていると、持っているレシピ通りにしなくても、少し応用を利かせたりして実験することもできます。
―バターを使うかショートニングを使うかー
これは一番大きな疑問だと思います。この判断をするためには、バターとショートニングのそれぞれの性質を知る必要がありますね。
どちらも同じ脂肪を与えてくれる材料ですが、バターには水分が含まれているのに対して、ショートニングは純粋に脂肪のみなのです。
パイ生地の作り方のコツとして、一番気になるのは、どうすれば適当な軟らかさに到達できるかということです。
小麦粉と水を混ぜることで、たんぱく質がくっついて、グルテンという、粘りのある性質を作り上げ、このお陰で生地がつながることになります。
ですので、水分が少ないとパサパサになるし、多すぎるとベタベタになって取扱いに困ります。このバランスを最善に持っていくためには、バターとショートニングを両方組み合わせた方がいいのです。
難しいのは、その割合になりますが、大体成功しやすいのは、バターが3に対して、ショートニングが2と言われています。
―水以外のものを混ぜてもいいか―
パイ生地を混ぜるときには、小麦粉に脂肪分を混ぜてから、最後に冷水を混ぜますね。このとき、トリックとして、水分の一部をウォッカに置き換えてみてもいいのです。
グルテンを形成するのは純粋な水なので、入れすぎるとパイ生地が固まってしまうのですが、少しアルコールを加えることで、生地を軟らかく保ったまま、適度な水分を補うことができるのです。
使用する目安としては、水とウォッカを1対1の割合で使うといいです。いずれにしても、冷やして使うのがコツです。
<生地を混ぜるときのコツ>
パイ生地を混ぜるとき、私はフードプロセッサーを使います。そうすると、冷たい状態の脂肪や水分の温度が下がらない間に、短時間で生地を混ぜてしまうことができるからです。
急いでいるときは全ての工程をプロセッサーで終えますが、ゆっくりしていれば、粉類に小さく切ったバターやショートニングを混ぜて回し、粗い粒状になった後、ボウルに移します。
ここから、生地の様子を見ながら、少しずつ水分を補給していきます。ボウルの周りから生地が簡単にはがれるようになったら、ひとまとめにして取り出し、ディスク状にのばしてラップで包み、最低1時間は冷蔵します。
パイ生地がパサついていると、後で全くのばすことができないので、少し緩め位の生地の方がいいです。冷蔵している間に固くなるし、軟らかすぎるようだったら、粉をたくさん振るった上でのばせば何とかなります。
よりフレーキーなパイ生地に仕上げたければ、最初に小麦粉の半量だけを、脂肪分の全量と混ぜておいて、次に残りの小麦粉をサクッと混ぜると、グルテンが完全に形成されない部分もできて、パリッと焼き上がります。
<パイ生地をのばすときのコツ>
パイ生地の作り方の中でも、多分のばし方が難しいと感じていらっしゃる方が多いのではないでしょうか?
道具類の準備のところで紹介したように、ある程度小道具をそろえておくと、かなり時間と労力を節約できますが、加えてコツを把握しておくと、よりスムーズに作業を進められます。
ではまず、作業を行うカウンターから入ります。脂肪分や水分を冷たい状態にしていても、夏場や、暖房の効いた冬の部屋であれば、パイ生地をのばすときに使う平面がぬくもっているときがあります。
この問題を解消するためには、あらかじめジップロックに水を入れて凍らせておいた袋を、作業開始20分前くらいから、2つか3つカウンターの上に置いておきます。取りかかる直前に取り除いて、タオルで水滴を拭きます。
こうすることで、冷たい平面で生地をのばすことができるので、のばしている間にも、どんどんパイ生地が緩んでしまう危険を、少しでも先延ばしできるというわけです。
私は、円周が印刷されている特製下敷きを持っていますが、何もなくても、パイ生地の左右に定規を置いてのばすこともできるし、カウンターの上にマスキングテープを貼って、それ以上はみ出ないように目印にすることもできます。
で、生地をのばすときのコツですが、まず平面に粉をまぶすこと。次に、最終的に広げたい大きさの直径よりも長い麺棒があれば、ディスク状のパイ生地の真ん中に横に置いて、中央から上に、中央から下に動かすことです。
これを、麺棒を上下にコロコロ動かして、同じところをいったりきたりすると、グルテンが強くなりすぎて、生地が硬くなってしまいます。
少しのばしたら、スクレーパーか何かで生地を持ち上げ、円の約4分の1、つまり90度回転させ、違う方向から、また麺棒でのばします。これを繰り返して、少しずつ円を大きくしていくのです。
長い麺棒がない場合、右利きなら、棒の端を円の中央に置いてしっかり押さえ、時計の針が進むのと同じ方向に、棒の右側を円の4分の1ずつ下にのばしていきます。後は、その都度生地を持ち上げて回転させていけば大丈夫です。
回転させるごとに、平面に少し粉を足すことで、ほぼくっつきを防げます。パイ皿の直径より約10cmくらい大きくなったら完了です。
以上、パイ生地の作り方のコツを、下準備からのばすところまで説明しました。次のパイづくりに生かしていただけると幸いです。
余裕があったら、小道具もそろえてみてください。一度使い出すと、もう後戻りできなくなります。