乾燥食品の加工方法って?ドライフードの仕組を知ると面白い

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乾燥食品の加工方法

乾燥食品の加工方法と聞くと、どんなものが思い浮かびますか? フリーズドライ方式で作られるみそ汁は結構おいしいので、時間のない時には大助かりです。

 

都会の住宅では無理かもわかりませんが、少し郊外に行ったり、庭が広くお天気に恵まれた所なら、昔懐かしい天日干しという基本的な作り方もありますね。

このページでは、乾燥食品の加工方法を探った上で、乾燥状態に加工された食品のメリットやデメリットも考えたいと思います。

 

乾燥食品の加工方法にはどんな種類が?

 

大きく分けて2つあります。それは自然の力を借りて行うものと、人工的に加工するものです。中には両方の長所を生かしたハイブリッド方式も可能です。

商業的に生産されている乾燥食品には、多くの細分化された加工方法がありますが、以下に比較的わかりやすい方法を挙げておきます。

 

自然乾燥

・天日乾燥

お日様に恵まれた地域では、自然の恵みを最大限に生かせる加工方法ですね。周りに食い荒らす動物や虫たちがいなければ、何のコストもかからず、ゆっくりのんびりできる方法です。

 

・日陰干し

読んで字のごとく、陽が当たらない場所に食品を置いて、風通しの良い所で自然乾燥させる方法。直射日光に当てると色落ちが気になる食べ物に適しています。水分量の少ない物がいいですね。

 

・凍結天日乾燥

真冬の寒い地域で行われる加工方法です。外気が零度以下の自然環境の中で凍結させた後、解凍し、これを繰り返した後、天日で完全乾燥させます。わかりやすい乾燥食品の例では、高野豆腐とか寒天があります。

寒天

 

人工乾燥

・温風乾燥

乾燥食品の人工的な加工方法の中でも、最も一般的な方法。野菜や果実に熱源を使って熱風を送ることで乾燥させます。衣類の乾燥機も同じ原理を使っています。

 

・低温乾燥

こちらはクーラーの除湿機能の原理と同じで、冷たい風を当てることで乾燥食品を作ります。熱風を送って乾燥させるよりも時間がかかるのが難点です。

 

・噴霧乾燥

エスプレッソパウダーとか粉ミルクのような粉末状の乾燥食品を作るときに用いられる加工方法です。液体状の食品を容器の中で噴射させたときに熱風で瞬間乾燥させるもの。

噴霧乾燥食品

・加熱乾燥

食品に目に見えない遠赤外線を照射することによって乾燥させる方法と、もっと波長の短い近赤外線を使って水分を蒸発させる、2つの加工方法があります。

 

・凍結真空乾燥

フリーズドライといった方がわかりやすいですね。味噌汁もこの加工方法で作られたものを使うと、一から出汁をとって作るものとほぼ変わらない仕上がりが期待できます。

フリーズドライ味噌汁

冷凍した後、真空状態で解凍しながら乾燥させるというもので、加工の工程で熱を加えないことから、元の食品の風味を保つことができるのですね。この方法で、災害時の非常食や宇宙食などが作られています。

非常食ご飯

・減圧フライ乾燥

エアーフライヤーを持つ家庭も多くなりましたが、こちらは言ってみれば、真空フライヤー。つまり真空状態の中では低温で沸点に達するという原理を使ってフライ乾燥させるので、バキュームフライと言われています。

ドライフルーツ野菜

油の温度が低いと、食材が持つ本来の風味や香り、また栄養素をできるだけ壊すことなく加工できるので、ドライフルーツや野菜チップスを作るのによく用いられている加工方法。

 

・オーブン乾燥

家に食品乾燥機がなくてもできる方法は、オーブンを使うことです。ただし、摂氏60度(華氏140度)に設定できるオーブンでないと、食品を乾燥させる前に調理してしまうことになるので注意が必要。

残り野菜や、一時に大量に収穫された果物類などを薄く切ってオーブンに入れ、数時間低温で動かしておけば、手軽に乾燥食品ができます。皮付きのまま野菜果物を有効活用でき、食品ロスを防ぐ手立てにもなります。

食品乾燥機

・マイクロ波乾燥

家庭で簡単に乾燥食品を作るには、電子レンジの解凍機能が使えます。水分の多い果物類は20~40分かかることもありますが、ハーブ類なら数分で可能です。

 

 

自然乾燥と人工乾燥の長所と短所

自然乾燥はコストがかからず、少量でも大量でも、場所さえあれば自由に作れる反面、天候に左右されやすく、乾燥工程をしっかり管理していないと、カビが生えたり虫が付いたりすることがあります。

人工乾燥はその点、天候の影響はなく、衛生面も安心できて、比較的短時間で加工できるのも良いところです。ただし、いずれの加工方法にしても、機器のコストがかかり、一般に手に入る器具では一度に多くは処理できません。

 

 

乾燥食品に加工することのメリット・デメリット

メリット

・家庭でも比較的容易に乾燥加工することが可能

・食品によっては、甘みが凝縮されることで旨味が増すことがある

・ほぼ栄養価を保持したまま、食品の寿命を延ばすことができる

・持ち運びが便利で、キャンプやハイキングにも携帯が楽

・食品のかさが減るため、保管場所を節約できる 

 

デメリット

・見た目や口当りが大きく変わる

・乾燥食品を調理するとき、まず水につけて戻す手間がかかる

・加熱乾燥を施した加工方法の場合、高温で酵素や特定のビタミンを失うことがある

 

 

乾燥食品の加工方法を、家庭的なものから商業的なものまで取り上げてみました。最後に加工することのメリットとデメリットを比較しましたが、利点の方が多いように思います。

乾燥食品は長期保存ができるので、つい面白い食材の物を買ってきて棚に入れたまま忘れてしまうこともあります。食品である限り、定期的に棚卸をして確認し、食品ロスを防ぎたいですね。