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パンの種類って、アメリカではどんなタイプのものが売られているのでしょうか?
全体としては、日本のように美味しさを追求するよりは、ヘルシー志向のものが多いです。人種のるつぼという国柄もあって、世界各国のパンの種類も豊富です。
アメリカのスーパーやベーカリーでは、具体的にどんな種類のパンが手に入るのか、主な形に分けて、例を挙げていきます。
アメリカのパンの種類
ローフ型
“Baguette Bread”
バゲットは、日本ではフランスパンの名前で呼ばれることが多いかもわかりません。大体の意味は、「バトン」になるので、あの細長いパンの形にも納得がいきます。小麦粉、水、イースト、塩だけで作られているシンプルなパンです。
“Brioche Bread”
ブリオッシュもフランスのパンですが、バターと卵がたくさん入っているので、とても軽くて軟らかく、ふわふわした食感が味わえます。表面に卵液を塗ってから焼くので、黄金色に仕上がり、ほのかな甘さがたまりません。
“Challah Bread”
八ッラーは、ヘブライ語で、ローフとかケーキに当たり、イスラエルの12種族を表すように、同数の山を形作ったパンです。卵を多く使っているので黄色くなっています。表面には、ゴマやポピーシードを散らしたものが多いです。
“Ciabatta Bread”
チァバッタは、イタリア語で「スリッパ」の意味になります。外側はカリッとしていて中には空気がたくさん入っています。パンの基本の材料にオリーブオイルを加えて作られていて、1982年に登場した比較的最近の種類のパンです。
“Multigrain Bread”
マルチという名前が示す通り、このパンには2種類以上の雑穀が含まれており、ビタミンやたんぱく源にもなる、アメリカで人気のヘルシー志向のパンです。大麦、小麦、オーツ、ミレットに、キヌアや亜麻仁、ひまわりやカボチャの種、チアシードなど、組合せは無限です。
“Pumpernickel”
プンパーニッケルは、当初はサワードウ・スターターで作っていました。ライ麦パンを少し甘くした黒くてずっしりとしたパンで、高温で短時間に焼き上げます。ドイツ発祥で、元の意味をたどると、”devil’s fart” とか。このパンを食べた後はお腹の動きが活発になりそうです♪
“Rye Bread”
ライ麦パンは繊維質が豊富で、白いパンに比べると、グリセミック指数が低いので、血糖値の急上昇をある程度抑えてくれるパンです。ライトとダークがあり、時にはこの2色をマーブル状に練りこんだものや、キャラウェイシード入りのものもあります。
“Soda Bread”
ソーダブレッドの “soda” は重曹のことで、バターミルクと組み合わせることで、イーストの代わりにパンを膨らませてくれるので、発酵させる手間もいらず、後は小麦粉と塩があれば簡単にできる “quick bread” として知られています。
“Sourdough Bread”
サワードウ・スターターで作るパンです。外皮は厚く、中は噛み応えのある生地です。古典的なパンの種類の1つで、その起源をたどると、スイスで紀元前3500年頃から作られていたと言われています。名前の通り、独特の酸味が感じられます。
“White Bread”
白い食パンで日本に勝る国はありません。断言します!アメリカの精白パンは、普通、「サンドイッチパン」と呼ばれ、大手メーカーで大量生産されるものだけで、美味しさからはほど遠いパンの種類です。栄養面でももほぼ価値のないものです。
“Whole Wheat Bread”
全粒粉パンは、精白する前の穀粒を使って作るので、色濃く、繊維質に富み、鉄分やマグネシウムといったミネラルも豊富で、栄養価値が高いパンです。その昔は金持ちだけが精白パンを食べていた時代がありましたが、ヘルシー志向の今では、パンの価値が逆転しています。
ロール型
“Biscuit”
ビスケットというと、日本ではクッキーやクラッカーの類になると思いますが、アメリカではクイックブレッドの種類の1つで、ディナーロールの代わりに出すことがあります。バターミルクを使って作ることが多く、食感はイギリスのスコーンに似ています。
“Corn Bread”
コーンブレッドは、コーンミールを使って、ベーキングパウダーで膨らますパンです。ネイティブ・アメリカンが作っていたものを、入植したイギリス人がまねて作り、主に南部料理によく出されます。少し甘味があり、ポロポロした食感です。形は色々あります。
“Hawaiian Bread”
ハワイアンブレッドは、”Portuguese sweet bread” としても知られており、とても軟らかくて甘いパンです。ハワイ版にはパイナップルジュースが入ることもあります。
フラット型
“Arepa Bread”
アレパは、コーンミールでできているグルテンフリーのパンで、コロンビアやベネズエラなどの南米で主食になっています。小ぶりの平らな円にして、焼いたり揚げたりして作ります。ビーフやチーズに豆などを中に入れたり挟んだりして食べます。
“Crumpet”
クランペットは、イギリス及び主に英国系の国々で食されるスナックパンで、イングリッシュ・マフィンと違い、片面しか焼かないので、底は平らで、表面には空気穴がたくさん見えます。口当たりは軽く、スポンジのような食感です。
“English Muffin”
イングリッシュ・マフィンは、アメリカでも人気で、厚みのある小円形の発酵パンで、表面にはコーンミールがまぶしてあり、半分に切ってバターやジャムを塗って、朝食やスナックに食べることが多いです。プレーンなもの以外に、ベリーを入れたり、シナモン風味もあります。
“Focaccia Bread”
フォカッチャは、イタリアから来た厚みのある平らな種類のパンで、ピザの生地によく似ています。オリーブオイルを塗ってから、好みでハーブ類を散らして焼いていきます。
“Lefse”
レフセはノルウェーの伝統的なフラットパン。地元ワシントン州には北欧からの移民も多く、スカンジナビア食も人気。ポテトがメインで、小麦粉、バター、ミルクやクリームなどを混ぜて、クレープを焼くような平らなグリルで焼き上げます。生地には溝のある綿棒の跡が特徴。
“Matso Bread”
マッツァーは、ユダヤ教のパスオーバーには欠かせない、大きいクラッカーのようなパンです。聖書に出てくる穀物の、小麦、大麦、ライ麦、オーツ麦、スペルト麦の5種類の麦のいずれかと水で作られる、発酵なしのパンです。
“Naan Bread”
ナンは、中央アジア由来のフラットブレッドで、ペルシャ語の “non” がパンを表します。ヨーグルトが入っているのが特徴で、表面にバターを塗って窯で焼き上げ、軟らかい仕上がりになります。インド料理には欠かせないパンです。
“Pita Bread”
ピタブレッドは、ポケットのある平らな発酵パンで、ギリシャをはじめとする中近東では、何と紀元前2万5千年の昔から作られてきました。普通は円形を半分に切って、袋の中に詰め物をして食べますが、ポケットのないバージョンもあり、その場合は具材をラップして食べます。
“Tortilla”
トルティーヤはメキシコ料理になくてはならない主食で、古代マヤ・アステカ文明の頃から存在します。初めはトウモロコシで作るコーン・トルティーヤだけでしたが、今では小麦粉で作るフラワー・トルティーヤも人気です。
その他の形
“Bagel”
ベーグルは専門店があるほど人気ですが、生まれたのは17世紀初頭、ポーランドのユダヤ人コミュニティーでした。イースト菌で発酵させた生地をドーナツ状にまとめ、一度茹でてから焼き上げます。プレーンを土台にいろんな素材を混ぜたものが出ています。
“Bread Stick”
ブレッド・スティックは、イタリア料理店でよく出てくる、棒状の細長いパンです。食事の時に添えるガーリックやチーズ味のものが多いですが、シナモンシュガーを振ったデザート用の種類もあります。
“Pretzel”
プレッツェルは、結び目を作ったような形に仕上げるパンで、最後に固形のソルトフレークを振ったものが主流です。でも中には、バーガー・バンのような形をしたものもあり、基本形の大きさも様々です。
用途別に応用できるパンの種類
【オードブルタイプ】
・バゲットは、薄く切ってトーストし、レバーペーストを載せると、クロスティーニになるし、トマトのマリネを載せるとブルスケッタになりますね。
・ベーグルは、普通のサイズは大きくてもっちりした生地なので、1つだけで満腹になりますが、ミニサイズのベーグルを半分に切って、クリームチーズをのばしてスモークサーモンを載せたりすると、ちょうどいいサイズのオードブルになります。
【サンドイッチタイプ】
・ローフ型のパンは、基本どれでもサンドイッチに使えます。ただ、ハッラーやチャバッタは、表面がぼこぼこしているので、2枚の形を合わせるのは難しいかもわかりません。
・ピタブレッドは、最初から袋状になっているので、サンドしなくても、中に具材を入れるだけでサンドイッチになるので便利です。
【ラップタイプ】
・フラットブレッドの中でも、しなやかな生地の、例えばフラワー・トルティーヤは、ラップに最適ですね。
・ナンブレッドは、普通インド料理で食べる時には、ちぎってそれだけを食べたり、カレーソースに浸けて食べることが多いですが、軟らかいので、ラップにすることも可能です。
【デザートやスナックに使えるタイプ】
・ブリオッシュは、もともとバターや卵がたっぷり入ってできているので、これをフレンチトーストにすると、週末のブランチやおやつになったりします。
・ビスケットを半分に切って、泡立てたクリームに苺を挟み、シロップをかけると、アメリカの「ストロベリーショートケーキ」ができます。渡米直後初めてこれを見たとき、絶対にこの名前では呼べないと思った記憶があります。
・クランペットは、どちらかというと、食事よりはスナックに食べる方が多いです。イングリッシュ・マフィンと同じように、トーストして熱い内にバターやジャムを塗るとおいしいです。余談ですが、英語の俗語に特別な意味があるので興味のある方は検索してみてください。
・レフセは、トルティーヤのように肉や野菜を具材に巻いて食事としていただくこともできますが、砂糖やシナモン、アメリカではピーナッツバターやジャムなどを塗ってデザートにすることが多いです。
・プレッツェルの大きさは自由自在に作れるので、小ぶりの物ならスナックにもってこいです。またチョコレートコーティングで仕上げると、デザートに変身します。
パンの種類は、この他にも世界中に無限に存在するのですが、アメリカの店やレストランで普通に食べられているものを挙げてみました。
でも正直、美味しいパンはやっぱり日本です。時々、アメリカにある数少ない日本のパン屋さんにも行きますが、帰国した時には、パン屋さんを梯子して食べまくります♪
想像を超える種類のユニークなパンも毎年登場するので、私の帰国の楽しみの1つになっています。日本にいる人がうらやましい瞬間です。