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メリーランド州の食べ物で一番人気は、やっぱり蟹かな?
それと、魚介類を中心に料理をする時に使う、「オールドベイシーズニング」というのが超有名で、ほぼオールマイティーに使えます。アメリカの家庭には大抵あるはずです。
他に、デザートやスナック類で特徴のあるものも多く、お酒関連ではビールやワインも人気の銘柄があるので、紹介していきますね。
メリーランド州の主食になる食べ物
肉類
Maryland Pit Beef
アメリカのバーベキューというと、時間をかけて焼くことが多いのですが、メリーランド州スタイルのピットビーフは、脂肪分の少ない内もも肉(トップラウンド)を直火で短時間焼くローストビーフのことです。
焼き具合は、どんなに焼いても、ミディアム・レアまで。薄切りにするときれいなピンク色が目立ちます。これに玉ねぎを加えて、マヨネーズとホースラディッシュを混ぜたソースを塗って、カイザーロールに挟んで食べます。
Stuffed Ham
メリーランド州の南部で生まれた、詰め物をしたハムで、ホリデーには欠かせない祝祭日定番のメインディッシュです。各種ハムを蝶開きにして、湯通ししたキャベツやケール、玉ねぎなどの野菜を詰め、全体をチーズクロスに包んで熱湯に浸けます。
その後、一晩冷蔵して冷たくしてから、翌日に食卓に出します。このスパイスの効いたハムの塊は、伝統的には10月の中旬から12月末にかけてよく出されますが、特定の店では一年中手に入ります。
魚介類
Coddies
コディーは簡単に言うと、魚入りコロッケです。マッシュポテトに塩だらや玉ねぎと、つぶしたクラッカーに卵を加えてまとめ、衣を付けて揚げます。マスタードを塗り、塩クラッカーに挟んで出すのが一般的で、1920年代からボルチモアで親しまれている食べ物です。
Crab Cakes
クラブケーキはどこにでもあるとは言うものの、カニが豊富なメリーランド州では、ほぼ余分なつなぎは要らず、大きな塊の蟹の身がごろごろ入っています。よって、味の濃いクリーム系ソースも不要で、ただレモンを絞ってかければ十分美味しいのです♪
Crab Soup
伝統的なメリーランド州のクラブスープには、クリームやシェリー酒は要りません。新鮮な蟹に、人参やそら豆、とうもろこしやインゲンなどの野菜を加えて、トマトベースで煮込み、オールドベイで味付けすれば出来上がり。
Lake Trout
看板に偽りあり、というか、メリーランド州ではこの名前で通っているので、誰もとやかく言わないのですが、本当は湖で獲れる鱒ではないのですね。では何なのかというと、実は大西洋岸に住む “Silver Hake”(メルルーサ)なんです。
これに、粉々にしたクラッカーとかコーンミールをまぶして、黄金色になるまで揚げ、ビネガーホットソースなどを垂らして熱い内に食べるのが、ボルチモアの庶民の人気の食べ方。
Rockfish
アメリカの他の州では、“striped bass” と呼ばれることが多いのがこのメバル。メリーランド州では、1965年に正式に「州の魚」として認定されました。マイルドな味の白身魚なので、いろんな方法で調理できます。
Steamed Blue Crab
メリーランド州の蟹と言えば、ブルークラブ。生きている間は青みがかっていても、茹でると、ちゃんと普通のカニのように赤くなります。1ダース単位で売っていることが多いです。
大きい鍋に一匹入れてはシーズニングを加え、又一匹と重ねていき、12匹全部入れて蓋をして、中強火で20~30分くらいすると、真っ赤になって食べられます。レストランでは、テーブルに新聞紙を敷いて、この茹で上がった蟹をドーンと広げるのが一般的です。
調味料
Old Bay Seasoning
オールドベイ・シーズニングは、1939年に、スパイスを専門に扱っていた、Gustav Brunn というドイツのユダヤ商人が開発したものです。ドイツでナチスの迫害を受け、アメリカのメリーランド州に逃れてきたのが始まりです。
最初は、蟹や海老に特化したシーズニングとなっていましたが、後にボルチモアに本社を置くマコーミック社が権利を買って販売するようになり、全国的に広がりました。今では缶の説明を読むと、ほぼどんな食材にも使えるように記載されています。
一応、オリジナルレシピは厳格に保護されているのですが、巷では、パプリカ、セロリソルト、黒胡椒、レッドペッパーフレーク、ローリエ、マスタード、メイス、オールスパイス、クローブ、ナツメグ、生姜、カルダモンを混ぜると、作れることが知られています。
これだけのスパイスを混ぜると、そりゃぁ、何にでも合うシーズニングになるでしょうね。ちなみに、「オールドベイ」というのは、“the Chesapeake Bay” の近くを走る蒸気船の名前から来ています。
メリーランド州の菓子・スナック類
クッキー・ビスケット
Berger Cookies
1835年に、ドイツ移民の、Henry Berger という人が発明したクッキーです。ハンバーガーの、burger とはスペルが違うので、ご注意ください。これは円いショートブレッドクッキーに、濃いチョコレートファッジを被せたものです。
ボルチモアのアイコンとも言える食べ物で、熱狂的なファンが多くいます。クッキーというよりは、アイシングを食べている感じが強いのですが、今では、“DeBaufre Bakeries” が製造しています。
Maryland Beaten Biscuit
今でこそ、焼き菓子を作るときには、ベーキングパウダーや重曹という便利な膨らし粉がありますが、そんな物がない19世紀の中頃まで、麺棒で生地を強くたたいては、折り込み、たたいては折り込むという作業を根気よく続けていたのです。
そうすることによって、小麦粉と塩にショートニングと水を加えただけのシンプルな生地が軟らかく滑らかになり、焼き上げたときには、外はカリッと、中はフワッとしたビスケットができあがりました。
この手法で作るビスケットを、メリーランド州で最後まで販売していた会社も、とうとう2013年に幕を閉じましたが、個人の家庭ではその伝統が引き継がれています。お子さんと昔ながらの手作りを楽しむのもいいですね。
Otterbein’s Cookies
オターバインズ・クッキーは、1881年にドイツ人の、Adam Otterbein がボルチモアにもたらした、とても薄くカリッとしたシュガークッキーです。今では5代目になるオーナーが、一日に4千袋近いクッキーを製造しています。
メリーランドの州旗をデザインした円い缶入りもあり、フレーバーは、チョコレートチップ、レモン、生姜、オートミールレーズンなどがあり、適度な甘さが評判で、ミニサイズもあります。
ケーキ
Smith Island Cake
スミスアイランドというのは、メリーランド州とバージニア州の境に位置するチェサピーク湾という所にある島です。まだわずかに人が住んでいるのですが、海面上昇によって侵食が激しく、22世紀にはなくなっているかも?という状況のようです。
メリーランド州で最も有名なケーキは、2008年に州の公式ケーキとして認定されました。通常、極薄の8層からなるケーキ生地の間には、チョコレートファッジ・アイシングが入っていて、とてもリッチなケーキです。
このケーキ菓子が島で生まれた1800年代には、普通のバタークリーム・フィリングを使って、毎年秋のオイスター・ハーベストの時に、西瓜と一緒に出されていたそうですが、ファッジの方が長持ちするため、今の形になりました。今ではオンラインで手に入ります。
スナック
Caramel Creams & Cow Tales
1895年にできた、“Goetze’s Candy Company” は、当初チューインガムの会社として発足したのですが、1917年にクリームキャンディーを作り始めたところ、これが看板商品となりました。
“Caramel Creams” は、中心にクリ―ム・フィリングが入っている、“bull’s eyes” に似た噛み応えのあるソフトキャンディーで、1つずつ個別包装されています。これを元に細長くのばして作ったのが、“Cow Tales” で、1984年に登場しました。
フレーバーには、バニラやチョコレート、ストロベリーにキャラメルアップルやブラウニーなどがあり、ミニサイズも出ていて、オンラインで買えます。
Crab Potato Chips
まあ、日本の「かっぱえびせん」的な感覚のチップスですね。“Utz” 出していて、蟹が入っているわけではなく、クラブ・シーズニングでフレーバーを出しています。
メリーランド州にはもう1社、“Herr’s” が出している、“Old Bay Potato Chips” があって、オールドベイ・シーズニングを使っているので、同様のカニ風味が楽しめ、両社とも甲乙付け難く、根強いファンが多くいます。
Fisher’s Popcorn
フィッシャーズが出しているキャラメル・ポップコーンは、1937年にオーシャンシティーのブロードウォークに出店したのが始まりです。袋入りもありますが、やはりブロードウォークには、タブ入りが似合いますね。
スティッキーなポップコーンには、ピーナッツやシナモン、バターやホワイトチェダー、それにオールドベイまで加味したフレーバーもあります。
Lemon Stick
レモンスティックは、“Baltimore lemon stick” とも呼ばれ、毎年5月初めにボルチモアで行われる、“Flower Mart” という花祭りに欠かせない食べ物です。アメリカでは夏になると、子どもたちがよくレモネードスタンドを構えますが、レモンスティックで資金集めをすることもあります。
レモンの端を少し切るか、全体を半分に切るかして、太いペパーミントキャンディーを突き刺して売っています。甘いキャンディーをなめると同時に、酸っぱいレモンジュースが混ざって、口の中で何とも言えないフュージョンを楽しむことができます。
Snowballs
これをカタカナで書くと、ルイジアナ州の料理で取り上げた「スノーボール」と一緒になってしまうのですが、ニューオリンズの方は、“Sno-Ball”というもので、別物なのです。また、スノーコーンとも違うし、ハワイ州の “Shave Ice” とも違います。
いろいろあってややこしいのですが、ボルチモアバージョンは、まず氷の目が粗いこと。それに甘い蛍光色のようなシロップがたっぷりかかって、マシュマロクリームのトッピングが付いていることが大きな違いです。1800年代から続くメリーランド州の夏の風物詩です。
メリーランド州のアルコール類
ビール
National Bohemian
1885年にボルチモアで生まれたラガービールで、地元の人々には、“Natty Boh” の愛称で親しまれてきました。でも時代を経て次々にオーナーが変わり、今では州外の会社が引き継いでいます。でも、髭を生やしたか片目のマスコット、“Mr. Boh” は今でも愛されています。
カクテル
Orange Crush Cocktail
東岸のビーチタウン、オーシャンシティーで生まれたスピリッツです。オレンジジュース、ウォッカ、トリプルセックかオレンジリキュールなどに、レモンライムソーダが合わさっています。メリーランド州に行ったら、クラブケーキのお供にしたいですね♪
ワイン
メリーランド州では、17世紀の中ごろからワインが作られ始め、生産量を順調に伸ばし、1984年には、ワインフェスティバルが開催されるようになりました。東海岸では、規模の大きい由緒あるイベントになっています。
州内には、Catoctin, Cumberland Valley, Linganore といった、有数のAVA “American Viticultural Area”(アメリカブドウ栽培地域)が存在し、各地で良質のワイン作りに寄与しています。
実は、メリーランド州には主人の妹さんが住んでいて、一度だけ訪ねていったことがあるのですが、食べ物のことはあまり勉強していなかったので、現地でもっといろいろ試してみたかったと後悔しています。
まあ、料理はともかく、スナックや菓子類はオンラインの購入も可能だし、スミスアイランドケーキはいつか自宅で作ったみたいなと思っています♪