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揚げ菓子って、世界にはどんな種類があるのでしょうか。誰でも一番に思いつくのは、やはりドーナツだと思いますが、世界には形を変えていろんな種類が存在します。
全世界で揚げて作っているお菓子を取り上げるのは大変なので、このサイトに即して、海外でも特に、欧米で人気の揚げ菓子に特化してまとめることにしました。
北米と、ヨーロッパに大きく分けて、あとは国別に整理して、名前のアルファベット順に並べています。
世界の揚げ菓子:北米編
アメリカ
“Calas”
カラスは、ルイジアナ州の料理のページでも取り上げましたが、茹でたご飯にイースト菌や卵、小麦粉や砂糖を加えてボール状にまとめて揚げ、粉砂糖をまぶしたものです。ニューオリンズでは主に、朝食時にコーヒーやカフェオレと一緒にいただきます。
“Cronut”
クロナッツは、“croissant” と “doughnut“ が合体した揚げ菓子です。2013年に、ニューヨーク市の Dominique Ansel というフレンチ菓子職人が発明したもので、幾層にもなったペーストリーの中にはクリームが入って、砂糖をまぶした上にグレーズがかかっています。
“Doughboy”
ドゥボーイは第一次世界大戦中の米兵のニックネームに使われた言葉ですが、ロードアイランド州では、揚げ菓子の名前なんです。大きくて平らなピザ生地を黄金色になるまで揚げて、思いっきり粉砂糖をまぶします。砂糖が揚げたての生地に吸収されて溶けていく食感がたまらないそうです♪
“Doughnuts”
もう触れるまでもありませんが、世界で愛されているドーナツ。元はと言えば、巡礼者が入植し始めた頃、オランダで、“olykoeks” (oily cakes) として知られていた揚げ菓子を、アメリカに持ち込んで定着していったようです。
当初は四角い形をしていて、真ん中の穴もなかったのですが、今の形になったのは、船乗りのハンソン・グレゴリーの発明によるものという伝説があります。このあたりの詳細は、メイン州の食べ物のページで紹介しています。
そうしてドーナツは、海外で戦うアメリカ兵の人気ナンバーワンのスナックになりました。今では有名チェーン店が至る所にありますが、移民が低資金で始められるビジネスとして、ファミリードーナツショップもあちこちに見られます。
“Elephant Ears”
名前が表す通り、形が象の耳に似ているから付いたもので、アメリカではフェスティバルやファーマーズマーケットでよく見られます。イースト生地を揚げた大きい円形で、揚げたあと砂糖とシナモンをまぶしてあり、“flying saucers” と呼ばれることもあります。
“Fried Coke”
初めてこの名前を聞いた時は、いや、液体は揚げられないでしょう、と思いました。これを開発したのは、コンピューターアナリストの、Abel Gonzales Jr. さんで、生地にコークシロップを混ぜて揚げ、更にシロップを注いでコップに入れ、泡立てクリームを載せました。
これを2006年のテキサス州フェアに出したところ、大ヒットして各州に広まったということです。私はまだ試食していませんが、コップ1杯で830カロリーというから、勇気がありません!
“Funnel Cake”
ファンネルケーキは、北米のカーニバルや遊園地でよく見る揚げ菓子です。生地を揚げる方法に特徴があって、名前にある漏斗から直接生地を揚げ油の中に落としていきます。その際、漏斗を左右斜めに自在に動かすようにします。
すると黄金色に揚がったときには、まるで太いパスタが絡まって団子状態になったように見えます。仕上がりはかなり大きくなるので、一人分というよりは、複数でちぎって食べていく感じです。ケーキのようにクリームでトッピングすることもあります。
“Maple Bar Doughnut”
アメリカ西海岸発のドーナツ・バリエーションの1つです。長方形で、中にホイップクリームかカスタードクリームを仕込み、メープルグレーズでトッピングします。店によっては、更にナッツやベーコンビッツを散らして出す所もあります。
カナダ
“Dutchie”
ダッチ―は、カナダの有名チェーン店、Tim Hortons が出している四角い揚げ菓子で、レーズンを含むイースト生地を揚げて、シュガーグレーズで仕上げています。アップル・フリッターと並ぶニ大名物ドーナツです。
“Timbits”
ドーナツホールは一般化していますが、Tim Hortons が出しているオリジナル商品は、ティムビッツと呼ばれて、同様の一口サイズのドーナツの原型になったとも言われています。
世界の揚げ菓子:ヨーロッパ編
イタリア
“Bombolone”
ボンボロンはトスカーナ地方発祥とされる揚げ菓子で、”bomb” から想像できるように、形がやや手榴弾にも似ているところから付いた名前のようです。クリームが詰まっている物を “bombolone laziale” と呼び、カロリーの高さから、お腹にとっての爆弾という意味も!?
“Castagnole”
カスタニョーレはイタリアのカーニバルに欠かせない揚げ菓子です。“castagne” というのはイタリア語で、“chestnuts” の意味になり、栗の実は入ってないのですが、形が似ていることから付いた名前です。中にはクリームやチョコレート、チーズなどが入っていたりします。
“Chiacchiere”
キャッキェレは、イタリア各地のカーニバルで常連の、薄くい長方形の揚げ菓子ですが、地方によって呼び方が異なり、同じパン生地でも、“cenci” や “sfrappole” や “crostoli” 以外の名前もあります。
何でもサヴォイのマルゲリータ女王が、ゲストをもてなすために宮廷調理人に作らせた菓子だそうです。ちなみに、「マルゲリータ」と聞いて、何か思い出しませんか? そうです、あの人気のピザの名前も実は、この女王由来なんですね。
“Struffoli”
ストゥルフォリは、ドーナツホールよりもっと小さい極小のハニーボールです。”Chiacchiere” の生地にも使われています。通常、ハニーやシナモンと混ぜて、ビー玉サイズのボールを山のように積み上げたり、リング状にしたりして出します。クリスマスシーズンによく登場します。
“Zeppole”
ゼッポラはローマやナポリでよく見られる揚げ菓子で、生地は軽く、小さいもので直径5cm、大きくても10cmくらいのドーナツで、クリームやジェリー、バターとハチミツなどを詰めたり載せたりして出します。
ギリシャ
“Diples”
ダイプルは、ギリシャの Peloponnese から来た伝統菓子で、とても薄いペーストリー生地をくるくる巻いて揚げます。その後、ハニーシロップに浸けて食べます。巻き方はいろいろで、蝶結びにしたり、らせん状にしたり工夫できます。現地ではもっぱら祝時に供される揚げ菓子です。
スペイン
“Bunuelo”
ブニュエロはスペイン生まれの揚げ菓子で、旧植民地から次第に世界へと広まっていきました。基本のイースト生地を使ってアニスで風味を付けています。形はボール状もあれば、ディスクタイプもあります。ラテンアメリカでは幸運の印とみなされているそうです。
“Churro”
日本でも、チュロスとして馴染みが深いですよね。この溝のある細長い揚げ菓子は、アメリカでは、スパニッシュを話す移民の間で急速に広まっていきました。スぺインではコーヒーやホットココアと一緒によく朝食に出されます。
“Leche Frita”
レチェ・フリータは、スぺインの尼僧が教会の財政を助けるために作り始めたとされています。丸いボール状が主流ですが、四角い形もあります。牛乳、卵、バター、小麦粉を調理して生地の土台を作ってから整形して揚げ、仕上げに砂糖やシナモンを振って食べます。
“Pestinos”
ペスティーニョは、16世紀の頃からスペインのアンダルシアや南部の地方で人気の揚げ菓子で、クリスマスシーズンによく出てきます。イーストを使い、胡麻や時にはオレンジジュースやシナモンを生地に混ぜて揚げ、蜂蜜や砂糖をかけて出します。
“Rosquillas”
ロスキージャスはスペインの伝統的なドーナツ菓子です。一見したところ、基本的なケーキドーナツのように見えますが、アニス風味が特徴です。又バリエーションとしては、“rosquillas de vino” と呼ばれる、甘いマスカットワイン入りのものもあります。いいですね♪
スウェーデン
“Rosette”
ロゼットは、スウェーデンをはじめとする北欧の揚げクッキーです。専用の鉄の鋳型があって、それをゆるい生地の入ったボウルに浸けたら、引き上げてすぐに熱い揚げ油に浸します。すると生地が自然にはがれて浮かぶので、あとは黄金色になるのを待つだけです。
私もこの鋳型をいくつか持っており、子どもが小さい頃、クリスマスの時分にはよく作りました。焼き上がったら粉砂糖を振るっていただきます。鋳型には雪の結晶や、ハロウィン用にクモの形があったり、仕上がりが楽しくなります♪
フランス
“Beignet”
ベニエはフランス語だし、アメリカではフレンチ・ドーナツとも呼ばれているので、フランスに入れましたが、元をたどれば古代ローマが起源だそうです。ルイジアナ州の料理でも取り上げましたが、フレンチスタイルのものはシュー生地を使って作ります。
ポルトガル
“Bola de Berlim”
ボラデベリムはポルトガルのドーナツ菓子で、丸いドーナツに砂糖をまぶして半分に切ってから、カスタードクリームを挟みます。でもお客さんの好みで、クリーム無しでも注文できます。ポルトガルの夏の海岸沿いには、この人気のドーナツにかぶりついている人が多く見られます。
“Filhos”
フィリョはポルトガルの伝統的な揚げ菓子で、クリスマスによく食べます。地域によって整形の方法も違えば、スパイスやフレーバーの選び方も違ってきます。仕上げにシナモンシュガーをまぶすこともあれば、ブラウンシュガーシロップに浸けて食べることもあります。
“Malasada”
ポルトガル生まれのマラサダは、丸いドーナツ菓子で、ハワイ州のデザートでも取り上げました。オリジナルは詰め物をしないのですが、ハワイ版にはクリームのフィリングが入っています。マサチューセッツ州にはポルトガル移民が多く、“flippers” という名前でも親しまれています。
こうしてみると、揚げ菓子の種類は、世界各地でいろんな形がありましたね。油の処理が面倒なので、最近は家庭で作らなくなりました。それに脂肪分過多になりますしね。
でも時々、揚げ菓子がほしくなったときは、本家アメリカではドーナツショップならどこにでもあるので、少しだけ買います。大きい職場に行くと、大抵誰かがスタッフルームに箱入りで差し入れたりしています♪
オールドファッションのケーキドーナツタイプは、食べ応えがあるので、1つで満足できることが多いのですが、イースト生地を使ったふわふわのドーナツは、ともすれば綿菓子を食べる感覚で複数個いけてしまうので、大変危険です!!