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ケンタッキー州の食べ物と言えば、誰でも一番に思い浮かべるのは、やっぱりフライドチキンですよね。あのサンダースおじさんの等身大の人形が、即座に浮かんできます。
あと、大人の立場からすると、バーボン・ウィスキー。お菓子にも有名なのがあって、たとえばケンタッキーダービー・パイ。私も作りました♪ まだ他にも作りたいものが色々あるんです。
紹介したいケンタッキー州の食べ物は山ほどあるので、飲み物も合わせて、カテゴリー分けして説明していきますね。
ケンタッキー州で人気の食べ物
鶏・肉類
Fried Chicken
ケンタッキー・フライドチキンの説明は不要かと思いますが、とにかく代表的な食べ物として載せないわけにはいきません。KFCコーポレーションは、今でこそ全世界にチェーン店を広げていますが、最初はローカルのガソリンスタンドで販売が始まったんですね。
そのうち、11種のハーブとスパイスからなるオリジナルレシピを確立するに至り、知らない人はいない大きなビジネスへと発展していきました。
Mutton Barbecue
ケンタッキーの西部にあるオーエンズボロは、BBQマトンの中心地と言われています。教会のディナーやファンドレイジングには欠かせない料理の1つで、Owensboro では毎年5月に、国際バーベキューフェスティバルが開かれます。
このバーベキューの秘密は、ソースにあります。普通よくあるトマトベースのソースとは違い、ビネガーをベースにしているので、ややさらさらした酸味があり、地元では、“dip” と呼ばれ、スパイスも入って独特の風味を出しています。
野菜料理
Corn Puddings
ほぼどんな主菜にも合うサイドディッシュなので、よくディナーパーティーやポットラックで見かけます。ホールコーンとクリームコーンを合わせ、バターやミルク、卵やサワークリームなどを加えて、カスタード状に焼き上げます。砂糖も入っているので子どもにも人気の食べ物です。
Kilt Lettuce
ケンタッキー州のアパラチア地方の名物料理です。南部地方によくあるほうれん草のサラダに似ています。同じように、熱いベーコンドレッシングをかけてレタスをしならせる、“kills the lettuce” というところから名前が付いています。ドレッシングは食べる直前にかけましょう。
Kentucky Wonder Green Beans
ケンタッキーの不思議?と呼ばれるインゲン豆は、別名、“pole beans” とも言われ、棒をつたって6フィート(約180cm)くらいまでのびる、繁殖力の強いエアルーム・インゲンです。濃い緑色をしていて、ベーコンやニンニクと一緒に、水と油を張った鍋で蒸し煮にすることが多いです。
スープ料理
Burgoo
19世紀の中ごろから、ケンタッキー州に根付いているスープ料理ですが、特に決まったレシピで作られるということでもありません。俗にいう、“hunter’s stew” なので、その日に収穫できた獲物を中心に、屋外の鉄鍋でグツグツ煮て作っていました。
獲物というのは、ここでは鹿やタヌキ、野鳥やリスなどを指しますが、現代のブルゴーには、豚や鶏、羊肉などを使うことが多く、豆やオクラなどの野菜も入れてスロークッキングで調理します。コーンブレッドを添えた出すことが多いです。
Soup Beans & Fried Corn Cakes
アパラチア地方を代表する料理の1つで、必ず “pinto beans”(うずら豆)を使います。燻製豚と一緒に時間をかけてゆっくり煮込んで作ります。
今でも、いくつかの州をまたがるアパラチア地方は貧しい地域として有名ですが、この豆のスープも、一日の重労働を終えた農夫や炭鉱夫が、安くて栄養のある食べ物として重宝しました。
パン類
Flowerpot Bread
テラコッタの植木鉢を使って焼くパンのことです。ケンタッキー州のグランドリバーズという所にある、“Patti’s 1880’s Settlement” というレストランで出すフラワーポットパンは、鉢からはみ出すくらいの生地を仕込んで焼きます。
ストロベリーバターでいただくのが人気で、たった400人ほどの小さな街なのに、姉妹レストランも合わせると、年間35万人にこの植木鉢パンを提供しているんです♪
Hot Brown
1926年に、ケンタッキー州の、“Louisville’s Brown Hotel” のフレッド・シュミットさんというシェフが、夜のダンスパーティー用に考案した、ホット・オープンサンドイッチで、ホテルの看板メニューです。
トーストしたパンの上にターキーの切り身を置いて、モルネ―ソースをかけ、ベーコンを載せて、熱いグリルでソースが茶色になるまで焼きます。好みでトマトやマッシュルームを挟むこともあります。
Spider Cornbread
虫の(と言っても正確には虫ではないのですが、)クモは入ってませんから安心してくださいね。ケンタッキーの主食の地位を占める、この食べ物の名前の由来には諸説あります。
焼き上がりの表面の割れ具合が蜘蛛の巣ようだ。とか、昔調理するのに使っていた鍋の足の形がクモに似ていたのだとか。とにかく、ケンタッキーのコーンブレッドはリッチなミルクを使って焼くので、中がもっちりして美味しいのです。
Spoon Bread
ケンタッキー州のベレアというところでは、毎年9月になると、スプーンブレッド・フェスティバルが行われます。コーンブレッドのいとこと言ってもよい食べ物ですが、パンというよりは、プディングの名前がふさわしい感じです。
発祥は、ネイティブアメリカンではないかと言われています。とても軽くてしっとりしており、ベーキング皿から直接すくって食べる、スフレのような食感が楽しめます。
ソース・ディップ類
Beer Cheese
ビール、チーズ、ニンニク、カイエンペッパーの4つの材料でできているディップソースです。アリゾナのシェフ、ジョー・オールマンさんが、従兄弟のジョニーが経営する、ケンタッキー州ウィンチェスター近くのレストランで出すために作りました。
お客さんにもっとビールを飲んでもらおうと、アペタイザーを考案したところ、人気のメニューとなり、今ではオンラインでも購入できるようになっています。毎年開かれるビールチーズ・フェスティバルでは、アマチュアのレシピコンテストもあるそうです。
Benedictine
アルコールの方ではなく、こちらはスプレッドのベネディクティンです。クリームチーズに胡瓜と玉ねぎの汁を加えて滑らかにしたものです。ルイビル生まれで、ケータリングをしていたジェニー・ベネディクトさんが発案したので、この名前が付きました。
ケンタッキーダービーの頃になると、このディップを使ったベーコンサンドイッチがよく登場します。クラッカーやプリッツェルにつけてもいいですね。Benedictさんはレストランも経営したり、料理本も出していて、オリジナルレシピが載っています。
Henry Bain Sauce
肉料理によく合うソースで、瓶入りで売っています。ルイビルにあるプライベートクラブの、“Pendennis Club” という所で給仕長をしていた、ヘンリー・ベインさんが作った物です。トマトソースがベースのビネガー風味で、ピクルス胡桃でアクセントを付けています。
デザート
Apple Stack Cake
アパラチア地方独特の料理の1つです。ケンタッキー・アップルスタックケーキの由来には、ある伝説があります。貧しい山岳地帯に住む人々は、結婚式のために、豪華なウェディングケーキを用意する余裕がありませんでした。
そこで村の人々が、ケーキのレイヤーを持ち寄って、十分集まったところで、りんごのフィリングを挟んで積み重ねて作ったそうなんです。(ばらばらに集めた生地のサイズがよくそろったものだと思うのですが、そういう野暮なツッコミはやめておきます。)
みんなの気持ちが集約されたケーキで結婚をお祝いするなんて、とても心温まる話ですよね♪ ちなみに、このレイヤーの多さで、花嫁の人気度がわかったとも聞きます。いや、それは厳しい現実ですね。
Bourbon Balls
ケンタッキー州のフランクフォートにある、“Rebecca Ruth Candies” のルースさんが、2年ほど試行錯誤の上、1938年に完成させた、一口サイズのバーボン入りキャンディーボールです。
実は私も作ったことがあります。ラム・ボールに似ていて、作り方はいろいろあるのですが、大抵ウェハースとピーカンに、ダークコーンシロップとバーボンを混ぜて丸め、粉糖をまぶして仕上げることが多いです。
かなりの量のバーボンを使うので、しばらくの間、キッチンはほろ酔い気分になります。作ったバーボンボールはかなり持つので、大人だけのパーティーに持っていくと喜ばれます♪ なお、チョコレートでコーティングするバージョンもあります。
Bread Pudding with Bourbon Sauce
ブレッドプディング(パンプディング)はどこにでもありますが、ケンタッキー州で作るプディングには、やはりバーボンソースです。私はラムレーズンが大好きですが、これにはバーボンに漬け込んだレーズンを使います。サンデーブランチにも良さそう♪
Derby Pie
1950年頃、ケンタッキー州のプロスペクトで、ジョージ・カーンさんが両親と共に、このチョコレートと胡桃のパイを作り、1960年代後半には、「ダービーパイ」として商標登録しました。オリジナルレシピは、ヒ・ミ・ツ!
ダービーパイとは言っても、5月初めのダービーの時だけでなく、年中食べられるし、今では冷凍物もネットで購入できます。私も一度似た物を作ったことがあります。もちろんバーボン入りです♪
Kentucky Butter Cake
とてもリッチでしっとりしたバターミルクのパウンドケーキです。バント型か、チューブ型で焼いた後、竹串で全体に穴を開け、甘いバターソースを流し込んで仕上げます。カロリーはあまり考えない方がよさそうですね♪
Modjeska
19世紀後半、ケンタッキー州ルイビルに、Anton Busath というフランスの菓子職人がいました。彼は、当時イプセンの「人形の家」に出ていた、ポーランドの美人女優、Helana Modjeska を表現できる菓子を作れないものかと、何年も案を練っていました。
そしてとうとう完成したのが、軟らかくバターたっぷりのキャラメルで覆ったマシュマロキャンディーだったのです。女優は彼に命名を許し、「モジェスカ」が生まれました。でも後に、このキャンディ・ストアが火事で燃えてしまいます。
その後、彼の息子さんが友人のルディーに頼んで、キャンディー作りを引き継いでもらうことにしました。それで、“Muth’s Candies” がオリジナルレシピを取得して作るようになったのです。
現在、ミルクチョコレートやダークチョコレートでコーティングしたものを含め、この菓子はオンラインで購入可能です。
Transparent Puddings & Pies
1956年にメイズビルにできた、“Magee’s Bakery” で作られたパイのことで、薄く切るとゼリー菓子のように半透明になることから、この名前が付いています。パーソナルサイズの小さいものの方を、“transparent pudding” と呼んでいます。
どのキッチンにもほぼ常備している、卵にバター、砂糖にクリームと、ほんの少しの小麦粉でできています。Maysville の出身で有名なジョージ・クルーニーが、映画のセットでよくこのパイを、仲間と一緒に食べているそうです。
ケンタッキー州の代表的な飲み物
アルコール類
Bourbon
ケンタッキー州とバーボンは切っても切り離せません。実に、世界の95%のバーボンを作っているというから驚きです。ケンタッキーの恵まれた気候、豊富なトウモロコシ、鉄分を含まない石灰水などが、バーボン作りに最適の条件を与えてくれたのでしょう。
Mint Julep
バーボンをベースに、シンプルシロップにかき氷を加え、ミントを浮かべたカクテルです。「ジュレップ」には甘いドリンクという意味があります。ケンタッキー州の世界的にも有名なダービーのオフィシャルドリンクとなっています。
もちろん、ダービーの日だけではなく、レストランでは年中提供されますが、オリジナルに加えて、スパイシーなバージョンや、ホリデーシーズンには、赤をアクセントにしたクリスマスバージョンもあったりします。
Moonshine
この言葉を検索すると、「密造酒」という訳が出てくるので、一瞬ギクッとしますが、アメリカの禁酒時代に、簡単に作れる蒸留酒を、月夜の明かりでコソコソ作っていたので、こう呼ばれたんですね。
ムーンシャインというのは基本的に、“unaged, corn-based, high-proof, distilled whiskey” の意味で使われます。つまり、熟成しない蒸留酒を指し、今では法的に販売されています。
ノンアルコール類
Ale-8-One
エイル・エイト・ワンは、生姜と柑橘類の入った炭酸ドリンクです。1926年にケンタッキー州のウィンチェスターで、ソーダビジネスに携わっていたウェインスコットさんが編み出したものです。
私はまだ飲んだことがありませんが、カフェイン、炭酸、カロリー共、他の同類のソフトドリンクより少ないそうです。なおかつ、カフェインフリーやダイエット・バージョンもあります。
ケンタッキー州の食べ物はいかがでしたか? フライドチキンとバーボン以外にもいろいろありましたね。私はソース類とデザート類が豊富なことに驚きました。
ソースは店で見つけたら買ってみることにして、デザートの方は、また機会があったら、まだ作ってないものに挑戦してみたいと思っています。
私の知人に、バーボンのことを語らせたら、何時間でも話している人がいるので、今度会う機会があったらもう少し詳しく聞いておきます♪