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レジスタントスターチが多い食品にはどんなものがあるのでしょうか?
食品の成分自体にレジスタントスターチが多くても、加熱すると効果が失われる場合や、また温め直すことによって強化されるものもあります。
せっかく摂るなら、できるだけダイエットや健康に有効活用したいですよね。レジスタントスターチの役割も含めて、おすすめの食べ方についても解説していきます。
レジスタントスターチが体に作用する仕組み
近年にわかにレジスタントスターチが注目されるようになってきました。英語の “resistant starch” そのままの表現で使っていますね。直訳すると、抵抗する澱粉? 日本語では、「難消化性澱粉」となっています。
人が食べ物を口にすると、大体「食道→→胃→→十二指腸→→小腸→→肝臓→→大腸」という流れで消化されていきます。固形物の食品が胃液や膵液で溶かされ、小腸で消化吸収されることになります。
ところが、レジスタントスターチが多い食品は、その消化の過程に抵抗するため、大腸まで届いて善玉菌のえさになり、腸内フローラを整えてくれるという、強い味方なんです。
この真逆が、ほとんどの炭水化物に多い “simple starch” で、摂取後素早く消化吸収されるため、糖尿病や体重過多の原因になったりします。
RSの効果はまだ研究中で、エビデンスはまだ少ないのですが、理論上、胃腸を整えて健康体に寄与してくれる要素であることは間違いなさそうです。
レジスタントスターチが多い食品
レジスタントスターチはどんな食品に多く含まれているのでしょうか? カテゴリー別に、含有量が多い順に取り上げていきたいと思います。
なお、以下の数値は、”http://freetheanimal.com/wp-content/uploads/2013/08/Resistant-Starch-in-Foods.pdf” に載っていたリストを参考にして、食品100g中に含まれるレジスタントスターチの量を載せています。
粉類
“Potate starch”(片栗粉)67g
堂々の1位は、日本人のパントリーには必ずあるであろう「片栗粉」です! でも、片栗粉だけをスプーンですくって食べるわけではなく、たいてい他の食品を調理するときのつなぎにしたり、とろみ付けにしたりすることが多いと思います。
そこで注意したいのは、火を通してしまうと、レジスタントではなくなるので、例えばヨーグルトやスムージーに入れたり、一晩寝かせたオートミールに混ぜるのもいいでしょう。
“Mung bean starch”(緑豆スターチ)50.3g
“Cassava starch”(キャッサバスターチ)44.6g
“Plantain / Green banana flour”(グリーンバナナスターチ)35g
上記3つの中では、キャッサバ澱粉は比較的手に入りやすいものの、どれもあまり馴染みの少ないものですね。やはり、片栗粉同様、火を通すとレジスタントスターチが失われるので、粉を何かにかけていただくとよいです。
“Buckwheat flour”(そば粉)約16g
また日本独特のものが出ました。普通の家庭でそば粉から手打ちでそばを作る人は少ないと思いますが、蕎麦なら食べやすいですね。それに日本人なら誰でも食べたくなる「ざるそば」なら、冷やしてこそ美味しい食品!
穀類
“Glass noodle”(春雨)11.3g
またまた日本では馴染みの品です。春雨を使ったサラダとかだと、食欲のない時でも、ツルツルと口の中に入りますよね。
“Rolled oats”(押し麦)8.5g
押し麦を生のまま食べると得られる値ですが、鳥じゃあるまいし、そのまま食べる人はほとんどいないと思いますが、トーストして何かにかけることも考えられます。
水で煮てしまうとレジスタントスターチが失われるので、ヨーグルトかミルクに混ぜて一晩冷蔵庫で寝かして食べる、“overnight oatmeal” にするのが良い方法ですね。。
“Pearl barley”(はと麦)6.4g
ハトムギは、レジスタントスターチのみならず、ビタミンやミネラルも豊富な健康食品の1つです。スープに入れて調理してから冷やして飲んだり、火を通したものを冷ましてサラダに入れたりするといいです。
“Whole rice, cooked and cooled”(玄米)5.48g
玄米は食物繊維が豊富なことで知られていますが、同時にリンやマグネシウムといったミネラルの栄養素も得られます。最近玄米で作った巻きずしなんかも、アメリカのスーパーで見かけるので、すでに冷たいので、レジスタントスターチの摂取に便利です。
“Pumpernickle bread”(プンパーニッケルパン)4.5g
ドイツ生まれのパンで、サワードウスターターにライ麦を混ぜて作られますが、普通のライ麦パンより身がしっかりしていて、かすかな甘味が感じられます。少しだけでも満腹感を味わえるパンです。
“Vermicelli”(バーミセリ)4.4g
スパゲティーを極細にしたようなパスタのバーミセリは、「小さくて細長い虫」という意味で、あまり想像したくないのですが、調理時間が短く、手で簡単に折れるので、短くしてからスープに加えたり、冷製パスタ料理にも向いている食品です。
“Polished rice, cooked and cooled”(精白米)3.44g
糖質制限されている方は、本来避けているであろう食品ですが、温かいうちに食べるのではなく、冷めてから食べると、レジスタントスターチを得られるので、おにぎりを作っておいて、時間を置いてから食べるとかするといいですね。
“Rye bread”(ライ麦パン)3.2g
ライ麦は普通の小麦粉よりグルテンの量は少なめですが、皆無ではないので、グルテンフリーではありません。使用するライ麦の種類によって、ライトカラーだったり、ダークカラーだったりしますが、小麦粉のようには膨れないので、身が詰まっています。
“Pizza dough”(ピザ生地)2.8g
ピザはややもすると、ジャンクフードとして片づけられそうですが、意外なことにピザ生地にはレジスタントスターチが一定量含まれているんですね。だから上に載せるものを選択すれば、結構ヘルシーな食事になったりします。
“Glutinous rice” (もち米)2.72g
英語では他に、“Waxy rice” とか “Sweet rice” や “Sticky rice” と呼んだりもします。グルテンが多い分、レジスタントも多いということでしょうか。
“Rice sheet”(ライスペーパー)2.4g
ベトナム料理の生春巻きなどで使う、円い大きな皮のことですね。油で揚げる春巻きと違って、湯通しして軟らかくした皮で具を巻いて食べるので、レジスタントスターチの摂取にはもってこいの食品です。
“Bread sticks”(ブレッドスティック)2.3g
これも少々意外なレジスタントスターチ食品でしょうね。イタリアンレストランで出てくるブレッドスティックは自家製が多いので、とても美味しいです。パン製品を食べる罪悪感が多少軽減されるかも。
“Sourdough bread”(サワードウパン)2.1g
100g中2gより多く含むものをピックアップしていったら、サワードウブレッドが末席に入りました。サワードウスターターで作るパンはプレバイオティックスを与えてくれるので、白いパンならサワードウを選ぶといいですね。
豆類他
“Mung beans, raw”(緑豆生)22.9g
“Lotus seed”(ハスの種)19.7g
“Black beans, raw”(黒豆生)18.3g
“White beans, boiled”(白豆調理済)16.5g
“Red lentils”(赤レンズ豆)13.8g
“Cashew nuts”(カシューナッツ)12.9g
“Northern beans”(白インゲン豆[中粒])12g
“Black beans, cooked”(黒豆調理済)10.76g
“Red beans, cooked”(小豆調理済)10.63g
“Red beans, raw”(小豆生)10.3g
豆類の多くはレジスタントスターチが多い食品に属しますが、中でも、100g中10gより多く含むものを取り上げてみました。豆類はヘルシースナックとして食べられるし、ビーンスープやビーンチリも作れます。
和風なら、煮豆にしておかずとして食べてもいいし、煮豆の糖分が気になるようなら、煮たものをサラダに入れれば、余分な砂糖が入らずに済みます。
なお、豆に含まれるレクチンを気にされる方もいらっしゃるようですが、乾燥豆は水に浸して長時間かけて煮てから使うので、毒素はほぼ消えており、むしろ豆を摂取することのメリットの方が多いという意見が多いです。
野菜果物類
“Lesser yam / Asiatic yam / Tugi root / Apali”(ヤマノイモ科)23.25g
食物繊維を始めビタミンやミネラルが豊富で、抗酸化物質を多く含む根菜類です。地域によって通称が色々ありますが、日本で言うと山芋。あのネバネバを想像するだけで、スターチの威力が分かりますね。
“Cassava”(キャッサバ)9.69g
南アメリカ原産のキャッサバは、アルコールドリンクの、“kasiri” に使われたり、日本でも大人気の、“tapioca” に姿を変えたりします。発祥の地と言われるユカタンでは、”casabe” というフラットブレッドが500年前から作られてきました。
“Unripe banana”(未成熟バナナ)4.7g
バナナは成熟すると、レジスタントスターチを失い、普通のスターチになってしまうので、皮がまだ緑の間にRSの効果をいただきましょう。
“Potatoes, cooked and cooled”(ポテト調理後冷却)3.2g
カリウムやビタミンCを多く含むじゃがいもは、加熱後冷めてから食べることにより、RSを享受することができます。その際、調理法によってRS値に差が出てくるので、「茹でる」よりは「蒸す」、更に「ロースト」では、蒸した時の3倍のRSが得られると言われています。
難消化性でんぷんのまとめと注意
レジスタントスターチが多い食品と言っても、生の状態で食べないと効果がないものや、加熱しても冷ますことによってレジスタントスターチが増えるものなど、いろいろあります。
食品100グラムの中に、比較的多く含まれるレジスタントスターチの量を挙げてみましたが、現実にどのくらいの量を摂ればいいのかという明確な指標はありません。大体1日20~40グラムくらいの摂取量が安全圏ではないかと言われています。
ある研究結果によると、アメリカ人は平均的に1日5g程度しか摂れてないようです。レジスタントスターチが多い食品が、東南アジアに多いこともあって、中国人は約15g、同じくRS食品が多い南アフリカでは約38gという数字も出ています。
しかし、たくさん摂ればいいというものではなく、特にIBS “Irritable Bowel Syndrome” と言われる過敏性腸症候群の場合には、大腸を必要以上に刺激することになるので、注意が必要です。