この記事は約 8 分で読めます。
シチューの種類って、どのくらい違うものを食べたことありますか? 私が日本にいた頃は、ビーフシチューかクリームシチューくらいしか知りませんでした。つまり、赤か白かって感じですね。
アメリカに来てからは、単にビーフシチューだけでもいろんな作り方があるし、具材で言うなら、ポークでもシーフードでも野菜でも、何でもシチューになるのですが、クリームシチューのレシピはあまり見かけません。
もちろんクラムチャウダーではクリーム入りがあるのですが、シチューと名前が付くものに、ホワイトクリーム系がないのです。やはり、あれはハウス食品が火付け役なのかもしれません。
このページでは、シチューと名がつく種類を、材料別に大きく2つに分けて、これまで作ったことのあるものを例に挙げながら説明していきます。
シチューの種類:肉類がベース
シチューの種類でも一番よく作るのがビーフシチューですが、アメリカには世界の各地から移住者が来ているので、各国の特色を生かしたビーフシチューがあります。
ユダヤ教の人口も多く、“Tzimmes”と呼ばれるジューイッシュ・ビーフシチューを作ったことがあります。デイツ(ナツメヤシの実)や乾燥アンズを使った、少し甘めのシチューでした。
以前に勤めていた職場で、ハンガリーから来た人がいました。ハンガリアン・ビーフシチューはスイートパプリカの粉や、ローストした赤パプリカを使っていて、仕上がりが赤くなりました。
では、アメリカン・ビーフシチューはと言うと、赤ワインをたっぷり入れて煮込むものが多いです。レシピによって、オーブンでゆっくり煮込む場合と、ガスストーブの上で煮込むときがあります。
赤ワインの代わりに、ギネスのような黒ビールを入れる種類もあります。
お隣の国、メキシカン・ビーフシチューには何が入っているのでしょうか?メキシコの料理で、チキンをモレソースで食べることがあります。その感覚でチョコレートを少し入れて作ってもコクが出ます。
ビーフシチューという名前では知られていませんが、シチュー、つまり、英語の “stew”というのは、「煮込む」という意味なので、フランスのプロバンス地方の伝統料理で、ビーフ・ドゥーブという牛肉の煮込み料理もあります。
フランスの代表的なシチュー料理には、ブッフ・ブルギニョン “Boeuf Bourguignon”というブルゴーニュ風のビーフシチューがあります。世界的に名の知られたジュリア・チャイルドの料理本にもレシピが載っているシチュー料理です。
私はクラシック版ではなく、アレンジされたレシピで作ってみました。玉ねぎ、ニンニク、人参、パプリカ、マッシュルーム、トマトなどの野菜を入れて、赤ワインもたっぷり使って煮込むので、コクのあるシチューができました。
また、ボルシチはロシアのビーフシチューとして有名ですね。でも、本当はウクライナ料理だそうです。女優のベラ・ファミガさんが、家族に伝わるレシピを紹介していたので、作ってみました。
もう、ビーフシチューの種類だけでもこれだけ出てきましたが、ポークで作るシチューもあります。ジャガイモ以外にもサツマイモやカボチャを入れて、アップルサイダーを使った、甘めのシチューです。
普通は、ビーフにしてもポークにしても、煮込むのでシチュー肉を使いますが、贅沢にテンダーロインを使って豆と一緒に煮た、豚ヒレ肉と白豆のシチューも作りました。
あと、アイリッシュ風のシチューで、スープは少なめですが、ラム肉と野菜を煮込んで作るシチューもあります。
大きい意味の肉類ということで、ブイヤベース風の鶏肉のシチューや、ちょっと変わったところでは、チキンとオクラのシチューがあります。
鶏を使ったシチューの種類で、過去に唯一、クリーム系のシチューを作ったことがあります。鶏肉と団子のクリームシチューと言って、まるで、すいとんのような(これがわかる方はどのくらいいらっしゃるでしょうか?!)団子です。
シチューの種類:魚介類がベース
シチューの種類でも、魚介類をベースにしているものは、とろみのある肉類のものに比べて、さらっとした液体スープが多いです。単体の魚だけを使って作るものや、数種類のシーフードを組み合わせて作るものもあります。
では、甲殻類や貝類を中心にして作ったものをまず紹介します。海老を使ったペルー風のシュリンプシチューや、ホタテと海老を使ってクルトンを入れて食べる、ちょっと変わったイタリアン・フィッシュシチューがあります。
イタリア系では他に、マグロを使ったフィッシュシチュー・シシリア風や、身のしまった白身魚であれば応用が利くフィッシュシチュー・イタリア風も作りました。
魚を中心にした種類では他に、タラを使ったフィッシュシチュー・ニューイングランド風や、スズキを使ったフィッシュシチュー・ギリシャ風もあります。
またシーフードをミックスして作るものでは、ちょっと豪華にロブスターを取り入れた魚貝類のシチューや、クラムジュースが利いているシーフードシチューも作りました。
サンフランシスコのフィッシャーマンズワーフから来た、かの有名な魚介類シチューの王様的存在である、チョピーノも作りました。ハマグリやカキも入って超豪華なので、ゲストディナーにも恥ずかしくありません。
パエリアを作るときに色付けや香り付けに使うサフランは、魚の生臭さを消す役目もあります。このスパイスを利用した、サフランシーフードシチューも作りました。
あと、変わったネーミングで、レストランの名前が付いたシーフード・シチュー・チャチャチャというのがあります。何でも、ここのオーナーシェフは、お客様が席に着いてからしか、魚介類の具材を鍋に入れないそうです。
たまたま、このレストランの名前が「チャチャチャ」となっているのですが、何か、日本語の「ちゃちゃっと」作るみたいな風景を想像してしまいます。
シチューの種類って、思ったよりたくさんあるでしょう。特に寒い冬には、心も体も温まるスープで、風邪をひかないようにお過ごしくださいね。