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バージニア州の食べ物で、やはり現地で是非味わいたいのは、南北に長いチェサピーク湾で獲れる蟹や牡蠣。肉類なら、ハムやフライドチキンもおなじみ。また、普通より大きめのピーナッツを使った料理も各種あり、地元の品種を栽培して作るワインの生産も盛ん。
でも驚いたのは、あのファストフード的なマカロニ&チーズがどうして生まれたかということ。その辺りも含めて、バージニア州の食べ物で人気があるものについて解説していきます。
バージニア州で人気の食べ物
魚類
Chesapeake Bay Blue Crab
カニと言えば、この辺りではメリーランド州の蟹が有名ですが、実はそのカニたちの生まれは、バージニア州なんですね。どういうことかというと、この2つ州にまたがって広がるチェサピーク湾に蟹がいるのです。
湾の南部がバージニア州の方で、この地域は大西洋から流れてくる海水が濃いために、塩分が強いのですが、北部、つまりメリーランド州の方へ行くにしたがって、塩分は薄くなります。
バージニアで生まれたカニがメリーランドで脱皮する時に収穫されるのが、人気の「ソフトシェルクラブ」で、脱皮期は晩春から初秋にかけて。この時、脱皮してから数時間以内に引き揚げないと、殻はすぐに硬くなってしまうのです。
その後成長したブルークラブの甲羅は非常に硬く、食べるのに骨が折れるものの、中の甘い身を食べるために時間を費やす価値は大いにあり。ハンプトン市は、かつて、“Crabtown U.S.A.” と言われたこともあり、毎年夏の終わりにシーフードフェスティバルが行われます。
Rappahannock Oysters
バージニア州の東海岸では、カキの養殖が盛んです。中でもチェサピーク湾で、甘くてトロっとした牡蠣を生産しているラパハナック・オイスターカンパニーは有名。バージニア州は東海岸一のカキの生産量を誇っています。
Shad Roe
シャッドという魚は海に住んでいますが、産卵期にはバージニアの川にやってきます。魚は全長50cmくらいで、味はニシンに似ていて、春の限られた時期に獲れる卵は、レストランでもデリカシーとして人気のメニューです。
肉類
Smithfield Ham
バージニア州のハムと言えば、スミスフィールド。豚肉を加工して作られますが、各種トリートメントを施して、最低6か月から最高2年間寝かして出来上がります。豚の餌に使うのは、ピーナッツと良質の穀物のみ。
塩味の効いた、少しドライで筋のある食感です。形体やフレーバーは多岐に渡り、人気商品には、”Crunchy Glazed Spiral Sliced Ham” や “Baked Apple Spiral Sliced Ham” に、”Bwoen Sugar Spiral Sliced Ham” などがあります。
Southern Fried Chicken
南部料理で有名なフライドチキンは、バージニア州でも、19世紀の終わりから20世紀初頭にかけて広まり、ゴードンビルでは毎年秋になると、フライドチキンフェスティバルが行われ、パイコンテストと共に注目の的です。
スープ
Brunswick Stew
ブランズウィックシチューの起源については、複数の南部の州が名乗りをあげており、バージニア州もその1つ。19世紀の終わりに出始めたシチューは、トマトをベースにしていて、バージニア州では鶏肉を使うことが多いです。
そこに、人参やトウモロコシ、ポテトやライマメなどの野菜を加えて、砕いたトマトと一緒に煮込みます。バージニア州庁では、毎年1月に、ブランズウィック・シチューデーを設けて、職員をはじめ一般大衆にも大量のシチューを用意します。
Peanut Soup
ピーナッツスープの起源はアフリカですが、バージニア州では植民地時代に人気が出て根付くことになりました。チキンストックに、玉ねぎやセロリ、ピーナッツをペースト状にしたものにクリームも加えて作ります。
その他
Apple Butter
バージニア州の、昼温かく夜は良く冷える気候がリンゴの栽培に適しており、国内では6番目に高い生産量を誇っています。アップルソースはそんなに長持ちしませんが、更に煮込んで糖分がキャラメル化したアップルバターは、長期間の保存が可能。
Ham & Biscuits
バージニア州で植民地時代から歴史のあるハムと、特製のビスケットを組み合わせた伝統的な朝食メニュー。ビスケットは、全脂乳で作るバターミルクに秘密があり、パルメザン・ペッパーコーンやオールドベイチェダーなどのフレーバー・ビスケットも楽しめます。
Macaroni & Cheese
今ではどこにでもある食べ物と思われているマカロニチーズは、ヨーロッパ生まれ。かのトーマス・ジェファーソンが、1790年代に欧州からパスタの機械を持ち帰り、シャーロットビルのモンティチェロで、客人にマカロニを振舞ったのが始まりと言われています。
この伝説が受け継がれ、バージニア大学に近いレストランでは、1819年に出されたという、”Cavatappi Pasta” をクリームとペッパージャックチーズと塩胡椒を混ぜて作ったマック&チーズが人気のメニュー。
Piment Cheese
南部に行くほどに消費されるのが、ピメントチーズ。黄色いクリーミーでやや塩味の濃いチーズは、シャープチェダーとマヨネーズ、ロースト・レッドペッパーとシャロットやタラゴンを混ぜて作られていて、リッツクラッカーのお供に最適。
Shrimp & Grits
南部の伝統料理である、海老とグリッツは、バージニア州でも人気の食べ物。主食のグリッツに熟成したホワイトチェダーを混ぜ、湾岸シュリンプを組み合わせたもので、各地域によって様々なアクセントを加えて出されています。
Virginia Peanut Pie
バージニア州では、1840年代からピーナッツを商業的に栽培しています。主に南東部が生産の拠点になっていて、通常のピーナッツよりも大きいのが特徴で、ローストすると、ほんのり甘味を感じられるのも人気の秘密。
そのクランチーな食感はベースボールの試合でも人気のスナックです。そんなナッツをたっぷり使って作るピーナッツパイは、室温だと一週間くらい持つので、オンライン販売でも手に入れられます。
バージニア州で有名な飲み物
Norton Wine
バージニア州のリッチモンドでノートンが最初に栽培されたのは、1800年代でした。そのため、当時は合衆国の中でもトップのワイン生産を誇っていました。禁酒時代を経て頓挫したものの、近年になって再び脚光を浴びることに。
ミドルバーグの “Chrysalis” は、世界でも有数のノートン種を栽培しているワイナリーで、チェリーやプラムの香りを醸し出す、滑らかで渋味のあるフルボディーの赤ワインとして人気の的です。
Viognier Wine
ヴィオニエ種はバージニア州各地で栽培されていますが、中央部に位置するモンティチェロ一帯にある、“Glass House Winery” は、2016年にコンテストで銀賞を受賞しており、スイカズラやトロピカルフルーツの香るワインを提供しています。
バージニア州の食べ物の歴史に、トーマス・ジェファーソンが関わっていたとは知りませんでした。やはり、食べ物は人間の根源的な生きる力であり、エネルギーの源なのですね。
常においしい食べ物を求めてやまない心は、万人に共通しているものと思います。南部料理も色濃く反映しているバージニア州ですが、私はやっぱり獲れたてのクラブやオイスターを一番に味わいたいですね♪