この記事は約 7 分で読めます。
バニラエッセンスの違いがわかりますか?
製菓用に使う「バニラ」と名前が付くものには、その形態によって、元々のビーンズであったり、オイルであったり、アメリカでは、パウダーやペースト状のものも売っています。
果たしてこれらは相互に交換できるものなのでしょうか?
バニラエッセンスはいろんなお菓子作りに幅広く使用されていますが、どういう目的で使われるのか、それぞれのバニラの違いを知って、どう使い分ければよいのかを探っていきます。
バニラエッセンスの違い
【バニラビーンズ】
まず、バニラが何から採れるのかというところから始めたいと思います。
バニラは、限られた熱帯気候の地域に生息する蘭の花の蔓から採取されます。それだけでも限定的要素が高いのですが、そこから、「キュアリング」と呼ばれる発酵と乾燥を繰り返す工程を経て作られるので、高価になるのですね。
インドネシアとマダガスカルがバニラビーンズの2大産地になっています。
バニラの鞘を切って、中からシード(種子)を取り出して、カスタードクリームやアイスクリーム作りに使うと、細かい種が見えて、余計にバニラのフレーバーを感じるように思います。
どうしてバニラが、いろんな洋菓子作りに使われるかというと、その最も強く感じるバニラフレーバー以外にも、実に250種もの味や香りを保有しているからなんです。
つまり、それぞれの材料に合わせて、そのフレーバーを最大限に引き出してく
れる、特に私たちの味覚の1つである甘味を感じる機能を増してくれるのです。
【ピュア・バニラエッセンス】
日本語では、バニラエッセンスと呼んでいますが、アメリカのレシピには普通“Vanilla Extract”で載っています。
バニラビーンズのエッセンスを水とエチルアルコールに溶かし込んで抽出したものなので、どちらも同じ意味になります。
アメリカで人気のブランドでは、”McCormick”や”Rodelle”に、”Gold Medal”とか”Spice Islands”などが挙げられます。いずれも、”Pure”が名前についていれば大丈夫です。
メーカーによるフレーバーの違いは、よほど舌の肥えている人でないとわからないのではないかと思います。元々、エッセンスだけをなめて味わうのではなく、お菓子の中に溶け込んだものを食するわけですよね。
お菓子を焼いている間に、バニラのアルコール分も飛ぶので、特に高温で焼くクッキーの場合は、あまり残り香を感じられないと思います。ケーキの場合、中の方は高温にならないので、バニラ風味が少し残っていることが多いです。
【イミテーション・バニラエッセンス】
ピュア・バニラエッセンスが高価なので、節約のためにイミテーションを使う方もいらっしゃるかと思います。
私は両方持っていて使い分けています。というのは、ケーキ生地にはあまり影響しませんが、真っ白のフロスティングを作りたいときには、ピュアだと色がついてしまうので、透明のイミテーションを使います。
味覚の面では、やはり人工のものは純粋に抽出された物には劣ります。科学的に合成されたイミテーションは紙製品の副産物、と言うと驚かれるでしょうか?だから、簡単に安く大量生産されるんですね。
先ほどバニラには250種ものフレーバーが含まれていると書きましたが、その主なものは、“Vanillin”と呼ばれるもので、イミテーションには、これしか入っていないのです。
お菓子を焼いてしまうと、なかなか区別がつきにくくなりますが、ピュアと、イミテーションを比べるのに一番いい方法は、ミルクに少し混ぜて飲み比べてみることです。
アメリカ政府のガイドラインでは、本物には最低35%のアルコール分が入ってないといけないのですが、偽物にはそんな規定はありません。
【バニラオイル】
バニラの成分をアルコールに溶かしたものがエッセンスであるのに対し、オイルに溶かしたものが、バニラオイルになります。
オイルの方がエッセンスより少々高めですが、アルコールと違って揮発性がないので、お菓子を焼いた後も香りが残りやすいという特徴があります。
どちらかしかないときには、互換性がありますが、両方あって、値段を気にしなければ、焼き菓子にはバニラオイルを使い、生で冷やし固めるお菓子にはバニラエッセンスを使う、という分け方もできます。
【バニラペースト】
限られた店にしか売ってないと思いますが、ペースト状になったものは、基本シュガーシロップにバニラエッセンスや、少量のバニラシードを混ぜたものと思ってください。
ですので、バニラエッセンスよりも風味は落ちます。
【バニラパウダー】
コーンスターチをベースにして、バニラエッセンスを乾燥させたものを混ぜて作られています。
興味本位で買って使ってみましたが、微弱なバニラのフレーバーしかなく、粉は液体の材料に混ざりにくかったので、あまりお勧めしません。
以上、バニラから作られた菓子材料の違いを説明しました。
作りたいお菓子によって使い分けるといいと思いますが、やはり焼き菓子には、バニラエッセンスが一番使いやすいですね。
ただ、火を通すにしても、クリーミィーなソースやカスタード系のデザート、
あとアイスクリームと言えば基本バニラを指すように、その名前の元になって
いるものには、バニラの鞘から種子を削って使いたいですね。