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洋梨の種類はアメリカにどのくらいあると思われますか?
世界には約五千種類もあると言われていますし、日本での栽培も盛んで、とてもおしゃれな名前が付いたものが多いですね。
アメリカでのリンゴの栽培は実に多岐に渡っているのですが、洋梨になると、私の住んでいる北西部では、せいぜい十種類ほどです。その中でも普通に買えるのは限られてきます。
ちなみに、アジア系の食料品店に行くと、日本の二十世紀や韓国産のでかい梨も手に入ります。
このページでは、日常、アメリカのスーパーで手に入りやすい洋梨の種類を、冬物と夏物に大きく分け、アルファベット順に挙げて、その形状や特徴を解説していきます。
そして最後に、用途別にはどの洋梨の種類が向いているのか、おすすめリストも挙げておきます。
アメリカの洋梨の種類:初夏の収穫
<Bartlett>バートレット
原産国はイギリスで、”Williams”という別名があります。18世紀ごろから栽培されていて、ずんぐりしたベルの形をしており、収穫時は黄緑色をしていますが、熟してくると黄色になります。
完熟のものは、皮をむかなくても、そのまま食べるとおいしいです。花の香りがして、甘くジューシーで、滑らかな食感です。
<Red Bartlett>赤のバートレット
バートレットの皮を赤くした種類で、アメリカのワシントン州で作られました。形や味は元になるBartlettと同じです。
<Starkrimson>スタークリムゾン
Red Bartlettよりも鮮やかな赤い皮の色をしていて、アメリカのモンタナ州が原産です。ベル形で甘く、舌触りは少々ざらつきが感じられます。
バートレットは熟すにしたがって、色が薄くなりますが、スタークリムゾンは、益々鮮やかな赤になっていきます。
<Tosca>トスカ
イタリア原産で、BartlettとCossiaという種類の洋梨をかけ合わせたものです。形はベルタイプで、色は黄緑と黄色の間くらいで、少し赤味が混じることがあります。
甘くてジューシーながら、食べた感じは、やや歯ごたえがあります。
アメリカの洋梨の種類:晩夏から秋の収穫
俗に言う、「冬の洋梨」のグループに入るものは、ほぼヨーロッパが原産になっています。
<Bosc>ボスク
19世紀初頭にフランスやベルギーで栽培が始まりました。バートレットよりも持ちがよく、形は縦長のベル状です。先端はかなり細くなっています。
色は薄茶色というか、土色をしていて、甘さの中にも、シナモンやナツメグなどのほのかなスパイスが感じられ、身はしっかりしていますが、口当たりは軟らかいです。
<Comice>コミス
ボスクの後を追うように、19世紀中ごろからフランスで出回り、特にクリスマス時分にはギフトとしても重宝される、中くらいの大きさの洋梨です。
地の色は緑ですが、全体にまだらに赤がかかっており、背が低く、こんもりした感じの形です。とてもジューシーで甘く、クリーミィな食感が味わえます。
<Concorde>コンコルド
イギリス原産の洋梨で、形はボスクに似ていますが、色合いはバートレット同様、熟すとともに、緑から黄色になっていきます。
バニラ風味の甘さがあり、身は締まっているので、口当たりは軟らかいながらも、シャキッとした感じがします。
<Forelle>フォエル
かなり早く、17世紀初頭からドイツで栽培され始めた種類で、他の洋梨より一回りほど小さく、バランスの取れた形をしています。
色合いは、成熟とともに、緑から黄色になっていきますが、赤味も残っています。甘酸っぱい味で、ややざらつきのある食感です。
この名前の由来は、ドイツ語の「虹マス」から来ています。そう思って洋梨を見ると、あの微妙な色合いが浮かんできますね。
<Green Anjou>緑のアンジュ
19世紀ごろのベルギー原産です。ここに挙げている洋梨の種類の中では、一番長持ちするタイプです。色は緑で、熟しても変わりません。
首が短くどっしりしていて、どちらかと言えば卵形。甘くてジューシーなのは共通していますが、少し柑橘類の香りがして、しっかりした身です。
<Red Anjou>赤のアンジュ
バートレット同様、近代になってから、元のAnjouの皮を赤くした種類を、アメリカで作り始めました。オレゴン州が原産です。
<Seckel>セッケル
別名、”Sugar Pear”と言われるほど、とても甘い品種で、アメリカのペンシルバニア州原産です。
形は小さいベル状で、皮はオリーブのような緑色に濃い赤が混ざっています。ややザラザラした歯ごたえのある食感が味わえます。
アメリカのスーパーでほぼ常に出回っているのは、アンジュ、ボスク、バートレットの種類です。少しバラエティーのある店に行くと、フォエルやセッケルも見つかります。
洋梨の種類:使い分け
さて、どの洋梨の種類でも、熟していれば、もちろん生で食べて美味しいのですが、私は洋梨を使ったデザートもよく作るので、以下にどの種類がどんな調理に向いているのか例を挙げておきますね。
・缶詰には?・・・・・・・・・・バートレット
(例)パンプキンパイのトッピングに、バートレットを載せて焼いたことがあるのですが、この部分はすでに瓶詰になっているものを使うのもありだと思います。
・ポーチングには?・・・・・・・ボスク
(例)普通、洋梨をワイン煮した後は、そのまま出すことが多いのですが、そこへマルサラワインを使って作ったザバイオネソースをかけたデザートを作ったことがあります。ワインがダブルで、完璧に大人のデザートです。
・ベーキングには?・・・・アンジュやボスク
(例)ちょうどこの2種類の洋梨を使って作ったパイがあるので、写真を載せておきます。
もちろん、上記の洋梨でないといけないというわけではなく、他の種類でも大丈夫です♪
では、ここで一番○○なものを選んでみましょう。
・一番甘いのは?・・・・・セッケル又はコミス
(例)洋梨のスパイスケーキを作るとき、丸ごと埋め込むのに、小さいサイズがよかったので、セッケルを使ってみました。
・一番ジューシーなのは?・・・・コミス
上記のデザートを作ってみたいなと思われた方は、私の洋菓子ブログ「手作り大好き! レシピふやそう!<お菓子の巻>」をお訪ねくださいね。
お店に未成熟の洋梨しか置いてなかったときの対処法:
まだ硬い果物を早く成熟させたいときには、リンゴとかバナナといった、エチレンガスをたくさん放出する果物を横に置いておくと、少しでも速く軟らかくなってくれます。
このプロセスを更に加速させたいときは、紙袋に洋梨と林檎やバナナを一緒に入れておくと、スピードアップしますよ。
洋梨の種類で、アメリカに出回っているものを取り上げて、その主な特徴を説明しました。
特に、小ぶりのファエルやセッケル、コミスはいつもどの店にもあるわけではないので、手に入るときには買いの一手です!