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脂肪酸の種類を健康の面から考えて解説したいと思います。
脂肪の摂りすぎはいけませんが、脂肪が足りなくても健康に支障をきたします。何せ三大栄養素の1つですからね!
体に良い脂肪酸と悪い脂肪酸の種類にはどんなものがあるのか、又どんな食品に多く含まれているのかを知ることで、適切な摂取を心がけることができますよね。
健康な食生活のキーワードは「バランス」です。正しい知識を得て、感染症対策のためにも、日々の免疫力アップを心がけましょう。
脂肪酸の種類:健康に良いもの悪いもの
名前だけではわかりにくいのが、脂肪酸の種類ですが、炭素構造の違いによって大きく分けると、次の4つになります。
・一価不飽和脂肪酸 (monounsaturated fatty acids)
・多価不飽和脂肪酸 (polyunsaturated fatty acids)
・飽和脂肪酸 (saturated fatty acids)
・トランス脂肪酸 (trans fatty acids)
もう巷でも噂の悪玉は、最後のトランス脂肪酸ですね。上記3つの中でも、健康上注意しないといけないものがあるので、以下に1つずつ詳しく見ていくことにします。
<一価不飽和脂肪酸>
「一価」というのは、炭素原子間の二重結合が1つだけある物、という意味になります。通常、室温では液体状です。
健康に良いとされるオレイン酸も、この脂肪酸の仲間で、オリーブオイルに代表される良質の植物油に多く含まれています。いわゆるオメガ9系の脂肪酸ですね。
植物油だけでなく、動物性脂肪にも含まれていて、悪玉コレステロールを抑える働きがあり、心臓病やメタボ対策に良いとされています。
<多価不飽和脂肪酸>
「多価」は、もうお分かりだと思いますが、炭素原子間の二重構造が2つ以上あるもの、ということですね。冷蔵したとしても液状のものです。
この脂肪酸は、私たちが体内で生成することができない、すなわち食べ物から摂取すべき、必須不飽和脂肪酸と考えられています。
リノレン酸に代表されるオメガ3系脂肪酸や、リノール酸のようなオメガ6系脂肪酸は、化学的構造は不安定なのです。
そのため、多価は一価より、また不飽和脂肪酸は飽和脂肪酸より、酸化が速いと言われています。
最初に、「食事はバランスが大切」と書きましたが、上記2種類の脂肪酸も、本来ほぼ同等の割合で摂取することが望ましいのです。
ところが近年、加工食品の進化や、水素化された食品が数多く出回り、オメガ6の比率が群を抜いて大きくなってきたため、健康に支障をきたすことが多くなりました。
心臓血管病の発症を抑えたり、脳の働きを高めるためにも、オメガ3を多く含む淡水魚や、種子やナッツ類をもっと多く摂りたいですね。
<飽和脂肪酸>
「飽和」の意味は、水素で飽和されているということなので、構造が安定しているため、室温では固体の状態になっています。
主に、全脂乳やバター、クリームチーズといった高脂肪の乳製品や肉類に含まれている脂肪酸です。植物油の中ではココナッツオイルやパームオイルが当てはまります。
飽和脂肪酸というと、聞こえが悪いかもわかりませんが、エネルギーの供給源にもなり、アメリカの学会でも、適度な摂取を進める論文はいろいろ発表されています。
もちろん、過剰摂取は何につけても避けるべきですが、日常の食生活の一部として何の問題もないはずです。
<トランス脂肪酸>
悪名高いトランス脂肪酸というのは、食品の処理過程で主に生み出される、いわば人工的な副産物で、百害あって一利なしの脂肪酸です。
マーガリンやショートニングに多く含まれるアレです。
心臓病や糖尿病などの主な原因を作っているとも言われ、アメリカでは既に2015年に、この種類の脂肪酸を使用することを規制しています。
それでもなお、一部の食品に使われている理由は、安価で長持ちする食品を作ることができるからです。
最近のパッケージや外袋を見ると、「トランス0g」と、わざわざ目立つ場所に印刷しているものを多く見かけますが、ここにも少し注意が必要です。
何かというと、算数の問題ですが、トランス脂肪酸の含有量が0.5g未満の場合は、「0g」表示が許されるということです。
全てには当てはまりませんが、1つ、簡単に見分ける方法があります。
本来家庭で作ったとしたら、せいぜい1~2週間しかもたないような、クッキーや揚げ菓子などのスナック類の賞味期限が数か月あるものは、疑った方がいいでしょう。
良質の脂肪を含むおすすめの食品
<アボカド>
2種類の不飽和脂肪酸を含みますが、どちらかと言えば、一価不飽和脂肪酸を多く含むため、コレステロールや血糖値を抑制する助けとなります。繊維質が多いのもうれしいですね。
<オリーブオイル>
地中海ダイエットでも欠かせない食材ですが、オレイン酸を多く含むことから、炎症やがん細胞の発育を抑えるのに役立ちます。エキストラバージンを選びましょう。
<カカオニブ>
チョコレートもいいのですが、甘い分、どうしても食べすぎたりします。でも良質の脂肪酸を含むカカオニブなら、適度な量をシリアルやオートミールと一緒に食べたりできますね。
<胡桃>
オメガ3脂肪酸を多く含んでいるので、脳の栄養にもいいですね。牛乳が苦手な人には胡桃のミルクもあるし、ピーナッツバターの代わりに胡桃バターを選択することもできます。
<チアシード>
多価不飽和脂肪酸と繊維質が豊富で、最近はよくヨーグルトやジュースに入って売っていますが、種子が小さいので、サラダに振りかけたり、ベーキングにも使えて便利です。
脂肪酸の役割のまとめ
脂質は前述のように、三大栄養素の1つであって、適度に摂取すべきものです。
間違った摂り方をすると、確かに体に悪影響を及ぼしますが、本来健康のためにも、一定量は採る必要があるのです。
エネルギー源であることは言うまでもなく、角膜や細胞膜を作ったり、脂溶性ビタミンの吸収にも欠かせません。
中性脂肪の9割を脂肪酸が占めると言われていますが、ある程度の皮下脂肪があることで、寒さから体を守ったり、臓器のクッションにもなったりしてくれます。
加えて、脳の6割は脂肪でできているそうですから、栄養を与えてあげないといけませんよね。
食生活の面から言うと、脂肪分があることで、いろんな食品の旨味を引き出してくれるのです。
私はステーキの脂身は切り取ってしまいますが、かといって、全然脂がなければ、カスカスで食べられたものではありません。
脂肪酸は各食材に複数含まれていることが多いので、ラベルに表記のあるものはよく注意して見てから買いましょう。
良質な種類の脂肪酸を多く含む食品は、健康のために率先して摂りたいものです。