イギリスのアフタヌーンティーを楽しむ前に知っておきたい事

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afternoon tea in Mt.Vernon

イギリスのアフタヌーンティーは日本の有名ホテルでも提供していますね。3段重ねになったスタンドに、ところ狭しと軽食と洋菓子が載って、どれから食べようかと迷うような豪華なプレゼンテーションです。

私がこのアフタヌーンティーに目覚めたのは、まだ20世紀の終わり頃なので、その昔イギリスに旅行したことはあるものの、当時は本家本元で伝統的なティータイムを楽しむことはありませんでした。

England

まして、そのころ、将来お菓子作りを得意とする自分がいるとは夢にも思っていなかったのです。今はアメリカの自宅で何年かに一度、友人・知人を呼んで、アフタヌーンティーパーティーを開いています。

でも厳密にいうと、英国式ではないので、ここでは本物の中身について、簡単に歴史を紐解きながら、実体験も交えて説明したいと思います。

 

 

イギリスのアフタヌーンティーはいつどのように始まったの?

 

英国と紅茶というのは切っても切れない関係にありますが、クィーン・アンに代表されるように、イギリスの女王様たちが大の紅茶好きだったということもあります。とにかく朝目覚めてから、夜就寝するまで数回お茶を飲むのです。

crown

でもメインの食事はと言えば、昔は1日2食だったようですね。

いくら貴婦人でもこれではお腹がもたないということで、19世紀の半ばに、公爵夫人のアンナ・マリアという女性が、ミッド・アフタヌーンに、紅茶と一緒にパンを食したことから始まったとされています。

「午後の紅茶」で有名な缶紅茶のトレードマークになっている女性ですね。

 

英国の貴婦人たちは、社交生活がメインですから、よくオペラやコンサートを鑑賞します。大抵夕方から始まるので、終わるまで待つとどうしても夕飯が遅くなる。

そういう行動形式からも、お腹を持たせるためには、午後の遅い時間に軽食が必要だったんですね。

アンナ・マリアも、初めは自分のお腹の虫抑えだったのが、そのうち社交仲間も誘ってティータイムを楽しむようになり、どんどん広まっていきました。

 

 

イギリスにはアフタヌーンティー以外にどんなティータイムがあるの?

 

今では世界中に広まっているアフタヌーンティーですが、本場イギリスでは、一体どれだけのティータイムが存在するのでしょうか? 時系列に並べてみます。

tea time

・朝の目覚めにベッドで、アーリーモーニング・ティー
・起きてから朝食に、ブレックファースト・ティー
・昼食前には、イレブンジズ・ティー“Elevenses”
・午後3~5時頃には、アフタヌーン・ティー
・午後7~8時頃の、ハイ・ティー
・夕食後の、アフターディナー・ティー
・寝る前にもう1杯の、ナイト・ティー

 

といった感じになります。ただ、王侯貴族の紅茶習慣という範囲で言えば、「ハイ・ティー」はリストから外れることになります。というのは、こちらは労働者階級が夕食をとるときのティータイムになるからです。

でも、ハイティーって、何か聞こえがよくありませんか? アメリカの映画に「ハイソサエティー」というのがありますが、邦題は「上流社会」です。

 

つまり、「ハイ」がつくと高級感が伴い、一部では、アフタヌーンティーに代わって誤用されるときがあります。

でも、この「ハイ」はブルーカラーが食堂の「ハイ・テーブル」で食事をするところから来ているので、使い方が全く違うのです。イギリスのアフタヌーンティーは、居間にある「ロー・テーブル」を使います。

 

これは余談ですが、私の主人は、知ってか知らずか、11時頃に必ず、洋菓子と一緒にコーヒーを飲む習慣があります。アメリカ版「イレブンジズ」でしょうか? 

そして4時にはまたお菓子とティータイム。だから私はお菓子作りに忙しいのです。

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イギリスの伝統を継ぐアフタヌーンティーをビクトリアで体験!

 

私の住む所からカナダの国境まで車だと3時間以内で行けます。ビクトリアまでは、フェリーの方が便利がいいので、高速船に乗れば、やはり3時間以内で着く距離です。

そんな近いところに、ビクトリア朝の趣を残した、フェアモント・エンプレス・ホテルがあり、ここのアフタヌーンティーは超有名です。日本からのお客様も多いのではないでしょうか。

 

Fairmont Empress Hotel

 

結婚記念日の一環として、イギリスにいるような体験のできるティータイムを楽しむことにしました。

やはり食器からして英国調で、王冠のマークも格調の高さを添えています。運んできてくれる執事も、映画に出てきそうなバトラー風でした。

 

afternoon tea stand     afternoon teacup

 

下段から見ていくと卵サラダのクロワッサンに、ハムやチーズを挟んだサンドイッチ。スモークサーモンとクリームチーズのルーラードが入った軽食。

 

bottom plate

 

中段には、円いスコーンに、自家製のクロテッドクリームと2種類のジャムがついてきました。

 

middle plate

 

上段は全てお菓子で、もう何年も前のことなので細かくは覚えていませんが、見るところ、左にあるのはショートブレッドで、奥にはチョコレートカップにおそらくムース入り。パンプキンスクウェアもありますね。

 

top plate

 

ということで、やはり思ったよりお菓子の部分が少ないのは、元英領であり、未だエリザベス女王を君主として仰ぐカナダならではの伝統なのではないかと思います。

アメリカには、いわゆる喫茶店は少ないものの、アフタヌーンティーを真似たセットを出す店はあちこちにあるので、まだまだ体験は続きます。

 

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