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食用花の種類はどのくらいご存知でしょうか?
料亭や高級レストランへ行くと、食事やデザートの飾り付けに用いられることが多い食用花ですが、一般家庭ではあまり馴染みのないものだと思います。
私も庭でいろんな種類の花を育てているわけではなく、どうしても必要なときには、食料品店で買ったものを使います。英語では、食べられる花のことを、“edible flowers”と呼びます。
そこで、これから庭の花を増やしたいときの参考にするために、一度食用花の種類にはどのようなものがあるのかを調べてみることにしました。
あまり一般的でないものは置いておいて、皆が一度は聞いたことがあるような花の中で、食べられるものを探して、カタカナ表記の五十音順に並べた上で、英語表記も加え、簡単な説明をしています。
食用花の種類
【カモミール】“Camomile”
多年草で春に咲き、りんごのような甘い香りがします。
カモミールは、胃や神経を落ち着かせる効果があるとされ、ハーバルティーによく使われる花です。でも、一度に飲みすぎるのはよくありません。
【カレンジュラ】“Calendula”
和名は「キンセンカ」ですが、元の単語には、「月の最初の日」というラテン語の意味があるそうです。
3~6月が収穫期になり、アジアから南ヨーロッパ原産の一年草で、黄色から橙色の花を咲かせます。
とても高価なスパイスに「サフラン」がありますが、一般市民には手が出ないので、昔の人は、このカレンジュラを代用したと言われています。サフランライスの代わりにカレンジュラライスですね。香りはなくほろ苦い味がします。
【菊】“Chrysanthemum”
どなたもご存知の菊は、秋に咲く花で、刺身のつまによく使われますね。食用菊は解毒作用もあると言われる人気の種類です。
こちらは、薔薇と違って、英語の綴りと発音が難しいです。花びらの根元は少し苦く感じます。
【デイリリー】“Daylily”
ユリ科ワスレグサ属の多年草で、「ヘメロカリス」にあたります。栽培される地域の気候によって、収穫時期は春先から、夏、秋にかけてと、様々です。
ハイブリッドにより、色も形も実に様々なバージョンがありますが、基本は黄色やオレンジ色の花を咲かせます。英語名からもわかりますが、ギリシャ語では「1日の美」の意味。つまり、この花の命はたった1日だけなのです。はかないですね。
【デージー】“Daisy”
イングリッシュ・デージーとも呼ばれ、アメリカでは、わざわざ栽培する花の一種なのですが、ご当地イギリスでは、アメリカで咲くタンポポのように雑草扱いになります。
花芯は黄色く、花弁は赤みがかったピンク色です。春から初夏にかけて咲く花です。芯は苦く、花びらには甘さがあるものの、どちらかと言えば、食べるより見て楽しむ方がいいでしょう。
【ナスタチウム】“Nasturtium”
和名は「キンレンカ」。元の名前はラテン語から来ていて、英語に直すと、”nose twister”という意味があり、花の香りをかぐと、ペッパーの匂いがして鼻を背けてしまう、という説があります。
ペルー原産の多年草ですが、北米では一年草として育っています。オレンジ色がポピュラーですが、黄色や緋色、クリーム色や黄金色と、様々な色の物を見かけます。
葉も食用になるので、花と共によくサラダに使われています。
【ハイビスカス】“Hibiscus”
アジアの熱帯地方が原産で、花はエキゾチックな形をしていますね。
品種も数百種類あると言われています。
ビタミンCが豊富で少し酸味があり、紅茶のフレーバーとしても人気です。
【バラ】“Rose”
バラの漢字って難しいですよね。私は書けません。でも、「薔薇」という漢字を見るだけでも「花の女王」と呼ばれるだけの風格があるように思います。
何せ、4千万年も前から生息していると言われていますからね。人間より古い!
それだけに品種の数も半端ではなく、ハイブリッドも数多く存在します。赤道から南の地域でも栽培できるものの、オリジナルは北半球で育ったものです。
香りがいいものほど、味わいも深くなりますが、モノによっては金属味がのぞいたりすることもあります。ジャムにもなっていますが、食べる目的ではなくても、ウェディングケーキの飾りつけにすると、とても豪華に見えますね。
【パンジー】“Pansy”
言わずと知れた春を代表する花のパンジー。花言葉は、“I think of you.” よく似た花に「ビオラ」がありますが、この花の方が大きめで一年草です。
花の色も多岐にわたり、1つの花びらの中にも複数の色合いが混ざることも多いです。
花びらは癖がなく、とてもマイルドな味ですが、濃い色合いの花を口にすると、舌が染まることがあります。でも一時的なので心配ご無用です。
【ビオラ】“Violet”
古代ギリシャローマ時代には、薬として用いられていた多年草で、初春に咲きます。「パンジー」に似ていますが、花は少し小さめです。葉は濃い緑色で、ハート形をしており、地面近くに生えます。
甘い香りのする花は紅茶にも用いられ、少し酸味のある葉は果物やサラダにもよく合います。この花を砂糖漬けにしてウェディングケーキに飾っているのもよく見かけます。
【ひまわり】“Sunflower”
絶えず太陽に向かって大輪の花を咲かせるひまわり。その花の直径は、ケーキくらいの大きさになったり、高さも人間の身長をはるかに超えるものさえあります。実にダイナミックな花で、夏の真っ最中から初秋にかけて咲き誇ります。
インディアンが何千年もの間栽培し、品種を改良したと言われています。アメリカからヨーロッパに伝わり、今ではロシアが種の生産では群を抜いています。
種を乾燥させたものがスナックとしてよく売られていますが、花の方は全開してから食べると、花びらに少し苦味があるので、蕾の内に、アーティチョークと同じようにしていただくのが美味しい食べ方です。
【ベゴニア】“Begonia”
プランターで人気のあるベゴニアの花は、色も形もいろんな種類があります。
香りはほとんどありませんが、花びらはやや肉厚で、酸味のある柑橘類の味がします。中でもお薦めの品種は、”Tuberous Begonia”です。
【マリーゴールド】“Marigold”
キク科の花で、春菊にも似た味がします。マリーゴールドも細かく分類されるので、先頭に、「フレンチ~」とか「アフリカン~」とかが付いているものもありますが、基本は全てメキシカンです。
春から秋にかけて収穫され、11月初めにあるメキシコの「死者の日」の祭りを彩る代表花です。食用としては、”Signet Maricold”がお勧めで、タラゴンを少しスパイシーにしたような味です。
花びらのエキスは薬にも使われることがあるのですが、種類によっては大量に摂取すると危険なものもあるようなので、ほどほどに。
最後に1つ注意ですが、上に挙げた花の種類が食べられるとは言え、花屋さんに売っている同じものを買ってきて、むしゃむしゃ口にするのはやめましょう。
どんな経路で入ってきたのかわからないし、他の花と混ざってすでに安全では
なくなっていますからね。自宅で育てるか、食料品店で買うかにしてください。
ともあれ、料理やデザートに食用花が添えられていることで、一段と美味しさ
を増しますから、機会があれば使ってみてください。
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