野菜と果物の違いって何。日本とアメリカでも差はあるの?

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野菜と果物の違い

野菜と果物の違いって、明確に言えるでしょうか?

 

専門的な話が必要でない限り、たいてい、感覚に基づいて区別しているように思います。でも、厳密に言うと、やはり一定の決まりがあるんですね。

私はアメリカの子どもに日本語を教えている関係上、「野菜の名前」と「果物の名前」を覚えさせるときに、いちいち理屈は唱えないものの、聞かれたら答えられるようにはしています。

 

では、野菜と果物の違いはどこにあるのかということに関して、まず植物学的なアプローチから解説し、日常的な食生活に即した解釈も加えます。

また、日本とアメリカの辞書にはどのように記載されているのか、紛らわしい種類に関しても補足説明していきます。

 

野菜と果物の違い:農林水産省の定義

日本の農林水産省Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries、略称:MAFF)によると、「野菜と果物(果実)の分類については、はっきりした定義がない」そうです。

でも、それでは答えにならないので、一応この疑問に対して、以下のような定義付けをしていました。(過去形です。

 

『一般的に次の特性を持つ植物が野菜とされています。

1.田畑に栽培されること(栽培されていない山菜などは野菜と区別することが多い)
2.副食物であること
3.加工を前提としないこと(こんにゃくのような加工を前提とするものは野菜としていない。漬物のように原料形質がはっきり残っているものや家庭における簡易加工は加工に含まない)
4.草本性であること』

というような記述が、私が当初この記事を書いた2019年5月現在にはあったのですが、今では削除されています。

 

これに対し、果物に関しては、MAFFでは、「果樹」と分類し、以下のように解説を加えていました。(実はこのページも2020年8月には削除されていました。

 

『概ね2年以上栽培する草本植物及び木本植物であって、果実を食用とするものを「果樹」として取り扱っています。

従って、一般的には果物とは呼ばれていないと思われる栗や梅などを果樹としている一方で、果物と呼ばれることのあるメロンやイチゴ、スイカ(いずれも一年生草本植物)などは野菜として取り扱っています。』

ー引用元:農林水産省(旧ページ)-

 

こうして見てみると、「野菜の定義」に出てくる、2番と3番の項目は、一般的に解釈すると、「果物」にも当てはまりそうなので、決定的な違いは1番と4番ですね。

つまり、「野菜」は「田畑で栽培される草本性の植物。」

「果物」は「主に2年以上栽培する大本(もくほん)植物。」ということが言えます。

 

その結果、上記の引用文にもあるように、一般的には「果物」と考えられている、西瓜やメロンに苺といったものは、本来、「野菜」に分類されるわけなんですね。

なお、農林水産省では、このような野菜は果実的に利用されることから、「果実的野菜」と呼んでいます。

 

野菜と果物の違い:辞書の定義

ネットに時代になって、旧来の紙の辞書を引くことは滅多になくなったのですが、一応昔の広辞苑がまだ本棚にあったので、久々に引いてみました。

野菜: 食用とする草本の総称。あおもの。

果物: 草木の果実の食用となるもの。水菓子。

ー引用:広辞苑第2版ー

 

私の手元にあるのは、第2版なので、やや内容が薄いかもわかりません。

これでは、あまり明解な回答とは言えないので、日米比較という意味でも、英語圏では権威のある辞書、“Webster’s Dictionary”も引いてみることにしました。

vegetable: A plant raised for an edible part, as the root, stem, leaf, or flower/the edible part of such a plant.

fruit: The ripened ovary or ovaries of a seed-bearing plant, along with its accessory parts, containing the seeds and occurring in numerous forms.

ー引用元:Webster’s IIー

 

日本語の解説を加えると、ウェブスターの辞書によれば、「野菜」は、根や茎や葉や花が食用になる植物で、「果物」は、種を持つ熟成した子房と、それに付随する部分、ということになります。

野菜

この分類法によれば、野菜と果物の違いは、種のあるなしで区別がつきそうですね。実際、私が子どもに教えるときに使っているポスターにも、そのように書いています。

果物

でも、MAFFでも言っているように、野菜と果物の分類法は、世界各国によっても微妙な違いがあります。たとえば、トマトはどうでしょうか?

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紛らわしい野菜と果物の分類

ここで、問題です。下記の植物は、野菜でしょうか、それとも果物でしょうか?

アボカド

オリーブ

西瓜
トマト
メロン

 

一般的な分類からすると、つまり、食料品店に行ったときに、野菜売り場に置いてあるのか、果物売り場に並んでいるのかという分け方では、野菜類が、アボカド、オリーブ、栗、トマトで、果物類が、苺、西瓜、メロンになってませんか?

今度は、日本の原則に従って分けてみると、下から生える物、つまり田畑に植えられていて、土に触れて生えている物が野菜とすれば、苺、スイカ、メロンが野菜。

 

木になって上の方に生えている果物類は、アボカド、オリーブ、栗、というのが正しい分類になると言えます。

農林水産省的呼び方では、イチゴ、スイカ、メロンは、「果実的野菜」で、逆に、アボカド、オリーブ、栗などは、「野菜的果実(果樹)」ということになります。

 

さて、今わざと、トマトを外して分けました。

 

トマトは、日本的には田畑で育てるもので野菜。でもアメリカ的に言うと、種を含んだ果実という理由で、果物となるのが、原則論です。

ところが、この「トマトは野菜か果物か」という問題が、最高裁まで上がって議論されたことがあるのです。1893年の”Nix vs. Hedden”というケースで争われました。

トマト

裁判官は、トマトは植物学的には果物であるとしながらも、料理をするときには主に野菜として扱われているとし、「トマトは野菜」であると結論を下しました。

この背景には、トマトを果物とした場合、課税が低くなるので、より高い税金を課せられる野菜の方に軍配を上げたという事実があります。

 

アメリカ人の中には、科学的に言うと、「バナナはハーブの一種である。」という人もいます。

バナナ

ちなみに、アメリカのカリフォルニア州には、「アボカド協会」なるものがあるのですが、植物学的には果物なのに、一般的には野菜売り場に並んでいるアボカド。

もし、この一般認識が、「果物」に代わってくれれば、スムージーやデザートにも広く使われて、もっと販売が伸びるのに、と考えているようです♪

 

野菜と果物の違い:まとめ

 

日本の解釈:

野菜は、田畑で作られる一年生の草本植物

果物は、毎年生長する多年生の大本植物

 

アメリカの解釈:

野菜は、根、茎、葉、花が食べられる植物

果物は、種のある子房部分が熟したもの

 

アメリカ的な解釈では、極論を言うと、果物も野菜の中に入ってしまいます。

また、料理をする立場からすると、主食に加えられるものが野菜で、デザートになるようなものが果物というように、ゆるゆるの解釈をする人もいます。

物事、何でも例外やグレーゾーンがあって成り立っているので、あまり難しく考えない方がよさそうですね。

 

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