料理のコツと言っても、本当にいろんな角度から見ることができるので、簡潔
にまとめるのは簡単ではありません。私はアメリカで暮らし始めて30年以上
になりますが、未だに学ぶことがたくさんあります。
渡米後2年くらいしてアメリカ人と結婚したので、以後ずっと、いわゆる西洋
料理を作り続けています。というのも、主人は純日本式の煮物や和え物などの
お惣菜はあまり食べないので。
知人に「家では一体どんなものを食べているの?」とよく聞かれるのですが、
雑多な人種が混在している国なので、食材も豊富で多種多様な物が作れます。
結婚以来、いつも英語のレシピを読みながらのクッキングなので、時間はかか
りますが、基本のパターンをのみこむと、料理のコツもわかって要点を読み
取れるようになり、随分手早くなりました。
ゲストを迎えるときには、オーブンはもちろんのこと、4つあるガスストーブ
(コンロ)をフル稼働させ、何時間もかけて料理を作ります。そんな経験から
得た手順も伝えていこうと思います。
料理に使う食材や食品の基礎知識に関しては、別のページで説明していますが、
ここでは、素材をどのように使うかとか、長持ちさせるための保存の仕方とか
に焦点を当てて、コツを説明しています。
一口に、保存、と言っても、食品によって、常温が好ましいものや、冷蔵して
おかないと持たないものもあるし、また冷凍することによって長期にわたって
料理に生かすこともできるので、広範囲に及びます。
アメリカで手に入る材料を使っての料理になるので、扱う素材はどうしても、
バターやチーズ、肉類やワイン、パンなど、西洋クッキングに登場するものが
多くなります。
和惣菜を取り扱うときは、見た目にも繊細さを伝えたいので、食材の切り方に
もひと手間かけたり、下ごしらえに時間がかかることが多いですね。アメリカ
で行う料理でも、他の領域で手の込んだ調理法もあります。
日本でも、今の世代ではポットラックやバーベキューなど、パーティー風の
食事形式が広く浸透するようになったと思いますが、そんなときの食材の
選び方や準備の仕方などにも触れていきます。
ただ、ちょっと一言、在米日本人の間の感想を述べると、アメリカ人主催の
ポットラックは出来合いの物を持ってくる人が多いのですが、日本の方の場合、
必ず手作りか地方の特産物とか、食べたくなる魅力あるものが多く並びます。
やはりこちらでは、昔から女性の職場進出が進んでいたので、家事に費やす
時間配分も限られていたと思うのですが、料理のコツを心得ていれば、いろ
いろ工夫ができると思います。
最近は、本当に便利な調理器具も出ているので、下準備にかける時間もかなり
節約できるようになったと思いますが、道具に関してはまた別のページで説明
することにします。
私は、食事を作ることと食べることのどちらが好きかと問われれば、もちろん
上げ膳据え膳を選びますが、自分で作らないといけない以上、より経済的で
美味しいものを口にしたいと思っているので、料理のコツを知ることは欠かせ
ません。
中でも、主食よりはデザート類を作ることに生きがいを感じているので、特に
洋菓子作りに関しては、伝授できるコツが数多くあります。
よく、ケーキ生地がふんわり仕上がらない、真ん中が膨れ上がってしまう、
クッキーの形が整わない、デコレーションがうまくできないとかいった、
失敗談を聞きますが、やはりお菓子作りにもコツがあります。
私はよく、職場や友人知人宅に出向くときに、手作り洋菓子を持参するの
ですが、手前味噌ながら、いつも皆さんに「お店に出しても売れる」と
言っていただけるのがうれしいです。
食事の用意で時間がかかるものは、とても疲れを感じるのですが、お菓子
作りになると、たとえ1つ作るのに5,6時間かかってもあまり疲労感が
ないのは、やっぱり好きだからなんでしょうね。
食事やデザートを問わず、常に新しいレシピに挑戦し続けているので、過去
には、と言うか今でも失敗するときがあります。でも以前より料理のコツが
つかめてきているので、調理の途中で回避することもできます。
つまり、クッキングを始めて、レシピの手順の何かを見落としていたり、
味付けがどうも単純すぎて美味しくはならないだろうと感じ始めた時点で、
料理のコツがわかっていれば軌道修正できるのです。
今でも「独身貴族」という言葉があるのかどうかわかりませんが、日本で
まだ会社勤めをしていたころ、友人と軟弱な料理教室というか、クッキング
デモンストレーションに通ったことがあります。
人気のイタリアンやフレンチ料理のシェフが、それぞれのレストランで
お客さんの目の前で調理をしながら解説を加え、生徒はそれを見て聞いて、
試食するというものです。
これでは頭でフンフンわかったつもりでも、実際に自分で料理してみない
ことには、コツなんてつかめませんよね。ちなみに、日本にあるイタリアン
やフレンチのレストランの方がアメリカよりずっとおいしいです。
というわけで、素人ながら、日々の料理を通して得たコツを、いろんな視点
から伝えていき、少しでもあなたのお役に立てれば幸いです。