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バターを種類によって使い分けていますか?
料理に使うときは、主に有塩か無塩かで区別していると思います。
でも、食パンに塗って食べるものには、同じ有塩でも、もっとあからさまに入っていたり、ハニーやシナモン入りといったフレーバーバターもありますね。
一口にバターの種類と言っても、何を視点に分けるかによって違ってくるので、製法や成分、また添加物による違いから、それぞれの特徴を説明していきます。
バターの種類:製法別
バターやチーズと言った乳製品は、その名前からもわかるように、ミルクから作られていることはご存知だと思います。
皆さんは、牧場で、乳牛から絞られたミルクを生で飲んだ経験はありますか? 私はあるんです。
北海道が好きで、日本にいたとき、よくあちこち旅行していました。どこの牧場だったか忘れましたが、目の前で絞られた牛のミルクには、油のようなものも浮いていて、それはそれは濃い味の純粋な牛乳でした。
このように、絞ったままの何の殺菌処理もされていない状態の牛乳のことを「生乳」(せいにゅう)と呼びます。
この生乳を機械にかけて、クリームと水分に分けます。取り出したクリーム分に乳酸菌を加えて発酵させたものを「発酵バター」と呼び、主にヨーロッパでよく作られています。
乳酸菌のせいか、少々酸味がありコクもあるので、その味わいが人気を呼んで、今では日本でもよく売られている種類です。
でも、日本で作られているバターの主流は、「非発酵バター」です。
生乳から取ったクリームを加熱殺菌した後、熟成させて攪拌することで、更に脂肪分だけを取り出して練り合わせると出来上がります。
この技術は、後で発達したもので、発酵バターに比べるとマイルドな味で、いろんなものに合うので、幅広く使われるようになりました。
バターの種類:成分別
生乳のクリームから取り出した脂肪分を練ったものが、余分な成分を含まない「無塩バター」になり、よくお菓子作りに使われます。
レシピにこの区別が書いてないものもありますが、もし、他の材料に塩が含まれていれば、まず無塩バターを使うのが無難でしょう。
お料理の際にも、無塩バターを使うことで、塩分の取りすぎも防げますし、味付けの調整もしやすくなるので、一般的にクッキングには無塩バターをおすすめします。
ただ、厳密には、生乳にも微量の塩分が含まれているので、無塩バターと言っても、純粋に塩0%ではないことも覚えておきましょう。
一方、バターを作る最後の工程で、練り上げる前に少量の塩分を加えたものが、「有塩バター」になります。有塩というよりは、こちらをただの「バター」と呼んでいることが多いですね。
食卓において、焼きたてのトーストに塗ったりするときのバターです。ほんの少しの塩分を含むことで、バターの味が引き立ちます。また、塩を含むことで、保存性も高まることも、広く用いられている理由です。
添加物の入ったバターの種類
普通のバターには塩が入っているわけですが、塩分として入っているので、塩の粒を舌に感じることはありません。
でも中には、塩のおいしさを生かして、粒状の塩を練りこんだバターも作られています。私はこのバターのおいしさをレストランで初めて体験しました。
アメリカのレストランでは、ディナーを注文して待っている間に、先にパンとバターが出てくることが多いのですが、このときに塗ったバターの味が忘れられず、お店を探していると、市販のものが手に入りました。
“President”が出している“Sea Salt Butter”です。人気のシーソルトの粒が入っていて、これをトーストしたパンにつけて食べると本当においしくいただけました。
私が他に気に入っているフレーバーバターに、「ハニーバター」があります。バターをつけてから蜂蜜を垂らしてもいいのですが、そこまで甘くしなくても、朝のトーストには、ほのかにハニー味のついているバターで十分です。
この同じメーカーからは、「シナモンバター」や「ガーリックバター」といった種類も、バタースプレッドとして出ています。また、季節限定で秋になると、「パンプキン味」のものが出たりします。
ちなみに、正式なバターの規格は、乳脂肪分80%以上で水分17%以下と決められているので、フレーバーを加えることでその比率が変わった場合、本来バターとは呼べなくなりますが、容器の表記はバターのままのものもあります。
余談ですが、昔、子どもがまだベビーと呼べる頃に、主人の、つまり私にとっ
ては義理のアメリカ人の母のところに遊びにいっていたとき、息子にバターの
端をそのまま口に入れて食べさせたのを見て、ドキッとしたことがあります。
心の中では、まだ赤ちゃんにそんな油の塊をあげないでよ、と思いましたが、
バターにはビタミンAやDにEも含まれていて栄養価が高い上に、他のオイル
に比べればカロリーは低いし、まあよかったかと思えるようになりました。
それでは、バターの種類をいろいろ味わってみてくださいね。