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アメリカのケーキにかかっているフロスティングは、何でできているのでしょうか?
日本のケーキデコレーションは、ほぼ泡立てた生クリームが使われているので、こんもりしたフロスティングでも、口当たりよく食べてしまいます。
でもアメリカのフロスティングは、基本的にはバターを砂糖と一緒に攪拌して、フレーバーを付けたものなので、慣れないと、お腹にもたれる感じがします。
そこへもってきて、派手な色付けがされていると、ちょっと引いてしまいますね。
ただ、ウェディングケーキとか、特別な日のデコレーションをしようと思うと、しっかり形を作れるバタークリーム・フロスティングでないとできません。
このページでは、アメリカでよくケーキに使われるフロスティングには、どんな種類や特徴があって、どういう洋菓子に合うのか、扱い方のコツなども説明していきます。
アメリカのケーキフロスティング:種類と特徴
<バタークリーム・フロスティング>
アメリカのケーキを覆っているベースのフロスティングは、ほぼバタークリームのフロスティングです。
良質のバターを室温に戻しておき、ミキサーでクリーム状にします。そこへ粉糖を少しずつ入れながら、ふわっとした滑らかなクリームになるまで数分回し続けます。
後は、微量のミルクに、バニラエッセンスや他のフレーバーを加えて、少し風味を出していくと、ケーキ全体をカバーしたり、カップケーキのトッピングになるフロスティングができます。
この基本のバタークリームに、溶かしたチョコレートを混ぜると、チョコレート・フロスティングが出来上がります。チョコレート・レイヤーケーキを作るときに使いました。
コーヒーを加えれば、コーヒーバタークリームのフロスティングができるし、抹茶を入れると、和風味のフロスティングにもなり、色々バリエーションを楽しむことができます。
<ショートニング・フロスティング>
バターでフロスティングを作るときには、無塩バターを使うので、黄色はそんなに濃くないのですが、やはり完全に白くはありません。
真っ白な仕上がりを期待したいときには、ショートニングを使ったフロスティングがいいです。
ただし、味はあまりよくないので、生クリームも一緒に混ぜます。作り方は同じで、最後に生クリームを加えて、ふわふわになるまでよく回します。
この方法は、製菓材料や器具でおなじみの、ウィルトン・メソッドによるもので、私も教室に行って習いました。
<メレンゲ・フロスティング>
メレンゲ、とあるように、卵白でフロスティングを作る方法です。ショートニングと同様、真っ白のフロスティングができます。
卵白をある程度泡立てておいて、別に砂糖水を沸かしてシロップを作り、メレンゲに混ぜ入れることで、光沢のある仕上がりになります。
このフロスティング手法を使って、7月4日の独立記念日にミルクケーキを作ったことがあります。ベースの白で全体を覆ってから、赤と青で着色したフロスティングでデコレーションしました。
メレンゲは、よくバナナクリームパイやココナッツパイなどの仕上げに、少し焼き色を付けて用いられますが、このようにケーキをカバーするフロスティングに使うこともできます。
<クリームチーズ・フロスティング>
キャロットケーキのトッピングによく使われるのが、クリームチーズ・フロスティングです。
室温にしておいたクリームチーズに、少しばかりのバターを加えて混ぜ、粉糖を足していくと、やや密度の濃いフロスティングになります。
ベースの上に、本物の人参と葉を使ってミニチュアを作って飾るのもいいし、フロスティングに色を付けて、絞り袋に入れて、人参を形作ってもいいですね。
<キャラメル・フロスティング>
ちょっと変わったところでは、キャラメルクリームを作って、ケーキ全体を覆ったこともあります。
ケーキの名前も「キャラメルケーキ」と呼ぶのですが、このフロスティング作りには時間がかかりました。
初めに、鍋でバターと砂糖を溶かして、エバミルクをたっぷり入れます。
その後、全体がキャラメル状になるまで、1時間半ほど気長に混ぜ続けるのです!さすがに疲れました。
<泡立てクリーム・フロスティング>
アメリカのケーキレシピに、生クリームを泡立てるだけのフロスティングが出てくることは珍しいのですが、日本人の口には、やはりこれが一番ですね。
ヘビークリームに少しばかりの砂糖を入れて固めに泡立てると、大雑把なデザインなら、デコレーションできます。
夏の暑いときは、室温も高くなっているので、ボウルもあらかじめ冷蔵しておき、よく冷えた生クリームを使用することが基本です。
アメリカのレシピなのですが、こちらでも薩摩ミカンは人気があるので、果物としてそのまま食べたり、デザートの材料にしたりします。
みかんの間に、この泡立てクリームのフロスティングを、口金を変えて絞り出してみました。
<ロイヤル・アイシング>
アメリカでは、バタークリーム・フロスティングのことも、バタークリーム・アイシングと呼ぶことが多いです。私が習ったウィルトン・メソッドもそうでした。
アイシングの中でも、粉糖に温水を混ぜて撹拌する、ロイヤル・アイシングは、たとえばレース模様のデコレーションをするときなどの繊細な細工を必要とするときに用いられます。
油脂系のフロスティングと違って、少し時間が経つと完全に乾燥するので、ケーキより、クッキーのトッピングによく使われます。
濃度を自由自在に操ることで、多種多様なデコレーションが可能になるのが特徴です。
ケーキフロスティングを作るときのコツ
<油脂系フロスティングの場合>
・バターやショートニングをクリーミィ-なフロスティングに仕上げるためには、混ぜる前に必ず室温に戻しておくことです。ただし、真夏にカウンターの上に長時間放置しておくと、軟らかくなりすぎるので要注意です。
・仕上がりの色を想定して、バターやショートニングを選びます。少々黄色くなってもいいのであれば、有塩バターでもいいのですが、少しでも白に近づけたければ無塩バターを使用します。
・純白のフロフティングにしたいときは、やはりショートニングですね。ただ、これだけでは味が劣るので、バター・エッセンスを少し足すといいでしょう。バニラを使うときは、イミテーションのクリアにします。
・ケーキにしてもカップケーキにしても、焼きあがったものを完全に冷ましてから、フロスティングをのばしていきます。そうしないとせっかくのフロスティングが流れてしまいます。
<非油脂系のフロスティングの場合>
・つまり、ロイヤルアイシングのことですが、混ぜるときのボウルや泡だて器、また絞り袋などが、完全にオイルフリーになっているように気を付けます。
・空気に触れると、短時間で固まってしまうので、細かい作業をしている間は、ボウルに濡れ布巾をかけて乾燥を防ぎます。
・同様に、色とりどりの絞り袋を扱うときは、それぞれの口金をラップで包むか、ナイロン袋に入れるかして、出口部分が乾いてカサカサにならないように注意します。
<共通のヒント>
・油脂系であれ、非油脂系であれ、特に夏の室温が高いときに、少しでもしっかりとした仕上がりにしたいときには、メレンゲ・パウダーを少し加えると、ピンと仕上がります。
・着色したフロスティングを使うときですが、秋の季節などに、色濃く見せたい場合は、カラーを混ぜた後、数時間寝かせてから使うと、色が沈着して落ち着きます。
・食紅にはいろんな状態のものがありますが、フロスティング、特にロイヤルアイシングに混ぜるときには、濃度が決め手になるので、液体よりもクリーム状のものが望ましいです。
以上の点に気を付けて、いろんなフロスティングに挑戦してみてください。
各フロスティングの分量をお知りになりたい方は、私の洋菓子ブログ「手作り大好き! レシピふやそう!<お菓子の巻>」をお訪ねください。
アメリカに来て初めて、市販のフロスティングたっぷりのケーキを食べたときは、よくこれだけのバターが口に入るものだと思いました。
今でも、お呼ばれしたときにいただくケーキに、必要以上のバタークリーム・フロスティングがかかっているときは、失礼ながら、スポンジ部分だけ食べています。
日本でもカップケーキ専門店ができているようですが、アメリカのカップケーキのトッピングは、土台の生地よりも大部分を占めることもあり、一体どっちを目的で食べているんだろうかと思うほどです。
でも、いろんなケーキを作り始めると、ただバターを使っただけのフロスティング以外にも、いろんな種類があることがわかったので、未だに違う手法を試して楽しんでいるところです♪