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ルイジアナの料理と言えば、ケイジャン料理。クレオール料理とは、広まった階層に格差はあるものの、現在ではほぼ同義に使われ、まとめてニューオリンズ料理として幅広く親しまれています。
特徴としては、スパイスが利いた辛い料理というイメージがありますが、辛さだけではなく、素材をよく煮込んだ深みのある味も楽しめます。また甘口のデザート類でも有名なものがあります。
大人には、定番になっている人気のカクテルも、ルイジアナ発祥のものがいくつかあるので、料理と一緒に解説していきます。
ルイジアナで人気の料理
肉料理
Blackened Alligator
アリゲーター? そう、ワニです! 一口サイズに切ったワニの肉を、油を引いて熱くした鉄のフライパンに入れ、ケイジャン料理でよく使うブラック人ぐシーズニングを絡めて、数分炒めるとできます。味はウズラに似ているそうですが、私は遠慮しておきます。
Boudin Balls
ルイジアナ州南部に位置する、ケイジャン・カントリーと言われるアケーディアナ地方の代表的なソーセージが、ブーダン。特徴は、豚以外にご飯や野菜も一緒にスパイスを加えてケーシングしており、ソーセージ形ではなく、ボール形にして衣を付け、揚げた物を指します。
Grillades
グリアーズというのは、伝統的には、牛肉を薄切りにしたメダリオンをトマトベースのグレービーで味付け、グリッツの上にかけて出すクレオール料理ですが、他の肉もよく使われ、人気のブランチメニューの1つです。
Rice & Gravy
ケイジャン独特の料理で、通常安くて硬い肉を、鉄のフライパンで時間をかけて蒸し煮にし、その肉汁でグレービーを作ってご飯にかけて出す料理です。肉はビーフを使うことが多いものの、どんな肉でも素材になります。
Smothered Pork Chops
ルイジアナの伝統的な料理の1つで、ポークチョップを濃厚なグレービーで蒸し焼きにしたものです。豚肉以外には、玉ねぎ、セロリ、パプリカ、ニンニクなどの野菜に加え、とろみをつけるために小麦粉を入れ、クレオールシーズニングで味付けします。
Tasso Ham
ルイジアナ生まれのケイジャン加工肉です。ハムと呼ばれるものは、通常豚の後ろ脚から作られるものですが、このタッソハムは豚の肩肉を塩漬けにしています。数時間砂糖を含む塩水につけた後洗い流し、スパイスをこすりつけて燻製にします。
Turducken
これは三位一体の鳥肉です。名前を分析すると、なるほどとわかります。”turkey” の最初の3文字に、”duck” が付いて、”chkicken” の最後4文字中、始めの2文字はダックの終わりの2文字とダブっています。
つまり、全て骨を抜いたチキンを、同じく骨を抜いた鴨肉に差し込み、それをやはり骨を抜いたターキーに差し込んで1つにしたものなんです。いやあ、よく考えましたね、そんなこと!
フレンチカナディアンが、フランスの、”galantine” と呼ばれる料理からヒントを得て、アメリカのケイジャン料理に応用したとされています。隙間にはソーセージとかパン粉を埋めて全体をローストするのですが、レイヤーケーキならぬレイヤーバードの誕生です。
魚料理
Boiled Crawfish
ケイジャンカントリーのラファイエットでは、1月下旬から5月にかけて、ザリガニのシーズンになります。“crayfish” とも呼ばれますが、ルイジアナでは特に、イースターの前のレントの期間には、各家庭の裏庭で、茹でたザリガニを賞味することが多いです。
それもそのはず、世界のザリガニ養殖の9割はルイジアナ州で行われ、その生産量の7割近くはルイジアナ州内で消費されるというのですからね。コーンやポテトなどを一緒に入れて茹でることも多いです。ただ、身はほんの少しなので、食べるのに時間と労力を消費します。
Crawfish Pie
上述のザリガニを使ったパイも、ルイジアナでは人気の料理です。パイと言ってもセイボリーの方で、バターと粉でルーを作り、パプリカやねぎ、にんにくやパセリなどの野菜を炒め、チキンスープを入れて煮たフィリングをパイ生地に詰めて焼きます。
Etouffee
エトゥフェというのはフランス語の言葉で、蒸し煮にする調理のことを指します。英語では、“smothered” と同じ意味です。クレオール料理に関して言えば、上記のザリガニや海老などをリッチなグレービーで煮込んだものをご飯と一緒にいただく料理になります。
私も家庭で作ったことがあります。通常、一種類の甲殻類を使うのですが、私が選んだレシピでは、海老とカニを使った贅沢なものでした。調理時間によって、ブロンドからブラウンまで、ルーを好みの濃さに仕上げることができます。
Fried Frog Legs
ニューオリンズ生まれの料理で、名前の通り、カエルの足にクレオールシーズニングをたっぷりまぶして揚げた食べ物です。レストランによっては、見るからに、腰から下を切断して、平泳ぎの状態で揚げてある物もあり、私はちょっと引いてしまいます。
New Orleans-Stle BBQ Shrimp
ニューオリンズ・スタイルというのは、普通のBBQソースのように、ケチャップたっぷりのドロッとしたものではなく、スパイスやハーブを利かせたバターソースに、ウスターやレモンジュースでアクセントを付け、大きめの海老を殻つきのまま調理するのが一般的です。
Oyster Bienville
ニューオリンズのフレンチクオーターで生まれた伝統料理で、元ルイジアナ州の知事で、ニューオリンズを創立方に敬意を表して、ラストネームが付けられています。
殻付きの牡蠣に、細かく刻んだ海老やマッシュルームをバターで炒めて小麦粉をまぶし、ワインやストックを注いで煮たソースをかけ、パン粉やチーズをトッピングして焼いた料理です。
Shrimp Remoulade
海老のレムラードソースには、フレンチタイプでマヨネーズがベースのホワイトソースと、クレオールタイプのレッドソースがあります。私も作ったことがあります。
このソースは、ねぎやセロリ、にんにくやホースラディッシュ、マスタードにウスターソース、ケチャップにワインソース、カイエンペッパーにパプリカと、複雑な味が混じり合ってできています。
野菜料理
Maque Choux
マックシューは、ルイジアナで生まれたクレオール料理で、一言で表すと野菜の蒸し煮です。とうもろこしを主体に、パプリカやセロリ、玉ねぎやニンニクなど、数種の野菜をコーンの身と同じくらいの大きさに切ってバターで炒めます。
鍋に少し水分を加えたら、液体がほぼなくなるまで蒸し煮にします。原住民のアメリカンインディアンの影響を受けてできた料理だと言われています。私も作ってみました。
Red Beans (& Rice)
赤い金時豆の煮込み料理の伝統は、19世紀に遡ります。当時の主婦たちは月曜日に洗濯をするのが慣習でした。その間、一日かけてレッドビーンズを煮込むのです。今では洗濯はいつでもしますが、月曜日に煮豆を食べる習慣は残っていて、ご飯を添えて出します。
スープ料理
Gumbo
ルイジアナの象徴的なスープ料理と言えば、ガンボ。大きな鉄鍋で、シーフードか鶏肉、又はハムやソーセージにオクラやトマトなどを入れて、長時間かけて煮込み、ご飯にかけて出します。
私も過去に数回違うレシピで作っています。最初に作ったのが海老とチキンのガンボ。その次がシーフード・ガンボ。これにはカニと海老の他、牡蠣も入れました。その次には海老と白身魚を使いました。最近ではベジタリアン・ガンボもあるそうです。
Yaka Mein
ニューオリンズのクレオール料理レストランからあまり外には出ることのない、知る人ぞ知る、ビーフヌードルスープです。使われている麺はスパゲティー!? リッチで塩味の濃いスープにはもちろんホットなスパイスがたっぷり。
味玉ではなく、普通のゆで卵とネギが浮かんでいます。実はこのスープには別の名前があって、“Old Sober” と言うのですが、2日酔いに効くらしいのです。もう若い頃のような無茶飲みはしなくなったので、残念ながら効果を試す機会はありませんが。
サンドイッチ類
Muffuletta
マファレッタは、ニューオリンズに移り住んだイタリア系移民がもたらしたサンドイッチです。シチリアの円いゴマをあしらったパンそのものも指します。
サラミやハム、チーズにマッシュルームとオリーブサラダを重ね合わせたパンは、オリーブオイルをたっぷり吸いこみ、ボリューム満点なので、普通は少なくとも半分か4つに切って売られています。
Po’Boy
ルイジアナの代表的なサンドイッチと言えば、ポーボーイ。20世紀初頭、ベニーとクロビスという兄弟が、ニューオリンズにサンドイッチショップをオープンしたのが始まりでした。
羽のように軽いローカルのフランスパンに、揚げ物のシーフードやグレービーがたっぷりかかったローストビーフなどを挟んで出したのが、あっという間に人気を博しました。実はこのスタイルのサンドイッチは、他の州では、サブウェイになったりしています。
米料理・穀類・パスタ料理
Couche Couche
クーシュクーシュは、ケイジャン料理の主食に当たる料理で、ホット・オートミールがコーンミールになったようなものを想像していただくとわかると思います。実際には、コーンミールに塩や膨らし粉、水を混ぜて焼いて蒸したもので、ミルクやシロップと一緒にいただきます。
Crawfish Monica
ルイジアナの伝統料理となった、クローフィッシュ・モニカは、Kajun Kettle Foods の シェフ、ピエールさんが考案した料理で、奥さんの名前であるモニカと命名したのです。
通常ロッティー二パスタを使って、ザリガニの身をバターとヘビークリームとスパイスで絡めたパスタ料理で、毎年行われるジャズフェスティバルでは、このパスタを求めて人々が長い列をなすそうです。
Dirty Rice
ダーティーライスは、単にケイジャンライスとも呼ばれる米料理です。鶏の肝や内臓の一部を野菜と一緒に調理するため、ご飯の色が汚くなり、このような名前が付きました。
Jambalaya
ジャンバラヤはケイジャン料理のパエリヤというとわかりやすいと思います。まだ奴隷制が続いていた頃の南部で、貧しい大人数の胃袋を満足させるのに、何でもいいから手に入る肉類とご飯を混ぜ合わせた料理が手頃だったんですね。
ソース類
Crystal Hot Sauce
ルイジアナスタイルのホットソースの人気ブランドです。家族経営の、Baumer Foods が出しているソースで、塩とホワイトビネガーとカイエンペッパーの3種類の材料だけでできているんです。
かの有名なタバスコソースに比べ、ややマイルドなヒートで、赤みがかったオレンジ色をしています。この会社の看板サインは、シェフがホットソースの鍋をかき回している姿になっていて、ニューオリンズのランドマークになっています。
Tabasco Sauce
ホットソース=タバスコと言ってもいいくらい、世の中に浸透しているソースは、ルイジアナ州の南に位置する、Avery Island で採れるタバスコペッパーに塩とビネガーを加えて作られています。
デザート類
Beignets
ベニエは、17世紀にカナダのアーケディアに移住してきたフランス人がもたらした、揚げ菓子です。後にルイジアナ州に移住してきて広まりました。四角いドーナツのようなもので、粉糖をたっぷりかけていただきます。食べる時は、砂糖が洋服にかからないように注意が必要です。
Bananas Foster
1951年にニューオリンズで生まれたバナナのデザートです。ラム酒、バナナリキュール、ブラウンシュガー、バター、シナモンを混ぜ合わせ、バナナをフランベにして、アイスクリームと一緒に出します。
Calas
20世紀初頭のニューオリンズでは、よく朝食に出されていた揚げ菓子です。カラは、(普通は余り物の)調理したご飯に、イースト、卵、小麦粉、砂糖を加えて、ドーナツボールのような形にまとめて揚げ、粉糖をまぶします。
Doberge Cake
ハンガリーのドボッシュトルテからヒントを得て作られた、6~8層からなるレイヤーケーキです。1933年にニューオリンズにベーカリーショップを開いた Beulah Ledner さんが編み出したものです。
イエローケーキの層の間には、半分はチョコレートプディング、もう半分にはレモンプディングのフィリングを入れて、全体に薄くバタークリームをのばした後、フォンダンで覆って仕上げる豪華なケーキです。
King Cake
聖書の話に出てくる、”Three Kings” から付けられた名前で、ルイジアナでは、マルディグラのシーズンに登場するカラフルなシナモン味のケーキです。リング型をしていて、正義を表す紫と、信仰を表す緑と、力を表す黄金色で飾られています。
伝統的には、救世主の誕生をお祝いする意味で、ベビーの形をした人形をケーキの中に仕込み、それを仕留めた人には幸運と繁栄をもたらすとされています。でも昨今、訴訟が激しい中、人形が原因で窒息したりされると困るので、トッピングにするケースが多いです。
Pecan Pralines
ルイジアナ州発祥の伝統的なケイジャン菓子です。ニューオリンズに最初にこのナッツ菓子をもたらしたのは、フランスの尼さんでした。当時アーモンドは希少だったので、ピーカンで作り始めたということです。クリームと砂糖にどっぷりつかったキャンディーなので、食べすぎにはご用心!
Sno-Ball
ニューオリンズでは、3月から10月にかけて、このスノーボールのスタンドがあちこちに登場します。サラサラの雪のようなかき氷に、好みのシロップをかけていただきます。粗い氷のスノーコーンと違い、シロップが細雪に染み渡って、美味しさが増します♪
ルイジアナ発の有名ドリンク
Hurricane
ニューオリンズ生まれの甘いカクテルは、ラム酒とレモンジュースにパッションフルーツのシロップを混ぜて、氷を入れてシェイクし、真ん中がへこんだトールグラスに注いで出します。ダイキリに似ているので、私の好きそうなカクテルです♪
Ramos Gin Fizz
ジンフィズの中でも、これは別名、“New Orleans fizz” と呼ばれるドリンクで、ラモスさんが自身のバーで編み出した、卵白を含むエッグ・カクテルの種類で、コリンズグラスに入れて出される、ニューオリンズのスペシャルドリンクです。
Sazerac
サゼラックは、一説によると世界最古のカクテルと言われています。このニューオーリン発祥のカクテルは、コニャック又はライ・ウィスキーをベースに、ビター、アブシンス、砂糖を組み合わせて作られています。
Sidecar
諸説あるものの、サイドカーの歴史も古く、コニャックに同量のトリプルセックとレモンジュースを組み合わせたカクテルで、19世紀にニューオリンズで発明されたという説もあります。
ルイジアナの料理は、やはりニューオリンズ発祥のものが多いですね。中には世界的に有名になっているものもたくさんあります。
ルイジアナというと、ケイジャン料理、又はクレオール料理という分類でも知られていて、この2つは今ではほぼ同義に使われていますが、厳密には少し違いがあります。
そもそも、ケイジャンというのは、カナダのアケーディア地方に住んでいたフランス系移民がルイジアナ州に移り住んできて、その人たちのことを呼ぶアケーディアンがなまって、ケイジャンになったと聞きます。
ケイジャン料理というのは、一般庶民というか労働者階級の料理なんですね。だから調理もシンプルで素朴なものが基本です。それに比べ、クレオール料理というのは、富裕層の料理とされていて、高級で希少な素材やスパイスを使ったりすることが多いです。
まあ、細かいことは気にせずに、ルイジアナ料理を楽しんでください♪