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アメリカにはピクルスの種類がた~くさんあります。アメリカ人はあの甘酸っぱいピクルスをスナックにボリボリ食べるんですよね。
アメリカのスーパーの棚には、数段に渡って各社の瓶入りピクルスが所狭しと並んでいるのですが、遠目に見ただけでは、切り方の違いこそ歴然としているものの、一体どこが違うのかよくわかりません。
そこで、主に作り方や具材の違いにポイントを置いて、アメリカで売られているピクルスの種類を解説することにしました。
アメリカでいうピクルスって?
まず初めに、「ピクルス」という言葉の使い方について説明しておきます。
アメリカでは、“pickles” というと、胡瓜を漬けた物を指します。でも世界のほとんどの国では、“pickles” は、きゅうり以外のどんな食材でも、とにかく漬けた物を意味します。
ですので、アメリカ以外の国で、アメリカのピクルスのことを言いたい場合には、“pickled cucumber” と言うと、確実に伝わりやすいです。
アメリカのピクルスの種類
アメリカのピクルスの種類は、大きく分けると、次の3つのグループになります。
Dill Pickles(標準タイプ)
ディル・ピクルスというのが、「ピクルス」と呼ぶときに。最もアメリカ人の頭に浮かぶ種類だと思います。
名前が示しているように、ハーブのディルを加えて風味付けしているのが特徴ですが、種類によってはガーリックや他のスパイスが入っていることもあります。
では、具体的にどんな種類があるのか見ていきましょう。
“Genuine Dill”
ディルピクルスの基本形です。ホワイトビネガーと自然の風味に漬け込んで、ゆっくり発酵させて作られ、ディルは最後の工程で加えられます。糖分を含まないシンプルなピクルスです。
“German Dill”
ドイツのスタイルは、発酵させずに作る種類で、お酢やレモンジュースに胡瓜を漬けておくだけなので、トラディショナルな物より酸味が少ないです。
“Senfgurken” と呼ばれるピクルスは、マスタードシードを入れるので、“mustard pickles” とも呼ばれます。このピクルスの特徴は、液に漬ける前に、キュウリの皮をむいて種を取っておくことです。
メリットとしては、手作りするときにピクルス用のきゅうりにこだわることもなく、普通の胡瓜(アメリカの太っちょキュウリ)を使って、最短24時間でホームメイドができます。
“Kosher Dill”
ディルピクルスの種類を語るときに、“Kosher” という名称が付いて販売されているものが、全てユダヤ教が規定する法則によって調理され、認定されたピクルスであるとは限りません。
この名前のピクルスの最大の特徴は、ガーリックが必ず、そしてたくさん入っていることです。ですので、ニンニクが苦手な方は避けた方がいいでしょう。
“Overnight Dill”
文字通り、一晩で作れるピクルスです。お酢は入らない場合がほとんどですが、入っても少量です。後述する“half-sour” のグループにも入る種類です。
スパイスを混ぜた塩水にキュウリを漬けて冷蔵庫に入れておけば、翌日にはできているので、元の胡瓜の色合いや噛み応えをほぼ保った状態で食べられます。
“Polish Dill”
ポーリッシュタイプは、ジャーマンスタイルと並んで、ヨーロッパで主流のピクルスです。きゅうりを塩水に漬けて保存するというプロセスから、ポーランドでは、”pickled cucumbers” と言うより、“preserved cucumbers” と呼ぶ方がしっくりするようです。
“Ogorki Kiszone” と呼ぶピクルスは、つぼみの付いたディル以外にも、わさびの根っこや、葡萄やサクランボ、また黒スグリやベリーの葉っぱなど、手に入る植物を盛り込むことがあります。
Sour/Half-Sour Pickles(酸味タイプ)
サワーピクルスは、新鮮な胡瓜を、ビネガーを含まない塩水に漬けて冷蔵保存して作られます。漬けおく期間が長いほど、乳酸発酵によって酸味が強くなります。
これに対し、ハーフサワーピクルスは、塩分を少し減らし、発酵期間を短くして作られるので、きゅうりの色も鮮やかで、食感もカリコリしています。サンドイッチやサラダの具に向いているピクルスです。
Sweet Pickles(甘味タイプ)
スイートピクルスは、ビネガー、砂糖、種々のスパイスに漬けて作られるので、仕上がりは甘くなります。他のピクルスのようなホールの状態より、輪切りにしていることが多いです。
以下に主な種類を挙げます。
“Bread & Butter”
ピクルスの種類に、どうしてパンとバターが出てくるのか不思議だと思うのですが、実はこれ、アメリカで起こった大恐慌の折、食卓に満足なものが出せず、トーストにピクルスを挟んだだけの安上がりのサンドイッチで耐え忍んだ時代に主流だったものです。
キュウリの他に、玉ねぎや刻んだピーマンと一緒に、マスタードシードやセロリシードを加えた甘酢に漬けて作ります。輪切りにする際に、ワッフルカットにしているものをよく見かけます。
“Candied”
名前が語っているように、この種類のピクルスは、砂糖の量が半端ではありません。ほとんどシロップのような液に漬け込んでいます。
“Kool-Aid”
ピクルスの種類にどうしてクールエイド?と思われたかもわかりませんね。このピクルスはミシシッピ州で始まったと言われていますが、主に南部の州で人気のあるピクルスです。
作り方は簡単です。市販のピクルスを買ってきて、中の液体をボウルに移して、好みのクールエイドの粉とたくさんの砂糖を溶かします。これを瓶に戻して1週間ほど冷蔵すると、選んだクールエイドカラーのピクルスが出来上がります。
例えば、チェリーやグレープの色を想像してみてください。ピクルスがその色に染まるのです! これが子どもに受けないわけがないですよね。
あまりの人気で、市販のものもアマゾンなどで売っているのですが、私は見ただけで遠慮したいので味見したことがありませんが、好きな人には、甘味と酸味が絶妙の割合で混ざっていて、格好のスナックなのだそうです。
違う視点から見るピクルスの種類
ピクルスの素材
アメリカで普通に使うキュウリは、“slicer” 又は、“slicing cucumer” の部類に入る、外皮が滑らかで分厚く、濃い緑色をしていますが、ピクルス用には、“pickler” とか、“pickling cucumber” と呼ばれるものを使います。
長さは10cmほどの、ずんぐりむっくりした形で、表面には突起があり、表皮は緑色から、中にはクリームイエローの色をしたものもあります。形はまっすぐとは限りません。
小ぶりの “Gherkin”(ガーキン)は、厳密にいうと、きゅうりではなく、胡瓜のような果物になりますが、“pickled cucumber” と同義語にもなっています。また、“Cornichon”(コルニション)はフランス語で、“dilled gherkin” を指します。
素材の切り方
胡瓜を切らないで原形のまま使っているものは、“whole”。縦に半分に切ったものが、“halves”。何本かの縦割りにしたものは、“spears” とか “sticks”。
厚目の輪切りしたものは、“slices” とか “chips”。波を打ったような輪切りになったものが、“waffle-chips”。角切りに近い感じは、“chunks”となっています。
プロセスの違い
【fresh pack or quick process pickles】
フレッシュパックは、お酢を入れた塩水に数時間漬けるか、スパイスと共に熱いビネガーを注いで瓶詰にしてから殺菌しているで、発酵の期間がないため、市販の瓶詰ピクルスは、この製法で作られたものが多いです。
【cured or fermented pickles】
最もオーソドックスな方法で、ディルピクルスに代表されるように、塩水に数週間漬けてゆっくり発酵させ、最後にスパイスを加えてフレーバーを添えるタイプです。
【refrigerator pickles】
家庭で作るのに最も適した方法で、塩水にビネガーやスパイス、好みで糖分を混ぜた液に胡瓜を漬けて、密閉容器に入れ冷蔵しておくだけで、1か月くらいは持ちます。私も家で作ってみたことがあります。
アメリカのピクルスの種類は色々試されましたか? 日本の輸入食料品店でも、いろんなものが手に入ると思います。
私は正直、日本のお漬物の方が口に合うので、滅多に買わないのですが、冷蔵庫で作るピクルスは、胡瓜以外の具材も一緒に漬けて作れるので、時々食べていました。
これからアメリカのハンバーガーやサンドイッチを食べる時に、ピクルスを見つけたら、これはどの種類だろうかと、思い出してみてくださいね♪