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アメリカでは食べ物をディップソースに浸けていただくことがよくあります。ファーストフード店でも、そういうディップソースが単品で小さい入れ物に入って、余分に持ち帰る人も多いです。
スーパーの棚を見ても、実にいろんな種類のディップソースが所狭しと並んでいます。アメリカでは、略して、「ディップ」と呼んでいます。
市販の物が数多くあり、ファーマーズマーケットでも、ディップ専門店が独自のユニークなディップを販売することもあり、ディップソースを作るのに必要なフレーバーキットの形で売っていたりもします。
このページでは、北米、南米、またヨーロッパの影響を受けてアメリカでも定番になっているものなど、様々なディップソースの種類を挙げて解説していきます。
アメリカのディップソースの種類
ベジタブル系
“Artichoke dip”
アーティチョーク・ディップソースは、クラッカーやチップスと一緒に、パーティーのオードブルによく用いられます。マヨネーズにレモン汁やハーブ類を加えて作りますが、生から茹でなくても、瓶詰や缶詰を使うと便利です。
“Spinach dip”
ほうれん草のディップソースも市販のものがありますが、サワークリームやクリームチーズをベースに使って、すでに茹でて小口に切っている冷凍物を使うと簡単に作れます。
ビーン系
“Bean dip”
ビーン・ディップは、チップスを売っている棚の横によく並んでいます。一口に「豆」と言ってもいろんな種類があり、金時豆、レンズ豆、そら豆、黒豆、枝豆など、好みのものを選ぶとよいです。
“Hummus”
フムスは中近東から来たスプレッドで、ひよこ豆をマッシュにしてタヒニソースと合わせ、レモンジュースとにんにくを加えるとできます。アメリカでも人気なので、最近はいろんなフレーバーを加えた市販の物が出ています。
シーフード系
“Clam dip”
クラム・ディップソースは、缶詰の貝を刻んで使うとよいです。というのも、クリームチーズやサワークリームと混ぜる時に、コンディメント風なら硬めにすればいいし、チップス用のディップなら、缶詰の汁で薄くのばすとすくいやすくなるからです。
“Crab dip”
クラブを使ったぜいたくなディップソースです。シーズン中は新鮮な蟹を使うといいし、缶詰があれば年中できます。マヨネーズやクリームチーズをベースに、オーブンで焼いて温かい内に出します。ピタブレッドとかあれば、これだけでも食事になります。
レッドソース系
“Buffalo sauce”
バッファロー・チキンウィングという、辛さで有名な鶏の手羽先を作るときにつけるソースですが、単体でもディップソースとして使うことがあります。とにかくカイエンペッパーが効きすぎて、他の味が分からなくなる辛さです。
“Cocktail sauce”
カクテルソースは、シーフード、特に茹でた海老と一緒に出されるのがほぼ定番のディップですね。ケチャップやチリソースをベースに、ホースラディッシュやレモン汁、ウスターソースやタバスコを少し落として作ります。
“Romesco”
ルメスクソースはスペイン生まれのディップソース。現地では焼いた玉ねぎに浸けて食べるのだそうですが、アメリカでは、野菜やサラダ、魚や肉類まで幅広く使われています。赤ピーマンとトマトをベースに、ローストした各種ナッツを混ぜて作られます。
クリームソース系
“Aioli sauce”
アイオリソースは、レストランに行くとカラマリ・リングを注文した時によく出てきます。一言で言うと、マヨネーズにガーリックが入ったディップソースです。マヨネーズと違うところは、油はオリーブ油、酢の代わりにレモン汁を使うという点です。
“French onion dip”
フレンチオニオン・ディップソースと呼ばれているものの、フランス生まれではなく、アメリカのロサンゼルス発祥です。どうしてこの名前が付いたかというと、サワークリームにインスタントのフレンチオニオン・スープミックスを混ぜて作ったからだそうです。
“Fry sauce”
フライソースは、見た目、ほぼサザンアイランド・ドレッシングです。アメリカのユタ州のキャピタルであるソルトレイク市で生まれたディップソースで、基本、マヨネーズとケチャップを半々で混ぜたもので、バーガーのソースや、フライドポテトを浸けたりします。
“Remoulade”
レムラードは、フランス由来のディップソースで、シーフードに添えることが多いです。マヨネーズをベースに、ピクルスやケイバー、マスタードやホースラディッシュを加えたり、好みでカレー味にしたり、いろいろアレンジを楽しめます。
“Tartar sauce”
フランス生まれの、誰もが知ってるディップソース。基本はマヨネーズにピクルスやケイパー、ハーブにレモン汁を入れて作られますが、日本版は刻んだゆで卵も必ず入ってますよね。アメリカのファーストフード店では、小さい入れ物に入って出てきます。
メキシカン系
“Chile con queso”
チリコンケソは、溶かしたチーズにクリームとチリペッパーを混ぜて作ったディップソース。テクス・メクス・レストランに行くと、料理を注文して待っている間にチップスとサルサが無料で提供されますが、このディップは有料扱い。
“Guacamole”
ワカモレの説明は要らないかもわかりませんが、一応材料は、アボカドのマッシュに、玉ねぎやトマト、チリペッパーにライムジュースを加えて、調味料で味付けします。アメリカでは略して、”guac” と呼んでいます。
“Nacho cheese dip”
ナチョスを作るときに上にかけるディップソースです。ナチュラルチーズなら健康的でいいのですが、野球場などで出てくるのは、プロセスチーズを溶かしたものがほとんどなので気を付けないといけません。
アメリカでは11月6日が、”National Nacho Day” に指定されているようですが、知りませんでした。
“Salsa”
サルサとチップスはメキシカン・レストランではなくてはならないもの。市販の瓶詰では、赤いトマトがごろごろしているチャンキーなものから、水分たっぷりのものまであり、”salsa verde” という緑のサルサもあります。
なお、メキシコ料理に使われるディップ・ソース類については、メキシコ料理の種類のページでも解説しています。
その他
“Bagna cauda”
バーニャカウダはイタリアのディップソースです。オリーブオイルをベースに、ガーリックやアンチョビーで味付けして温かい状態で出します。テーブルの中央にフォンデュー鍋のように置いて、生や温野菜を浸けて、寒い季節の団らんを楽しんだのが始まりでした。
“Chimichurri”
チミチュリはアルゼンチンから来たハーブたっぷりのディップソース。オリーブオイルに、刻んだパセリやオレガノ、ガーリック、赤ワイン酢、レッドペッパーフレークを混ぜて作ります。肉料理によく合いますが、魚や鶏でも大丈夫。
“Garlic butter sauce”
ガーリックバターソースは、”ghee” のような「澄ましバター」にニンニク風味を付けたもので、カニや海老とか貝類と一緒に出すことが多いです。また、パンのディップにも使われます。
“Pepper jelly”
ペッパージェリーは、肉類のグレーズやハムのベイスティングに使われたり、コンディメントとしても活躍します。パプリカやホットペッパーに、砂糖とビネガーを加えて作りますが、果物を素材に使うこともあります。
“Pimento cheese”
ピメントチーズは、アメリカでも南部の方で人気があり、チーズとマヨネーズにピメントを混ぜてペースト状にしたものです。クラッカーの上に載せたり、セロリの溝に埋めたりしたアペタイザーでもよく見かけます。
ディッピングソースの保存と賞味期限
ディップの保存
市販のディップソースを購入した時の保存の仕方で、基本的な考え方は、店で普通の棚に置かれていたものは、開封するまでは冷暗所保存で大丈夫。冷蔵ケースにあったものは家でも冷蔵庫保存です。
ここではベーシックな調味料の話ではなく、ディッピングのことを言っているので、開封後は原則冷蔵庫で保存の上、できるだけ早く消費することが望ましいです。
ただし、サルサの市販の瓶とかはかなり大きくて、我が家の場合、開けてから全部使いきるまでに、夫婦二人では相当時間がかかります。
そこでちょっとした保存のコツですが、私は2~3個の小瓶に移し替えて空気に触れる空間を小さくしたり、元の瓶のまま使うときは、表面にラップを張って、極力酸化を防いでいます。
なお、調味料の保存については別ページで解説していますので、参考になさってください。
ディップの賞味期限
ディップソースの賞味期限は、中身の食材によるので一概には言えませんが、市販の瓶詰のものは開封前であれば数年持ちます。ただし、乳製品が含まれるものは数か月だったりします。
開封後は、冷蔵庫の使用状態(保存場所や温度、またドアの開閉の頻度など)にもよるので、大事なことは直感を大切にすることです。
蓋を開けてみて、変な臭いがしたり、色が変わっていたり、ほんの少量味見してみて異変を感じるようなら、思い切って捨てないといけません。
家庭で手作りしたものに関しては、保存料が入ってないことは歴然としているので、冷蔵庫で3日から1週間程度が限度だと思います。
また注意したいのは、よくファーストフード店やテイクアウトで持ち帰ったときについてくる、個別のディップソース類です。
余分なものはとりあえず冷蔵庫に入れておくのですが、あっという間に月日は経ちます。小袋や小さい入れ物に入っているのは、賞味期限が書いてないことがほとんどです。
今回、私も冷蔵庫に入れているもろもろのソース類を見てみたら、日本の店でもらった醤油やワサビの小袋には、ほとんど見えないくらいの印字で書いていましたが、アメリカのものには皆無でした。
だからもう、何年前?から冷蔵庫に入っているのかわかりません。通常、これら個別包装のタルタルソースやBBQソースなどは、6~9か月ほど持つはずですが、開けてみて確認が必要です。
アメリカで頻繁に使われるディップソースの種類を挙げて、最後に保存方法と賞味期限で注意したいことを加えておきました。
食材を楽しむために、実にいろんなディップが存在します。中には食べ物よりもディップソースの味が勝ってしまうこともあるくらいです。
アメリカのスーパーに行って、珍しいディップソースを見つけるとつい買ってしまい、使いきれずに捨ててしまうことも多いので、誘惑に負けないよう注意しないといけません♪