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アメリカのソーセージを召し上がったことありますか?
そもそも、ソーセージと聞いて、どんなイメージが浮かんでくるでしょうか?
私は日本にいた頃、細長い魚肉のソーセージで、朱色のラッピングを取り除いて、そのままスナックとして食べるのが好きでした。いわゆるウィンナーソーセージですね。
でもアメリカに来て、ソーセージと言えば、あのホットドッグの中に挟んで食べる極太のソーセージや、薄皮に包まれていて、脂身が外から見てわかるようなグロテスクなもの。
また、普通は薄切りで食べますが、ピザのトッピングにもよく使うサラミ系ソーセージといった類で、いずれもあっさりした味のものを見つけるのは難しいです。
一口にソーセージと言っても、いろんなタイプがあるので、製造工程から分けたものと、形状で分けたものに二分して、それぞれのグループの個々の種類を解説していきます。
なお、ソーセージは、例えばドイツ辺りが最も種類が豊富だと思いますが、このページでは、アメリカで手に入るソーセージについて取り上げています。
ソーセージの基本のタイプとは?
大きく分けると4つになります。
<生タイプ>
生ハム同様、生ソーセージもあります。ハムと違うところは、そのまま生では食べないということです。中の身でピンクの所が見えなくなるまでよく火を通さないといけません。
生タイプには、本来は動物の腸から作られたケーシングの中に、挽肉と塩その他の香辛料を混ぜて詰めた、ソーセージリンクや、アメリカのスーパーでは、バラ肉のままパックされて売っているものもあります。
焼いたり、炒めたり、あぶったりして調理しますが、ケーシングに入っているものは、調理中に爆発するといけないので、最初に爪楊枝か何かで袋に穴を開けておくと良いです。
白っぽく見える子牛肉のソーセージは、蒸したり、ポーチングするのも良い方法です。
<調理済みタイプ>
フランクフルターに代表されるような、主にホットドッグ系のソーセージですが、ハムのように薄切りにして使う、イタリア産のボローニャも調理済みですね。
これらは一度調理されているので、そのままで食べても大丈夫ですが、軽くあぶるとか炒めるとかした方が、本来の味が活かされるように思います。
<燻製タイプ>
有名どころでは、例えばポーランドのキルバーサ“kielbasa”ソーセージとか、フランスのアンドゥイユ“andouille”ソーセージなどがあります。
アメリカのルイジアナ州では、フランスからの移民が多かったため、このタイプの、特にケイジャンスパイスの効いた燻製ソーセージは人気です。
<塩漬けタイプ>
代表的なのは、イタリアのサラミ“salami”ソーセージとか、スペインのチョリーゾ“chorizo”ソーセージですね。
生のソーセージを塩漬けにして、数週間から数か月、吊るして空気乾燥させて作られます。生で前菜のトレイに載せたり、サンドイッチの具に使うこともあります。
ソーセージを形で分けると?
<ホットドッグタイプ>
・アンドゥイユ”andouille”
フランスを代表するアンドゥイユ・ソーセージの原型は、“andouillette”と呼ばれ、粗挽きで、匂いもかなりきつく、珍味として今でもフランス国内では食されているようです。
他の国々で一般的になっているアンドゥイユは、特にアメリカでは、クレオール料理のジャンバラヤやガンボに欠かせない具材の1つです。
・キルバーサ”kielbasa”
ポ―ランド語でソーセージのことをキルバーサと言うんですね。だから、ポーランドでは、どんな種類のソーセージであれ、キルバーサと呼ぶことになります。
でも、アメリカで呼んでいるキルバーサは、たいてい馬蹄型に作られていて、いつも燻製になっているとは限りません。
グリルで焼いていただくことが多いですが、パンにはさんだり、薄切りにしてスープに入れたりすることもあります。
・チョリーゾ”chorizo”
チョリーゾには、スペイン産のものとメキシコ産のものがあって、かなり違います。
スペインがアメリカを開拓しようとしていた頃に始まり、アメリカでパプリカの元になるチリペッパーを持ち帰って、ハーブや白ワインとともに、塩漬けにする豚肉に加えて作られました。
これが、赤くなっている元です。たいてい燻製にしたパプリカを使っているので、独特の風味が楽しめます。そのまま食べることもできるし、パエリヤに入れても美味しいですね。
一方、アメリカで売られているチョリーゾは、メキシコ産のものが多いです。豚の挽肉を使い、レッドペッパーやビネガーに、時には脂身も加えて、一週間ほど空気乾燥させます。
メキシコ産は生タイプなので、必ず調理しないといけません。リンクのままグリルしてもいいし、ケーシングを取って、挽肉と同じように炒めて、タコスやブリトーに使うこともできます。
・ブラートヴルスト”bratwurst”
ドイツの代表的なソーセージの総称ですね。ドイツでは地方によって、何十種類ものブラートヴルストがあるようです。
アメリカに入っているものは、たいてい豚肉か子牛肉に、塩や生姜、ナツメグやキャラウェイシードなどのスパイスを入れて作られています。
ドイツ語で“brat”は、「微塵切りにした肉」の意味で、“wurst”の方は、ソーセージを意味します。だから、省略形で、”brat”と呼ぶことが多いです。
何百年も前に、余りある豚肉を有効使用するために開発されたのがソーセージで、味は基本的にマイルドなので、いろんな方法で食べることができます。
・ブレックファーストソーセージ”breakfast sausage”
特にスタイルが決まっているわけではないのですが、アメリカのソーセージを取り上げる以上、この名称は入れておく必要があると思いました。
その名の通り、朝食の際、スクランブルエッグやハッシュブラウンとともに、皿に載るメニューの1つで、“country sausage”と呼ばれることもあります。
私は朝から家中にベーコンの匂いが充満するのが嫌なので、アメリカ人の親戚の子どもが来たときには、このブレックファーストソーセージを使います。
豚肉でできているのがほとんどですが、リンクタイプだけではなく、パティタイプのものもあります。結構味が付いているので、ただ炒めるだけで十分です。
普段の朝食には使わないので、各社のブランドを比較したこともないのですが、チキンやターキーのほか、中にはベーコン味のもあるようです???
<サラミタイプ>
アメリカのスーパーで売っている種類を調べてみました。
・カラブレーゼ”calabrese”
イタリアにあるカラブリアという地方から来ていて、主に豚肉に、時には牛肉を混ぜて、たっぷりの唐辛子を加えてスパイシーに作られたサラミです。アンティパストにも向いています。
・ジェノア”genoa”
中挽きの豚肉を中心に、ガーリックや粗挽き胡椒もしくは胡椒粒、赤ワインで味付けた、人気の高いサラミソーセージです。
よく比較されるサラミソーセージに、“hard salami”がありますが、こちらは牛肉がベースでワインは使わず、胡椒も粉状のもので、燻製もしくはその風味が加えられているところが主な違いです。
・ソップレッサータ”soppressata”
ほぼ豚肉の粗挽きで作られ、他のものに比べて一段と脂肪分の多いサラミソーセージです。塩漬けの際、重石を載せて何日も置くそうで、何か漬物の作り方に似ていますね。
・フィノッキオーナ”finocchiona”
イタリア語で“fennel”のことを、“finocchio”というところから来ている名前なので、豚の粗挽き肉に、通常の塩胡椒以外に、フェンネルシードを混ぜていることが特徴です。
中世期の頃から作られていて、その昔は胡椒がまだ高価な代物だった時代に、もっと安く手に入る、トスカーナ地方の特産であるフェンネルを加えて作ったんですね。
・ペパロニ”pepperoni”
伝統的なイタリア産ではなく、アメリカナイズされたサラミと言えるでしょうか?
豚肉に限らず、牛肉、馬肉、鳥肉と、何でもありです。
細かく挽いた肉を軽く燻製にして、スパイスをたっぷり使って作られています。ピザには欠かせない具材になっていますね。
いかがでしたか?
個人的には、あまり頻繁に食べる種類のものではないので、上記に挙げたものの中も、まだ口に入れていないソーセージがいくつかあります。
ちなみに、日本語で「ホットドッグ」と言うと、ソーセージを挟んだパン全体の食べ物を指しますが、アメリカでは、パンにはさんでいるソーセージそのもののことも“hot dog”と呼びます。
また、余談ですが、私は野球の観戦が好きなので、サラミを使った言い回しでは、アナウンサーが満塁ホームラン“grand slam”のことを、“grand salami”と叫ぶことが多いです。
最後に、あまりに下品なので、具体的な意味は避けますが、ソーセージやサラミは、体の一部を指すスラングとして、アメリカでは使われています。