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寒天とゼラチンとアガーの違いはどこにあるのでしょうか?
共通していることは、どれも食べ物に使う凝固剤であるということ。同じ役目だけれど、似ているようでやっぱりどこか違う。
その違いは一体何なのかということを、いろんな観点から整理していくとことにします。それぞれの特徴がわかると、作りたいものがあって、材料がそろわないときにも、代用できるかどうかの判断基準にもなります。
寒天・ゼラチン・アガーの違いとは?
<原料が違う>
・寒天は、おごのりや天草(テングサ)に代表される植物繊維
・ゼラチンは、牛や豚などの動物のコラーゲン(たんぱく質)
・アガーは、海藻やマメ科の植物から抽出される多糖類の植物繊維
植物か動物か、これはまず決定的な違いですね。
<固まる力の違いは?>
3つの凝固剤を入れて何かを作ったときの固まる力の度合いを強い方から並べてみると、以下の順番になります。
1位:寒天
2位:アガー
3位:ゼラチン
寒天はがっちり固まる上、一度固まると常温では戻らないので安定しています。
その点、ゼラチンで作ったお菓子を、夏場のポットラックパーティーとかに持っていくときには、ブルーアイスを忍ばせたクーラーボックスに入れておかないと、目的地に到着するころには形がなくなっているかもわかりません。
<食感はどう違う?>
上記の硬さの違いで分かるように、寒天は最もしっかり固まるので、歯ごたえがあり、軽くかんでつぶしながら食べる感覚ですね。
その次のアガーは、仕上がったときにやや弾力があって、のど越しがよいです。
ゼラチンは、ツルツルしてやわらかく、口の中で溶けていくような感じです。
<色や臭いの違いは?>
・寒天は、白く濁っています。(砂糖を加えると透明感を出すこともできます。)
・ゼラチンは、やや黄色を帯びた半透明で、少し臭いがあります。
・アガーは無味無臭、無色透明で、クラッサージュに使われることが多いです。
<形状にも違いがある?>
寒天には、棒状、糸状、粉状のものがあります。量的な比較をすると、粉寒天4gは糸寒天8gもしくは棒寒天1本に相当します。
私は和菓子を滅多に作らないので、糸寒天は使ったことがありません。棒寒天を主に使いますが、一晩ふやかさないといけないので、その必要のない粉寒天の方が便利ですね。
ゼラチンには、板状、粉状、顆粒状があります。顆粒は、ふやかす必要がないので便利そうですが、普通の店で目にしないので使用したことがありません。
3つの凝固剤の中で、板ゼラチンが、仕上がったときの透明度が一番高いと言われていますが、粉状の方が細かい分量の調整が効くので、私はもっぱらパウダーを使ってます。
アガーは、製造メーカーによって、種類が細かく分かれているので、それぞれの製品に合った使い方をする必要があります。
3つの凝固剤の特徴は?
<長所短所をまとめると?>
【寒天】
長所:固まるのが早く、常温で安定している。食物繊維が豊富に含まれる。
短所:粉以外は、ふやかすのに時間がかかってしまう。酸性のものに弱い。
【ゼラチン】
長所:弾力と粘りがあるので、滑らかに仕上がり、口どけが非常にいい。
短所:固まるのに時間がかかり(冷蔵庫で数時間から半日)、常温で溶ける。
【アガー】
長所:ゼラチンで固まりにくいものも凝固可能で、冷凍保存ができる。
短所:混ぜるときダマになりやすく、使い方がやや難しい。
<どんなお菓子が作れるの?>
・寒天→→ゼリー、杏仁豆腐、ようかん、ところてんなど
・ゼラチン→→ゼリー、ムース、ババロア、パンナコッタ、ライスプディング
・アガー→→ゼリー、プリン、水ようかんなど
洋菓子を作るときは、たいていゼラチンがあれば大丈夫ですね。
<気になるカロリーは?>
寒天とアガーは消化されないので、うれしいゼロカロリー。でも、みつ豆にして食べるときには、シロップあり、あんこあり、クリームありなので、全体のカロリーにはご注意!
ゼラチンは消化吸収されるので、大体100g単位だと、388カロリーになります。
<凝固剤の間で代用は可能?>
結論から言うと、寒天、ゼラチン、アガーにはそれぞれの特徴があるので、目的に合ったものを使う必要があり、完全な代用は難しいです。
一般的に言うゼリーは、どれを使ってもできそうですが、混ぜ物をするときには条件が違ってくるし、仕上げたいお菓子の外見や食感を最大限に生かそうと思えば、レシピに指定されているものを使うのがベストです。
ただ、仕上がりに影響することなく、比較的スムーズに代用ができるとすれば、アガーはゼラチンの代わりになると言えるでしょう。
何となく相互交換できそうでできない、寒天とゼラチンとアガーの違いをいろんな角度から比較し、特徴をまとめてみましたが、すっきりしたでしょうか?
3つの凝固剤は似ているようで非なるものなので、それぞれの特徴をうまく利用して、最もよくメリットを引き出せる使い方ができるといいですね。