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手作りのケーキが下手で悩んでいる方に、考えられる改善方法を挙げてみようと思います。私はアメリカに来てから洋菓子作り30年の経験を持つ主婦です。
日本にいるときは、お菓子は食べる方専門でした。アメリカで子どもができ、その子の1歳の誕生日ケーキを作りたくて、ケーキデコレーションの初級クラスに参加したのがきっかけです。でもケーキの作り方そのものは習っていません。
ひたすらお菓子の本や雑誌、新聞などを見て試行錯誤を繰り返してきました。ですから失敗もたくさんあります。今でも新しいレシピに挑戦するのが好きなので、時々おかしなものもできます。
習うより慣れろの精神です。そんな私が、これまで手作りのケーキに挑んできて、注意しないといけなかったことや役に立つと思われることを解説します。
誰でも最初は下手なのです。回数をこなすことで上手になっていきますよ。失敗したときの対策も少し加えて、主に5つの視点から書いてみますね。
手作りのケーキが下手:予防する方法
レシピにある分量を正確に測っていますか?
手作りのケーキにはきっちりとした計量が欠かせません。ご飯のおかずを作るときは目分量でよくても、ケーキを大体の量で作るのは危険です。そんなこと言われなくてもちゃんと測ってます、という声が聞こえてきそうですね。
このサイトの「料理の計量器具」のページにも詳しく書いていますが、ものによって、重さを測るときとかさを測るときがあります。重量に関しては、正確な測りがあれば大丈夫ですが、かさの場合は微妙に違ってきます。
計量スプーンでベーキングパウダーや重曹などの粉類を測るときには、ナイフの背とかのまっすぐなところを使って、すり切り一杯ができているでしょうか?
丁寧なレシピの場合は、ブラウンシュガーの分量のあと、英語では、”firmly
packed”というような表現で、しっかり押さえつけて測るように指示があります。
これがなくても、固めて測ることはこの種類の砂糖の基本です。
ケーキ生地の主材料である小麦粉を測るとき、レシピによっては、「振るったもの」と指定されている場合があります。粉を振るう前と振るった後では、かさの量が違ってきます。これが3カップとかだと、全体量に大きな差が出ます。
また、分量は正確に測れたとして、小麦粉を他の材料と混ぜる前に、振るっているでしょうか? そもそもどうして粉を振るう必要があるのでしょうか?
1つには、ケーキ生地の中にダマを作ることがないようにするためですね。もう1つの理由は、生地に空気を入れて膨らみやすくするためです。
とは言え、いろんなステップを踏んで作らないといけないケーキの場合、面倒だなと思うことがあります。時間の余裕があるときは、粉振るい専用の器具を使います。下手から脱皮するために小道具が必要なときもあります。
でも、急いでいるときはこの過程をスキップしたくなります。そんなときには、ほぼ同様の効果が得られる方法があります。ボウルに入れた小麦粉を、泡だて器を使ってぐるぐるかき回すのです。これで粉を振るったことになります。
このテクニックは、個人であらゆるケーキデコレーションの経験がある先生に教えてもらいました。以後、はっきり言って、よほど気を遣うケーキでない限り、私はこの方法で粉を振るったことにしています。
レシピ通りの手順を踏んでいますか?
ケーキ生地を手作りする場合、細かな過程があります。基本は、バターと砂糖を先に練った重たい生地の中に、粉類や液体などの軽い生地を混ぜていきます。
このときの混ぜ方なのですが、スタンドミキサーを使っていると、つい混ぜすぎてしまって生地がしぼんでしまうことがあります。
レシピに、例えば、「へらでさっくり混ぜる」というような説明があれば、文字通りに従う必要があります。日本人はヘラ使いに慣れているので、寿司飯を切るような感覚で混ぜるといいと思います。
また、粉類や液体を加えるときに、「2,3回に分けて混ぜる」となっていることが多いです。これを一気に混ぜてしまうと、ムラができて滑らかな生地にならないので、急いでいてもその通りにしましょう。
あと、使用する材料の温度指定、つまり「冷やして」とか「室温で」というような記述があると思います。バターの場合は完全に守らないといけない部分です。下手だと思う前に、「基本に忠実に」ですね。
ただ、卵の場合は、冷蔵庫から出してすぐに使っても失敗はしませんが、冷たすぎると泡立ちにくいので、生地のふわふわ感に影響してきます。
もし、冷蔵庫から出しておくのを忘れたときは、蛇口から出る温水(沸騰した湯ではありません)に、5分ほど冷たい卵をつけて室温にするといいでしょう。
ケーキ型の底にパーチメントを敷いていますか?
手作りのケーキ生地をうまく焼けても、最後にケーキ型から綺麗に取り出せないと、全てが水の泡ですね。レシピによっては、何も敷かないでいいものもありますが、書いている場合には必ず使いましょう。
私は、ケーキ型のサイズに合わせて、すでに丸型やチューブ型にカットされた市販のパーチメントを数種類持っています。でも、それがなくても、ケーキの底に合わせて、大きい紙から円く切り取ればいいだけです。
チューブ型の紙も、土台になる円形を作った後、クッキーカッターやイングリッシュ・マフィンリングとかの、小さい円形のモールドを探して、真ん中に置いて描き、パーチメントを4つ折りにして切れば、簡単にできます。
手作りのケーキが下手:失敗したときの修正法
手作りしたケーキの仕上がりが硬い
ケーキの種類によっては、粉を使わないで作るリッチなチョコレートケーキのように、どっしりした仕上がりのものもありますが、普通はフォークをさすとフワフワして軟らかいものが、口当たりがいいですね。
でも、混ぜ方や材料の使い方、オーブンの不具合などによって、手作りの生地が硬く仕上がってしまった場合、少し修正する方法を紹介します。特に、レイヤ―ケーキに有効です。
まず、半カップくらいの水と同量の砂糖を鍋に入れて温め、時々混ぜながらシロップを作ります。もし、大人用のケーキであれば、火からおろした後、大さじ2杯くらいの、ケーキ味に合ったリキュールを加えます。
ケーキ生地に少しずつ、このシロップを塗ってから、フロスティングでカバーすると、ある程度硬さが改善できます。
手作りしたケーキの表面が割れてしまった
ケーキ型の中でも、特にスプリングフォーム型を使って作り、焼き上がった後、型から外すときに、あらかじめ周りにナイフを入れておき、型から離れやすい状態にしておかないと、片方にくっついていて割れてしまうことがあります。
そのままで食べるケーキの場合は、何ともできないのですが、もしトップに飾りをつけるときは、アイシングをのり代わりに使うことができます。
割れた部分にアイシングを少々塗り込み、もう一度スプリングを絞めて、1時間ほど冷蔵してから仕上げのトッピングを施せば、ごまかすことができます。
チーズケーキの場合、オーバーベイクしたときとか、真ん中に大きな割れ目ができていることがありますね。すでにスプリングフォーム型に入っていると思うので、まず注意して、それ以上割れ目が広がらないように取り外します。
まだ熱い内に、持っているできるだけ幅広の、チーズケーキの高さをカバーできるくらいのリボンを使って、周りから引き締めるように囲って、クリップでとめ、冷めるまで置いておくと、ある程度元に戻ります。
私も手作りのケーキを始めてから数多くの失敗を重ねてきました。作り始めの
頃の写真を見ると、我ながら、何て下手なんだろうと思えるものばかりでした。
でも今では、手前味噌ですが、お店に出しても売れると言ってもらえます。
何でも場数を踏むことが大切なので、あきらめずに頑張ってくださいね。