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にんにくを料理するときの使い方について解説します。
まず、購入するときの選び方の目安や、家での保存の仕方から始めて、実際に料理をする時のむき方や切り方、調理のコツなどを説明していきます。
市販のにんにく製品の効果的な使い方や、料理後の調理器具や手指の臭いを消す方法や、口臭対策についても触れています。
にんにくの選び方と保存の仕方
にんにくの選び方
にんにくは年中スーパーに並んでいるので、あまり季節感がありませんが、新鮮なものが収穫されるのは、夏から初秋にかけてです。後の時期は、倉庫で保管されているものが出てきます。
手に取ってみて、グシュっとなったり、乾ききっているものや、芽が出始めているものなどは避けたいですね。
ニンニクって、臭いイメージが離れませんが、新鮮なホール・ガーリックは、そのままでは基本臭わないのです。臭い始めるのは、1かけずつばらして切り始めたときです。
ですので、もし店頭に並んでいるにんにくが臭いのであれば、それは店に運ばれる途中でダメージを受けたものと考えていいので、無臭に近いものを選ぶのが理想です。
にんにくの保存の仕方
初夏に採れる、シーズン最初のニンニクは、実に新鮮でマイルドなフレーバーが楽しめます。もし農家直送の採れたてなら、皮をむかなければ3週間ほど、剥いた後は冷蔵庫で保存して、1週間以内に使いきりましょう。
でも、大抵の一般人は、スーパーで売っているにんにくを手にすると思うので、すでに十分乾燥しています。これはやはり冷暗所で、空気の流れが良い所で保存するのが一番。
ヘッドから切り離した段階で、急激に変化し始めますが、ホールのままであれば、風通しが良ければ、芽が出ることもなく、数か月間は持ちます。
一旦刻んでしまったニンニクは、その日中に使いたいですが、余ったものを少しでも持たせたいときは、油に漬けて冷蔵保存すれば、3日くらいは大丈夫です。
芽が出始めたものも使えないことはないのですが、一旦芽が出だすと、糖分がその成長に使われてしまうので、残りの身は、シャープな味に変化していきます。
にんにくのむき方と切り方
にんにくのむき方
まな板の上にニンニクを置いたら、包丁を横にして上から被せるようにして、手を添えて下に向けて押します。すると、まとまっていたニンニクがばらついてきます。
根元から離れやすくなったら、一片ずつばらして、メイソンジャーのような蓋つきガラス瓶に入れます。20~30秒ほどシャカシャカ瓶を振ると、ほとんどの皮が取れます。
切り方による香りの違い
生のにんにくに含まれている、硫黄を含むたんぱく質で、“Alliin” (アリイン)という物質があります。ニンニクを料理に使うために、切ったりおろしたりし始めると、他の “Alliinase”(アリナーゼ)という酵素が働きだします。
このたんぱく質分解酵素によって、アイリンが、“Allicin” (アリシン)という物質に変わるのです。この時、元々含まれていた硫黄の成分が引き出されることで、あのにんにく独特の臭いを発するというわけです。
ここからが、切り方による違いについてですが、にんにくをただ元の株からばらしただけの状態から、ぶつ切り、薄切り、千切り、みじん切り、おろすという順序で、次第に細かくなりますよね。
1粒が小さくなればなるほど、全体の表面積が増えるので、香りはより強く引き出されることになります。
料理に合った切り方
・ロースト---にんにくは細胞を壊すことによって、臭いと刺激的なフレーバーが引き出されるので、皮付きのまま丸ごとローストすると、実にまろやかな風味のニンニクを楽しむことができます。
・炒め物や煮物---単に押しつぶしただけのものから、薄切り、千切り、微塵切りまで、料理に合わせた大きさに切って調理できますが、大切なことは、火の通りが均一になるように、大きさをそろえることです。
・下味や薬味---肉のマリネに使ったり、薬味の一部にしたり、ドレッシングに混ぜたりする時には、おろして使うとよいです。刺激を少なくしたいときには、レモンジュースのような酸味の液体を混ぜるとマイルドになります。
失敗しないにんにく料理のコツ
炒め物をする際に、最初に油でにんにくのみじん切りを炒めて香りを出すことをよくしますが、あまり強火で熱すると、あっという間に焦げてしまいます。
少し弱めの火で熱して、ゆっくり加熱しながらニンニクを炒め始め、きつね色になってきたら他の食材やソースを入れて、にんにくが直接熱い鍋肌に当たらないようにすると、程よい風味を保つことができます。
にんにくの有効成分であるアリシンは、殺菌作用の他、ビタミンB1の吸収を助ける働きもあるので、豚肉と一緒に調理すると、疲労回復にも役立ちます。
市販のにんにく製品や調味料について
生のにんにくを使うのが、香りや抗酸化作用を存分に活用できてベストなのですが、切らしてしまった時のために、長期保存できてすぐに使える、便利な袋詰めや瓶詰の商品があります。
すでに皮をむいた状態で袋詰めにしているものや、用途に合わせて、“chopped”(粗微塵)、“minched”(微塵)、“crushed”(ペースト状)が、瓶入りになっていたり、チューブ入りの物もあります。
市販の物で間に合わせる場合は、できるだけ元の形に近いものがベターで、細かくなればなるほど、保存可能にするために余分な成分が添加されているので、本来の栄養価や風味からは遠ざかっていきます。
パウダー状のものになると、これはもう、気休め程度に使用と考えていいでしょう。ただし、とっておきの再生方法もあるんです♪
粉の状態では、たんぱく質分解酵素のアリナーゼが休眠している状態なので、これを目覚めさせるには、粉に少量の水を加えて溶かすことです。すると酵素が働き始めて、にんにくの香りを引き立ててくれます。
気になる臭いの対策法
にんにくを切ったまな板の掃除法
一般的な方法としては、まな板を、お酢1に温水3くらいの割合で混ぜた液にしばらく浸した後(この後、普通の洗剤洗いでもいいのですが、)、重曹を振りかけて、スポンジやブラシで表面をこすり取るようにすると、大抵の臭いは消えます。
代わりに、レモンを半分に切ってこすると、あとに残るほのかなレモンの香りに癒される効果もあります。
ここで、新しいアイデアを紹介します。私が購読している、“Cook’s Illustrated” に載っていました。まな板の表面に、じゃがいもか林檎をすりおろしたものをこすりつけて、10分ほど置いてから洗い流すというものです。
この方法は重曹よりも効果があったみたいです。なお、にんにくを食べた後に、りんごをかじると、口臭も消してくれるとか。
料理後の手指の臭いを消す方法
塩をもみこむと、ある程度の臭いは消えますが、もっと確実に臭いを消したいときは、塩1に対して、重曹2の割合で混ぜ、少量の水でペースト状にして手指でこすり合わせます。あとは通常の石鹸と冷水で手洗いすれば、臭いが気にならなくなります。
また、にんにくの風味をマイルドにする方法として、上記でレモンを紹介しましたが、柑橘類の酸味がにんにくの成分を中和してくれるので、レモンを直接手指にすり込むのも、簡単な方法です。
あと、歯磨き粉やコーヒー豆なども同様に使えます。商品化された物には、臭い消し専用の、ステンレスチールでできたカードもあったりします。
食後の口臭や体臭を減らす方法
にんにくの硫黄成分が臭いの元なのですが、食後、大体2日間ほど体内に残存すると言われています。それが口から吐く息になったり、皮膚から汗として出たり、血管に流れて尿として出ていったりします。
で、この臭いを早く消す方法の1つに、牛乳を飲むことがあります。どうしてかというと、ミルクの脂質が、にんにくのアリルメチルスルフィドという臭いの成分を分解してくれるのだそうです。
また、臭いを事前に抑える予防法としては、食べる直前に、大さじ1杯のアップルサイダービネガーを、グラス1杯の水に混ぜて飲む方法もあります。
殺菌作用をはじめ、健康な体作りに役立つにんにくを料理に取り入れることは、免疫力を高める上でもとても有効なことです。
いろんな使い方のコツや、具体的な調理に生かす方法や注意点などを挙げてみましたが、改めてにんにくを見直し、活用する機会にしていただければ幸いです。