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トマトソースとピューレの違いって、どこにあるのでしょうか?
もう1つ、トマトペーストも、トマト味の調理に時々使いますが、この3つの区別できますか?
料理をするときに、レシピで指定されたものがないとき、他の物でも代用可能なのでしょうか?
こんな疑問におこたえすべく、3つのトマト製品の違いを、濃度や風味、調理法などの点から比べてみることにしました。
トマトソースとピューレとペーストの違いとは?
濃度
トマトソース類の3つを区別する最大のポイントは「濃度」です!
濃度の濃い順に並べると、
1.トマトペースト
2.トマトピューレ
3.トマトソース
になります。
トマトソースとピューレに関しては、製品を作っている会社によって濃度が違ってくるため、かなり似通った状態になっていることもあります。
一方、ピューレとペーストはわかりやすいです。スプーンにとって、お皿の上に落とした時に、広がりやすいものはピューレ、なかなか落ちにくいくらいのものがペーストの濃度ですね。
風味
濃度とも関連してくるのですが、基本的に、濃度が濃い分、風味も奥深くなります。
少し難しい話をすると、NTSS(”natural tomato soluble solids”)という指標があって、無理に訳すと、トマトの可溶性固形物?になるでしょうか。
この値が高いほど、トマト製品に含まれる水分が少ないことになります。具体的に言うと、トマトペーストのNTSSは24%に対して、ピューレの方は8~23%と言われています。
トマトピューレの方は幅があるので、上限であれば、かなり濃い物になっているし、下限だと、トマトソースに近い物になるわけですね。
ですので、風味の点で言うと、ピューレが一番コクがあるということです。ただし、トマトソースは加工するときに、ハーブやスパイスを多く使う傾向があるので、トマト以外の味は幅広いです。
ここで言う「風味」というのは、トマト本来が持つ味ということでご理解ください。
調理法
どうして、上記のような濃度や風味の違いが出てくるかというと、それはもちろん各製品を作るときの調理法によります。
【トマトソース】を作るときは、たいてい最初に、細かく切ったりおろしたりした野菜類を炒めてから、トマトを加えて、塩やスパイス類で味付けをしていきます。
調理する時間も、煮詰める時間も、3つの製品の中では一番短いので、まだ水分も多く含んでいる状態です。
【トマトピューレ】の場合は、完熟トマトのヘタと皮と種を取り除いてから、どろどろになるまで煮詰めていきます。塩を加えることもあります。
【トマトペースト】になると、更に長時間煮詰めていくので、トマトのエッセンスが詰まったものになります。純粋にトマトだけで、他の何物も入れません。
トマトソース類の本場イタリアのシチリア島やマルタ島の伝統的な手法では、煮詰めたトマトを木の台に載せて戸外に置き、更に濃度が高まるまで、夏の暑い日に天日にさらすのだそうです。
家庭で作ろうと思うと、都会に住んでいたのでは、天日にさらすことは難しいと思うので、オーブンを180度(華氏350度)に温めて、ベーキングシートに煮詰めたソースをのばして入れ、3~4時間かければできます。
途中、30分毎くらいに様子を見たほうがいいですね。
なお、トマトソースであれ、ピューレであれ、ペーストであれ、いずれも元になるトマトは、中くらいの細長い形をしたプラムトマトが、一番水分保有量が少なくて最適です。
トマト加工品の使い分け
【トマトソース】は、調理法で説明したように、すでに味付けされたものが多いので、市販の缶詰を使うときには、料理しようとする種類を考えて選ぶ必要があります。
たとえば、すでにイタリアンの味付けがなされているトマトソースを、インド料理に使うと、ちょっと味が混乱してしまうでしょうね。やっぱりパスタに使うことが一番多いと思います。
【トマトピューレ】は、トマトベースのスープやシチュー、またチリコンカンなどに使うことが多いです。
もし、トマトペーストがあるけど、ピューレがないというときには、ペーストを水で薄めて、ピューレの濃度に持っていけば、使用可能です。(でも、この逆はできません。)
【トマトペースト】は、トマト風味のエッセンスなので、トマトソースやピューレのように、缶ごと料理に使ったりしません。ほんの少しで用を足すのです。
すでにあるトマトソースの深みを増すために加えて使ったり、ミートローフのトッピングソースとか、ピザに広げて使うこともできますね。
トマトソース類の保存方法
【トマトソース】の缶を開けても、一度にすべて使えるとは限らないので、余ったときは他の容器に移し替えます。その時、できるだけ残った量がきっちり入るくらいの入れ物を探すといいですね。
冷蔵庫でしばらく持ちますが、やはり空気に触れる部分が多いと傷みやすいので、蓋のぎりぎりの所くらいまでくる容器がいいです。空間が多ければ、表面をラップで覆ってもいいですね。
【トマトピューレ】も、量的にはほぼトマトソースと同様の使い方をしますが、水分が少ないので、ジップロックに入れて冷凍しておくと、後で便利です。
よく失敗するのが、そのうち使うだろうと思って、適当な瓶に移し替えたまま冷蔵庫に入れておき、いつの間にか忘れてしまい、気が付いたときには表面にカビが・・・ということがよくあるのです。
【トマトペースト】は、市販の缶そのものも小さいですが、それでも開けたとき一度に全部使うことは稀です。どちらかと言えば、大さじ何杯という単位になるので、保存方法も変わります。
残ったペーストを、一旦ベーキングシートに、大さじの分量に小分けして広げ、冷凍庫で固めます。それから、ジップロックに入れて冷凍すると、とても使いやすいですよ。
なお、市販の缶詰やカートンの成分表を見るとわかるのですが、ほぼすべてにクエン酸が入っています。これは風味を添えるというよりは保存料の役目を果たしています。
もし家庭で作ったものを保存する場合には、塩やレモン汁を加えておくとよいでしょう。
まとめ
・トマトソース、トマトピューレ、トマトペーストの一番の違いは、濃度。その次が風味。当然ながら、濃いものほど味わい深くなる。
・トマトソースやトマトピューレは、料理のベースに使うことが多いが、トマトペーストは風味を添えるアクセントとして使用するのが主になる。
・トマトピューレがなくて、トマトペーストがあるときには、ペーストを水で薄めることで、ピューレの代用として使える。
・残ったものを保存する場合は、選ぶ容器に気を付けて冷蔵し、冷凍する場合もできるだけ空気を抜く工夫をして、半年以内の消費を心掛ける。
以上、トマトソースをはじめ、ピューレやペーストとの違いをまとめました。スーパーで購入する際や、家庭の料理に生かす場合にも、お役に立てれば幸いです♪