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はちみつの種類は300以上もある中で、その違いについて、どのくらい理解が進んでいるでしょうか?
英語のタイトルによくある”pure”という表示に惑わされてはいけません。
本当に栄養のあるもの、または健康に良いものを選ぶためにも、はちみつの基本的な種類と違いについてまとめてみました。
ベーシックがわかった上で、個々の花によって違う味や香りを楽しむためにも、代表的な花や木から採れるはちみつの種類もリストアップしました。
はちみつの種類に関する基本的な違い
<製造工程から分けるはちみつの種類>
・「生」はちみつ
はちみつの瓶に、英語で“raw honey”と書かれているものです。これは、ハチの巣“honey comb”から採取した蜂蜜を、ほぼそのまま直接瓶詰めしています。
ほとんど手を加えない場合には、“unfiltered”になり、最低限、みつろうや蜂の死体の一部を除いて少し滑らかにしたものを、“filtered”と呼んでいます。
自然のままの純粋なハチミツなので、多少濁りがあり半透明の物が多いですが、蜂本来が持つ栄養素を取り逃すことなく含んでおり、“unfiltered raw honey”は最も健康的です。
アミノ酸やビタミン類にミネラルをはじめ、酵素や抗酸化物質を多く含むので、体のサビを取ったり、炎症を抑えて傷を治す効果があると信じられています。
この種類を入手しやすいのは、地元のファーマーズ・マーケットや、自然食品を扱う店になります。
・「殺菌」はちみつ
普通のスーパーマーケットに並んでいるのは、ほぼこのタイプで、英語で言うと、“pasteurized honey”という分類になります。
殺菌を兼ねて、ハチミツをより魅力的に見せるために、いろんな加工がされており、混ざり物が多いので、生タイプに比べて栄養的な価値はずいぶん劣ります。
製造過程でイースト細胞も殺しているので、透明さを増し、固まることなく滑らかな状態を長く保つことができるのです。
ただし、見た目がきれいな半面、殺菌後には栄養素をほとんど失っており、加工途中での添加物の量によっては、蜂蜜よりもコーンシロップなどの甘味料の方が多かったりするので、注意が必要です。
なお、殺菌はしているけど、添加物は加えてないものを、“pure honey”と呼んでいます。”raw”とは意味が違いますので、念のため。
<元になる花の使い方から来るはちみつの違い>
・単花はちみつ
ミツバチが集めてきた花の蜜を巣に持ち帰り、働きバチが口から口へと渡していく段階で、酵素が加えられ、栄養のある蜂蜜ができていくのですが、1種類の花からだけ採れるものを指します。
英語では、“unifloral”とか“single origin”と呼んだりします。この種類は数多くあるので、ページの後半で代表的なものを挙げています。
・百花はちみつ
逆に、1つの花にこだわらずに、多くの種類の花々から採ってきた蜜を基にして作られたものになります。
英語だと、“multifloral”や“multi-flower”という呼び方をしています。代表的なものには、”wildflower honey”があります。
<見た目の形態によるはちみつの種類>
・液体タイプ
はちみつの中では、これが最も一般的に販売されていますね。“raw honey”のものは、しばらくすると濁ってきて固まることもありますが、温めてやるとすぐに戻ります。
ただしあまり高温で温めると、せっかくの栄養素が壊れてしまうので注意してください。
・泡立てタイプ
滑らかで、食材の上にのばしやすくなっています。普通のハチミツは、容器から取り出すときに尾を引いて厄介ですが、これだと切りが良くすくえるので便利です。
・蜂の巣タイプ
蜂が蜜を作っているハニーコーム “honey comb”のままの状態です。自然感があふれていて、まさに純粋のはちみつを食べている感覚が楽しめますね。
<色によるはちみつの違い>
・ライトタイプ
主に花の種類によって、仕上がりの色が淡く、黄金色やオレンジ系の色をしていて、味もマイルドで、花の香りを感じさせます。
例としては、”acacia honey”や”clover honey”、また”wild flower honey”などが挙げられます。
・ダークタイプ
この種類は、花より木から採れる樹液を基に作られたはちみつが多く、色が濃いだけでなく、味もあまり甘くなく、時には苦味も含み、独特の強い香りを放つものもあります。
例えば、”avocado honey”や”chestnut honey”、”fir honey”や”pine honey”といったものです。
花や木の違いによるはちみつの種類
・アカシアはちみつ “Acacia Honey”
北米やヨーロッパのアカシア(厳密には偽アカシア)の花から採れる蜂蜜で、とても人気のある種類です。ショ糖の含有量が少ないため、糖尿病の方にもよく用いられ、炎症を抑えたり呼吸器系疾患にも役立つと期待されています。
・アルファルファはちみつ “Alfalfa Honey”
カナダやアメリカで主に生産される、青や紫色をした花から採れるハチミツです。甘くてマイルドな味で、よくベーキングに使われる種類です。
・アボカドはちみつ “Avocado Honey”
カリフォルニア産のアボカドの花から採れるのですが、アボカド・フルーツの味はしません。色は濃く、濃厚な味なので、サラダのドレッシングに混ぜたりするとよいです。
・ブルーベリーはちみつ “Blueberry Honey”
ブルーベリーが付ける白い花の蜜から採れ、淡い琥珀色をしています。朝食のオートミールやパンケーキなどに加えるとよいハチミツです。
・蕎麦はちみつ “Buckwheat Honey”
そばの花から採れる、ほぼ黒に近い濃い色をしたはちみつです。鉄分たっぷりで、スパイスの効いた濃厚な癖のある味なので、好みはありますが、煮込み料理に向いていると思います。
・栗はちみつ “Chestnut Honey”
イタリアで人気のある、栗の木の花から採れるハニーです。一度、この蜂蜜を指定したレシピがあって使ったことがありますが、独特の香りと、ほんの少し苦みがありました。
・クローバーはちみつ “Clover Honey”
世界中に名の知れたハチミツですね。カナダやニュージーランドで主に生産されています。癖のない香りと甘さで、どんな料理にもよく使われます。
・タンポポはちみつ “Dandelion Honey”
たんぽぽと言えば、中国やインドでは薬草としてよく使われる花ですが、蜂蜜の生産はニュージーランドが主になり、濃い琥珀色をしていて、やや酸味があります。
・ユーカリはちみつ “Eucalyptus Honey”
オーストラリアで初めて生産されましたが、今ではカリフォルニアその他でも作られ、風邪や頭痛の予防としてもよく用いられます。独特のハーブの香りがします。
・レザーウッドはちみつ “Leatherwood Honey”
タスマニアの南西海岸に生息するレザーウッドの花から採れることから、タスマニアはちみつと呼ばれたりします。強い香りと味は、焼き菓子の甘みや、コーヒー・紅茶に入れてもおいしいです。
・マカダミアはちみつ “Macadamia Honey”
名前の通り、マカダミアナッツの木の花からできるので、ナッツの香り豊かで、色も濃いハチミツです。チキンなどを焼く時のマリネに使うのもよいです。
・マヌカはちみつ “Manuka Honey”
ニュージーランドに生息するマヌカというのは、オーストラリアのティー・ツリーの親戚の木で、この花から採れるハニーは、琥珀色をしていて、ややスパイシーな香りとハーブの味わいがあります。
抗酸化物質を多く含むことから、よく風邪の対策に使われたりします。特に重要なのが、MGO “methylglyoxal”(メチルグリオキサール)という成分です。
この含有量は少しわかりにくいので、マヌカハニー特有の指標であるUMF “Unique Manuka Factor”というもので表示されることが多いです。
一般的には、この数値が少なくとも10から12以上のものに、咳や喉の痛みを緩和したりする効果があると信じられており、数値が高くなるほどより高価になってきます。
・オレンジブロッサムはちみつ “Orangeblossom Honey”
オレンジブロッサムはフロリダ州の州花なのですが、元はと言えば、スペイン発祥の蜂蜜です。名前のように、フルーティーな香りと柑橘類のほのかな味を楽しめます。
・松の木はちみつ “Pinetree Honey”
主にギリシャから来ているハチミツで、甘さはあまりなく、強い香りがあり、ミネラルやたんぱく質が豊富に含まれています。
・セージはちみつ “Sage Honey”
薄い琥珀色をしていて、香りもほのかなハーブを感じさせます。主にカリフォルニア州で生産され、固まりにくい性質があるため、時には、他の種類の蜂蜜の凝固を防ぐために混ぜられることがあります。
・ワイルドフラワーはちみつ “Wildflower Honey”
上記で解説した、複数の花の蜜を使ったハチミツなので、ものによって、香りや味はにかなり違いがあります。地元に咲く花を中心に作られたものは、その地方の花粉症に有効であるという話もあります。
ここで紹介したはちみつは、数ある種類の中のほんの一部です。多少なりとも親しみのある名前を中心にリストアップしてみました。
いろいろ違いはあるものの、冷暗所できっちり蓋をして保存する限り、蜂蜜は半永久的に持続します。恐らく人が生きている間は。
ただし1つ注意しないといけないのは、生であれ、殺菌加工したものであれ、多少のバクテリアが存在するので、12か月未満の乳幼児に与えることは避けてください。
免疫力が十分に備わっていないと、せっかく健康に良いとされるものでも逆効果になってしまいますので。
なお、はちみつを料理に活用する方法は、こちらの記事ページで紹介していますので、参考になさってください。