この記事は約 6 分で読めます。
辛子とマスタードの違いって、決して日本語とカタカナ語(輸入語)の違いではないんですよね。
この二つは全く別物ではなく、元になる植物は同じでありながら、品種が違うことと、製造過程が異なるために、味も違ってきます。
「和からし」と「洋からし」と呼ぶこともあれば、「オリエンタルマスタード」と「イエローマスタード」と呼んで区別することもあります。
では、具体的に辛子とマスタードの違いはどこにあるのか、探っていきたいと思います。
辛子とは?
中央アジア原産のアブラナ科に属する「カラシナ」という植物の種からできています。漢字で書くと、「芥子菜」は、あぶらなの花に似た黄色い花をつけ、春の5月頃に咲きます。
辛子の原料になる種の色は黄色で、直径が1mmくらいの小粒です。
揮発性が高く、強烈な辛みがあります。だから、おでんを食べるときに、少し加減しながら辛子をつけて食べないと、顔がゆがんでしまいます。
家庭ですぐに使えるように、チューブに入った練り辛子が売られていますが、これは、本来の「辛子」に油分や安定剤などが配合されて、人工的に作られたもので、純粋とは言えません。
本当は、「からしな」の種を粉末に砕いた「粉からし」に水分を混ぜて練るだけです。そもそも、辛味の成分は、この粉を水で溶くことで生まれるものです。
このときに混ぜる水分ですが、辛みの成分を発生させる酵素が一番活発に働くのが、40度前後のぬるま湯だと言われています。混ぜた直後は、少し苦味を感じるかもわかりませんが、そのうち辛味に変わっていきます。
でも、毎回水溶きするのも面倒だし、長期保存ができるものが便利なので、チューブ入りの「練りからし」が重宝するようになりました。
マスタードとは?
マスタードも、やはり辛子と同じアブラナ科の「カラシナ」という植物の種子からできるのですが、その中でも、「辛子」になる種より少し大きめの種を産む「シロカラシ」に属する品種を使って作られるので、味が違います。
元々、辛子より揮発性も弱く、辛味も穏やかな上に、酸味や糖分、スパイスをいろいろ加えて味付けされるので、香辛料的な感覚ではなく、ソースの一種のように使われます。
ですので、おでんに浸ける辛子の代用品は難しいですが、俗に「マスタード」と呼ばれるものは、基本の粉からしを水で溶いて、自分でハニーやビネガーを加えてオリジナルを作ることも可能なわけです。
市販の物でもいろんなフレーバーが出ていますが、主な種類を挙げておきます。
【イエローマスタード】
アメリカでホットドッグを売っている店なら、どこにでも置いている種類です。野球のスタジアムに行っても、カウンターには必ずケチャップの瓶と、このイエローマスタードの瓶が置いてあります。
味はマイルドですが、より辛子らしく見せるために、スパイスのターメリックが入っています。
【ディジョンマスタード】
フランスのブルゴーニュ地方の都市で、ブドウ畑で有名なディジョン”Dijon”で作られるマスタードで、粉末を溶くときに、酸味のあるブドウの汁を使っているのが特徴です。
正式に、「ディジョン」と呼べるものには、製造過程での細かい規定があるようです。アメリカで使う料理のレシピで、「マスタード」としか書いていなければ、まずディジョンを使っておけば間違いないです。
いろんなブランドを試していますが、私は、ファロのディジョン・マスタードが一番好きです。
中には、辛味を強調させて、「エキストラ・ストロング」と書いてあるものもあります。
【ハニーマスタード】
名前の通り、蜂蜜が入っているマスタードです。普通の種類にもハニーが入っていることが多いのですが、わざわざ「ハニーマスタード」と呼んでいるものには、通常よりも多く入っていて、かなり甘めになっています。
辛子なのに甘いのはどうもね、という人もいるので、(うちの主人ですが)好みはあるものの、ハムステーキとかの料理によく合いますよ。
【粒入りマスタード】
スパイスとして、「マスタードシード」を使うことがありますが、こちらは、種が粗挽き状態でマスタードになっているものです。アクセントになるので、ドイツの本格ソーセージを楽しみたいときに使いたい種類です。
マイユの粒入りあたりが口当たりいいのではないかと思いますが、家で作ることも可能です。
すりこ木でマスタードシードを挽き、半ば砕けてきたら水を混ぜ、好みの酢や塩に甘味も加えていけば、ホームメイドの粒入りマスタードができ、冷蔵しておけばかなり長く持ちます。
辛子とマスタードの違いとは?
まとめると、辛子もマスタードも同じアブラナ科の植物の種から採れるけれども、品種の違いから、味も違ってくるということです。
辛子の方がより辛く、マスタードはマイルドな味。
辛子は水分以外には混ぜ物がないけれども、マスタードは加えるものによって自由自在に味付けができる。
以上で、辛子とマスタードの違いを分かっていただけたでしょうか?
もし、余裕があれば、ホームメイドのマスタードにも挑戦してみてください。